がっこうぐらし!The world in confusion   作:ウィングゼロ

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chapter20

side圭

 

「はぁ…はぁ…」

 

私は現在刑務所の地下施設を走っている、この先で戦っているはずの雄也先輩を助けに向かっていた。

 

やはり、先輩が不安になったから戻ってきたのだ。

 

そして先輩と別れた場所にたどり着くと私は目を疑った。

 

今だ動いている怪物にその目の先には壁に持たれて意識を失っている雄也先輩だ

 

「雄也先輩!」

 

雄也先輩の名前を叫びながら背中のドラグノフを構えてスコープを覗き怪物に照準を合わせてトリガーを引く。

 

それを三回引き、放たれた3発の弾丸は真っ直ぐ怪物の頭に当り少量の血が噴出する。

 

怪物の視線は先輩から外れて私に向いた。

 

いきなりの不意打ちで怪物は怒っているように唸り声を響かせる。

 

「おやおや、まさか戻ってきたのかい?あのまま逃げていれば生きていたかもしれないというのに」

 

どこからか声が聞こえてくる、たしかドクターウェルだったけ。

 

けど、彼がいっている通り逃げていればその場凌ぎでしかない、ウェルが行おうとしているのは此処にいる全員の抹殺なのだからどちらにしても殺される。

 

私には生き抜くために約束を守るために生きなきゃいけない。

 

美紀に謝るんだ、あんなことをいって置いてきてしまった、美紀を救うために…私はこの戦いに生き残る。

 

「死んでもいいと思ってた…だけど、この世界で奴等になりたくないと思って自殺することも考えたこともある…けどね、先輩にあって…何より美紀を残して死ぬなんて怖くなった…今でもあの部屋に閉じ籠っている美紀を助けに行かなきゃいけないんだ」

 

私は覚悟を決めて銃口を怪物に向ける。

 

「そうか、だったら此処で死んで…そのあと君の助けにいこうとしてる人も殺してあげるよ!」

 

その声と共に怪物は私に角を突きだして襲いかかってくる

 

迫り来る怪物に私は跳躍して攻撃を回避して怪物の背中に着地してからまた高くジャンプしてその滞空の間にドラグノフで背中を何発も射撃した。

 

「何…これ…」

 

あんな高く跳べたことに、やっていた私自信も驚いてしまう、そういえば此処に帰ってくるときも早かったような気もしてきた。

 

「そうか、試作品のワクチンの効果で体のリミッターが解除されてるのか」

 

体のリミッター?つまり私に投与されたワクチンの副作用でこんな動きができるようになったの?

 

だが、これはこちらにとっては好都合だ…これなら上手く戦える。

 

そう思いながらドラグノフのマガジンを不馴れた手つきでリロードする。

 

怪物は攻撃されたからか怒りを増して突撃してくる。

 

一直線で避けるのが簡単でまた簡単に避けて今度は頭に集中して射撃して確実にダメージを与えていく。

 

「この調子なら」

 

一人でも勝てると慢心していると怪物の目と合う。

 

「っ!!」

 

その目は怒りからとてつもない威圧感を感じさせて私を身震いさせると後ろから尻尾が迫ってきていることに気づくのに遅れ体にもろに当たってしまう。

 

痛い…痛いよ…

 

体が悲鳴をあげて味わったことのない痛みが私に襲う。

 

怪物は吹き飛ばされている私を地面に叩きつけようとその尖った爪を持つ前足で振り落とそうとしていた。

 

痛いけど…負けてるわけにいかない…こんなところで

 

「負けて…たまるかぁ!!」

 

先程の攻撃でドラグノフは弾かれて手元にないだから右手でホルスターに収まっているバイソンを手に取りそれを構えてハンマーを引きトリガーを引いた瞬間発砲音と共に装填されていたマグナム弾が飛び出して怪物の眼に当たった。

 

これにより怪物は悲鳴をあげて後ずさったが問題があった。

 

このままでは着地できずに体を強打してしまうために体を動かそうとしたが落下速度の方が早く間に合わないと思った矢先だった。

 

先程の落下感がなくなり着地する足音がする。

 

何が起きたのかはすぐに理解した、今現在私は抱き抱えられている…空中で抱き抱えてくれたお陰で地面に叩きつけずにすんだのだ。

 

「よかった、間に合った」

 

優しい声、よかったのはこっちのセリフです、さっきまで気絶していたのに体もボロボロなのに…それでも私を救ってくれた彼の名前を呼んだ。

 

「よかったわ、こっちのセリフですよ…雄也先輩」

 

気絶していたのが嘘かのように私を救った雄也は優しく微笑んだ。

 

side雄也

 

現実に意識を取り戻して眼に入ってきたのはバイソンでベヒモスの目を潰した空中に投げ出されている圭の姿であった。

 

そして圭はそのまま落下していくのを見て俺は高速魔法を使い圭を抱き抱えて地面に叩きつけられることはなくなった。

 

そして圭を降ろすと後退り片目となったベヒモスを見る。

 

「まさか、まだ動けるなんてな」

 

「生憎、圭が時間を稼いでくれたお陰で今は痛みはそれほどでもない」

 

驚きの声を隠せていないウェルに皮肉な言い方で言葉を返す。

 

その直後隣の圭が脇腹を手を当てて痛そうに顔を歪めた。

 

「大丈夫か」

 

「な、なんとか」

 

「今、回復する」

 

とっさにそう口にしたが俺は回復魔法など会得していない。

 

だが自然に頭のなかに詠唱文が浮かびできるような気がした俺は詠唱をする。

 

「清らかなる生命の風よ、失いし力とならん!ケアル!」

 

詠唱を完了すると青い少量の光が圭を包み込み傷を癒していく。

 

「凄い…痛みが引いてく…」

 

「…この魔法…まさか」

 

真相心理で奴がいっていた聖騎士伝説のないよう通りなら…

 

「な、なんだ…ベルカでも…ミッド式の魔法でもない…」

 

通信越しのウェルの声が震えていた、先程使った魔法がなんなのかわからないからだ。

 

「その二つの基礎術式を除いた場合…答えは1つ…古代魔法だ」

 

古代魔法…古代ベルカ時代より前に産み出されたという魔法の原点にして今は(俺を除いて)誰も使えない失われた魔法…記載されている書物曰く、命が消えそうな人間を呼び戻す魔法がある…また曰く、人の体内時間を早めたり、遅めることができる…また曰く、隕石さえも落とすと…俺達が使うデバイスを通して使う魔法よりメルヘンな魔法が古代魔法だ、聖騎士伝説事態、かなり有名な文献であったから、古代魔法は科学者なら誰しも一度は興味を持つほどである。

 

実際使った俺も完全にデバイスなし…というより、演算なしで使用できたことに驚いている位だ。

 

「古代…魔法だって…失われた魔法を何故お前が使えるんだ!」

 

「俺も突然だったから驚いてるが…あるとすれば聖騎士伝説…お前も知ってるだろ?」

 

「ああ、あれが唯一古代魔法のことが多く記載されているからな……まさか…!そんなバカなことがあるのか!?あれは空想上のものでは」

 

大方のことは理解したのか焦り始める。

 

「俺もそう思っていたんだがな…というか、暗黒剣じたい、失われた魔法だったんだろ?ならあり得るだろ?」

 

「…気が変わったよ、僕と一緒に来ないかい?」

 

「…なんだと?」

いきなり、手のひらを返したかのようにウェルが俺を誘ってきた。

 

何が狙いかは大体わかるが…

 

「あの古代魔法を使えることができる君は次元世界でも希少価値のある人物だ…その古代魔法を研究し…誰でも…古代魔法を使える…古代魔法を蘇らせることができるんだ、それがどれだけ名誉なことだと思う?」

 

「……」

 

「君の名前は未来永劫、英雄として語り継がれるだろう…どうだい?管理局に戻っては来ないかい?となりにいる彼女も助けてあげよう…悪い交渉ではないだろ」

 

「雄也先輩」

 

圭は心配な表情で俺を見つめる…俺の答え…そんなの

 

「決まってるだろ?」

 

「それでは…!」

 

「お断りだ!」

 

「な、なんだと!?き、貴様これだけの名誉を棒に降るというのか!?」

 

俺が提案を断ったことにより焦りを見せる。

 

「俺はもう管理局には局員には戻らない」

 

「何故!?」

 

「俺は六年前管理局に入るとき、俺は父さんと母さんを探すために管理局に入った」

 

六年前…闇の書事件でのリインフォースに見せられた夢の中で俺は確かに父さんと母さんにあった…あれは間違いなく本物の父さんと母さんだった。

 

それがきっかけで俺は次元世界を守護する管理局に入りながら二人を探しだそうと頑張ってた。

 

そのことを話した、クロノとユーノは不可能と言われたけどそれでも諦めたくなかった。

 

「けど、いつからか…俺はその目的を忘れて管理局の操り人形になっていた…それに気づいたあの時…もう遅かった…」

 

あの国の惨状をみて漸く操られていたことに気づいた…もしその事さえ知らなければ今も操られていたであろう。

 

「結果俺は何万という人を死なす根元となった…この重圧に耐えきれなくなって…なんのために戦ってきたかわからなくなって…俺は一度罪から戦いから逃げた…」

 

その重みから逃げた俺は偶然にも初音島に流れ着いた。

 

「俺は逃げた場所でも忘れたくても忘れなかった…でももう戦わなくてもいいっと思ってこんな日常も悪くないと思ったんだ」

 

初音島で過ごした時間は必ず忘れない…あれほど充実した日々はそうそうなかった。

 

「けど、突然この巡ヶ丘に迷い混んでパンデミックが起きてしょうがなく戦うことになった」

 

此処に来てからは音姉や悠里…そして学校で過ごしたみんなを守ろうと戦ってあのときはあまり、悪い気にはならなかった。

 

「けど、裏で管理局が暗躍してるって知ったとき、俺は結局戦いから罪からは逃れられないと思った」

 

だから、俺は何もわからないまま戦場に戻ってきてしまった今までは…だ。

 

「けど、こんな俺にも支えてくれた人たちがいた…いや、局員になる前も支えてくれた人はちゃんといた…けど、次第にそのことを忘れて一人になってしまった」

 

責任や期待の重圧で他に頼る人たちがいなかったから…

 

「そしてさっきまで俺はなんのために戦ってきたか、さえも忘れていた…本当…情けない…だから」

 

アークを構えてベヒモスに剣先を向ける。

 

「もう逃げない!自分の罪から戦いから!」

 

これが俺の決意…そしてけじめだ

 

「あ、あははははっ!!」

 

少しの静粛と共にウェルの笑い声が聞こえてくる。

 

「まさか、管理局のエースと言われた君がはじめは私闘で戦っているなんてね」

 

「別に笑いたければ笑えよ…けどな俺はこの道を進む」

 

「いいだろ、望み通りに殺してやるよ!」

 

ウェルの言葉と共にベヒモスの雄叫びが通路全体に響き渡る。

 

「俺はこれからまだやることがあるんだ!こんなところで死ぬつもりはない!それに俺には帰らないといけない場所がある!」

 

巡ヶ丘中学に残してきた音姉達…心配してるかわからないけど…謝りにいかないといけないしな、勝手に出ていってごめんって…

 

「圭!」

 

「は、はい!」

「こいつ倒して、生きて此処から脱出するぞ!」

 

「はい!」

 

脱出するために目の前の障害を倒す!

 


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