がっこうぐらし!The world in confusion   作:ウィングゼロ

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文字数い、一万越え…なげえ…


chapter61

悠里達の作戦は実に簡単だ。

 

既にヴィトンがこちらに来ているのは足音や声で分かっていたことなのでわざと気付いていないふりをする。

 

更にあちらに気付かれるために美紀の上の制服を囮にしてヴィトンを待ち伏せポイントに誘導する。

 

誘導に成功した瞬間コンテナの上に身を隠している圭とコンテナの角にいる悠里が飛び出てヴィトンに奇襲を掛けて無力化する。

 

これが悠里が考えた秘策である。

 

悠里「やったわね、圭さん…」

 

圭「本当ですね、奇襲の一撃目が避けられたときは冷や冷やしましたけど」

 

先程の接近戦での緊迫感を苦笑いで伝える圭、そして2人に続いて美紀がやってくる

 

美紀の姿は先程とは違い来ていた上半身の制服は囮に使っているために今上半身は下着だけになっている。

 

美紀「圭!悠里先輩!は、早く私の服返してください!」

 

悠里「あら?ありがとうね美紀さんおかげで助かったわ」

 

上が下着だけのために顔を赤らめる美紀に悠里は微笑みながら落ちている服を渡す。

 

美紀「で、でもどうしてこんな方法しかなかったんですか!?」

 

圭「でも、悠里先輩、美紀に一肌抜いてくれって…言ってたでしょ?」

 

美紀「そういう直球の意味だとは思わなかったの!」

 

赤らながら自分の言い分を悠里達に言う

 

そんな中、銃を突き付けられている、ヴィトンは苦い顔ひとつせず、それどころか余裕の表情を見せていた。

 

圭「?どうして、そんなに余裕なんですか?」

 

彼の表情に気づいた圭がヴィトンに問いかける。

 

ヴィトン「何、随分余裕だなとおもっただけだよ」

 

悠里「…さてと、これであなたは終わりよ大人しく…」

 

ヴィトン「終わりだって?くくく、随分舐められたものだな」

 

そう笑いながら悠里に返答を返す。

 

悠里「もう、あのデバイスは手元にない、あなたに、戦うすべはないわ」

 

完全に武器のないヴィトンに抗う術など無いはずと、思う、悠里であったがどうしてもあの余裕な表情が気が気でなかった。

 

それで、ふと、悠里はランダルに突入前の話を思い出す。

 

悠里(確か、この人はデバイスコレクターと呼ばれてたはず…その由来は無類のデバイスマニア、けどそれだけなの?)

 

(何か他に由来の理由があるとか…)

 

そういって、悠里は改めてヴィトンの姿を見る。

 

バリアジャケット等は特に目立った奇妙なものはなく。さしていえばつけている『指輪などの装飾品』が多い。

 

悠里(え?装飾品?)

 

この一つの特徴に悠里は彼の二つ名や、デバイスのことを考えて一つの考えたくもない結論にいたってしまい。直ぐさまこのことを叫ぶ。

 

悠里「圭さん!気をつけて!もしかしたらまだデバイスを!」

 

そう叫ぶが結論にいたるのが遅かった。

 

ヴィトンはつけている指輪が光、片手剣に変わる。

 

圭「っ!!」

 

突如武器を出現に驚いて後ろに後退しようとしたが驚いたことで反応も遅れヴィトンの振るわれた剣により、圭の体に浅くだが切りつけられる。

 

圭「あぐっ!」

 

美紀「圭!?」

 

圭が切りつけられたことに美紀は悲鳴を上げ、痛みをこらえながらも後退した圭は地面に膝をつける。

 

ヴィトン「ほう、どうやら、気付いたようだが一足遅かったようだな」

 

悠里「デバイスコレクター、てっきり、マッドなデバイス好きの収集家と、思ってたけど…本当は…」

 

悠里「複数のデバイスを操りこなす…それがあなたなのね!」

 

複数のデバイスを巧みに扱うヴィトン、戦いは未だ終わらない。

 

SIDE雄也

 

ゴーレムクイーンの異名を持つエスミを撃破した俺達は地上に上がるためにエレベーターを探した。

 

それは数分もしないうちに発見したのだが電源が落ちているためか何度もボタンを押してもエレベーターは起動する素振りを見せない。

 

優花「動かないね…どうするの?」

 

そう優花に訪ねられて俺はまずエレベーターの扉を強引にこじ開けエレベーター内に入ると天井の板を動かし、そしてよじ登ると非常用のはしごを確認する。

 

雄也「よし、行けるな、音姉、優花、ここから上がれる、上から引き上げるから上ってきてくれ」

 

そういうと、2人は頷いて俺の手も借りてエレベーターの上にのぼると、直ぐに、はしごに手を掛けて地上まで上がっていくのであった。

 

悠里SIDE

 

悠里「はぁはぁ…どうすれば…」

 

完全に勝ったと思っていた矢先、ヴィトンは新たなデバイスを起動させて再び牙を向けた。

 

その結果まともに戦える圭さんが負傷…情勢は一気に劣勢になったと言って良い。

 

ヴィトン「そらそらそらぁ!」

 

右手に剣、左手に槍と先程とは全く違う近接戦を持ち込まれて反撃ができないわたし。

 

現在美紀さんが圭さんを連れて離れているがそれぐらいの時間は稼がないと!

 

悠里(でも反撃の間がない!)

 

絶妙な間合いで遠距離の弓を私に攻撃させまいと連続で切り突きと繰り出し、彼の目論見通り、わたしは攻撃できず、回避に専念するほかなかった。

 

悠里「あっ!ぐっ!?」

 

繰り出された槍が私の脇腹を掠め体が痛みにより悲鳴を上げ、体の動きが鈍る。

 

その隙を見逃さずヴィトンは間合いを詰めて右手に持つ剣で斬り殺そうと振るわれた。

 

悠里「ら、ラウンドシールド!!」

 

咄嗟にゆうくんから少し教わったうちの一つラウンドシールドを使いヴィトンの剣を防ぎ鍔迫り合いが起きる。

 

悠里「うっ!くっっ!!」

 

ラウンドシールドに力を精一杯注ぎ込み防ごうと試みる。

 

しかし、ヴィトンは左手の槍をシールドにぶつけると先端が徐々に貫通し始める。

 

ヴィトン「ふふ、ここまでよく粘ったものだ……だが……」

 

槍の先端が左右にスライドし先端の間所に魔力が充填されていく。

 

悠里「まさっ!?」

 

嫌な予感しかしない、直ぐに回避しなければ!

 

ヴィトン「終わりだ」

 

槍から放たれた砲撃は避けるまもなく私を包み全身に激痛が迸り、何メートルか後方に吹き飛ばされた。

 

悠里「……っ……っ!」

 

声も出ないくらいに全身が痛い……このままじゃ……

 

ヴィトン「仕留めそこねたか……だが、今度こそ!」

 

そう言って槍を私に向けまた同じように砲撃を放とうと射撃体制に入る。

 

必死に避けようと体を動かすとわたしの目にある物が視界に入る。

 

悠里「や、やめな…さい」

 

ヴィトン「命乞いかい?答えは分かっているだろ?」

 

バカなことをと見下すヴィトン、わたしはそんな彼に見えるようにある物を動かしたり手で掴み彼とわたしの前に出す。

 

私と彼の前に出したのは弓形のデバイス

 

これはヴィトンが最初に使っていたデバイス、あの時圭さんが打ち落としてそのままだったのだろう。

 

いまはこの可能性にかけるしかない。

 

悠里「このまま…撃てば……」

 

自身のデバイスも巻き込むと言い切る前にヴィトンは構えを解くどころか更に狙いを定めていることに気がつく。

 

悠里「っ!!」

 

嫌な予感が私に過ぎり今の精一杯の力で横にとびこむと彼は砲撃を放った。

 

なんとか避けることができたが彼は自身のデバイスを無視して放ったことに私は声を荒げて口を開いた。

 

悠里「あなた!自分のデバイスまで殺す気!?」

 

ヴィトン「ああ、そのことか物を、一々気にしていては面倒だろ?それに…今回、功績を残せばあの暗黒騎士のデバイスが手に入るんだ…デバイス一つと引き替えなら安いものさ」

 

悠里「なっ!?そんな身勝手な……理由で……」

 

ヴィトン「デバイスは所詮主に振るわれるべきして作られた兵器「違う!!」」

 

デバイスは兵器そう主張する彼に私は彼の言葉を遮って否定した。

 

悠里「デバイスは兵器じゃない!戦う道具として生まれたのかもしれないけど…ゆうくんは共に戦ってくれる相棒だってそう言っていたわ!」

 

ヴィトン「相棒?」

 

悠里「そうよ!共に語り合い共に悩み…ゆうくんはアークのことを兵器だなんて一度も口にしなかったわ!私もそうよ!デバイスを持ってるゆうくんや優花ちゃん、胡桃を見ればわかるもの!そんなこともわからない人にデバイスコレクターなんていう名前私は認めない!」

 

わたしは倒れているが堂々と彼の主張を否定し彼の顔はまさにおもしろくないという顔を向けてくる。

 

ヴィトン「まあ、今度こそ終わりだ、潔く絶望しながら死にたまえ!」

 

また同じように砲撃を撃つつもりだ!けど体が上手く動かない…!

 

必死に体を動かそうと抗っているとわたしの目の前にどこからか投げられた投擲物、その瞬間投擲物から煙が勢いよく噴き出す。

 

ヴィトン「むっ!?またしても!!」

 

悠里「これ…スモークグレネード?」

 

煙のせいで何も見えない…が後ろから足音が聞こえてきてその足音の人物がわたしの腕を引っ張る。

 

美紀「悠里先輩大丈夫ですか?今のうちに!」

 

悠里「その声…美紀さん!?」 

 

美紀さんがいるなんて思ってもなかったけど…美紀さんの言うとおり今はそれどころじゃない

 

私は何とか立ち上がり美紀さんに引っ張られて煙の中を移動していった。

 

ヴィトン「またしても逃げられた…だが次こそが最後だ」

 

悠里「はぁ…はぁ、はぁ」

 

美紀「なんとか…撒けました」

 

美紀さんのスモークグレネードのお陰でまた命拾いをした。

 

圭「悠里先輩…大丈夫ですか?」

 

逃げた先で待っていた圭さんが私のボロボロな姿を見て心配しだす。

 

けど、その圭さんも彼に斬られて私より傷を負っているのは目に判る。

 

悠里「…それより、本当に不味いわね…」

 

あっちは決定打というダメージはなし、それに比べて私達は満身創痍…絶体絶命な状況

 

ゆうくんならこんな状況でも切り返せるんだろうな…

 

弓形デバイス[…理解できません…何故私を連れてきたのですか?]

 

今後どうするか考えているとつい持っていたので連れて来たこの子が敵である私達が救ったことに疑問をふっかける。

 

悠里「…強いて言うなら…助けたかった…からかな」

 

弓形デバイス[マスターとあなた達は敵同士、あの時捨てていれば…]

 

悠里「私はあなたを道具として見たくないの!…アークやガングニール、オスカー…あの子達は道具として使われた所なんて一度も見たことはないわ…だから私はあなたも道具として見たくない」

 

弓形デバイス[……先程、あなたが言った…相棒…ですか…ですがマスターからすれば所詮捨てられたのです…道具として]

 

この子が淡々と平気のようにありのまま出来事をしゃべる中、私はそんな話の中で感じたことを口にする。

 

悠里「悲しいのね…マスターである彼に捨てられて」

 

弓形デバイス[悲しい?私に感情などありませんよ]

 

私はこの子の話の中悲しんでいるように思えた…この子は悲しんでいないと言ってるけどなんとなく…わかる…デバイスにも感情はあるってことが

 

そろそろ現状をどうするか考えないと…

 

悠里「…次の彼との接触で、すべてが決まるわ」

 

どっちにしても逃げることはできない。

 

美紀「けど、悠里先輩は弓」

 

美紀さんの指摘通り、先程のヴィトンとの戦いの末使っていた弓は折れ、もう使い物にはならない

 

つまり、私は現状で戦うことができないのだ。

 

美紀「圭もまともに動けない…動けるのは私だけですね

、悠里先輩、圭…私が…」

 

美紀さんが意を決して何か言おうとしたけど大体察したのですぐに遮った。

 

悠里「それはなしよ、大方美紀さんが囮になってその間に私達だけ逃げろってことでしょ?」

 

圭「そんなの、絶対却下だよ!」

 

圭さんも察していて、私と同様美紀さんの提案を拒否する。

 

美紀「それじゃあどうすれば…」

 

悠里「一つだけ…ないことはないわ…」

 

圭「本当ですか!?」

 

あるというと信じられない顔でこちらを見るふたり、現状が現状だからそうも思うでしょうね

悠里「これはここにいる全員が力を合わせないと無理よ…まず…」

 

私は作戦を圭さん達に話す。

 

作戦を聞いて行くにつれ、圭さん達も頭の中でその作戦を思考して考える表情が目立ち、作戦をすべて聞き終えて数秒間考えてまず圭さんが口を開ける。

 

圭「この作戦しか…ないですね…」

 

美紀「…うん、みんなで生きて帰らないと…みんな悲しみます。一か八かで掛けてみましょう」

 

悠里「決まり…ね…」

 

作戦は決まった…後は時間が勝負の分け目を分かつ…何とかしないとね…

 

圭「それにしても…こんなことになるんだったらあの時に雄也先輩とシちゃえばよかったな」

 

美紀「け、圭!?」

 

あらあら、最後になるかもしれないからって大体ね~まあ私も

 

悠里「そうね、私も1回だけじゃ物足りないわね」

 

わかりきってる爆弾発言を落として、勿論のこと、2人は赤らめながら反応する。

 

圭「せ、先輩!?ゆ、ゆ、雄也先輩ともうしたんですか!?」

 

悠里「ええ、ゆうくんの別れていたときの話を聞いた夜にね」

 

あのときは、本当に今まで感じたことないぐらいの幸福感に満たされたわ…また味わいたいわね♪

 

圭「ぬ、抜け駆けです!私も雄也先輩といちゃラブしたいのに!!」

 

美紀「け、圭!?お、落ち着いて」

 

ゆうくんこ思う感情が爆発した圭さん、それを押さえようとあたふたしている美紀さん、本当、こんな会話してるけど今大ピンチなのよね

 

圭「この戦いが終わったら絶対に雄也先輩とイチャイチャします!そしたら、悠里先輩と同等ですから!」

 

やっぱり、先駆けしてるから嫉妬してるのね

 

それにしても同等か…今のうちに言っておきましょうか。

 

悠里「ねえ、どっちもゆうくんのお嫁さんなのは間違いないわけだからお互い敬語はなしにしない?そっちの方が上下関係がなくなると思うの」

 

圭「あ、それ良いね、それじゃあ、悠里、これでいい?」

 

悠里「ええ、それでいいわ圭、そてとお話も此処までね…そろそろ近づいてきてるわ…行きましょう」

 

泣いても笑ってもこれが最後…必ず生き残るんだから!

 

作者SIDE

 

ヴィトン「…ほう、まさかそちらから出向いてくれるとはね」

 

作戦会議後ヴィトンの目の前に現れたのは悠里、圭でもなく、直樹美紀である。

 

美紀の手には圭が使用していたベレッタを持っていてそのベレッタの銃口をヴィトンに向ける。

 

ヴィトン「…まさか、君が来るとなね…ある意味で予測外だよ」

 

美紀「それは…どういう意味で…ですか?」

 

ヴィトンは美紀が自身の前に対峙していることに驚き、美紀はそのことを追求するとヴィトンの頬が吊り上がる。

 

ヴィトン「もちろん、楽に殺せるからさ!!」

 

そう言ってヴィトンは剣と槍を構えて美紀に目掛けて走り出しそれと同時に美紀ヴィトンと距離保つため後退する。

 

美紀「くっ!」

 

全速力で走りながら美紀は後ろに顔を振り向けベレッタでヴィトンに発砲していく。

 

ヴィトン「そんなもので僕が倒せるものか!」

 

ベレッタから弾丸が連射される中大体の弾丸はヴィトンに当たらず、左右を通り抜けていき、当たる軌道の弾丸は全てヴィトンのデバイスにより、弾き落とされる。

 

美紀(ここまでは作戦通り、私じゃああの人を倒すのは不可能、私がやるべきことは悠里先輩や圭の準備が整うまでの時間稼ぎ) 

 

美紀(先輩も圭もまともに動けない以上、私がやらないと!) 

 

あくまで時間稼ぎが第一と頭の中で思いながら美紀は走りながらもヴィトン向けて射撃し続ける。

 

景気よく連射していると遂に弾が切れ、トリガー引くも空撃ちになる。

 

美紀「弾切れ!」  

 

美紀は弾が切れたを分かるとすぐにマガジンを地面に捨てるように外し弾が込めされた。新しいマガジンを取り付ける。

 

ヴィトン「逃がすと思ってるのか!!」

 

連射が止んだことでヴィトンはスピードを上げて徐々に距離が詰まっていく。

 

美紀(急がないと!この角を曲がれば!)

 

撃てるようにコンテナの角を曲がる中、美紀はベレッタのスライドを元に戻し銃のセーフティーを外すとすぐさま曲がったコンテナの角に予め設置しておいたスモークグレネードに銃口向ける。

 

ヴィトンが角にさしかかった瞬間スモークグレネード目掛けて美紀は発砲しスモークグレネードに当てるとグレネードの中から圧縮されている煙が辺りに飛び出てヴィトンの視界を塞ぐことに成功する。

 

ヴィトン「くそ!小細工が通用するか!!」

 

煙で視界を奪われている中ヴィトンはデバイスをおもっきり振り回し視界を遮っていた煙を撒き散らす。

 

これにより、時間稼ぎの煙は晴れてヴィトンは背中を見せる美紀を視界に捉える。

 

美紀「そ、そんな!」

 

美紀(い、急がないと!)

 

このままでは格好の的だとそう思った美紀は速度を上げてヴィトンの砲撃を逃れようと足掻く。

 

もう少しでコンテナの角に差し掛かろうとしたときヴィトンの槍から砲撃が放たれる。  

 

美紀「きゃあぁぁぁっ!!」

 

砲撃は美紀が全力で走っていたこともあって直撃は避けることはできたが近くに砲撃が着弾したことにより砲撃による爆風に巻き込まれる。

 

美紀「うっ…くっ!」

 

爆風の熱により制服の背中は破けそこから晒されている肌は火傷を負う。

 

美紀「走らなきゃ…っ!」

 

ここで足を止めることは即ち死につながることは美紀は重々判っているために体が激痛に襲われながらも歩くことを止めず逃げる美紀であるが後ろから美紀の真上を飛び越え、ヴィトンは美紀の前方に着地する。

 

美紀「あ…っ!」

 

前方に立ち防がれたことで美紀の足は止まり急いで逆方向に逃げようと足を動かそうとするが既に先程の砲撃の余波による炎症で体が限界をきたし、その場に倒れ込んでしまう。

 

ヴィトン「ふふ。はあ、まずは一人目だ」

 

ヴィトンはようやく一人目を殺すことができると笑みを浮かべながら剣を振りかぶる。

 

圭「美紀!!」

 

そんな光景を見ているのはヴィトンの攻撃で怪我を負っていた圭。

 

圭はコンテナの上に乗り俯せでドラグノフ狙撃銃をヴィトンに目掛け構えていた。

 

だがこれまででヴィトンに対して銃弾はあまりにも無力…奇襲ならまだ有効打を打てたかもしないな圭が大声を上げたことによりその理を放棄している同然であり、ヴィトンも圭の存在を気付いてしまう。

 

ヴィトン「あんなところに…」

 

圭(この1発…この一撃で戦況を覆す!)

 

圭「いっけぇぇぇぇぇ!!」

 

スコープをヴィトンに合わしそしてトリガーに手を添えそしてトリガーを引く。

 

引いたことでこの部屋…ランダルの外まで響くような銃声を共にドラグノフの銃口から無事に弾丸が発射される。

 

その後今まで以上に反動がある、ドラグノフは反動に耐えきれずバラバラに壊れ飛散し、想定していた圭はすぐに顔を覆うように腕で身を守る。

 

そして放たれた弾丸はヴィトンに目掛けて飛ぶ中ヴィトンは美紀は後回しと弾丸に正面を向け、剣で切り落とす態勢を取る。

 

ヴィトン(奇襲の理を捨てた攻撃…あたるわけないじゃないか)

 

先程のように切り落とそうとタイミングを合わせ弾丸に剣のデバイスを当てたとき、ヴィトンは異変に気付く。

 

ヴィトン「なっ!バカな!切り落とせないだと!?」

 

先程のように打ち落とされる弾丸があろうことか剣と真っ向から鍔迫り合いのような状況に持ち込まれた。

 

圭「やっぱり、ただの弾丸だと思って油断してたみたいだね」

 

ヴィトン「こ、これは…この弾丸に高出力の魔力がコーティングされている!」

 

魔力付与の弾丸のため、打ち落とされる弾丸が拮抗する現状を作り出し予想通りと微笑む圭に対してヴィトンは予想外と焦りを滲ませる。

 

そして弾丸と剣の鍔迫り合いの拮抗は剣が弾丸が当たっている刀身に徐々に罅が入りだす。

 

ヴィトン「ば、バカな!?僕のデバイスが!たかが質量兵器!?」

 

そして剣のデバイスは刀身が折れると弾丸は勢いを落とさずに飛んでいきヴィトンの右肩に着弾。

 

すさまじい破壊力を誇るその弾丸はヴィトンの右腕を引きちぎり右腕を失うほどの威力を見せる。

 

ヴィトン「ぐわぁぁぁぁぁっ!!!」

 

感じたこともない激痛に藻掻く、ヴィトンだがそんな彼に最後に残っている彼女達が迫る。

 

圭「後は任せたよ…悠里」

 

そう迫ってる彼女を見て圭はポツリと口をこぼすと

 

悠里「ええ…任されたわ」

 

それが聞こえているかのように返答して悠里はコンテナの上を走り、おもいっきり跳躍して藻掻くヴィトンの真上を取る。

 

ヴィトン「っ!!?!?!?」

 

冷静の判断ができないヴィトンに悠里の姿を目で捉える

 

悠里の姿は先程までの巡ヶ丘の制服とは少し異なる。

 

黄緑と黄色をメインとした巡ヶ丘の制服に似ているがその上に黄緑に白をあわせたようなロングコートを羽織、手には機械仕掛けの弓と魔力でできた矢をつがえていた。

 

ヴィトン「あ、あれは!僕のデバイス!!」

 

悠里が構えていた弓はヴィトンが捨て駒として捨てたデバイスが今悠里の力となり元主人に牙を向けた。

 

悠里「これで…終わりよ!!」

 

悠里は魔力の矢を放ち、矢はヴィトンの胸に突き刺さった。

 

ヴィトン「ば、バカ…な…こ、こんな…デバイスの持たなかった小娘や質量兵器に頼る…娘どもに…っ!」  

 

ヴィトンは格下だと思っていた相手に負けたそんな屈辱な感情を滲ませながらヴィトンは力尽きるのであった。

 

悠里「はぁ…はぁ…やった…のね」

 

空中に滞空していた悠里は無事に地面に着地し、そして近くに倒れているヴィトンの死骸に目を向ける。

 

弓デバイス[元マイスター…申し訳ございません。私は新しいマスターの話したことを見てみたいのです……何でしょうか…これは…感情がないはずなのですが…とても、悲しく思えます]

 

悠里「本当に…ねあなたがデバイスを相棒だと思って信頼し合っていたら…負けていたのは私たちだった」

 

もしものことを想像する悠里、そんな彼女の元に美紀と圭が集まる。

 

圭「やったんだよね」

 

美紀「うん、私たち勝てたんだ…うっくっ!」

 

圭「美紀!?酷い火傷…」

 

美紀「私より、圭の方がよっぽど酷いよ…それより悠里先輩、急いであれを止めましょう」

 

悠里「…そうね、ところであの装置あれって何の装置なの?」

 

今更ながらあの装置がなんなのか知らない悠里達、そんななか唯一知っているデバイスが話し始める。

 

弓デバイス[結界の維持する装置です…もしや、本当に知らなかったのですか?]

 

悠里「え、ええ、実物がどういうものか教えられてなかったから…それとあなた名前ってあるの?」

 

弓デバイス[いいえ、ありませんが]

 

悠里「それじゃあ不便でしょ?うーん、アルテミスっていう名前はどうかしら?」

 

アルテミス[アルテミス…中々よい名前だと思います]

 

悠里「ふふ。ありがとう」

 

アルテミスという名前に決まった後圭が結界装置の件について話を戻す

 

圭「それじゃああれをどうにかしないとね」

 

圭の言葉で悠里達は結界装置のコンピューター前にやってきてコンピューターを悠里はパネルを操作して操作し始めて数分後結界装置の稼働音が鳴り止む。

 

悠里「これで、結界は止まったはずよ」

 

美紀「やった。これで…私たち巡ヶ丘の外に…」

 

悠里「まだよ、少なくともパンデミックをどうにかしないと…」

 

結界が解けただけでは奴等を全滅させることはできない…ノンパンデミックを発動しない限り悠里達の勝利とはいえなかった。

 

悠里「取りあえずゆうくんと合流しないと…」

 

圭「たぶんだけど…雄也先輩達はムキラスの所に向かってると思う」

 

悠里「そうね、ゆうくんにとってムキラスは因縁があるわけだし…なら私達も…」

 

アルテミス[…不味いですね]

 

悠里達の方針が決まりかかろうとしたときアルテミスから不穏な言葉が耳に届く

 

悠里「どういうこと?」

 

アルテミス[月宮三尉とムキラス提督では通常では圧倒的に月宮三尉の優勢です…ですが彼には……]

 

アルテミスが語った話を聞いた悠里達は目を見開いてこの内容に言葉も出なかった。

 

 

悠里「もしそれを使われたら

 

圭「悠里、悠里だけでも雄也先輩に合流を!」

 

最悪の予感が過ぎる中圭が悠里に急いで雄也達の合流することを提案する

 

悠里「で、でもそれだと」

 

雄也達の合流に口が渋る悠里。

 

悠里1人行ったとして残るのは戦えるかどうかわからない圭と美紀だけ、此処に残して言って良いのかそのことで決断ができなかった。

 

美紀「悠里先輩は行ってください、私達は二人で何とかします」

 

圭「そうそう、ドラグノフは壊れたけど私の武器はまだベレッタが残ってるから問題なし」

 

私達は大丈夫とやせ我慢してる素振りで返答すると悠里は二人の覚悟を受け止め頷いた。

 

悠里「わかったわ、二人とも無茶はしないでね…アルテミス、地上までの最短ルート、ナビゲートお願いできる?」

 

アルテミス[了解、それとですが、マスター、一つマスターの力になれる物があるのですが…]

 

悠里「私に?」

 

アルテミス[…走りながらでも構いません、もしや、マスターならばこの魔法もできるかもしれませんので…ムキラス提督と戦うのであれば必要になるかと]

 

悠里「わかったわ、お願い」

 

そういって悠里は雄也達との合流するために部屋の出口へと走る。

 

そして残された圭達はコンテナの壁にもたれかけ、一息つく。

 

圭「私達は一息していこう」

 

美紀「悠長な…でも…すぐに動けないもんね」

 

そういって激戦が終わったからか気が緩みたわいもない話をし出す。

 

圭「…あの日、パンデミックが起きて、色々あったね」

 

美紀「うん」

 

圭「…信じられないよ、気づけば巡ヶ丘の命運の戦いの中心で戦うことになるなんて…」

 

美紀「そうだね…」

 

圭(失うものは多かったけど…得たものもあった…大切な…私の初恋の雄也先輩と会えた…だから、私は後悔なんてしない…私が起こした罪も向き合う……)

 

心の中でこれまでと自身の心境を心の中で語る圭。

 

圭「もう少し休んでから行こっか」

 

美紀「そうだね」

 

何も音が立たない静かな空間で二人は体を休めるのであった。

 

 

一方…その頃雄也達はエレベーターの非常用の梯子を登り切り1階からエレベーターの扉をこじ開けて地上に戻ってきた雄也達。

 

ようやく地上にたどり着いたのも束の間、雄也はある異変に気付く。

 

雄也「っ!?アークこの感じ…」

 

アーク[マスターも感じましたか?…この巡ヶ丘を覆っていた大規模の魔力が飛散していきます]

 

音姫「どういう…こと?」

 

雄也は気配で魔力の変動を感知し、ルミナスアークがそれについて、簡単に説明、その二人の話に付いてこれない優花と音姫は頭をかしげ、わからないしぐさをとる。

雄也「要は、巡ヶ丘を覆っていた結界が消えたんだ」 

 

優花「っ!それって!」

 

雄也「ああ、間違いなく悠里か、胡桃達が結界装置をどうにかしたんだ」

 

音姫「やった!けど、ノンパンデミックの方はどうなってるんだろう」

 

雄也「わからない…けど信じるだけさ…俺たちはムキラスのところに急ごう!」

 

雄也の言葉に二人は頷きムラキスがいると思われる上の階へと足を運んでいくのであった。

 

 

ムラキス「ば、バカな…結界が無くなった…だと!?」

 

時を同じくして最上階の社長室では雄也達の襲撃も知らされておらず悠々と巡ヶ丘の生き残り撲滅が完了するのを待っていたムラキスが結界が消えたことに動揺を起こした。

 

 

ムラキス「おい!司令室!どうなっている!」

 

急いで地下の司令室に取りつなぐが既に司令室は雄也によって破壊…機能停止していることに気付いていない。

 

ムラキス「くそ!つながらん!どうなっている!こうなれば!エスミ!ヴィトン!ネクロマンサー!!返事をしろ!!」

 

司令室に連絡が付かないことに苛立ちながらもムラキスは次に部隊のエースである三人に連絡をする。

 

しかし、この段階で既に二人は倒されている。

 

もちろんその二人からは返事は来ない…ただ一人を除いて。

 

ネクロマンサー《………ムラキス提督》

 

ムラキス「おお!ネクロマンサーか!結界が消えた!司令室とも連絡がつかん!おまけにおぬし以外の二人とも連絡がつかん!どうなっている!?」

 

ネクロマンサー《ユウヤ・ツキミヤ率いるもの達が地下に侵入していた。》

 

ムラキス「な、なんだと!?あのユウヤ・ツキミヤがだと!?」

 

ネクロマンサー《提督のお話から察するに司令室と結界装置が置いてある部屋は落とされたと考えるべきかと…その二つを守っていた二人も同じく…ユウヤ・ツキミヤに敗れたのかと》

 

ムラキス「な、あの二人が…そ、それより…お前は今どこにいる!パンデミックの装置に何かあれば…」

 

ネクロマンサー《ご安心を既にパンデミック操作室におりますただし、ネズミは入り込みましたが》

 

ムラキス「なっ!?やはりか!それでどうした」

 

パンデミック操作室にまで侵入を許していたことに動揺するがムラキスはネクロマンサーにさらなる状況の報告を促す。

 

ネクロマンサー《それならばこの通り…既に…

 

 

 

片付いております》

 

 

画面に映る、ネクロマンサーの後ろには…地面に倒れ込み激しく魘されている胡桃達四人の姿が映っていた。

 

 


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