異世界に転移したと思ったら転生者? 〜〜幼女で鍛冶師な異世界転生〜〜   作:銀鈴

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そんなに仲のよくない人も入った友達のグループに遊びに誘われて、「自分が輪を乱して多人数が不快な思いをするより、自分1人がつまらない思いをした方が良い」って言って断ったら、頭おかしいって言われたの(′・ω・`)


第6章 滅びの人間界
第1話 プロローグ


「暇だー、暇なのー、ひーまーでーすーのー」

「マスター、煩い」

 

 フカフカのベッドの上で、手足をジタバタ動かしながら私は言う。

 昨日のメイさん達の雰囲気に耐えられなくて、半分以上逃げだすように宿に逃げ込んで一晩。懐かしの宿に来てはいるけど、あと3日は魔法を使っちゃダメっていう話だから、私はいつもやっている事すら出来ずにいた。

 

「だってもうポーション類を作るの飽きちゃったし、そこからバイハのハーブとかポケモンのきずぐすりみたいなのを作ろうにも魔力を使っちゃいけないっていうしさぁ…」

「そんなに暇なら、ロイドに会いに行けば?きっと暇じゃなくなる」

「それはヤダ」

 

 私は机に向かって、謎のハードカバーの本を読んでるティアからの提案をバッサリと切り捨てる。だって恥ずかしいもん。

 それとこういう事を話してるから分かるだろうけど、昨日あれからロイドが会いに来たりとかそういうのは一切無かった。

 

「というか、なんでティアあんな事言ったのさ…確か結構前、ロイドに「マスターは渡さない」って言ってたよね?」

「あの時とは状況も強さも違う」

「嘘だぁ…」

 

 私の心境だって殆ど変わってないし、ロイドは強くなったけどまだ私の方が強いし…あと変化と言えばSランクの試験って聞いたから、私の復習がてら勉強したっけ?リュートさん達含めた全員で。

 

「嘘じゃない。強さはマスターの考えてる通り。だけど、マスターのお姉ちゃんとリュートさん達からの応援がある」

「Pardon?」

「なぜに英語。まあいい、もう一回言う。マスターのお姉ちゃんとリュートさん達から、マスターとロイドの関係は応援されてる」

「One more time」

「くどい。マスターはほぼ詰んでる」

 

 …………

 

「はぁ!?」

 

 ちょっと衝撃的すぎて聞き返し方が英語になっちゃってたけどなにそれ!?ねえほんとなにそれ!?某週間少年雑誌並に!?が多くなってるけど、初めて聞く情報に私の頭は尋常じゃないくらいの混乱の極みだ。うん、自分でもなに考えてるか分かんない。

 

「ちょっと待ってティア、リュートさん達はまあいいにしろ結衣姉が?嘘でしょ?」

「嘘じゃない。『本人同士の意思が優先だけど、蒼矢の事をよろしくね』って帰り際に言ってた」

「打つ手、無しじゃん…」

 

 本人同士の意思が優先っていう以上最終的な決定権はこっちにあるんだろうけど、姉ちゃんとリュートさん達に応援されてるって事は絶対に答えは出さないといけないじゃん…

 そんな風に思って枕に顔を埋めていると、バタンと本を閉じたティアが諭すように言ってくる。

 

「マスター、よく考える。ロイドはかなりの優良物件」

「どこがさぁ…」

「マスターの選択肢、ホモかレズかロリコンか普通(ロイド)の4択だよ?」

「ごめん私が間違ってた」

 

 ホモは…タクあたりかな?けど向こうがもうちょっと反省してくれたら仲直りはするけど、恋人関係とかありえない。

 レズゥは分からないけど、聞いたらよくない感じがするし嫌な予感しかしないからパス。

 ロリコン…リュートさんは論外だし、クラネルさんは命の恩人だけど無理。もうヤダ怖い。あんまり会いたくない。

 こう考えると、普通の感性ならどう考えても選ぶならロイドになる。なんだかんだで私を心配してくれてるし、後押しが凄いし。

 

「でもさぁティア、今まで旅してきた相手をいきなりそう見ろって言われても…」

「マスターが元男の転生者って聞いて、受け入れてくれる人が多いとでも?それに、多分リィンネートを斬ってもマスターの身体は元に戻らない」

「それは分かるし、そっちも薄々分かってたけど…」

 

 1個目は隠し通せない事もないけど、2個目も神様が直に弄ったんだろうから治らないだろうなって最近思うようにはなってたけど、それでもさぁ…

 

「なら、ロイドとデートでもしてくれば?」

「いやちょっと意味が分からないですね」

 

 何故か話の大事な部分が吹き飛んだ気がする。そもそもロイドと私ってまだ旅仲間程度の関係だし。出かけるのは暇を紛らす分には良いんだろうけど、わざわざ一緒に行く理由がないし?

 

「マスターがデレたら、ロイドの勝ち。デレなかったら、マスターの勝ち」

「そのデート・ア・ライブみたいな言い方だと、精霊なんだからティアが封印されちゃうじゃん…」

 

 一部を見れば平和だけど、全体的に見ると荒れに荒れている。まさに今の人間界みたいな状況に私の心はなっているのだった。これも全部海堂のせいだ。絶対に訴えてやる。

 

「うぅ…とりあえず、お外行ってくる…」

「マスター、くれぐれも魔力は使わないように」

「えっと、それなんだけどね!」

 

 昨日の夜いい感じに作り直した、魔力を抑え込む手錠もとい腕輪をたしかここら辺にしまっておいたはずなんだけど…

 

「あれ?これじゃないしこれでもないし…」

「マスター、ドラえもんは流行らない」

「そんなんじゃないよぅ…」

 

 例の腕輪だけを呼び出したはずなのに、くっついてきた邪魔な剣やらアクセサリー類を別の門の中に投げ込んでいく。私は別に青いたぬきなロボットでも子ギルでもない。

 

「あった!これこれ、いい感じに魔力が使えなくなる腕輪!」

「マスター、それ作るのに魔法、使ったでしょ」

「ギクッ」

 

 射抜くような視線でティアが見つめてくる。あは、あはは…

 

「せ、せんこーとーしってやつだよ?」

「ふーん」

 

 え、う、あぅ…ティアの視線がすごく痛い…

 

「い、行ってきまーす!!」

 

 取り出したばっかりの腕輪を嵌め、私は外に走り出していくのだった。

 い、いやー、滅びかかってるっていうのに、実に平和だなぁ…

 


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