がっこうぐらし!The world in confusion   作:ウィングゼロ

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chapter37

強行策を取って既に1日と8時間が過ぎていた。

 

時間帯はアークに教えてもらいながらも魔導砲で着実に上へと上へと道を作っていく。

 

既にカートリッジを1000発以上は消費しており作った穴の地面にはそこら中にカートリッジの使い捨てが散乱していた。

 

[地上まで後十メートルといったところです、恐らく後一発で地上に貫通させられるかと]

 

「そうか、ならそろそろ圭も呼ぶかな?」

 

そういって耳につけている保管室にあった通信機で同じくつけされた圭に連絡をいれる。

 

「圭か?もうすぐ地上に出られるから荷物もって上がってきてくれ、後足元気を付けろよ」

 

《え?あ、うん、わかった荷物まとめてそっちにいきますね》

通信機から圭の了解の返事が届くと俺は斜面の地面に座りながらカートリッジの詰め込みを始めた。

 

「外はどうなってるのかな…」

 

既にあのベヒモスとの戦いから1日が経過しているのだ地上の情勢はそれから一気に変化しているに違いない、それが良いか悪いかは状況確認しだいだろう、まるでパンドラの箱だな。

 

「お待たせしました、先輩」

 

状況が気になるところで下から圭がやって来た。

 

「来たか、それじゃあ早速始めるとするか」

 

そう思って装填が完了した魔導砲を地上の方に向けて魔力弾を発射し土壁に着弾して爆散して拡散、すると爆破したところから日の光が差し込むと同時に土砂等がこちらに雪崩れてくるが巻き込まれる量ではないために押し流されることもなく魔導砲のカートリッジを捨てながら地上に出る。

 

「太陽の光だ…」

 

そう俺は言葉をこぼす。

 

丸2日しか拝んでいなかった太陽だが見たのが久しぶりのように思えてしまう。

 

「ん~なんか久しぶりな気がします」

 

圭も大きく屈伸をしながら俺と同じことを考えているようだ。

 

「さてと、これからどうする?」

 

地上に出るという目標は達成できた、それなら次の目的に移るわけだが。

 

「あ、それじゃあリバーシティ・トロンに行きましょう、あそこに私の友達がいるはずなんです」

 

「そうなのか、なら助けにいかないとな…その後は…巡ヶ丘中学かな?」

 

悠里達の所に戻るって誓ったしな…確実に怒られるけど…今悠里達どうしてるかな?

 

取りあえずの目標は決まったが俺は俺の姿と圭の姿を見る。

 

「な、なんですか?先輩」

 

「いや、俺達ボロボロだからさ、まずは傷なんかを手当てできる場所にいくべきかなって」

 

そう指摘すると圭も自身の体を見始める。

 

「それもそうですね、体も本調子ではないですし、迂闊に行動したら危険かもしれません」

 

「それじゃあ手頃の家で今夜を過ごして体を休めるか」

 

そういって俺達は刑務所跡を後にして住宅街にへと足を踏み込んでいった。

 

「ふぅ…ダメージの性で中々思うように動かないな…」

 

地上を出て4時間ほどが経過した。

 

俺達は疲れてはいないが体はボロボロでベヒモスの時のように戦えないのは明白なので何とか最小限で奴等とは戦闘しほとんどは隠れてやり過ごしていた。

 

そんなこんなで動く距離も通常より短く既に夕方になり日がくれそうになっていた。

 

「どうする?この辺りの家に忍び込んで一夜過ごすか?」

 

「………」

 

圭にこの辺りで休むかと訪ねたのだが圭は何故か黙りとして俺の声が聞こえていないようだ。

 

「おい、圭」

 

「は、はい、なんですか!?先輩」

 

圭の肩を揺さぶりながら声をかけて漸く反応した。

 

「どうした?なんか様子がおかしいみたいだけど」

 

「えっと…その…」

 

ことの理由を聞いてみようと思ったが圭は歯切れを悪くする。

 

「…何があるのかは知らないけど、ぼっとするなよ、正直町中敵だらけなんだから」

 

「はい…ごめんなさい…」

 

謝られてもな…

 

「取り合えずここら辺で今日は休もう…それでいいか?」

 

「そ、それもそうですね」

 

取り合えずそうだな…手頃の家に…

 

「あれ?圭ちゃん?」

 

「っ!?」

 

後ろから咄嗟に声をかけられてアークに手をかけながら振り向くと局員とは思えない男性が四人ほどがいた。

 

「っ!?おじさん!?」

 

圭が驚いた声をあげる、どうやら知り合いの様子だが、取り合えずアークを手にかけていた手を解いた。

 

「やっぱり、圭ちゃんだ!よかった無事だったんだね」

 

「あの、おじさんこそ…でもどうしてこんなところに…」

 

「今は祠堂家に避難されてもらっているんだ」

 

「私の家にですか?」

 

話から察するに圭の家がこの近くに存在するということか?

 

ん?もしかしたら上の空の原因って圭の家になにか関係があるということか?

 

「あのお父さんは…」

 

「源司さんかい?あの人なら幸さんと一緒に大丈夫だったよ、今も祠堂家にいるよ」

 

「そう…ですか…」

 

安否を聞いても安心することなく逆に落ち込んでいる表情を見せている…親と仲悪いのか?

 

「圭、どちみちここら辺の家に泊まるわけだから自分の家に帰ってみないか?…ほらこんな状況だし…なんか訳ありみたいだけど…」

 

俺は圭に一度自分の家に帰ってみたらどうだと提案すると圭は渋った顔で悩み始めた。

 

「圭ちゃんが無事ならきっと喜んでくれるさ」

 

「そう…ですね、それじゃあ、一度戻って見ます」

 

「決まりだな」

 

今日の泊まる家は圭の家に決まり、そうして圭の所で世話になっているおじさん達の先導の元に住宅地を歩いていくのであった。

 

途中、奴等への妨害用の柵やバリケード等が存在しそれを抜けていくと彼らがいう祠堂家の避難所にたどり着いたとき俺はその家を見て驚いた。

 

「でか!」

 

館と言ってもいいアリサとすずかの家とは少し規模は小さいが大きい敷地に立派な館が佇む家だ。

 

「…圭の家って金持ちだったんだな」

 

「うん…」

 

圭と話すけど、帰ってくる返事は反応が薄いものである

 

気にはなるとところだが触れない方がいいかもしれない。

 

そう思ってる内に門が開かれ敷地内にはいると中の敷地には簡易なテントが幾つも設置され老若男女色々な人がこの敷地で生活をしていた。

 

「こんなに…」

 

「今ここには140人ほどの人が避難しているんだ」

 

ここまで大勢の人達を見たのはパンデミックでははじめてだったために驚きを隠せなかった。

 

「それじゃあおじさん達はここで圭ちゃんは家にいくといいよ、両親に顔を見せにいくといい」

 

そういって彼らはテントの方に各自散っていき俺と圭は館の前にやって来る扉の前にはボディガードであろうか二人が配置されている。

 

「っ!圭さま!?」

 

「ただいま、ここを通してくれませんか?」

 

「わかりました」

 

そういって扉の前から退いて俺と圭は中に入ると広いエントランスが広がっておりそこ中にも何人か避難していた人がいるが外より何故か人数が少ない…これならこの家に全員くらい入れるかもしれないぐらいだ。

 

「圭!」

 

すると二階から女性が圭の名前を呼びながら降りてくる。

 

「お母さん!」

 

圭も嬉しそうな顔で圭のお母さん…確か名前は幸さんの名前を呼んで互いに抱き締めあった。

 

「よかった…よかったわ…生きていてくれて…こんなボロボロになって」

 

「ううん、大丈夫だよ、お母さんも生きていてくれてよかったよ」

 

生死がわからなかった親子の再会、これほどいいものはないだろう。俺も水を指さずに黙っていると…

 

「騒々しいがなんの騒ぎだ」

 

二階からそんな男性の声がするとその男性は下に降りてきて圭の嬉しい顔は一変した顔つきになった。

 

「お父さん…」

 

「圭か…てっきりあの場所で死んだと思ったが生きていたか」

 

予想外に冷たい対応で圭にいい放つ。

 

「部屋にもどっていろ、あとで話がある」

 

そういい放ちどこかへ去っていこうとするのを見逃すことはできなかった。

 

「ちょっと待ってください!生死不明だった、娘が帰ってきてその言い方はないはずだ!」

 

「…お前は…そうか…圭といた、これは家族である身内の問題だ、他所は口を慎んでくれ」

 

「だが!「いいです!」…圭」

 

「いいですから…雄也先輩私はこれでいいですから」

 

「それでいい、君は外のテントを使え」

 

そういい放って源司さんはここから去っていき、その後圭と幸さんも館の奥へと去っていった。

 


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