何故俺は鈍感と言われるのか解らない   作:元気

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そのまんまです(笑)

真守は夏風邪でダウンします。




あと、修学旅行楽しかったですよ!!

渋谷で迷子になった(笑)




あと、お気に入り100になってました。マジで泣きました。ありがとうございます!!!




鈍感と夏風邪

「おにーちゃんが熱出すなんて珍しいね。」

「確かにね、馬鹿は風邪引かないって言うのにね。」

「おい姉…貴、ちゃっかり馬鹿って、言うな。」

 

 つい最近7月になったばかり。俺は夏風邪を引いてしまった。

 

 

 朝、いつものように、みなに起こされたが、起きようにも起きれなくて、体が異常にダルくて、熱を測ったら、38.7度もあった。そのお陰で俺は今日、学校に行くことができない。

 

 

 母さんは心配そうに俺の様子をみてから、何故だか笑顔でそのまま学校に行った。何かをたくるんでいることは、顔をみて気づいた。何が起こるかわからないから、要注意しておかないとな。

 

 

 

 本格的に夏に近づいてくる月が7月である。ギラギラと輝きを増していく太陽の光が、じめじめとした蒸し暑い部屋に差し掛かり、寝巻きと俺が横たわっているベッドが、汗でベトベトになってしまう。

 

 

 今、俺の部屋には兄大好き過ぎる妹美奈(ブラコン)と、俺にだけ毒舌過ぎる男子系女子の姉貴、麗がいる。

 

「へっ、俺よりテスト…の順位、低い……くせ、に…」

「よし、真守じっとしてろ、今すぐ殺す。」

「まぁまぁ、おねーちゃん落ち着こ?」

 

 俺が小声でボソッと呟いたのにも関わらず、漏らすことなく聞き取った地獄耳の姉貴は、顔を笑顔にしながら、右手をグーにしている。グーにしている右手と、額からは青筋が見えていて、周りのオーラから考えると、本気で俺を殺すつもりだったらしい。

 

 

 もしここに、みなが居なかったと思うと、背筋が一気に凍りついた。みな、ありがとう。お兄ちゃんは心から感謝するぞ。

 

 そんな事をしていると、姉貴は俺の部屋から出ていった。

 

「ふん、せいぜい苦しんで、そのまま死んでしまえばいいのに。」

「おい…皮肉を言うために、わざわざ……俺の部屋に、来たのかよ…」

 

 姉貴に向かって突っ込むが、いつもの勢いはなく、弱々しい声になってしまった。何か色々と屈辱…

 

「それじゃあおにーちゃん、私、学校に行くから。遅くなるけど我慢して待っててね?」

「う、うん。言ってらっしゃい。」

 

 涙目になって俺に渋々手を振るみなは、姉貴と違って本気で俺の事を心配しているようだった。お兄ちゃん、2回目の感動だよ。みなの優しさに涙が出そうだったぜ…。

 

 

 

 

 改めて部屋で一人になると、とても静かだった。

 

 暑さしのぎの扇風機の音と、時計のカチ、カチ、カチとなる秒針の音、道路の方から聴こえてくる車が通る音位が、俺の耳に届いた。

 

 

 からだの方は、まだ熱くて、下がりそうにはなかった。頭に冷えピタを貼っていて、額からひんやりとした感じが少しずつ広がってきた。時々咳をするのが少し苦しいが、それ以外はだんだんと良くなってきた。薬が効いてきたのだろう。

 

 俺は目を閉じて、大きく深呼吸をしてから、眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん、ふぁ~。…………今、何時だ?」

 

 時計に眼をやると、現在午後4時30分丁度だった。この時間帯は、部活が終わる時間帯だ。6月の中旬か、下旬に確か中総体があって、勝った部はそのまま部活延長できて、県大会を目指し、負けた部はソコで3年生が引退となる。のだけれど……

 

 因みに、うちの学校は運動部が強く、どこも勝って県大会出場だった。改めて俺の学校は、どんなチート学校だよ…。そう、心から思ったのだった。

 

 

「うぇ…、Tシャツが汗でベトベトだ。着替えねーと。」

 

 朝と比べると、だいぶ良くなってきて、体も完璧ではないが、十分に動かすことが出来るようになってきた。やっぱり寝ることって大切なんだな。いい勉強になった。

 

 

 今、俺の部屋には着替えるようなTシャツが無い。昨日まとめて洗ってしまい、畳んだ服が全てリビングに置いてあるので、取ってこないといけない。

 

 

 俺は汗で濡れてしまったTシャツを部屋で脱ぎ、上半身裸の状態で、1階に降りた、姉貴が帰ってくる時刻でもなければ、みなも遅くなると言っていたので、変な格好をしても、この家には俺一人だけなので問題ない。ハズだった。

 

 

 

 

 

「お邪魔しまーす!!」

「ただいま~。」

 

 

 

 

──えっ?

 

 俺は脱衣場にある洗濯機にTシャツを突っ込んで、脱衣場のドアを開けたそのタイミングで、姉貴が美帆さんを連れて帰ってきやがったのだ。

 

 つまり……

 

 

 

 

「あの…」

「コッチ見んなキモい…。」

「キャアーーー、まもるくんの裸だぁー!!」

 

 俺はなんともいえないような顔で

 

 

 姉貴は汚物でもみるかのような冷たい眼で

 

 

 美帆さんは…嬉しそうに叫んで

 

 

 

 

 それぞれの感想を持ちながら、俺と姉貴の間に静寂が走った。

 

 唯一煩いと言えば、美帆さんが何かを発している。ってことだけだ。

 

「私、自分の部屋に行くから。美帆さんをよろしく。あと、変なことしたらマジでミンチにしてぶっ殺すから。」

「あっ、うん。了解しました。」

 

 玄関で固まっていた姉貴が、呆れたような顔で自分の部屋に向かった。しかもよりによって美帆さんを残して…。

 

「…俺、ちょっと服着ますね。」

「えぇ~。そのまんまでもいいのにぃ~。」

 

 頬をプクーと膨らませて抗議する美帆さんを置いて、俺はリビングに向かった。

 

 俺の後を続くように、美帆さんはリビングに入ると、近くにあったソファーに腰をかけて、マジマジと俺の着替える様子を、笑顔で観察していた。

 

 

 言いたいことはたくさんあるけれど、俺は敢えて何も喋らずに、上を着た。着替え終わると、俺はなんとなく、美帆さんの隣に腰をおろした。

 

「風邪は、もういいの?」

「あっ、はい。寝ている間に良くなりました。今はもう大丈夫です。」

「えぇ~。」

 

 眉毛を八の字にして、残念そうに声を漏らし、脚をパタパタと動かしている姿は、小さい子供のようだった。

 

 

「せっかくお粥作ってあげようとしたのに…、それに、ちゃんとシミュレーションもしてきたんだよ? なのに~!」

「…シミュレーション……?」

 

 美帆さんの文の中で、1つ気になった点があったので、同じことを繰り返してみた。すると、美帆さんは笑顔で頷き、学校で想像した、俺の看病を話始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 美帆side

 

『それじゃ、あのアホをよろしくお願いしますね。』

『うん。』

 

 

 イケメン顔のレイちゃんが微笑みながら、すたすたと階段を上がっていったので、それにわたしは続いた。

 

 今日、大好きなまもるくんが夏風邪を引いてしまったらしい。その事を、部活動中レイちゃんから聞いたわたしは、一肌脱ぐことにした。制服のボタンを1つずつ外そうとしたけれど、レイちゃんが慌てて『美帆さん、何やってるんですか!?』と、止めに入ってきてしまったので、服を脱ぐことは出来なかった。

 

───一肌脱ぐって、そう言う事じゃないの?

 

 

 そんな疑問が生まれたので、レイちゃんに訊いてみると『全然違いますよ…』と、呆れられたような顔をされてしまった。ひ、酷いよレイちゃん…ソコまで冷たい眼でわたしをみないでぇ~!

 

 

 

 

 まぁ、そんなことがあり、今の状況になっていると言うワケですね。

 

『ここですよ。真守の部屋、それでは私は自分の部屋に行くので、真守をよろしくお願いします。』

 

 ペコリと頭を軽く下げたレイちゃんの頭を、優しく撫で撫でしてあげると、嬉しそうにレイちゃんは顔をあげてくれた。

 

 

 

 

『よ、よしっ、平常心…へいじょーしん……っと。』

 

 まもるくんのドアをコンコンコンと、三回中指でノックすると、『は、い…。』と、中から弱々しいまもるくんの声が聴こえた。

 

 ドキドキしている自分の胸に手を当ててから、わたしはまもるくんの部屋に一歩、脚を踏み入れた。

 

 中に入ってみると、男の子らしい物が置いてあった。机から顔を上げた時にみえる壁には、プロのサッカー選手のポスターや、アニメのキャラクター等が貼ってあり、机の反対側には、たくさんの本や漫画が整頓されてある本棚に、タンスの上にある音楽機器。机の真横にあるベッド、そして、四隅のうちの左上の角に、テレビとゲーム機が華麗に整備されて、全体的に青色で統一されてあった。

 

 

 

 

 何か…

 

『凄い…』

 

 わたしが感激していると、まもるくんは苦しそうに起き上がった。

 

『美帆さん…? スミマセン…ケホッ、今俺、ちょっと風邪をひいて…ケホッ。』

『あっ、うん。それはレイちゃんから聞いたよ。だからね…なんと、わたしが看病することにしました!』

『ホントですか? あ、ありがとうございます…ケホッ、ケホッ。』

 

 

 いつもと違って、元気さを失っているまもるくんは、とても苦しそうだけど、わたしからしたらとても新鮮で、嬉しかったような気がした。

 

 

 普段まもるくんが見せない一面、みれて得したな~! ふふっ。

 

 わたしはベッドで横になっているまもるくんの近くに座って、部活中に作ったお粥を取り出した。

 

『まもるくん、食欲は?』

『ん…と、少しだけ…』

『わかった。それじゃあ……わたしが食べさせてあげるね♪』

 

 少し冷めてしまったお粥を、プラスチックのスプーンでかき混ぜてから、まもるくんの口許に持っていき『あーん。』と言うが、横になっているまもるくんは凄く食べにくそうだった。

 

 

『んー。まもるくん、食べにくそうだな……あっ、そーだっ♪』

 

 わたしはまもるくんの使ったスプーンにお粥をすくって、自分の口の中に入れた。

 

 そう、食べにくいなら、直接口移しさせればいいんだよ! どーしよう!! 名案過ぎてすごいねっ!!!

 

 

 わたしは何回かお粥をを噛んでから、ゆっくりとまもるくんに近づき……そしてっ…!

 

『モグモグ、チッュ、んっ…///』

『んっ!? …んっ、くちyu「ストォーーーーーーーープッ!!!!!」

 

 

 突然、まもるくんが大声を出して、わたしの話を遮った。 もー。駄目だよまもるくん、これからが山場だったのに…このあと二人は更に激しく求めあってついには…「美帆さーーーん!!?」

 

「何を考えてるんですか!? そろそろ病院いった方がいいですよっ!?」

 

 耳まで真っ赤にして、まもるくんは立ち上がりながら叫んだ。その様子から察するに、とてつもなく恥ずかしかったのだろう。ふふふっ、ソコまで本気にしなくて良いのに…。

 

 

「ってか美帆さん。何でも俺の部屋の構造ををしってんですか!?」

「あぁ、それはね、レイちゃんから聞いたんだー♪」

 

 

 わたしは納得しきれていないまもるくんを一端ソファーにもう一度座らせてから、話を始めた。

 

 

 

「いきなりだけど、わたしね、将来は素敵なお嫁さんになるのが夢なんだ。」

「……夢?」

 

 

 驚いたような顔をしてから、まもるくんは何か納得したような顔に戻してから、わたしに聞き返してきた。

 

「うん。ほら、わたしってさ、家事以外取り柄何もないの。だから、素敵な旦那さんと結婚して、その人を隣で支えるのが、わたしの小さい頃からの夢なんだ。」

 

 

 

 わたしは眼を綴じて、まもるくんの左肩に頭をソッと乗せた。

 

「いいと思いますよ。確かに美帆さん、家事とか得意そうですしね。」

「そうでしょ? そして、こう言うの。あなた、今日はご飯にする? お風呂にする? それとも……」

 

 何かを感ずいたのか、まもるくんはビクッと体を震わせて離れようとしたが、それをわたしは阻止した。まもるくんの左腕をわたしの右手で掴んで、わてしはまもるくんの膝の上にストンと乗った。そして極めつけに、わたしの胸をまもるくんの胸にぐぐっと押し当てて近づき、まもるくんの真っ赤かな耳許で、息を吐くように、優しい、細い声で呟いた。

 

 

 

 

 

 

「わ、た、し?」

 

 言い終わってから、体を離すと、全身が赤くなったまもるくんが居た。眼鏡がずり落ちて、少しボーッとしてしまっている。ふふ、効果抜群だったね。これはきっと。

 

 

「それで、まもるくんはどれを選ぶの?」

 

 笑顔で訊いてみると、まもるくんは俯いて小さく呟いた。これはもう、わたしを選ぶしかないよね! そう確信していたのに……

 

 

「テレビを観る。で。」

「えぇー! それは無いよまもるくぅーん!!」

 

 負けた。やっぱり、この超鈍感男には、直接の告白しかないようだ。うぅ……しぶといデスネー。マモルクン。

 

 

 

「それでは美帆さん、降りてください。」

「ブウー。」

「降りてください。」

「えぇー、うぅ。やだよー!」

「降りろ。」

「はいっ!」

 

 そのあとは、帰るまで口をきいてくれませんでした。とほほ……ふざけすぎました。深く反省してます。

 

 こうしてわたしとまもるくんの1日が終わったのでした!!

 

 

 

 

 




今回はいつもより長かったですね

これからも頑張りますのでぜひぜひ感想や評価してください。

感想&指摘よろしくお願いします!!

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