がっこうぐらし!The world in confusion   作:ウィングゼロ

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chapter56

ランダルへと続く隠し通路を奥へと進んでいく俺たち、待ち伏せなどはないことから恐らく此処は見つかってはいないと考えていると突き当たりまで到着した。

 

悠里「行き止まりね…」

 

美紀「月宮先輩本当にこっちだったんですか?」

 

突き当たりには何もないことから疑いの目線を突きつけてくる直樹…端末の情報通りならここは

 

雄也「ちょっと待ってくれ…此処はっと」

 

俺はアークを展開して手でも届くほどの天井に手を当てて上に押すと天井の一部分が開く。

 

胡桃「ずいぶんと手の込んでるな」

 

雄也「まあ見つからないようになってるからな」

 

天井の一部分をずらしてよじ登ると辺りは物資が置かれている…情報通りに此処は倉庫なのだろう。

 

まずは周囲を見渡し、人影と気配がないのを確認した後俺は空いた床から音姉達を見る。

 

雄也「誰もいないみたい、上がってきても問題ない」

 

胡桃「わかった、よっと!」

 

問題ないと答えると次に胡桃が自力で上がってくる。

 

雄也「胡桃、周囲の警戒頼んだ」

 

胡桃「任せろって」

 

胡桃に警戒を任せて俺は空いた床に手を伸ばす。

 

雄也「音姉、引き上げるから掴んで」

 

音姫「あ、うん」

 

音姉は俺の手を握り、離さないように音姉を掴んでいる手を引いて、体を持ち上げて音姉を引き上げた。

 

音姫「ありがとうね、雄也くん」

 

雄也「どういたしまして、次誰がいく?」

 

悠里「優花が次にいって、私と圭さんが最後に上るから」

 

雄也「優花だな」

 

そういって俺は音姉と同じように手を伸ばして引き上げようと差し伸べる。

 

優花「わ、私は手を貸してもらわなくても上れるんだから!」

 

差し伸べた手を取らず自らの力で上ろうとする優花

 

少し不安になりながらも差し伸べた手を下げて見守ろうとする。

 

優花は小柄な体で跳躍して倉庫の床をつかみそのまま力を振り絞ってよじ登る。

 

優花「どう?これぐらい私一人でも出来る…きゃあっ!?」

 

よじ登ったことを威張る優花であったが気が緩んでいたことから体制を崩し隠し通路へと落ちそうになったとき、警戒していた俺はすかさずに優花の体を抱き寄せて落下して怪我をするということは阻止することが出来た。

 

雄也「ふぅ…世話が焼ける…大丈夫か?」

 

優花「え?あっ…だ、大丈夫よ!落ちたとしてもちゃんと受け身取ってたし!」

 

優花は慌て離れて言い訳に等しい言い分を述べる。

 

音姫「優花ちゃん、そういうときはまずお礼を言わなくちゃ駄目だよ!」

 

後ろにいた音姉が優花に怒ると、優花もううっと落ち込む。

 

優花「あ、ありがとう…」

 

雄也「どういたしまして」

 

その後はアクシデントなどなく全員が上がってくるとずらした床を直して、周囲を警戒すると倉庫から出ていく。

 

作者SIDE

 

ランダルの地下管理局の本拠地の司令室ではおうよそ10人の局員が空中に浮かぶディスプレイを操作して現在行われている作戦の状況をモニタリングしていた。

 

局員「現在、レクイエム発動2時間42分が経過中、映像から地球人と離反した魔導士が妨害中」

 

局員「レクイエムより、バイオ兵器は着実に指定地域に進行中…レクイエム問題なく活動できています」

 

空中パネルを打ち込みながら刻々と変わっていく。

 

「失礼しますわ」

 

そんな中バリアジャケットを身に纏う魔導士の女性が入ってきて、オペレーターしている局員が驚く。

 

局員「エスミ二尉!今は第一種戦闘配置が出ています、持ち場からあまり離れないように…」

 

エスミ「ふふ、それは…これを見ても言えて?」

 

そういってエスミはパネルを操作するとこの場にいる全員が見える空中パネルが出現しそれは通路を警戒しながら目的の場所へと向かっている雄也達の姿であった。

 

局員「そ、そんな!?ユウヤ・ツキミヤ!?いつの間に侵入を!?」

 

エスミ「私の僕が彼らを見つけたので報告に差し上げましたのよ、それと彼らは着実にここに向かってきていますわ、おおよそ此処を落とすのが目的なのでしょう」

 

局員「す、直ぐに警報を!」

 

慌てて局員はこの基地にいる局員に知らせる警報をならそうとパネルを打ち込もうとするがそれはエスミによって遮れる。

 

エスミ「まだ警報はならさないでくれませんか?…私にいい作戦がありますの」

 

エスミは不逞な笑みを浮かべながら映像にうつる雄也を見ていた。

 

 

 

雄也SIDE

 

胡桃「よし!ここまでは順調だな」

 

倉庫からでてまずは指揮系統を破壊するために司令室に向かっている俺達、巡回に出ている局員を掻い潜りながら少しずつ司令室のある場所に近づいていた。

 

雄也「……」

 

だが、なんか妙だ

 

悠里「ゆうくん、少し気になるんだけど」

 

雄也「ん?どうした?」

 

悠里「ここまで上手くいきすぎてない?」

 

悠里も俺と同じことを考えていたんだな

 

雄也「悠里もそう思うか…明らかにここまで作戦通りにいきすぎてる、普通なら邪魔が来ても可笑しくないぐらいに」

 

恐らくここのカメラにも映っているはずだし…既にばれていると思っていたが…まさか気づいてない?…そんなバカなこと

 

雄也「あるはずないと思うんだが…」

 

丁度、十字路の通路で一度止まり考えるしぐさをする

 

胡桃「考えすぎじゃないのか?」

 

軽くいう胡桃だが、ここまで管理局が過信しているのか…

 

って今考えても仕方がないことか

 

雄也「取り合えず、司令室に…」

 

向かおうとした矢先だった。

 

局員「居たぞ!!」

 

俺達が向かおうとしている方向から武装した局員が8人やって来た。

 

雄也「やっぱばれてるよな!みんな!いくぞ!」

 

俺はアークを起動して戦闘準備を完了するとみんなに声をかける。

 

胡桃「雄也!前からだけじゃないみたいだ!左の通路からも来てる!」

 

ガングニールを起動させた胡桃は左の通路からもやって来ている局員に向けて構える。

 

悠里「こっちからもよ!」

 

右の通路からも局員が…やっぱりこれは待ち伏せられていた!

 

ただ後ろの来た道からは局員が来ていない、此処は後退するべきか!

 

雄也「此処は一度下がろう!この場所だと不利…っ!?」

 

後ろに下がろうとしたとき突如俺達の来た道が天井から隔壁が降りて閉鎖されてしまう

 

雄也「しまった!これじゃあ!」

 

後ろをなくしたのもつかの間、事態は更に変化する

 

ジュード「っ!?佐倉先生!由紀危ない!!」

 

めぐねえ「へ?きゃっ!?」

 

めぐねえと由紀がいる真上から隔壁が降りてきて咄嗟にジュードが飛び込みでめぐねえと由紀を両腕滑り込みで押し倒して隔壁に挟まるということは阻止したが…

 

雄也「胡桃!由紀!」

 

優花「ジュード!佐倉先生!」

 

胡桃たち四人は左の通路…つまりは隔壁が降りた向こう側に取り残されてしまった。

 

俺は必死にこれをあげるが返答が来ない…多分防音対策が施されているのであろう。

 

そんなことを考えているとまた次は右側の通路に隔壁が降りる。

 

悠里「しまった!ゆうく…」

 

音姫「若狭さん!祠堂さん!直樹さん!」

 

今度は右側の通路に悠里と圭、そして直樹が取り残されてしまう。

 

今残っているのは俺と音姉と優花だけ…完全に敵の作戦にはまってしまった。

 

警報がならなかったのは俺達を油断させて戦力を分断しするため!

 

局員「よし!作戦が上手くいったぞ!各個に倒していけ!!」

 

作戦が成功したことに奴等の士気が上がりこちらに襲いかかろうと向かってくる。

 

雄也「くそ!みんな無事でいてくれよ…今は正面の敵を倒すしかないか!行くぞ!」

 

優花「わかってる!」

 

俺と優花はデバイスを構えて正面の敵に向かって走りだした。

雄也「はああぁぁっ!」

 

退路がないために進むしかない俺達は前の敵を倒すべく駆け出していき、先ずは先頭にいる局員と交える。

 

気迫の乗った俺の上段から右斜めに振り落とされるアークは軌道が見えていた局員の一般のデバイスに防がれ鍔迫り合いとなり少しの膠着状態に陥るが空いている左手で局員を腹パンし隙が出来た瞬間に鍔迫り合いを解く。

 

解いた瞬間にアークを下段からの切り上げを放つと今度は腹パンでよろめいているために反応するのが遅く防げずに体を切り裂く。

 

局員「ぐわあぁぁっ!」

 

一人目の断末魔が響くなか切り裂いた局員は後ろに吹き飛びその背後から槍を構える局員が突貫してくる。

 

俺の死角からの奇襲なのだろうか、その局員はしてやったりとニヤリと頬を浮かべていたが…俺にとってこれは

 

雄也「踏み込みが甘い!!」

 

簡単に対処出来るので槍をアークであしらうも体を捻らせた回し蹴りで後頭部を直撃し俺の前で沈黙する。

 

雄也「どうした?さっきまでの威勢はどうした!?」

 

怖じ気づく局員に軽い挑発を放ち、頭に来た局員が俺に何度も剣を打ち込んでくるのをアークで冷静に対処する。

 

 

優花「たあぁぁっ!!」

 

俺と少し離れたところでは優花が音姉の近くで局員に応戦している。

 

ただ生者を貪る奴等や本能で動く生物たちとは違い鍛えられた技術に翻弄されて苦戦を強いられていた。

 

優花「手強い…そこぉ!!」

 

苦い顔を浮かべながら突きを放つがあっさりと弾き飛ばされて後ずさるが丁度後ろには気絶している局員が倒れており優花はそれに気づかずに足が体に絡まれて体制を崩し倒れてしまう。

 

優花「きゃっ!…あ…!」

 

局員「もらったぁぁっ!!」

 

これを絶好の機会見た局員が持っている剣を突き刺すように持ち方を変えて優花に止めを刺そうとする。

 

雄也「そんなことさせるかぁ!!」

 

絶対に失わないために俺は戦っている局員の胸ぐらを掴むと思いっきり優花を狙う局員に投げてつけて優花の窮地を助けることに成功する。

 

雄也「優花無事か!?」

 

優花「え、ええなんとか…」

 

雄也「ならいいが、優花は音姉の護衛だけに専念してくれ、あいつらの相手は俺一人で引き受ける」

 

音姫「雄也くん一人でいくらなんでも無茶だよ!」

 

優花には音姉の護衛に専念してもらい俺一人で立ちふさがる敵を倒すと告げると勿論のこと音姉が反発してくる。

 

雄也「一人の方が立ち回れるし、大丈夫、俺は強いのは音姉も知ってるだろ?」

 

音姫「…うん…」

 

渋々といった感じの返事をして今度は優花の方を向き、こちらもも納得がいっていないようすが顔に出ていていた。

 

雄也「優花も頼む、優花が守ってくれるから俺は全力で戦えるんだ」

 

優花「………」

 

説得はしてみたが無反応…けど優花だってそれはわかっていることであろう…だから音姉を守ってくれると優花を信じながら進むしかない道を進んでいくのであった。

 

 


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