がっこうぐらし!The world in confusion   作:ウィングゼロ

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1月7日(木)抜けていたところがあったので更新しました!本当に申し訳ございません!


chapter22

side悠里

 

ゆうくんが居なくなってから二日が過ぎた、外は雨が未だに降っていて外に出るような天気ではない…といっても奴等がいる以上出る気にもならないけど。

 

この生活にも慣れてきて早朝に音姫さんと一緒に朝御飯の支度と屋上菜園のお世話をしてそれから後片付けを済ました後、家計簿に食料と電気の量を確認していた。

 

食料も購買部から調達はしているのだが何時かはなくなってしまうため外にでなければならないがそれ以上に電気が減っている…この二日は雨が多かったから蓄電できていないみたい。

 

「どうしましょうか…」

 

「電気は極力使わない方が良いね、ランタンとかろうそくとかもあるわけだしそっちを使っていくべきかな…食料は…やっぱり、どこかに調達していかないといけないし…その時は佐倉先生の車で行くべきかな」

 

音姫さんの考えを聞いて深く考える。

 

「確かにそれが最善かもしれませんけど…外には奴等の他にも例の組織の人達も」

 

私が恐れてるのは奴等以上にこの前襲ってきた人達だ。

 

今でもどうしてあんな簡単に殺そうとするのかわからないけど…あれ以上に恐ろしいことはない…外に出れば間違いなく現れるだろう。

 

「確かにそうだけど…それほど数はいないのかもしれない…普通ならまた此処に来ても可笑しくないのに」

 

そう言われてみればそう思えるけどそれは憶測に過ぎないから下手に出るわけには…

 

ゆうくんが入れば楽になるんだけど…

 

「おつかれ、りーさん、音姉」

 

部室にはいってきたのは校舎の見回りに出掛けていた胡桃だ、手とシャベルが水に濡れていることを察するに奴等と戦っていたのであろう。

 

「胡桃、無茶しちゃダメよ」

 

「わかってるよ、少し一階にいた奴等を少し減らしていただけだよ」

 

「もう、無茶してるじゃない」

 

「平気だって雄也に教えてもらったからか」

 

胡桃はゆうくんに戦いかたを伝授してくれたからか奴等が複数相手でも対処できるようになった…

 

「あいつ…無事かな」

 

「大丈夫だよ!だってあんなに強いんだから」

 

音姫さんがいうことは一理あるゆうくんが奴等や例の人達に負ける姿など想像できない。

 

「さてと、めぐねえ達がいる教室に顔を出すとするか」

 

そういって胡桃は由紀ちゃん達のいる教室へと向かっていった。

 

時間が過ぎていき特に何もなく夜になった、明日の不安もあるが大丈夫と自分に言い聞かせながら就寝する準備を進める。

 

「もう11時か…」

 

音姫さんが今の時間をいうと私も時計を見て既に11時になりかけていることがわかった。

 

「それじゃあそろそろ寝ようかしら」

 

そういって寝袋に入ろうとした矢先だった。

「どうも!今晩は!!僕はドクターウェルゥ!!この放送は生存者たち全員に聞こえているはずだよ~外が見える人は外を見るんだ!」

 

眠ろうとしていた私たちを妨げるかのように男性の大きな声が町中に響いたように聞こえる

「な、なんだ!?」

 

みんな眠気など完全に覚めて窓の外を眺めると巨大なコンピューターのようなウィンドウが出現しておりどこかの映像が映し出されていた。

 

「さあ今宵、なんとあと放送を見ながらも僕らに楯突く人が二人も現れたぞ~といっても、一人は元々此方側の人間だった人だけどね」

 

男性の話が進むなか映像に二人の人の姿が映し出される。

 

「りーさん!音姉!あれ!」

 

胡桃が指を映像の方に指す。

 

胡桃がいっていることはわかるその映像に映し出されている人物私たちのもとへ去って行方を気にしていた人がそこにいた。

 

「ゆうくん!」

 

「雄也くん、よかった…ぶじだったんだ」

 

画面越しであったが生きていたことに頬をにやけさせた。

 

すると画面はゆうくんの姿をズームさせる。

 

「まあ片方だけ紹介しておこう、今映っているものこそが元僕ら側、今は完全な敵側となった期待の四大エースの一人、その名についた二つ名は禍々しい名前だが暗黒騎士!月宮雄也だ!」

 

そのゆうくんの自己紹介に私は耳を疑った。

 

声の主はゆうくんが元々例の人達と同じ組織に所属していたといっているのだ

 

「ゆうくんが…黒幕の組織に…いた?」

 

胡桃達とそれを聞いて呆然としたがそんな私たちを待ってはくれず話は進んでいく。

 

「こんな前座はどうでもいい!さっさと本題に入ったらどうだ!」

 

呆然としていた私たちを正気に戻したのはゆうくんの声だ、話からこの放送が行われる前に何かあったのだろうか

 

「そうだね、今回、この放送を流した理由は簡単に言うと僕の研究成果と戦ってもらうためさ…所為の公開処刑だね」

 

「ようは、逆らえなくするためか」

 

公開処刑その言葉に寒気を感じた、奴等は私達に抵抗は無意味だと示すためにこんな放送をしているのだと考える。

 

そうしてゆうくんがいる場所が動いているのか扉が自働に開くと中からは化け物が出てきた。

 

「ば、ばけ…もの…」

「なんだよ…あれ」

 

あまりの怪物に私と胡桃は恐怖で口を漏らす。

 

「何…あれ」

 

「おいおい、何でこんなもんが地球にいるんだよ」

 

ゆうくんと私達と同じ制服…リボンから一年下の女の子も怪物に目を釘付けにしていた。

 

「君も知っているだろ?僕が生物学の研究者だってことは」

 

「つまり、個人的な目的ってこういうことか?」

 

画面越しでウェルという人とゆうくんの話が成り立っていた、何か個人的な目的に心当たりがあるようだ。

 

「試作品ベヒモス改…ある場所から持ってきて研究していたサンプルさ…さあ、ショーの始まりだ!」

 

ベヒモスと呼ばれた化け物は雄叫びをあげてそれに応じてゆうくんはあのときの剣を女の子も何処で手に入れたのかわからない拳銃を手にしていた。

 

「無理だ…あんなのに勝てるわけ」

 

胡桃も奴等や例の人達が相手だと思っていた矢先化け物が出てきてあれに勝てないと口を漏らす。

 

だがゆうくんは戦うつもりだ。

 

「全く!まさか、危険生物と戦うことになるとはな!」

 

映像に映し出されているゆうくんは臆することなく懐に飛び込んであの武器で攻撃を仕掛けていた。

 

「すごい…」

 

どうすればあれほど戦えるのか疑問に思えるがこんどは怪物の角でゆうくんを刺そうとしていたが表情はいたって冷静だった。

 

だが次の瞬間その冷静は崩れてしまう角の攻撃はせず尻尾でゆうくんを攻撃しようとしていた。

 

ゆうくんも黙って食らおうとしておらず左手をつき出して三角形の紋様が現れた簡単に壊れてそのまま尻尾に叩かれそのまま壁に激突させられた。

 

「いやあぁぁぁぁぁっ!!」

 

由紀ちゃんが悲鳴をあげる、私も吹き飛ばされたことで悲鳴をあげたいが声もあげられない。

 

「先輩!この!」

 

女の子がライフルを持って射撃している怪物に当たっているが全然怯んでいない。

 

「嘘だろ、こんなのって…ありかよ」

 

何発も射撃されていて未だに倒れないことに胡桃は絶望していた。

 

あんなのに襲われたら私たちは確実に死ぬ。

 

怪物は女の子の目の前に迫っていて爪を振り落とす。

 

「やらせるかぁ!」

 

すごい早さでゆうくんが間にはいって攻撃を受け止めた。

 

「ゆうくん!」

 

あの攻撃で凄く痛そうなのにまだ動くなんて…

 

「直ぐに後方へ!」

 

「は、は…ごほぉ!げほぉ!」

 

ゆうくんが受け止めている間に女の子は後ろに下がろうとしていたが口元を手で押さえて手には血が付着していた。

 

「え?…はぁ…はぁ…なん…ごほぉ!」

 

「ふむ、漸く効いてきたみたいだね」

 

「効いたって…なにがだ!」

 

「まだ量産には出来ていない新型のウイルスだよ、これはリンカーコアを所持しているものだけが感染しないタイプでね…どうやらうまくできたようだ」

 

新型ウイルス?リンカーコア?全くわからない単語が飛び出てくるが何となく女の子の状態に察知がついた。

 

「わ、たし…感染…した?」

 

女の子はやはり感染してた…奴等に噛まれていないとすると…まさか空気感染?そんなの防ぎようがない。

 

考えるなかでも映像は続いていきゆうくんが防御が崩されて左肩を出血するなかあの例の人を消した斬撃を飛ばした後ゆうくんは女の子を担いでその部屋から出ていった。

 

映像は部屋を抜けて通路を進んでいく。

 

今のところゆうくんは見つかっていない、このまま逃げてほしいと祈る。

 

「月宮くん、無事だといいけど…」

 

めぐねえも不安の声を漏らす。

 

「やあやあ、聞こえているかい?ユウヤ・ツキミヤ、今のはこの基地を完全放棄するということでね、今自爆装置を押したんだ、後数三十分もすれば基地は崩壊する、さあ、急がないと死んじゃうぞ~」

 

「そん…な…」

 

急いで出ていかないといけない理由までつけられて完全にゆうくんが追い詰められていく。

 

そして崩壊が徐々に近づく基地の通路を怪物は徘徊していき角を曲がったとき、ゆうくんが見つかってしまった。

 

「ゆうくん!」

 

見つかってほしくなかった…けど此処で疑問が現れた。

 

女の子が居なくなっているということだ…まさか…

 

「漸く見つけたよ…もう一人はどうしたのかな?」

 

「あいつなら逃がした…これ以上巻き込めないからな」

 

よかった…とほっとしていた…まさかゆうくんが殺したと思っていたからだ…感染の方はどうやったかはわからないけどそっちも何とかしたのだろう。

 

「怪我を負い、しかも、仲間もいないこの状況…今の君に何が出来るかな?」

 

けど状況は悪化したといってもいいゆうくんは完全に劣勢だ。

 

「何が…出来るかか……勿論、ベヒモスを倒す…今ならあれを使うのにもってこいだろ」

あれ?とは一体なんだろう、こんな状況でも勝機があるというのか。

 

なにやらゆうくんが一人で口論していると話がまとまったようだ。

 

「行くぜ…ダークフォース…発動!」

 

ゆうくんの体が黒い何かを纏い顔をからかなりの苦痛をしているのがわかる。

 

「なにこれ…この感じ…」

 

音姫さんがなにやらぶつぶつといっているが気にするときではないために聞き流す。

 

動き出したのは一瞬だった

 

目にも止まらない早さであの怪物をなすすべもなく圧倒している。

 

「す、すごい…これなら倒せるかも」

 

「うん、そう…だねけど…」

 

「音姫さん?」

何故か言葉を詰まらせる音姫さん何処か悪いことがあったのかしら?

 

音姫さんのその嫌な予感は直ぐに的中した。

 

「ぐっ!ああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

止めを刺そうとしていたゆうくんが体制を崩し悲鳴をあげた。

 

「ゆうくん!?」

 

怪物はゆうくんに足を振り落とし壁に激突させた。

 

そのあとゆうくんは一歩も動かない。

 

「うそ…ゆう…くん…」

 

「りーさん!」

 

足を崩してその場で座ってしまう、それを見て胡桃が気にかけてくる。

 

「そうか、先ほどの魔法は自らの体を無理矢理限界以上に引き出す自己ブースト…そしてそれもあと少しといったところで切れてしまったようだね…いやあ、危なかったよ…こんなところで貴重な僕のサンプルを失うところだったよ」

 

「魔法やっぱり、ゆうくんは…」

 

映像は動かないゆうくんに怪物が迫っていく。

 

「雄也先輩!」

 

その声と共に銃声が鳴り響く。

 

現れたのはゆうくんが逃がしたと思っていた女の子だ。

 

おそらく戻ってきてしまったのだろう。

 

「死んでもいいと思ってた…だけど、この世界で奴等になりたくないと思って自殺することも考えたこともある…けどね、先輩にあって…何より美紀を残して死ぬなんて怖くなった…今でもあの部屋に閉じ籠っている美紀を助けに行かなきゃいけないんだ」

 

自信の心境を語ってから銃口を怪物に向けた。

 

そしてそこから女の子が怪物と相対する。

 

驚くべき身体能力で怪物を追い詰めていくが一瞬の油断で怪物の攻撃を食らってしまう。

 

「負けて…たまるかぁ!!」

 

空中に放り投げられているなかで反撃で怪物の目を潰した。

 

そして投げられている女の子を救ったのは目を覚ましたゆうくんだった。

 

「ゆうくん!」

 

「よかった、月宮くん」

 

起き上がった後、女の子が痛みで苦痛なのを見てゆうくんが謎の詩を綴ると女の子に青い光が包む。

 

「な、なんだ…ベルカでも…ミッド式の魔法でもない…」

 

「その二つの基礎術式を除いた場合…答えは1つ…古代魔法だ」

 

また私達にはわからない話が続き、掌を返したようにゆうくんに組織に戻るように行ってきた。

 

「君の名前は未来永劫、英雄として語り継がれるだろう…どうだい?管理局に戻っては来ないかい?となりにいる彼女も助けてあげよう…悪い交渉ではないだろ」

 

「お断りだ!」

 

「な、なんだと!?き、貴様これだけの名誉を棒に降るというのか!?」

 

ゆうくんは誘いを断った…迷いも戸惑いもその顔からはない。

 

「俺はもう管理局には局員には戻らない」

 

「何故!?」

 

「俺は六年前、管理局に入るとき、俺は父さんと母さんを探すために管理局に入った」

 

「けど、いつからか…俺はその目的を忘れて管理局の操り人形になっていた…それに気づいたあの時…もう遅かった…」

 

「結果俺は何万という人を死なす根元となった…この重圧に耐えきれなくなって…なんのために戦ってきたかわからなくなって…俺は一度罪から戦いから逃げた…」

 

「俺は逃げた場所でも忘れたくても忘れなかった…でももう戦わなくてもいいっと思ってこんな日常も悪くないと思ったんだ」

 

「けど、突然この巡ヶ丘に迷い混んでパンデミックが起きてしょうがなく戦うことになった」

 

「けど、裏で管理局が暗躍してるって知ったとき、俺は結局戦いから罪からは逃れられないと思った」

 

「けど、こんな俺にも支えてくれた人たちがいた…いや、局員になる前も支えてくれた人はちゃんといた…けど、次第にそのことを忘れて一人になってしまった」

 

「そしてさっきまで俺はなんのために戦ってきたか、さえも忘れていた…本当…情けない…だから」

 

「もう逃げない!自分の罪から戦いから!」

 

「ゆうくん」

気づいてあげられなかった。

ゆうくんは必死に両親を探していたんだ、けど回りにな頼れなくて、後悔して…逃げて…どれだけ苦しかった…辛かったか想像もできない。

 

パンデミック初期でも私たちを守るために戦ってくれた、本当はもう戦いたくなんてなかったはずなのに

 

けど、黒幕が出てきたとき、ゆうくんはどれだけ悩み考えていたのだろう…私達にもなにかできたのてあろうか。

 

「あ、あははははっ!!」

 

そんなゆうくんの決意を彼は嘲笑った。

 

「俺はこれからまだやることがあるんだ!こんなところで死ぬつもりはない!それに俺には帰らないといけない場所がある!」

 

帰る場所…それを聞いてみんなどこなのか気がついた。

 

「月宮くん…」

 

「全く帰ってきたら説教だな」

 

「そうだね、もう何処かへいったら駄目って」

 

みんなに少し笑顔が戻った。

 

 

そしてまた戦闘が始まった、だが今回はゆうくんと女の子が怪物を圧倒していた。

 

「ば、バカな…ベヒモスを…僕のサンプルに圧倒しているだと!?」

 

二人ともうまく集中砲火されないように攻撃しあっていた、本当にすごいと思う。

 

「こんなことがあってたまるか!お前たちは…全員ここでこの巡ヶ丘で死ぬ運命なんだ!」

 

「それがお前がいう運命ならば!」

 

「俺…いや俺達の力で!」

 

「運命を!越える!」

 

その声と共に決着がついた。

 

怪物は倒れ伏せ体が消滅した。

 

つまり勝ったということだ。

 

「す、すげえ、本当にたおした」

 

私たちは怪物を倒したことよりゆうくんが生きていることに嬉しく思った。

 

だが…

 

「っ!!圭!」

 

ゆうくんが女の子を突き飛ばして落石を避けさせる。

 

そうだ!崩壊まで時間がない!

 

ゆうくんたちも脱出するために出口へと走っていっている。

 

「たのむ!間に合ってくれ!」

 

みんな脱出するように声援を送るも検討むなしく出口は瓦礫で塞がっていた。

 

「嘘…だろ」

 

「そんな…嫌だよ…帰るって…いったじゃない…」

 

信じたくない…きっと脱出…

 

「っ!圭!あぶない!」

 

ゆうくんの叫び声と共に爆発が起こりそこで映像は切れた。

 


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