何故俺は鈍感と言われるのか解らない   作:元気

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春休みまでもうすこしー。

大量の部活までもうすこしー。


鈍感男と朝一

 6/12 2:02 [塚崎家2階]

 

「えへへ、おにーちゃん♪」

 

 深夜の静かな時間。誰もが深い眠りについているときに、塚崎家長男の、塚崎 真守しか寝ていないハズのベッドが、モゾモゾと動いた。

 

 毛布から顔を出して、真守の隣に横になっているのは、塚崎家次女で末っ子の、塚崎 美奈。かわいい顔をして、コミュ障の男嫌い。女子校に通っている中学1年生だ。……中学1年生だ。

 

 

 

「やっぱり、おにーちゃんと寝ると、安心できるなぁ~♪」

 

 真守の胸に、頬をスリスリしながら小さく呟く小悪魔。

 

 塚崎 真守の1日は、ここから始まるのである。

 

 

 

 6/12 6:42 [塚崎家2階]

 

「おにーちゃん、起きて、寝坊しちゃうよ?」

 

 ゆさゆさと、隣で規制正しい寝息をたてた、実の兄を、塚崎 美奈は揺らして起こしていた。

 

 朝が弱いせいか、起きる気配がしないと悟った美奈は、1つ、溜め息をついてから、真守の布団に潜り込んだ。ゴソゴソと奇妙に動く布団。その原因は、顔をニヤリとさせた、塚崎 美奈の仕業だった。

 

「起きないといけないのに……もぅ…」

 

 

 そう言いながら、寝ている真守の隣に並ぶように寝転がった。

 

 

 最近の美奈はこうして、カッコいい兄の寝顔を堪能するのが流行りだ。流行りといっても、いつも同じようにしているのだが…。

 

 ニッコリした顔で、寝ている真守の顔に手を伸ばして、そして…触れてみる。

 

 男性だけれど、プニッとした感触が、美奈の人差し指を包み込んだ。フニフニと、何度も同じ行動を続けてみると、真守が「うぅん…」と、唸り始めたので、名残惜しそうな顔をして、真守の温もりがある布団から出た。

 

 

 それを見計らったかのように、同時に真守は眠い目を擦りながら、ゆっくりとだが起き上がった。

 

 

 真守が起きるまでの時間…約11分。 現在の時刻…6:53

 

 

 

 そして、美奈は先程の名残惜しそうな顔とは一変、輝くような笑顔でいつもの言葉を言った。

 

「おはよう、おにーちゃん♪」

「…んぁ、おはよう……みな。」

 

 大きいあくびをしながらも、真守は美奈に向かってそう言った。

 

 

 

 

 真守は美奈を部屋から追い出してから、着替えを始める。

 

 先にズボンを穿いてから、ワイシャツに腕を通して着て、ネクタイを締めて、ブレザーを羽織る。これで一通り制服はきおわった。というより、完了した。

 

 昨日準備しておいた鞄を持って一階に降りる。一階に降りると、既に朝食をとり終えた3人が、それぞれ準備を始めている。

 

 塚崎家の大黒柱、塚崎 敬助は、警察署に向かう準備は完了しており、今すぐにでも出発するようだ。

 

「それじゃ、行ってくる。」

『いってらっしゃい~』

 

 家族皆の声が綺麗に揃った。それを聞いていた敬助は、笑顔で家を出たのだった。

 

 

 

 それから約10分くらい後に、真守が朝食を食べ終えて、皿を洗い始めた。

 

 そのころ、塚崎家、弟に容赦のない鬼畜長女の、塚崎 麗は、息子を実験台にする、鬼畜母親の、塚崎 愛美と一緒に、白いソファーに座ってニュースを観ていた。

 

 

「へぇー。あの人あんなに金持ってたんだな…」

「れい。あなたならきっと、お金持ちになれるわよ。」

「…なんで?」

「……漫画家になりなさい。」

「…めんどくさい。やだ。」

「…えぇ~! それじゃあ、スポーツ選手にでも……」

 

 等と、変な会話をするのが日常となっている。

 

 

 7:23 [塚崎家玄関]

 

「行ってきます。」

『いってらっしゃい~。』

 

 敬助と同じような声の調子で、塚崎女性組は、またもや声を揃えて言った。

 

 真守はその声を聞いてから、敬助と同じように、家を出たのだった。

 

 

 

 

 

 7:24 [山下家一階]

 

「ん…」

 

 ボサボサで至るところについた寝癖頭が、重たそうに持ち上がった。

 

 たった今、目を醒ましたのは、山下 朝一である。

 

 

 欠伸をしながら、時計に目を向けるとが、朝一の覚醒する瞬間である。

 

「うわぁぁあああぁあ!!!!!」

 

 奇声をあげてベッドから跳ね起き、そして、とにかく急いで制服を着る。

 

 急いで制服を着たせいで、ボタンはズレて、かけ間違っている。

 

 

「母さん! 起こしてくれたっていいじゃんか!!」

 

 階段をかけ降りてリビングにつくと、椅子に座り、目の前の茶碗にあるご飯を、勢いよく食べ始めた。

 

 その光景を笑いながら見ているのは、山下 朝一の母親だ。

 

 

 常にニコニコと、笑顔を崩さない朝一の母親は、察しの通り、とても優しい。怒ることもなく、息子の成長を楽しみにしているいい母親だ。例え、テストの点数が悪くても、朝一を励まし、やる気を出させる。まさに理想の母親を持った朝一は、自分の母親が自慢だった。

 

 しかし、そんな人でも欠点はある。

 

「ゴメンね朝一。すっかり忘れてたわ。」

 

 

 

 極度の忘れんぼうなのである。

 

「次は頼むよ…母さん。」

 

 別に認知症なのではない。ただ、極度な忘れんぼうなのである。実際にある例だと、お弁当は作ったけれど、箸を忘れたと言うような、そんな感じなのである。

 

 

 その間、僅か1分で朝食をたいらげてしまった朝一は、食器を台所に置いてから、リビングを出た。

 

 リビングを出て、すぐ近くにある右隣の静かな部屋に、1つの仏壇がある。その仏壇の上には、笑顔で写真に写っている男の人が飾られている。歯をみせて笑う写真からして、とても元気だった人なのだろう。

 

 その写真を懐かしそうに見ながら、朝一は仏壇の前に敷いてある座布団に正座し、静かに手を合わせ、目を瞑り、そして、静かに呟いた。

 

「…父さん、行ってきます。」

 

 そう、囁くような細い声を発してから、朝一は鞄を持って玄関に向かい、最近新しくかってもらった靴を履いて、もう一度大きな、明くるい声で言った。

 

「行ってきます!」

 

 笑顔のまま出ていく息子に手を振り、朝一の母親…山下 葉瑠(やました はる)は、小さく呟く

 

 

「さすが、貴方の息子ね。後ろ姿や、性格まで、貴方にそっくり……」

 

 左手の薬指にはめてある、銀色のリングが、太陽に照らされて、キラリと光った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 7:30 [公園]

 

 そのころ、真守が待ち合わせの場所に到着すると同時に、朝一がダッシュで滑り込んだ。

 

「っ!? …おまえ、大丈夫か?」

「おう! 全然ヘーキッ!」

 

 顔の所々に傷ができ、血がドロォっと、溢れてしまっているが、見慣れているのか、真守は何の反応もせずに、スタスタと歩き始めた。そして、朝一は真守に続くように歩く。

 

 

「なぁ、もし、人類が滅ぶって、言われたらさ。何する?」

「…いきなりどうした? さすがにアレは、あさでもマズかったか?」

「そうじゃないけどさ~。真守ならどうするのかなって…」

「う~ん。そうだなぁ…」

 

 真守は歩きながら、顎に手を当てて考え始めた。その光景を息を飲んで見守る朝一。そして、数秒後に答えがでてきた。

 

「その時しだいだからな…わからない。」

「…そうだよな!」

 

 たわいもない話。そんな感じの雰囲気を作り出せるのは、幼馴染みだからこそできるのである。

 

 

 日常と言うものは、いつ可笑しくなって、いつ狂い出すのかわからない。そんな『日常』を、どれだけ大切に過ごすかで、人生は変わっていくのだ。

 

 このとき、朝一はそう改めて思ったのだった。

 

 

 

「んじゃ、俺からも質問。あさは、死ぬ前に何をしてから死にたい?」

「…おなじような気がするけど…まぁ、いいか。」

 

 両手を頭の後ろで組んだまま歩きながら、朝一は考えてみる。そして、こちらも答えを導きだした。

 

 

「俺もわかんねぇー。」

 

 にーっとした顔をして、二人とも顔をみつめあう。そして、同時にドッと笑った。

 

「だよなー。真守も同じこと思ってたか(笑)」

「さすがだな。……やっぱさ、今を生きることが、とても大事なんだよな。」

「今日を生きてるってことは、死んじまった人たちの、生きたかった未来なんだよなー。」

「あさが、良いこと言ってる。奇跡だな。」

「俺だって、たまにはたくさん活躍したいんだよ。この鈍感主人公め…」

「鈍感はよけーだって。」

 

 

 

 笑顔が溢れる『今』を精一杯生きることの大切さを痛感するのはもう少し先の話になるのだった。

 

 

 

 




今いきることは、本当に大切なことなんですよね。

震災とかもう、それを超実感しましたね。

東北の人なので、命を大切にしたいです。



はい、朝一のかいでしたねw

うん。後書き終わるか(笑)

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