何故俺は鈍感と言われるのか解らない   作:元気

5 / 37
今回は、茜の過去編なので、またシリアスです(笑)


鈍感と茜(茜の過去編)

 茜side

 

 ウチは知らないくせに、その人の気持ちをしったかのように話すやつが嫌いだ。特に男子。

 そんなウチの前に出てきたヤツが、変人でお節介焼の塚崎真守だった。

 ホントにウザいし付きまとうし、今まであった変人ランキング第1位を飾る、そんなやつに出会った。初めは、ウチの気持ちを知らずにただしゃべっているのだけだと思った。でも……ウチよりも辛い想いをしていたのは真守の方だった。

 私の場合はまだ生きているから、いつでも謝る事が出来る。だけど真守は、真守の場合は、もうこの世に居ないじゃないか……。しかも自殺。それを聞いた私は泣いた。ウチのために、そして、約束のために動いてウチと話してくれたのは、これで二人目だった。

 一人目は愛川彩夏、ウチの初めての友達。そんなサヤに出会ったのは、小学1年生の頃だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「茜ちゃんって言うんだ、よろしくね!」

「う、うん。よろしく……」

 

 その当時のウチは今よりも人と接するのが苦手で、1ヶ月たつのに未だに友達が出来ずに独りで教室にいた。そんなウチを見つけて、笑顔で話しかけてくれた。それがサヤとの出会いだったんだ。

 

 それからは、サヤを通してたくさんの人と触れあった。初めはなかなか自分から話そうとしなかったけれど、だんだんと馴れてきて、小学校卒業までにはたくさんの友達が出来たんだ。でも、その裏では、サヤがイジメを受けていることには気がつかなかった。

 

「サヤ、最近元気無いけど……何かあったの?」

 

 ある日の帰りに、いつもと違ったサヤの顔色気づいた。心配した私はサヤに様子を伺った。

 

「えっ!?…………と、全然問題ないよ?いつも通り元気だけど、それより茜ちゃんと中学一緒なんだよね?」

「えっ……う、うん!サヤと同じ学校だよ!!また同じクラスだといいね!」

 

 ホント馬鹿だ。何で気づかなかったんだろう。その時の見た痣を指摘していれば……と。今でも思い出す事が出来る、あのときのサヤの悲しそうな表情を…。ここで気づけば、喧嘩することだって…………………………

 

 

 

 

 

 

 

「何で教えてくれなかったのさ!!!」

「そ、それは……」

「もういい! サヤなんてもう知らない!!!!」

 

 卒業式当日。一緒に帰ろうとして校門で待ってたけれど、あまりにもサヤが遅かったので教室に行ってみたら、サヤが女子に囲まれて暴力を受けていたのを目撃した。髪を引っ張られ、カッターやハサミでサヤの綺麗な髪を切ろうとする。何とか避けてもお腹を足で蹴られる。そんなサヤを見たとたん、体が動いた。

 

 

 

 

 

 

 

「ハァ、ハァ……ハァ…。」

 

 気づいた時の目の前の光景は酷かったのを覚えている。女子たちの顔はカッターで切った傷や、そこらじゅうにある痣、そして床には少しだが血がある状況だった。

 

 ウチは人をこんなにまで手を下してしまった。

 

 そんな罪悪感とサヤを助けた達成感が戦っていた。

 コイツらはサヤにこんな目に合わせたんだ、罪はまだ軽いはずだ。でも、ここまでしなくて良かったのに!

 そんなのばかりだ。サヤの方を見てみると、グシャグシャになった髪の毛はいつもの綺麗さを失っていて、体のいたるところには痣があった。

 

 

 焦ってたんだ。自分のせいでサヤがイジメを受けていたのに、しかもそのイジメた女子をボコボコにした。最悪だ。こんなの。

 そして言いたくないことが、傷つけてしまう言葉が口から溢れ出た。そして走った。大事な親友を置き去りにして。

 女子のことは自分から言った。そうでもしないと後々面倒なことになるから。

 

 それからは人との関わりを減らした。勿論一瞬にして噂は広まった。ウチたちが行った学校はあまり行く人が居なかったのでまだ平気だった。それに皆仲が良かった人たちばかりなのでまだ良かった方だ。その頃からウチは不良と呼ばれるようになったんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これからよろしくな、茜」

 

 コイツは本当に変人だ。ウチの気持ちを知った上であんな話をするんだ。ホント馬鹿だ。でも、コイツ、真守を見ているも心がとても和むのは何故だろうか?落ち着くって言うか、安心するって言うか、よくわからないけどとにかく安心するんだ、真守を見ていると。

 噂では聞いたの事があるが、実際によくみると顔は良い方だよな?美形ってやつか?な、なにをかんがえているんだウチはっ!?///////

 

 こ、コホン。まぁとにかく、コイツには元気を貰った、だからこれを次のステップに進める。そう、サヤと仲直りするんだ。話せなかった時間を取り戻すんだ。

 

「あー、茜、突然悪いけど俺かえるわ。」

「えっ!?何故だ!?」

 

 驚いて訳を聞こうとしたが、指で指している方を見たとたん、言葉を飲み込んだ。

 

「茜ちゃん。」

「……サヤ…。」

 

 黙ってうつ向いてしまった。何て言って謝ろう、どうしたら許してくれるんだろう。そんな感情が頭をぐるぐる駆け巡る。すると、ポンッと、混乱していた頭に手を置かれた。その手はとても大きくて、優しい。そう感じるような手だった。

 

「お前らなら出来る。」

 

 眼鏡の奥から見る真守の目には、確信があった。…………信じてみよう。

 ここまでしてくれたんだ。何でもやってやろうじゃないか!!

 真守をしっかりと見てから、

 

「勿論だ。」

 

 と、力強く言うと。ウチに笑顔を魅せてから、「んじゃ明日学校でな」と言い残して、屋上から出ていったのだった。

 

 ……ホント、かっこよすぎるだろ。惚れたらどう責任をとるつもりなんだ。バカ。

 

 ウチは微笑んでから、サヤを見つめた。

 

「久しぶりだな、サヤ。」

「茜ちゃん……!フフッ、久しぶり!」

 

 一瞬驚いた顔をしたけど、すぐに懐かしいサヤの笑顔を見ることが出来た。サヤ、元気そうで良かった。

 心のなかで安堵してそのまま話続ける。

 

「あの時、本当にごめん。ずっとずっと、謝ろうとしてけど、勇気がでなくて。本当にごめん……」

 

 許してもらおうなんて考えていない、ただ、この気持ちが伝わればそれだけでウチは満足だ。

 

「ううん、私こそゴメンね。あの時、相談していればこの2年間こんな関係にならなかったのに…………だから、ゴメン。…………………………これで、おあいこだよ。」

「えっ!? そ、それってつまり……。」

「うん、茜ちゃんのこと、許すっ!」

「ほ、本当かっ!?本当に許してくれるのかっ!?」

 

 意外な答えについ声を漏らしてしまった。サヤは笑顔でウチを見続けて

 

「勿論。だって、私達は、ずっと、ずっとずっとずぅーーーーーっと、親友なんだから。」

 

 今日は泣いてばっかりだな。ウチは今日2回目の涙を流していた。嬉しくて、嬉しくて流れた涙で視界がボヤける。それでもウチは、サヤに抱きついて、思いを伝えた。

 

「これからも、ずっとずっと、ずぅーーーーーっと、親友だからな!」

 

 それを聞いたサヤは、最高の笑顔をウチに魅せてくれたのだった。

 ありがとう、サヤはこんなウチを許してくれて。そして、ありがとう。真守。

 

 そのあとウチたちは、笑いながら二人で帰るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 真守side

 

 ふぅー、一件落着っと。

 俺はあの時帰るフリをして二人の様子を覗いていました。はたから見たらただの変態だな。一人で苦笑いを浮かべる。

 

「にしてもいい人だったんだね、基さんって。」

「うおっ!?」

 

 突然後ろから声が聞こえたと思って見てみると、葵だった。

 

「それにしても、そんなことがあったんだね。」

「お前はどこまで聞いてたんだよ……。」

「えーっとね、呼び出した所からかな?」

「始めからいるじゃねぇーか!」

「だって、告白すると思ってゴニョゴニョ……。」

「ん?なんつった?聞こえなかった。」

「もう!何でもない!!」

「何か理不尽じゃないか?」

 

 何で葵はあんな怒ってるんだ?全然わかんねぇ…。

 俺と葵は一緒に階段を降りていく。…………まだ怒ってるんだけど、俺なんかしたか?先程の会話を思い出しながら降りていくと、葵が立ち止まった。俺も立ち止まって葵を見る。

 

「どうしたんだ、葵?」

 

 俺が疑問に思ったことを聞いてみると、葵は首を横にふって「何でもない。」と、少しばかり悲しそうに見えたのは気のせいなのか?……やっぱり解らない…。

 

 教室に戻ると、俺はすぐさま部活にいく準備をする。

 

「じゃ、俺は行くな、気を付けろよ。」

 

 葵に手を振ると俺は走って部活に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 優side

 

 ハァ、基さんズルい。名前で呼ばれるなんて……。

 私は深い溜め息を1つつくと、塚崎くんのように部活の準備を始めた。

 

 

「ズルいよ……塚崎くんは…。」

 

 この自分の気持ちを理解したときは嬉しかった反面、とても難しいと思った。塚崎くんはとてもモテる。カッコいい上に、優しい、頭いい、運動できる、そしてお人好しだ。そこも踏まえて好きなんだけれどね。一人で苦笑いを浮かべながら、教室を出て自分の部活に向かった。何故か足がとても軽く感じた。何でだろう?まぁ、いいか。

 

 苦笑いから、自然と口元が緩んで笑顔になった。

「やっぱり、好きだよ、塚崎くん♪」

 私は鼻唄を歌いながら部活に向かったのだった。

 

 

 

 

 




ちなみに、8人とハーレムする予定です(笑)
指摘&感想お願いします!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。