何故俺は鈍感と言われるのか解らない   作:元気

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久々の投稿ですね…

最近ネタが無くなって、全然書けない…(ただの言い訳)



お気に入り85を越えました!! UA11.000越えました!!

ありがとうございます!!(涙)



鈍感男は苦労する

 6月中旬にさしかかり、いつもの時間より、倍長く、部活をする権利が与えられる時期だ。それもそのはず、なんにせ、3年生からしたら、最後の『中総体』があるからである。

 

 

 野球部、サッカー部、バスケ部、テニス部、卓球部、陸上部、水泳部、剣道部、柔道部、バドミントン部等々。

 

 

 3年生からしたら、3年間の努力と想いの全てを、その大会にぶつけるのだ。しかし、この世界は残酷だ。勝つ者もいれば、もちろん負ける者も出てくる。

 

 

 

 一生懸命頑張って、努力して、挑んでも、負けないと気持ちを作っても、強者には、どうあがいたって負ける。ならば、負けるのだったらば、始めから頑張る必要がない。そう思う者もいるだろう。しかし、そう思っていても、負ければ誰だって悔しい、それが人間だからだ。

 

 本当に負けてもいいと思っているなら、始めからその部には入らないし、入ったとしても、すぐに辞めて違う部活に転部するだろう。

 

 

 

 

 3年間続けていたから、負けたくないと思えるプライドがあるのだろう。俺はあくまでもそう思っている。

 

 

 

 

 さて、熱く語ってしまったが、もちろん、部延長をするのは運動部だけとは限らない。

 

 俺が所属している演劇部も、9月に行われる『演劇大会』に向けて、練習を続けているのだ。

 

 

「フハハハッ!! それでもお前は勇者か?」

「……ふっ、あぁ! 勇者だ!」

 

 勇者役の先輩が、右腰辺りにある剣を、勢いよく抜き取り、剣先を魔王役の先輩に向けた。

 

 

 

 

 ……だが、第3者の大声により、劇の続きが断ち切られてしまう。

 

「はいストォーープッ!! 勇者!! お前は町の勇者なのだろう? 何で魔王のあつに圧されているんだよっ!!?」

「す、すまん…」

 

 勇者役の先輩は、申し訳なさそうに頭を掻いた。

 

 

 この劇、『ナルシスト勇者と泣き虫魔王』の総合監督──演芸 貴意(えんげ きい)先輩。あの生徒会の男子二人組の1人、モブキャラだった人だ。

 

 貴意先輩は、生徒会副会長であり、演劇部の部長、またのなを『鬼畜監督』だ。

 

 

「確かにナルシストな勇者は難しい…だがしかーし!! 何のために今まで苦痛トレーニングをやってきたと思っている!」

 

 鬼監督が言う、自称【苦痛トレーニング】とは、鬼畜監督…貴意先輩が指定した性格を、1週間、毎日演じる。と言う内容だ。

 

 もちろん、学校だけではない。メンドクサイことに家でも演じることになっている。

 

 

 そんなのサボればいいじゃんか。と、思うかも知れない。が、貴意先輩はなみの人ではない。演技を一通り観ただけで、わかってしまうのである。そうなるともう、ただの変態監督だ。

 

 

「さぁ、やってみろ! お前ならできるぅう!!」

 

 あぁ、熱血モードに入ったよ。この人。

 

 いつもはもう少し大人しい生徒会副会長だが、演劇の時だけは一味も二味も違う。1回スイッチが入ってしまうと、熱血教師とほぼ同じレベルになるぼとに熱くなってしまう。まぁ、ある人が来ると、熱血モードが一瞬で解除するんだけどな。温度差が激しい副会長兼部長である。

 

 

 

「……ふっ、あぁ! 勇者だ!」

 

 文字をみたら、何も変わっていないようにみえるが、実際、何も変わっていない。俺の耳がおかしくなければ、先程と同じように聞こえるが、監督さんはなんと言うのか期待だ。

 

「どーーーしたっ勇者!? さっきと何も変わっていn「真守くんと貴意くん居る?」

 

 

 ナルシスト勇者の台詞が変わっていないことを指摘しようとした貴意先輩のスイッチが、今 、一瞬にしてOFFに切り替わった。

 

「おう、オレと真守ならここにいるぞ?」

 

 

 爽やかな笑顔を萌那さんに向けながら、右手をあげる貴意先輩。先程とは一変して、今は爽やか系男子に戻っている。

 

 

 ここで察した人も多いかもしれない。そう、貴意先輩は萌那さんが好きなのである。なので、ついさっき言った、ある人とは、学校1モテる内井 萌那さんのことである。

 

「よかった、よかった。ちょうど今から、生徒会室で色々と話し合うことになってね、呼びにきたんだけど。今、大丈夫だった?」

 

 首を傾げて訊いてくる萌那さんを直視した貴意先輩は、爽やか笑顔のまま「あぁ、勿論だよ。内井さんのためなら今すぐにでも。」と言った。

 

 

 

 前言撤回。少し大人しいと言ったが、大人しいんじゃなくて、性格が大幅に変わる。の方が正しかったな。間違えた、間違えた。

 

 

「真守くんの方は?」

 

 一人で苦笑いを浮かべて貴意先輩を見ていた俺に、萌那さんは貴意先輩と同じことを訊いてきたので、俺も「大丈夫です。」とだけ答えておいた。いや、さすがにねぇ? ここで馴れ馴れしく萌那さんと会話すると、ある人の機嫌がちょっと悪くなるのでね……ね。

 

 

「よかったー。それじゃあ、いこ?」

 

 萌那さんの満面の笑みを間近で見た貴意先輩は、頬を赤く染め上げて

 

 

「そ、そうだな。行くぞ真守。……内井さん。」

 

 

 そう言いながらも、口許は何かを堪えるかのように固く結んでいるが、ぷるぷると震えて限界が近そうだったし、ぷるぷしているのは唇だけではなく、肩も微かに震えていた。……まあ、一言で言うと、貴意先輩は萌那さんを見て悶えているのだろう。

 

 

 そんな萌那さんの事が大好きな貴意先輩の後に続いて歩くと、俺の隣に萌那さんが続いて歩いてきた。

 

「そういえば真守くん、部活の調子はどう?」

「えっ、と。まぁ、いい感じに出来上がっていると思います…よ。」

 

 

 萌那さーん。何故それを俺に、訊いたんですかね!? 目の前に監督が居ますよね? わかってて言ってるんですかね!?

 

 

 ホラ、萌那さんが俺にはなしかけてきたから、貴意先輩、ムッとした顔で俺のこと睨んでますよ? ねぇ?

 

 そんな俺の心を読めるはずもなく、萌那さんは容赦なく、俺に話しかけてきた。

 

「へぇー。因みに真守くんは何の役をするの?」

「えーと、勇者のお供をする魔法使いです。」

「ほほぉ、真守くんは魔法使いか、いい配置じゃないか。」

「あ、アザーす。」

「どんな内容なの?」

 

 くっ、なんて手強い相手だ…流石よっシーの姉である。話の終わりがみえてこないぞ…このままだと、鬼畜監督が……

 

「内容は言っちゃダメだよ真守。企業秘密だからね。」

 

 後ろを向いて、かっこよく右目でウインクし、右手の人差し指を立てて口許に持っていくポーズ。いわゆる『内緒っ♪』ってやつを、男である貴意先輩がやった。

 

 

 貴意先輩は、フツーにしていれば格好いいしイケメンだ。だけども、色々と残念な人なのである。例えば、性格がね。と、前に杏さんが言っていた様な気がした。

 

 俺の印象もそんな感じである。普段はいい先輩をしているけど、萌那さんの前とかでカッコつけている先輩をみると、正直に言うけど苦笑いしかできない。何て言うか…こう、痛いのだ。

 

 

 普段は爽やか系男子だが、好きな人の前になると、ヘタレひ弱残念男子、なおかつ演劇になると熱血漢になる得点つき。ハァ、まさに残念男子だ(笑)。と、杏さんが軽蔑したような目で言っていたのを思い出した。なんか、とことん可哀想な先輩である。

 

 なんだかんだで生徒会室に着くと、俺はある用事を思い出した。

 

 

 

 ヤバい……陽乃ちゃんと、月乃ちゃんに演技を教えるんだった。

 

 生徒会室のドアに手を置いたまま、固まる。背中から嫌な汗がつたり、手からも汗が吹き出てきた。不味い。

 

 

 

 

 約束を交わしたときに、陽乃ちゃんがこう言っていた。

 

 

「センパイ。私達はあの変な監督さんからスカウトを受けて、わざわざセンパイのいる演劇部に転部してきました。なので、色々と教えてください。センパイなら断りませんよね? ね? あと、これは別にセンパイと一緒に練習がしたいんじゃなくて、あくまでも…『あ・く・ま・で・も』私達のためでから、ソコのところは勘違いしないでくださいよ。良いですか?」

 

 

 そして最後に、俺の胸ぐらを掴んでから

 

「もしも来なかったり、一秒でも遅れてきたときには………センパイに酷いことしますから。」

 

 

 

 

 その時の陽乃ちゃんの顔は、悪魔にとりつかれているのではないかと疑ったほど、ヤバい顔をしていた。

 

 

 不味い。

 

 体中からどっと汗が出てきて、止まりそうにない。息もどんどん苦しくなっていて、自分の精神状態が危うい事は理解できた。

 

 

 さて、どうしたものか……

 

 陽乃ちゃんの威圧感に脳が殺られて、ネガティブ思考になってきているうえに、頭が回らなくなっている。更に目眩までしてきた……ヤバい、マジでどうしよう。陽乃ちゃんのあの顔はマジの顔だったからな…。下手したら死ぬぞ。

 

 

 未来の俺を想像してみる。陽乃ちゃんに何かを殺られて、心と体がボロボロになり、服は所々張り裂け、そして、周りに誰もいない、暗く、冷たい地面で俺は独り、ひっそりと干からびて死んでいく。…………コワッ!?

 

 

「真守くん? どうしたの、席に着きなよ?」

 

 萌那さんにの声が聴こえて、ハッとする。俺は、現実に引き戻された。

 

 顔をあげると、既に皆が各自、自分の席に座って、生徒会室に置いてある青いファイルから、今日の内容が細かく書かれてあるプリントを出して待機していた。

 

 

「あっ、はい。今……座ります。」

 

 首を横に振って悪い考えを頭から無理やり追い払い、俺は自分の席に静かに座った。

 

 

 俺が席に着いたことを確認してから、会長の萌那さんは、会議を進めるために、ホワイトボードの目の前に立ち、号令をかけた。

 

「起立っ、これから、今年の中総体に向けての話し合いを始めます。お願いしますっ!」

『お願いします!』

「着席っ!」

 

 萌那さんの明るい声が、左耳から入ってきて、右耳から流れてしまって、話に集中することができなかった。俺の頭の中では、『死んだ』の3文字だけが、脳にこびりついている。なので、まあ、ほとんど聞いていない。

 

 

「それでは、意見を出してください。今日は、これをまとめたら部活に戻ってもいいので、早く部活に行きたい人は、パッぱと意見を出しましょう!」

 

 その言葉を聞いた瞬間、俺の脳ミソが覚醒した。

 

 それと同時に、俺は挙手をする。

 

「ハイッ、真守くん。」

 

 ニッコリと笑っている萌那さんが一瞬天使に見えた。それほどに萌那さんはいい笑顔をしていたのである。

 

「はい。今年の中総体は……」

 

 

 そのあとは、俺の頭をフル回転させて、たくさんの意見をとにかく出しまくった。一刻も早く陽乃ちゃんと月乃ちゃんの約束を守るために。

 

 

 そして……

 

「ハイッ! 真守くんの頑張りのお陰で、約16分で終わることができました。みんなー、真守くんに感謝するんだよ? ハイ、それでは今日はかいさーん!」

 

 

 ハァ、ハァ、ハァ。なんとか、5時には間に合った。時計を確認すると、現在の時刻は4時38分。走って部室まで行っても約1分。余裕で間に合うことができる。

 

「ふぅー。」

 

 一安心して、たまっていた不安を、息を吐くと同時に一緒に出す。よかった。陽乃ちゃん、なにしだすか解んないからな。美帆さんみたいに…。

 

 

 そんなことを思っていると、俺の所に萌那さんが近寄ってきた。

 

「真守くん、オツカレサマー。」

 

 俺の髪の毛をぐしゃぐしゃにして萌那さんはそう言った。

 

 

「相当急いでたんだね。メチャクチャ顔が必死だったよ? なんか用でもあったのかな?」

 

 

 流石は萌那さん。観察力が鋭いですね。この人はこーゆー所とか、優しいところとかがあるのが、皆からの人気がある秘訣なのではないかと、今、俺は思った。

 

「ちょっと後輩の子と約束を…」

「……………へぇー。」

 

 少し口を尖らせて、ムッとした表情をする萌那さん。何がいけなかったのか俺には解らないが、気のせいではない限り、萌那さんは何かに少し怒っているように見える。

 

 

 何となく萌那さんを見ていると、萌那さんは同じ表情のまま、俺の頬を思いっきり引っ張ってきた。……痛い。

 

「ふーんだ。真守くん何て、約束破ってお仕置きされればいいんだ。」

「なんかひどいっひゅね。」

「…ベーだ。」

 

 未だに頬を引っ張られているため、日本語が少し変になる。………ってか、萌那さん、力入れすぎじゃないですかね?そろそろ痛くて涙が出ちゃうんですけど……

 

「ハァー。ホントに君は、鈍感なんだから。」

 

 

 深い、深い溜め息を大袈裟について、萌那さんは呆れたような顔で俺を見てきた。

 

「俺…なんか悪いことしましたかね?」

 

 赤くなって、少しヒリヒリする頬を右手で擦りながら、俺は萌那さんを見上げた。俺は現在、自分の席に座っているため、立っている萌那さんを見るためには、見上げるしかないのである。

 

 

 そんな俺と数秒ぐらい視線をぶつけ合うと、萌那さんは、もう一度深い溜め息を吐いてから、俺の髪の毛を、先程とは違って、今度は丁寧に撫でてくれた。

 

「やっぱり君には、直接伝えるしかないみたいだね。でも、今の私にはまだ難しいんだ。だから…もう少しこの関係で待っててくれるかな?」

 

 

 優しい口調で、可愛い笑顔で、萌那さんは俺にそう、囁くような細い声で、言った。

 

 何のことか全然解らない俺は、萌那さんの笑顔につられて微笑みながら、返事を返した。

 

 

「よく解らないですけど…俺でよければ、いつでも待ちますよ?」

 

 そう言うと、萌那さんは、可愛い笑顔から、弾けたような、はにかんだ元気一杯の、まるで、小さな子供のように、無邪気な笑顔で頷き、言った。

 

「ありがとう!」

 

 

 その時の萌那さんの笑顔は、俺の目と心に、しっかりと焼き付いたのだった。

 

 

 




むぅ、すこし告白っぽかったなー。

まぁいいか(笑)。

最近『このすば』にハマり、小説を読みまくっている作者…



茜「クズでダメな作者だな。」 グサッ

陽乃「まったくです。この〇〇〇作者…」グサッ!

ひかる「もう、やめちゃいなよ♪」グサグサッ!!


ヒデーコイツら…出番無くしてやる………

これからも頑張りますので、よろしくお願いします!

感想&指摘よろしくお願いします!



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