異世界に転移したと思ったら転生者? 〜〜幼女で鍛冶師な異世界転生〜〜   作:銀鈴

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イオリちゃんの好感度が足りないのでお風呂シーンはカットされました。


第12話 帰還までのカウントダウン

「まさか、蒼矢のお風呂習慣がキッチリ女の子になってるなんて……」

「流石に半年くらいこの身体だもん」

 

 若干意気消沈した感じの姉ちゃんがそう言うけど、元々髪の毛は長かった事もあってもうそんなのは慣れたのだ! あと実の姉に身体を洗われるなんて嫌だ、レーナさんはセーフだけど姉ちゃんはやだ。

 

「因みに、義姉ちゃんの期待してたことは、そこのレーナさんが先にやった」

「やっぱりそうよね。髪の毛はともかく、他の事は教わらないと男子にはどうしようもないものね……」

「むぅ、せっかくカッコつけたのに……」

 

 ぶーとほっぺを膨らまして抗議する私を、姉ちゃんが微笑ましい目で見てくる。因みに今は魔法も解いて銀髪に戻ってるけど、ジャンル違い感がすごい。

 

「あ、やっとイオリさん出てきた。ロイド君見つけたんだけど、どうにか出来る?」

「へ?」

「階段の所でぐったりしてて……」

 

 そう言ってレーナさんが指差す先には、ソファーの上で仰向けでぐったりとしているロイドが確かにいた。風呂に入る前、いないと思ったら階段で……ん? 

 

「もしかして、結衣姉が原因?」

「そうね。勝手に二階に行こうとしてたから、妙に動きは速かったけど腹パンしておいたわ」

「ゆ、結衣姉すごい……」

 

 ロイドだってまあ、一般人から見たら超人レベルの動きの筈なのにそれを妙に動きは速かった程度で済ませられるなんて……。それにしても、なんでロイドは二階に? 

 

「二階には私の部屋とかしか無いはずなのに……」

「マスター、多分それ」

「……あ」

 

 なるほどそういうことか。いやでもこれを認めるとなると、ロイドが私の事を好きだって事になるかもしれないし……私はそこまで自意識過剰じゃない。

 

「あ、そうだ。レーナさんお風呂入ってきていいよ?」

「え、うん」

 

 レーナさんのそんな返事を聞きながら私は、トテトテとソファーまで走っていきロイドの頬を叩く。

 

「ロイド起きてー、お風呂沸いてるよー。リュートさんとでも入ってきてー」

 

 けど、起きる様子が一切無い。お風呂入れるのはレーナさんが上がってきてからだけど、うーん……どうすればいいんだろう? 起こすのは確定として……

 

「どうすればいいかな?」

「やっちゃえ」

「バチッと」

「了解!」

 

 姉ちゃんとリュートさんに後押しされて、私は手に電気を纏わせる。そしてそのまま手を振り下ろして、

 

「えいっ!」

「うわぁっ!?」

 

 突如走った電流によってロイドが飛び起きる。そして近くにあった私の顔を見るなり逃げようとして、そのままドスンとソファーから落っこちた。なにこれ面白い。

 

「えっ、あ、俺は確か……ひっ」

「ロイド君、ちょっとこっちでお話ししようねー」

 

 そして起き抜けのロイドを、いい笑顔の姉ちゃんがどこかに引っ張っていった。ロイドが目に助けてって言われた気がしたけど、姉ちゃんに勝てる()なんている訳ないじゃないか……

 

「南無……」

 

 私がそう祈ってるのと同じく、リュートさんもロイドが引っ張られていった方向に手を合わせていた。ティアは視界の外にいるからわからないけど、多分似たような事をしてるだろう。

 

「それでイオリさん。なんだか久しぶりに異世界組だけになった気がするけど、これからは予定とかあったりするの?」

「うん、一応ね。明日は私とティアは姉ちゃんと買い物に行く事になったし、個人的には日本刀職人さんの作業を覗いてみたかったりするから、滞在は長くて4日かな?」

「だから明日は、私達は確実に動けない」

 

 私の説明にティアがそう付け足す。とりあえずそこまでは決まってるんだけど、リュートさん達の予定が一切決まってないんだよね。家の中にいる訳にもいかないし、かといってデートしててもらうのもいけないし。

 

「あれ? 僕たちって何を……」

「私の自転車なら貸せるけど……」

「好きな事をするといい」

 

 ティアはそう言うけど、実際にやれる事は案外少ないんだよね。近くには鉄道の博物館とか、県の体育館くらいしか施設はないし。ディ○ニーは日帰りは無理な距離だ。

 

「そうは言ってもね……」

「ん? なんの話かしら?」

 

 そんな話をしていると、真っ白になったロイドを引きずった姉ちゃんがリビングに戻ってきた。ロイド……お疲れ様なのん。

 

「明日以降の予定話してたー」

「成る程ね。蒼矢、明日の買い物にこの子を連れていってもいいわよね?」

 

 そう言って姉ちゃんは真っ白なロイドを指差す。え、ロイドが一緒に来るの? まあ、私は別にいいけど……

 

「私もマスターも、特に問題ない」

「少し恥ずかしいけど」

「よし、それなら決定ね」

 

 姉ちゃんが満足気な顔で言う。どうしよう、明日は本当に嫌な予感しかしない。さっきから見えてる、充電中のデジカメがいい証拠だよ……

 

「あ、そういえば今日って、リュートさんとレーナさんってデート出来たの?」

「いや、ロイド君がいたからそんな雰囲気じゃなかったかな」

「ふむ」

 

 なるほど、そういう事なら確か……案外安価で入れるしいい場所があった筈。若干遠いけど? 

 

「それなら「「電車に乗れば、そんなに遠くない場所に水族館があるけど?」」凄い、姉ちゃんと被った」

「どうやら考える事は同じだったようね」

 

 姉ちゃんと、ふっと笑いあう。私も天上院と一回だけ行った事があるけど、結構いいところだったしベストなんじゃないかな? 

 

「それなら行かせてもらおうかな」

「やったれやったれー」

「ティア、もうちょっと感情込めて言おうよ……」

 

 いつもとさして変わらないそんな事を言い終えたとき、ふぁと大きな欠伸が出た。流石にいろいろな事をやり過ぎた所為か、私も予想以上に疲れてるみたい。

 

「ふみゅぅ……。それじゃあ、私は今日はねるね? おやすみー」

「あーうん。おやすみイオリさん」

 

 そう言って会話を終わらせ、いつも通り二階へと上がっていく。そういえば、自分の布団で寝るのって随分と久しぶりだなぁ……って、

 

「なんで姉ちゃんが一緒にきてるの?」

「蒼矢と一緒に寝ようと思ってるからよ」

 

 姉ちゃんがあまりにも楽しそうに言うので、私も断るに断れなかった。

 




なお、次回で地球編は終了です。

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