異世界に転移したと思ったら転生者? 〜〜幼女で鍛冶師な異世界転生〜〜   作:銀鈴

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 せっかくオリンピックの卓球にペンホルダーの人がいたのに負けちゃった…いや日本が勝ったから良いんだけども、ペン使ってる身としては勝って欲しかった…


第12話 魔改造魔改造

「うーん、まずはこの聖剣の欠片を溶かさないとなんだけど…なーんか意思みたいなのを感じるっていうかなんというか…」

 

 サンプル用の剣をさっきの適当に作った鉄柱に立て掛けてから、麻袋に入った聖剣の欠片を見つめる。カチャカチャ鳴っててなんか嫌な予感がするし、大鎌背負っておこう。あ、音収まった。

 

「とりあえず、御開ちょー!」

 

 そう言って私は麻袋をひっくり返す。初めて見た時は光ってて分からなかったけど、金色に薄く緑とか赤とか青っぽい装飾のされていただろう欠片がカチャンカチャンと落ちていき…

 

「あぶなぁっ!?」

 

 その欠片全てが私に向かって飛んできて、当たる寸前で大鎌の気配に当てられてカランカランと落下して行った。ふぅ、大鎌が無ければ即死だった…まあ当然だよね、私だってこの大鎌とかティアの杖に所有者以外が持ったら…って仕掛けを仕込んでるし。

 ちなみにこの鎌の場合、私とティア以外が力を使おうとすると大鎌に食べられて、ティアの杖は魔力を通した瞬間全部が増幅逆流して爆発四散する仕掛けになってる。

 

「えっと何々、材質はオリハルコンにミスリルにアダマンタイトがメインで、そこにヒヒイロカネが微量に混ざってて、刃の部分には綺麗な紋様が出てると…流石聖剣、カッコいいね」

 

 空での追いかけっこの音を聞きながら、粉々になった欠片を元の剣の形に並べてみる。ふむふむ、多分この柄尻の宝玉が魔力のタンクになってて……ダメだ、回路が木っ端微塵になってるから何が何だかわかんないや。一体どんな使い方すれば、ここまで壊せるんだか。

 

「とりあえず元々できてたビームは当然搭載して、確かバリアも貼ってたし、持ち主の認識機能もある。うーん、あと搭載するなら私の鎌みたいな…じゃ魔剣になっちゃうか」

 

 私の大鎌のエネルギー吸収、斬った物から文字通りエネルギーを吸収するから役に立ちまくりなんだけど、お揃いとか嫌だしなぁ…

 

「とりあえず、MPの吸収機能はつけるとしてファンネルは……出来ないことはないけど、面倒くさいから付けなくていっか」

 

 ロイドのあの羽根だって、調整が面倒でまだ完成してないんだし。そう思いながら、もう溶かしちゃおうと思って破片を集めて炉に入れようと思った時に、1ついいことを思いついた。

 

「これ、1個くらいネコババしても何も言われないよね?」

 

 ほら、私の大鎌の刀身って聖剣は聖剣でもカリヨンがベースだから、色々な魔法が刻まれた欠片が集まってできてるやつだし。そう思った時、丁度手に持っていた大きめの欠片がブルブルと動き始める。魔力を当てて動きを無理やり黙らせる。潔くしなさい。

 

「材質は覚えたけど、なんか歴史とかの強さがありそうだから貰っちゃえ」

 

 聖剣の欠片をポケットにしまい、見た目と素材こそ完璧に一致した金属片をその他の欠片と供に炉に投げ入れる。さて、後は熱が漏れないように風の防壁を作って中は全力でファイヤー。

 

「鋳型は用意したからインゴット化は問題ないとして、後は何をするにしても溶けて固まってからか」

 

 それまでは魔法を制御しないといけないからここから出られないし、そこまで離れなれない。 ロイドは…今いい感じにバレルロールしてるからいいか、本はこの前SAN値が削られたから読みたくないし…

 

「私の大鎌、強化ついでにちょっと本格的に整備してみようかな」

 

 空の追いかけっこに混ざりたい欲求を振り払って、さっきポケットに入れた手のひらくらいの欠片を取り出す。途端にビクッて魚が跳ねるみたいに動いたけど気にしない。だって物作りには犠牲が付き物だもんね!

 

「いっつもお世話になってるしね」

 

 いつの間にか私の暴食のスキルまでゲットしていた大鎌を下ろし、私も座って撫でてみる。獣人界でも無茶から果てには邪神まで斬ったり撃ったりしてきた、ある意味相棒だもん。今ちょっと光ったのは置いておいて、これからも大切にしていかなきゃね。

 

「さて、整備なんだけど……するところが無いんだよなぁ」

 

 大鎌の状態に変形させ、魔眼の透視と魔力を見る力。更には解析まで使って隅から隅まで眺めていく。

 変形する場所が沢山あるし、銃撃とか刃を構成してる部分の制御装置とか、吸収したエネルギーを私に供給するための部分とか、挙げればキリがないくらいめんどくさい機構が詰まってるうえに、いつも振り回してて強い衝撃が加わってる。それなのに、どこにも壊れてたり疲労してたりする部品がない。普通に見ても細かい傷しかないから使い込まれてるなぁ…くらいにしか思えない。

 

「私とクラネルさんとでそう作ったけど、明らかに尋常じゃないよなぁ。いや、いい事なんだけどねってうわわっ!!」

 

 そう大鎌に話しかける幼女というシュールな光景を晒していると、左手で握っていた聖剣の欠片が大きく跳ねて大鎌の上に落下した。

 

「え、あ、うん。まあそうなるよね」

 

 聖剣の欠片は大鎌に当たる直前、謎の黒い渦に飲み込まれていった。心なしか大鎌のオーラが強くなったし、十中八九大鎌が原因って分かるけど……うん、まあいっか!

 

「でとそうすると、やる事が無くなる…ん?」

 

 そこまで呟いた時、ふとよく分からない考えが頭をよぎった。聖遺物だから、大鎌は私の魂的な部分と接続してる。さっきから見て分かる通り、多分意思を持ってる。斬魄刀と似通った所もあるし…

 

「ダメ元で刃禅でもやってみる?」

 

 よく二次小説のオリ主さんとかがやってたし。多分成功しないだろうけど、強くなれるかもしれないんじゃやる価値はあるかも。

 

「よし、そうと決まれば!」

 

 熱が届かないギリギリの所で座禅を組んで、そのうえに大鎌を膝に乗せる。明らかにはみ出てるけど、始めますか!

 

 

「……い、い……。…きろー」

「むにゃ…もう、だめぇ、お腹いっぱい…えへへ」

「きゅうっ!」

「うにゃっ!?」

 

 夢の中で誰かとお菓子を食べていた筈だったけれど、私は突然背中に衝撃を受けて現実に引き戻された。多分このままじゃ地面に激突……しない?

 

「うみゅ…」

 

 というか少し汗くさいし暖かい? という事は…寝起きの頭で、目をこすりながら前を見上げると…

 

「いたた…あいつなんて勢いで突進してるんだよ…」

 

 10センチくらいの所にロイドの顔があった。あう、やばい、ちかい、顔があっつい。

 

「わわっ! あわわわわ!! いてっ」

 

  なんだか無性に逃げ出したくなって後ろに下がろうとするけど、手を付いた所に大鎌の柄があったせいで滑ってしまった。 頭を打って涙目になってる中、視界には満足気なフローがホバリングしてて…

 

「ふふふ、やってくれるじゃん。聖剣なんて後回しだこんにゃろー!」

 

 どうせ半自動操縦だから、インゴットまでは勝手に出来るんだ。それならまずは、こっちが先だよねぇ!

 靴から羽根状の力場が発生し、逆さまに私は浮く。スカート?今は穿いてないから大丈夫。

 

「待てぇぇ! フロォォォッ!!」

「きゅぅ〜♪」

 

 それからしばらく、無駄に機嫌の良いフローを私は追いかけるのだった。いや、途中からロイドから逃げてたりもしたけど。

 




 前回ロイドの義手にナノゴーレムが追加された。つまり、地球で発信機の役割を果たした物をロイドは常時携帯することに…= ?

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