異世界に転移したと思ったら転生者? 〜〜幼女で鍛冶師な異世界転生〜〜 作:銀鈴
今回は、勇者サイドの話になります。それではどうぞ!
その日は、何の変哲も無い日になるはずだった。
学校に行き、いつも通りの生活をし、家に帰ったら授業の予習復習をし、ゲームをして、飯食って風呂入って寝る。
そんな、在り来たりな日になるはずだった。
学校に着き、欠伸を噛み殺しつつ教室に入る。
さて、俺の名前は天上院匠。そこらへんにいそうな高一だ。
身長は高めで、女子にはイケメンと言われる事が多い。自分ではそうは思わないのだが。
それと自慢ではないが、一応このクラスの委員長をやっている。勉強は平凡だが、リーダーシップはあると自負している。
教室の自分の席に座り、またも欠伸をする。
「おはよ〜……すごい眠そうだけど、どうしたの?」
俺に話しかけてきたのは中学時代、ゲームを通じて仲良くなった友人。
名前は
腰まで届く長い黒髪、少し垂れ気味の大きな瞳。スっと通った鼻梁に小ぶりの鼻、そして薄い桜色の唇が完璧な配置で並んでいる……男だ。あり得ないと思うだろうが男だ。大事なことなので二回言った。
そのせいか、一緒に歩いているとよくそういう視線を感じる。最近筋トレを始めたと言っていたが、俺から見ても健康のために頑張る女子のようにしか見えない。勘違いしないでくれよ?
「おはよう、蒼矢。ちょっとゲームで徹夜しちやってね……」
「楽しいのは分かるけど程々にね……クラス委員が赤点なんて取ったら目も当てられないよ?」
「あはは……分かってるって」
そんならことを話していた時、チャイムが鳴った。
そのまま解散し、それぞれの席に着く。
「あれ?」
授業の準備を始めて、俺は筆箱を忘れていたことに気づいた。
そういえば、ゲームのメモをするのに使ったような記憶がある。多分そのまま置いといてしまったのだろう。
「ありゃりゃ……育成論メモってたからか……」
「どうしたの?」
俺の声に隣の席に座る、
柊までが名字だ。
「筆箱忘れた」
「あちゃー……あんたが? 珍しい。ふっふっふ、私のを貸してあげようではないか」
柊さんがそう言ってシャーペンと消しゴムを渡してくる。
「ははー。悪い」
「良きに計らえ〜。お菓子一つで手を打ってやろうじゃないか」
「無償じゃないの!?」
苦笑しつつ了承して手を振る。
が、その約束は結局果たされることはなかった。
◇
それは、2限目の数学の授業の時だった。
教壇には生徒から山ちゃんと呼ばれる背は低めの女性教師が、教科書片手に黒板に公式を書き込んでいる。どこぞの芸人とは何も関係は無い。先生は痩せてるし。
「で、こうなるから、ここの公式は……」
授業の内容をノートに写していると、黒板に何やら幾何学的な模様……。俺からすると、魔法陣にしか見えないものが浮かび上がっていくのが目に入った。
…………え? なんで魔法陣?
「な、なんですか!?」
山ちゃんも事態の異常さに気づいて、黒板に浮かび上がる魔法陣? を消そうと黒板消しを滑らせる。
「い、一体なんだ!?」
「誰かのイタズラ?」
「なんなの?」
蒼矢は口をポカンと開け、固まっていた。そんなことを観察している間にも、魔法陣はどんどん大きくなっていき、閃光を放った。
「うわ!」
「ま、まぶし!!」
「み、みんな落ち着いて! 何かはわからないけど念のため外に──」
先生がそう言う前に、フッと俺の意識は途切れてしまった。
もしかしたら、本当に異世界に召喚されたりしてな