何故俺は鈍感と言われるのか解らない   作:元気

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久しぶりに二日連続投稿できた…!

しかし、予告詐欺をしてしまいました…スミマセン

茜の回は次です…スミマセン



そろそろ新しい小説作ろうかな…

ではどうぞ!


鈍感は彩夏の気持ちも知らない

 彩夏side

 

「おはようサヤ。」

「おはよう、茜ちゃん。」

 

 私が玄関のドアを開けると、いつも通りの時間に、いつものように、優しい微笑みをして出迎えてくれるのは茜ちゃん。去年までは、いろんなことがあって、話すことができなくて、とても苦しい日々を送っていました。毎日が苦しくて、胸が締め付けられて、毎晩、布団の中でも涙をこぼしてきました。

 

 

 悲しくて、哀しくて。

 

 

 

 後悔ばかりして、何も行動に移せない自分がイヤで、嫌いで、大嫌いで。

 

 そんなときに、屋上で茜ちゃんと、私と茜ちゃんを仲直りさせてくれた人。塚崎 真守君が居ました。茜ちゃんがイライラしながら屋上を出ていくと、真守君はフェンスに寄りかかって座りました。そして、私は何故か、彼なら助けてくれる。と、思い、真守君に話しかけました。これが、私と真守君との初めての出会いです。

 

 

 今でも明確に、ハッキリと覚えています。

 

 

 

 ほとんど諦め状態の顔をして、落ち込んでいた真守君。私が茜ちゃんの過去を話した後の、悔しそうな顔も。

 

「何で貴方が悲しそうな顔をするんですか?」

 

 不思議に思った私が、俯いて、掌を握りしめている真守君に聞いてみました。そしたら、更に悔しそうな顔をして

 

「俺はその時、基や愛川さんに………何もできなかった…。」

 

 普通の人なら、「そうか…」ぐらいで終わるけれど、この人は特殊でした。その言葉を聞いた私は、驚愕して、『そんなこと思う人が居たんだ。』と、心底思いましたね。真守君はそれくらい、私達を助けたかったんですね。そう思うと

 

 

 

 

 

 

──キュッ。それは、突然襲いかかってきました。

 

 真守君が言った言葉が、胸を締め付けて、よく解らない感情が、体いっぱいに広がりました。

 

 

 

 

 

 

 

──これは…何なのでしょう?

 

 

 

 

 今では、その感情が何なのかは理解できました。

 

 

 その時から私は、真守君に【恋】をしたんです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 今日、知り合ったばかりの人に恋をして、今まで過ごしてきました。恋って言う感情がよくわからなくて、楽しいのかな、とか、苦しいのかなとか、色々考えていた時期がありました。でも、今となると、恋と言うのは、とても…とても……悲しいものです。

 

 そのあと、私と茜ちゃんは仲直りをして、現在に至りますが、隣で鼻歌を歌っている茜ちゃんを見ると、少しだけ悲しくなります。だって茜ちゃんも、真守君の事が好きみたいですから。

 

 

 できるなら、私は茜ちゃんと争うことはしたくありません。そうなって、また喧嘩とかになるなら、真守君の事は諦めた方がいいです。しかし、そうしようとしても…諦められません……。

 

 あれ?私、いつからこんなワガママになったんですかね…。茜ちゃんのためにも、諦めないといけないのに…

 

 

 

 

 どうしたら……いいんでしょうか…?

 

 

 ボーッとしながら歩いていると、何かが足にあたって躓いて盛大に転んでしまった。

 

「サヤ!? だ、大丈夫か!?」

「う、うん。大丈夫だよ…ちょっと……擦りむいただけですんだから。」

「な、ならいいんだが……」

 

 茜ちゃんが安堵したのか、短い息を吐いて、胸に手を当ててなだでおろした。

 

「さぁ、サヤ行こう?」

 

 茜ちゃんの優しい笑みが、私に元気を貰うと同時に、また胸が苦しくなった。茜ちゃんの恋を叶えさせたい! でも…

 

 

 諦めたいよ、真守君にたいしての感情なんて、何も持っていない。彼と私は、ただの友達。それで…いいんだ。それで……。

 

 

 

 

 

「おはよう。」

「!?…っ……」

「おっ、真守おはよう。」

 

 

 突然、頭の上からよく知っている人の声が聴こえた。顔をあげると、会いたくない、会っては行けない。でも会いたかった人。

 

 

「ん? どうしたんだ彩夏?」

 

 

 心配そうな顔をして私の顔を覗いてくるのは、塚崎 真守君。だった。

 

 

「あっ、そう言えば私、用事があったんだった。それでは茜ちゃん、真守君、またあとで会いましょう。」

 

 

 後半、声が震えそうになったけれど、何とかして堪えてみせた。そうでもしないと、諦めきれそうにないから。私より、茜ちゃんの方が真守君と釣り合ってるから。だから…

 

 

 

──あれ…何で、涙がでてるんだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ、はぁ、はぁ。」

 

 気づいたときには、私は屋上にた。真守君と出会って、茜ちゃんと仲直りできた、とても思い出深い場所。私が大好きな場所に、先客が来ていた。

 

 

「ん。……お前ってたしか…茜といつも一緒に登下校している…」

「はいぃ!?」

 

 失敗した。であったのが、よりによって不良のなかの不良と噂されている人、畑 茅根だった。

 

「どどどど、どうしよう…」

「おい、声が駄々もれだぞ。」

「ひいっ!? すみませんでしたぁー!!」

 

 ウシロヲ向いて逃げようとしたら、自分の靴に足が引っ掛かり、またもや盛大に転んでしまった。今日で盛大に転んだのは二度目になる。そろそろ膝も限界に近いだろう。

 

「おいおい、大丈夫かぁ?」

 

 私に近づいて手を差し伸べてくれた。

 

「えっ?」

「いや、えっ? じゃないだろ。さっさと起きろ、じゃないとスカートから見えてるものが露になったままだぞ。」

「っ…////」

 

 拍子でさしのべられた手を叩いてしまった。

 

 

 この人…この人ぉ………

 

 私は一人で起き上がってその人を思いっきり睨むと

 

 

「一回死んでください。」

 

 

 そういい放った。

 

 自分でもこんな言葉を言えるのかと驚いてはいるが、表には出さないようにした。と言うか、ほんとサイテーな人ですねこの人。女性の敵ですよ。敵、流石不良ですね。

 

 せっかく好感度が急上昇していたのに、さっきの一言でガクンとがた落ちです。馬鹿なんですかねこの人…。

 

「なんか、理不尽じゃねーか?」

「煩いですよ変態さん。警察に通報しますよ。」

「なんでお前の黄色と緑のぱん、いでぇ!?」

 

 全てを言い終わる前に、私は変態さんの足を踵で踏み潰した。それはもう全身全霊力を込めて。

 

「はなせっ!! はなせっ!!! 死ぬ!! 足踏まれただけで死ぬぅ!!!」

「そう言えば、なんでこんな貴方のようなゴミクズがこんなところに居るんですか?」

「そういいながら踏む力を強くすんなーっ!!」

 

 仕方ない人ですね。更に強くふんずけてやりましょう。コレは仕返しです。あのとき以来、私は汚されました。この人は女の子の天敵です。それだけは認識しています。

 

 

…真守君だったら、こんなことになっていたのでしょうか…?

 

「…………………」

「……お前も失恋したのか?」

「っ!?」

 

 一旦その人から離れて、距離をとった。知らない相手でもでもわかるくらい、きっと表情に出ていたんでしょう。

 

「失恋ではありません。恋を諦めただけです。」

「それを世間では失恋というんだけど。お前馬鹿なの?」

 

 イラッと来ました。そろそろ殴っても良いですかね? ……あれ、そう言えばあの人……お前『も』って…

 

 俯いていた顔をゆっくり上げてみると、その人は苦笑いを浮かべながら、恥ずかしそうに、それでいて悲しそうに、頭を掻いていた。

 

「俺の好きなやつがさ、俺の友達なんだ……。」

「っ…私もです。」

「そっか…。」

「はい……。」

 

 

 その人は、マジマジと私の事を観察するかのようにみてきた。そして、鼻で笑った。

 

 鼻で笑われたことにムカッてきたが、次の一言で、その感情はかきけされてしまった。

 

「まだ、諦めきれてないじゃないか。」

「っ、う、うるさいですよ。私は諦めたんです!」

「嘘つくなよ、じゃあなんで泣いてるんだよ。」

「えっ?」

 

 自分の頬を触ってみると、確かに涙だった。ポロポロと、次から次へと止まることを忘れてしまったのか、徐々に涙の量は増えていった。

 

 

 諦めたと思い込ませていたけれど、やっぱり…無理だったんだ。

 

 こころにポッカリと空いた穴が、何か暖かいもので埋め尽くされていった。足りなかったネジが見つかって、綺麗にはまって、そして、ゆっくりとだが、噛み合って回っていく。そんな感触。

 

 

 ここで私は、改めて思った。

 

 

 

 

 

 

──私は、やっぱり真守君が好きなんだ。大好きなんだ。

 

 

 自分の気持ちに嘘をついて過ごすより、自分に正直になろう。茜ちゃんに言おう。この気持ちを。正直に。

 

 

「まぁ、ガンバれよ。あと、俺みたいになるんじゃねーぞ?」

「えっ? それはどういう…」

 

 言い終わる前に、その人は私を残して屋上から出た。

 

 

 

 いったい、何だったんだろう?

 

 そんなことを思っていると、短学活…HRの始まりのチャイムが鳴った。

 

 私は急いで屋上から出ると、さっきあの人が言ったことを理解できた。

 

 

『俺みたいにその恋を諦めるなよ。』

 

 多分、そうなのだろう。あの人なりの、応援のメッセージだったんだ。

 

「ありがとうございます。」

 

 

 私を微笑みながら、階段を急いでかけ降りた。そのときの足は、とても軽くて重い鎖が外されたようなかんじだった。そして、どこへでも行けそうな、そんな気がしたのだった。

 

 

 

 




うむ、さっさとフラグ建てて終わらせるか?

そう言えば最近、タイトル詐欺してる気がするので、次回辺りから意識する。

感想&指摘よろしくお願いしまーす!!

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