異世界に転移したと思ったら転生者? 〜〜幼女で鍛冶師な異世界転生〜〜   作:銀鈴

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『いつになってもおやつはカール(諏訪部vc)』
……よし、ゴミ箱に捨てておこう(教室)


第12話 広がる悪意

「その角に甲殻に、全部置いてけえぇぇ!」

 

 本人が目の前にいる手前色々言ってみたけど、結局本音を叫んで私はカブトムシに突撃する。うーん、嘘は言ってないし、もうちょっとカッコつけるつもりだったのになぁ……

 

「イヤーッ!!」

 

 私の掛け声と共に大鎌の先から3連続で爆発音が鳴り、私の素の身体能力とも合わさって凄まじい勢いで大鎌が跳ね上がる。もちろん目指す先は、黒くて硬そうでぶっといあの角だ。

 

「ギギャッ!!」

 

 カブトムシ……正式名称? 甲虫王者 鎧兜っていうらしい……も角を振り下ろしてくると思いきや、翅を開いて後方に回転しながら舞い上がった。

 

「ふぇっ!?」

 

 当然全力の斬り上げを回避されてしまった私は思いっきり体勢を崩してしまい、そのまま床を削りながら突進してきたカブトムシの突進をモロに受けて、壁に弾き飛ばされてしまった。

 

「グッ……」

 

 床にベチャって感じで倒れた私だけど、手放さなかった大鎌を杖代わりに立ち上がる。私自身のスキルと大鎌の能力とで、もはや呪いって言ってもいいレベルでHPと傷は回復するし痛みも薄いけど、受けた衝撃自体は消えはしない……つまり何が言いたいのかというと、(アドレナリンがドバドバ出てない限り)私は慣れるまでの後数秒は動けないって事で……

 

「ギギイッ!」

 

 それはイコール、こんな風に飛びかかって来られても無傷では(・・・・)回避も防御もできないって事だ。

 

「危ない! 避けろ!!」

「言われなくても!! 《エクスプロージョン》」

 

 私の小さな身体が自分の魔法の爆風で勢いよく吹き飛ぶ。さっきも言った通り、怪我をする事覚悟なら回避なんて余裕だ。痛みは危険信号って言うし、流石の痛覚大耐性も一定以上の痛さは弱めてくれないからそこは注意だけどね。

 なんて事を思いながらも、某カズマさんみたく二、三回転して体の動きを止める。勢いを殺すついでに、床を大鎌で削ってMPを回復しておくのも忘れない。

 

「むぅ……あったまきたぁ! 鎖をこの手に、素材はアダマンタイト、用途は拘束、数は4つで十二分!」

「ギィ!?」

 

 だんだんテンションが上がってきた私は、ノリノリで魔法を唱える。リュートさんの天の鎖(エルキドゥ)と違って、地面から生えた燻んだ緑色の鎖がカブトムシをがんじがらめに拘束する。ついでに大鎌にも接続してっと。

 

「断殺・邪刃ウォttKKK(ジャバウォック)!!」

 

 魔法、身体能力、武器、その全部が強くなった事で、初めてオークに使った時とは比べものにならない速さでカブトムシの首? に突っ込むが、ガッキィンッ!! という音が鳴って、頭と胴の境目の半分くらいの所で大鎌刃は止まってしまった。けどっ! 

 

「ファイヤーッ!」

 

 私は大鎌に魔力を流し、先っちょになっている銃口の部分から連続して爆発を起こして刃を押し込み、死神っぽく真っ二つにした。

 

「よっしゃぁぁ取ったどー!」

 

 シュタッという擬音がなるような感じで着地した後、黙っていようと思っていたのに何故かこんな事を口走ってしまった。しかもロイドとロイドがポーションを掛けてる人のすぐ近くで。

 赤くなってる顔を誤魔化す為に、大鎌の刃の部分に付いてたよく分からない何かを魔法で水洗いしているのは悪くない筈だ。わ、私は悪くねぇ! 

 

「後はカブトムシを仕舞って、倒れてる人を回復して……」

 

 そっからはここに魔物が来ないようにしながら回復させて離脱するか、救援を待つかするとして……

 

「ちょっ、皆さん何を!? うわぁっ!」

 

 大鎌を畳んで背負おうとしている最中、そんなロイドの声が聞こえたと思ったら久々に魔眼に情報が流れた。

 

 ===《斬・刺・打・魔/威力 大/範囲 中/集中攻撃/脅威度 防御推奨》===

 

 見える赤い線は、上下左右斜めから私を通過している。というか私を中心にかなり真っ赤になっている。私が……狙われてる? 

 

(シールド)》は間に合わない、変な体勢だから回避も出来ないし、背後からだから防御も……くっ、仕方ない。あんまり使いたくないけどっ! 

 

(イェツ)……きゃ!」

 

 その詠唱の途中で、いきなり横から凄い勢いの風がと一緒に手が伸びてきて、滲み出し始めていた血臭ごと私を突き飛ばす。

 諸々の装備込みで40kgにもなってないもんなぁ私。そんな事を思いながら見たのは、やったぜな顔でこっちに右手を伸ばしているロイドと、黒い霧のような物が纏わり付いている人達の攻撃がその右手に叩き込まれる光景だった。

 

「チィッあいつ、小僧を身代わりにしやがった」

「この悪魔め!」

 

 そんな言葉が次々と私に投げかけられる。え、ちょ、は? いきなり何が起こってるの? というか腕飛んでるし! 赤いし! 血がドバーッって! 治されてるけど【洗脳】? 【催眠】? 何その状態異常!? 

 

「《(ファイアリー)・大文字一面獄炎色》!」

 

 仕舞いかけていた大鎌を再び床に突き刺し、地上だと技量も魔力も足りていないから維持できたのは数秒だけど、このほぼ無限に魔力を搾り取れるダンジョン内なら魔力のごり押しが出来る。だから原作のように……

 

「とりあえずみんな仲良くぶっ倒れろー!」

 

 状態異常から見るに絶対よくないものだろうけど、私は命を奪うなんてことは魔物くらいにしかしたくない。だから、一応風の魔法で抵抗している人以外には魔法は当たらないように制御しているけど、ダンジョンなんていう密室空間でこんな大規模な炎が起こったら? 

 

「クソ……」

「チクショウ……」

 

 そんな恨み言を呟きながら起き上がっていた人達がバタバタと倒れていく。私自身は風の魔法で空気作ってるから大丈夫だけど、普通こうなる。

 

「ふぅ……全く。一体なんだったんだろう?」

 

 全員が倒れて気絶している事を確認して魔法を解除し、私はそんな事を呟く。

 それにしても、あんなラブコメみたいに突き飛ばされたけどドキッともしなかったなぁ〜と、漂っていた塵一つ残らず燃え尽きて(・・・・・・・・・・・)心なしか綺麗になった空気を……

 

「ん? 塵一つ残らず燃え尽きて?」

 

 自分の言葉に嫌な予感がし、右肘から先の無いロイドを見る。そして周りを見渡す。

 

 …………あっ、右手。





あ、ここって少し前に特異点が開いた……あれ、何k

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