異世界に転移したと思ったら転生者? 〜〜幼女で鍛冶師な異世界転生〜〜   作:銀鈴

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わー、すっげー。慣れない感じの文を書いたら(前話)お気に入りがガクッと減ってるー。という事で何故か笑いがこみ上げてきた定期。


第6話 蹴り上げは痛い

 ロイドにおんぶされて移動する中、私はさっき念話ができなかった理由と思われる腕輪を外す。一応証拠とか言われた時のために、過去の記憶を映し出せるティアを呼ばないとだしね。間違っても旧支配者とかモーブ以外に見せちゃいけない。

 

「痛ぅ…」

「怪我でも触っちゃったか?」

「ううん、大丈夫」

 

 念話を使った瞬間全身に刺すような痛みが走ったが仕方ない。というか、念話を使い続けてる現在進行形で痛いけどどうにかティアに繋がる。

 

(もしもしティア、聞こえる?)

(問題ない。頼みたいのは、さっきの事の証人?)

 

 魔法が繋がった直後に、あの場にいなかった筈のティアからそんな答えが返ってきた。えと、何コレ以心伝心?いや苦痛の時間が減るからいいんだけども。

 

(似たようなもの、念話が繋がれば心は読める。あと、全部見てたから)

(それならなんで助けてくれなかったのさ!!すっごく怖かったんだよ!?)

(イベントに介入するなんて、無粋極まる事。事実、マスターはロイドの事)

(わーわーそれ以上なし!言っちゃダメ!とりあえずギルドに来て!)

(むぅ、了解した)

 

 ティアのその返事を聞いてすぐに、私は念話を切って腕輪を嵌め直す。うぅっ、全身が痛い。早く薬飲みたいけど食後だし…

 

「ギルドに着いたんだが、降ろしてもいいか?流石にこのままギルドに入るのは恥ずかしいんだが…」

「うん、コレから助けてくれたりおぶってくれたりありがとうね。フローももう戻ってて?」

 

 ロイドに笑顔でそう言い、ギルド前でおんぶから降ろしてもらう。それでロイドの手が空くからフローにも門の中に帰ってもらったけど、不満気な念が伝わってきたから、後でまた外で鬼ごっこでもしようと思う。

 

「足は大丈夫。服もコートを脱がなきゃ大丈夫。よし、アルさんにじかだんぱんしてやる」

「幾ら何でも、さっきの事は犯罪だからな」

「私も混ぜる」

 

 気分を引き締めロイドと顔を見合わせた時、後ろからそうティアの声が聞こえた。振り向いてみると、何故か足を一切動かさずホバー移動しているけどとりあえずそれは置いておく。よし、この布陣なら勝てる。何にかは分からないけど。

 

「どうかしたのか?お前ら。そんなもん引きずって」

 

 受付嬢の誰かに掛け合ってもらおうと思ってたけど、ギルドに入ってすぐのロビーにアルディートさんは居た。少し疲れてるように見えるし、多分訓練でもしてたんだと思う。

 

「ちょっとこの人に襲われて、強姦されそうになったので突き出しに来ました」

「俺が間に合わなかったらって思うとゾッとします」

「私は証人」

 

 私はロイドの引きずっていたモーブを蹴り飛ばしながら、ロイドは真剣な表情で、ティアは相変わらずの無表情でそう告げる。最初はいきなり言われたそんな事に戸惑った様子のアルさんだったが、すぐに真面目な顔をして言う。

 

「それが事実だとしたら投獄は確定なんだが、マズイな」

「何がマズイんですか?」

 

 即座に聞き返した私に、アルさんは何やら難しい表情をして答える。なんか後ろの方で受付嬢の人達がザワザワし始めた。

 

「今この人間界で洗脳されてない街は、ここを含めて4つしかないってのは知ってるだろ?」

「はい、一応」

「それになんの関係があるんだ?」

「黙って聞く」

 

 若干突っ掛かっていったロイドがティアに制される。うん、まあそうだよね。絶対あとに重大な事が続く感じがするし。

 

「嬢ちゃんに手を出したって言うコイツは、一応街の代表の護衛をしてる奴でな。証言だけで、何も伝えず牢に入れたら面倒な事になる」

「うむむ、確かにそれだと面倒な事になっちゃいますね…」

「こんなクズを護衛って、どんな趣味してるんだ…ですか? その街の代表っていう人は」

「間違いなくコレと同類」

 

 そう言ってティアも気絶してるモーブに蹴りを入れる。ティアのパワーでそれをやったら大変な事になるじゃ…そんな事を思ったけど、次の瞬間ミシッという音がしてティアの足がモーブにめり込む。そして幾ら気絶してるとは言っても、そんな事をされたら目を覚ます訳で…

 

「手前今すぐ鎖を解きやがれクソ幼女!殺すぞ!つーかどこ連れてきやがっ…た」

「ほう、俺の前でそれを言うのか」

 

 鎖に縛られたまま暴れ出そうとしていたモーブの動きが止まり、みるみるうちに顔が青くなっていく。それに合わせて受付嬢の人達からサイテーとかクズねとかヤジが飛んでくる。

 

「ち、違う。今のはちょっとした脅しで…」

「ほう、殺意を剥き出しにした脅しか。大人が子供に対してやってるんだ、それ相応の理由があるんだろうな?」

 

 アルさんが殺意全開で、ニイッと笑いながら言う。 モーブの元々青い顔が更に青くなっていくのを見るのは笑えるけど、私としてはナニを斬り飛ばしたいくらいキレてる。

 

「暇してる奴を呼んできて、コイツを地下に拘束しておけ。さっきは問題があるっつったが、コレはアウトだ」

「あの、地下にコイツを連れてくの、ちょっとだけ待ってもらってもいいですか?」

 

 私としても、ロイドに任せっぱなしだったせいで最後に1発だけ仕返しがしたい。ティアと顔を見合わせ、お互いにやりたい事は同じだって事を確かめる。

 

「別にいいが、どうかしたのか?」

「はい、ちょっと仕返しがしたくて。やるよティア」

「「相手のゴールに、ボールを、シュゥゥゥト!」」

 

 私はスキルとかでブーストをかけた右足で、ティアも同じように左足で、倒れたままのモーブの息子がある辺りを思いっきり蹴り上げた。

 

「あがっ!」

「「超!エキサイティン!」」

 

 何かを蹴り潰した気持ちの悪い感触と共に数mある天井付近にまでモーブは打ち上がり、白目を剥いた状態で床に叩きつけられた。本当はナニを踏みつけた状態で轢き潰す完全に再起不能にする方をしたかったけど、こっちの方が楽だから仕方なくこっちにした。

 

「嬢ちゃん達、随分とえげつない事をするんだな」

「コレでもまだ足りないですよ!全く」

「マスターの慈悲に感謝するがいい」

 

 青い顔のロイドが苦笑いしてるけど、まあ今回ばかりは許す気なんて毛頭ないから仕方ない。私は怒ると怖いんだぞーがおーって感じだ。

 そんな事を思っている間に、ようやくきたギルドの職員さん(男)がモーブの腕と足を掴んでそのまま地下へと連行していった。

 

「とりあえずスッキリしたし、後は私たち3人でご飯食べて薬飲んで休むのが1番いいかな?」

「いや、マスターとロイドの2人で行くといい。私は買い食いしながら帰る」

「切り替え凄く早いよな、イオリ達って…」

 

 そういえばお昼ごはん食べてないからお腹空いてるしということで、そんな他愛もない話をしていると、入り口の方から全く聞き覚えのない声がした。

 

「この騒ぎはなんなんです?折角この私が来たというのに…」

 

 振り返るとそこには、いかにも性格の悪そうな顔をした色白のひょろりとした男が立っていた。うわぁ…面倒ごとの予感。

 




ーーモーブがログアウトしましたーー

ーー口だけ代表さんがログインしましたーー

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