異世界に転移したと思ったら転生者? 〜〜幼女で鍛冶師な異世界転生〜〜   作:銀鈴

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始めて予約投稿を使ってみた。
それではどうぞ!


第6話 ランクアップ

 

 おっさんの酔った勢いからでた言葉で始まった幼女との決闘、それも今さっき登録した冒険者と素行こそ悪いものの、それなりの実力を持っていたDランク冒険者。

 普通に考えればどちらが勝つのかは一目瞭然だったその戦いだったが、実際に始まってみれば新人がランクDの冒険者に勝つという結末に終わった。

 

 あんなロリコンが負けてくれたので、誰も悪い気はしていなかったのだが、まだイオリが勝ったことに対して、まだ信じられない者は結構な数いるようだ。

 そんな野次馬達の視線を浴びながら、僕は口を開いた。

 

「さて、回収回収〜♪」

 

 その場のザワザワしている雰囲気をぶち壊すような、陽気な声である。仕方ないじゃん、嬉しいんだもの。

 モーブのとなりに落ちている長剣を拾ってアイテムボックスに入れ、腰についている財布も同じようにしまう。財布って分かったのは鑑定で調べたからだ。

 え? 財布まで奪うのは酷いって? 僕を奴隷にするとか言ってたからね、嫌がらせを兼ねた資金調達も出来るし、そういう手段としては最高じゃないか。

 

「さて、そろそろいいかな?」

 

 そう声を掛けてきたのは、戦いが始まる前に気配を消してギルドから出てきた男だった。そろそろ頃合いと見て話し掛けたようだ。

 

「あ、はい。大丈夫です。え〜となんでしょう?」

 

 なんだろう、やり過ぎたのかな? やっぱり。そんなことを思い、疑問を込めて見つめる。

 

「そんな分かんないって顔されてもなぁ……まあいいか。確認するまでもないのだが、一応規則なので確認させてもらう。お前がイオリだな?」

「はい」

「GランクからFランクへのランクアップを希望した」

「そうですね。最初のランクアップは審査が必要だって聞いたので」

「そうだな。戦えもしないやつが勝手に魔物に挑んで死にでもしたら問題だからな」

 

 なるほど、最初のランクアップの審査はそういう意味だったのか、あれ? 僕は大丈夫……だよね? 

 

「おいおい、そんな心配そうな顔すんなよ。さっきの戦いで嬢ちゃんが十分に戦えるってことは分かってる。ランクアップは問題なくできるよ」

 

 本当によかった……ホッと胸をなでおろす。というかそんなに顔に出てるのかな? 

 

「まさかギルドに登録したばかりの新人が、いくら酔っているとはいえランクDの冒険者を、あんなに余裕を持って倒すとはな……この目で見てもちょっと信じられないが、自分の目で見たものを信じられない程に頭は固くないつもりなのでな」

 

 困ったような笑みを浮かべる男にギルドの中へと入るように促され、見物(けんぶつ)は終わりだとばかりに散っていく野次馬を尻目に、僕は再びギルドの中に向かう。

 

「あの……今更なんですけど、あのモーブって人あのまま放置していても?」

「まあ、説明があっただろうが、ギルドはあれくらいの冒険者同士の争いには介入しないからな。流石に殺し合いとかになれば介入するがな? まあ、今回はあの野次馬の中の誰かが治療はしてくれるだろう。それよりもランクアップだろ? ギルドカードを出してくれ」

 

 そんなことを言われ、忘れていたギルドカードを渡す。更新には少しだけ時間がかかるようなので、ラナさんの方を見てみると泡を吹いて気絶していた。

 

(う〜ん……やっぱり目立ち過ぎた? テンプレ高ランクスタートとかは止めてくれよ? 無いだろうけど……)

 

 そんなことを考えながらボーッとしていると、先程カードを持っていった男が戻ってきた。

 

「ほら、これでランクアップは完了だ。次からは自動で上がるからな」

 

 そう言ってギルドカードを手渡してくる。

 

「ありがとうございます。あ、そうだ。これって換金できますか?」

 

 そう言って僕はアイテムボックスから採取して置いた薬草と、アイテムボックスの肥やしになっているウルフを取り出しカウンターに置いた。

 

「おう、できるぞ。この量だから……銀貨4枚ってとこだな。どうだ?」

「お願いします」

 

 そう言って僕は銀貨を受け取った。これで多分1日は宿に泊まれるだろう。

 

「あとはそうだな。次からは依頼を受けてもらえると助かる。それと、ウルフは解体して持ってきてくれ。そうすれば少しは買取金額を増やせるぞ」

「ご忠告ありがとうございます。宿も取らないといけないので、そろそろ失礼させていただいてもよろしいでしょうか?」

「おう、いいぞ。ちなみに宿は決まっているのか?」

「いえ、まだ決まってないですよ?」

 

 門から直でギルドまで来ていたので、建物はあまり見ていなかった。

 

「なら魚の尻尾亭って所に行くといい。ギルドを出てから左へ真っ直ぐ進んで行けば看板が見えてくる。宿代も安いし飯もうまいからな」

「そうなんですか! ありがとうございます」

 

 そう言って僕はギルドを出ていった。

 め〜しっ! め〜しっ! 

 

 


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