これからは出せなかった分、頑張りますっ!!
「真守くん、おはよう。」
「ん? あぁ、おはよう。」
いつも通り教室にはいると、優が眩しいぐらいの輝く笑顔で挨拶をしてきた。
優は学級の委員長をやっているだけで、きちんと制服を着こなしている。
ピシッとリボンを着けて、つい最近、衣替えをしたばかりで、真っ白なブラウスから透き通るような白い肌が出ており、その腕は細くて女の子らしい。スカートの丈は膝から上の位置にあり、走ったら見えるのでは?と、思うくらい短い。まるでよくあるアニメの制服みたいだ。赤いチェックのスカートにリボン。うん。アニメ化も夢ではないな。
そんな冗談を一人で考えていると、優は頬を赤く染めて俯いた。
何事かと思い、あたふたして戸惑っていると、優は恥ずかしそうに、小さく細く呟いた。
「そ、そんなにまじまじ見つめられると……は、恥ずかしいよ///」
「っ!? ご、ごめん……。」
不意討ちだ。中学生の少女らしく、もじもじした感じが可愛さを倍増させて、とても可愛いと思ったじゃないか。流石だ。あの笑顔でいったい何人の男を虜にし、悩ませたのだろうか…。
自分でも分かるくらい熱くなる顔を優から背け、つい黙ってしまう。静かな時間が訪れ、変な空気も漂い始めた。それを感じているのか、優の方も、頬を赤くしたまま俯いて俺と同じように黙ってしまった。
な、何か話さねーと。
不味い空気に耐えられなくなった俺は、適当に話題をふってみることにした。
「ゆ、優ってさ、いつもしっかりしてるうえに、とっても可愛いよな!」
「ふぇ!?//// か、かわっ、かかかか、カワイイッ!?」
「あっ!? …あのっ、えぇと、うぅんと、その、違くて、いや、違くないけど……うん!可愛い!!」
やっちまった……………。
自分の額に手を当てて、心の底から湧き出て止まらない羞恥心を必死に抑える。焦りすぎて変なことをいってしまったことに、とても後悔する。
まったく、何やってるんだよ俺はぁ!!
本当に気まずくなり、2度目の沈黙が二人の間を走った。
俺なんかに可愛いって言われても、誰も嬉しがるヤツなんかいるわけないだろうな。
くそっ。
ごめんな、優。
心の中で頭を下げて謝りながら、優を静かにみつめる。すると、俺の視線に気づいたのか、優は先程と同じように、頬を赤色に染めたまま、俺の目を見る。そして、気まずい沈黙自ら破ったのだった。
「ありがとう、真守くん。 私、嬉しかったよ? これからも、真守くんに「可愛い」って、言われるように頑張るね。だから………そ、その時は…笑顔で言ってくれると嬉しいかな。」
首を少し傾けて、笑顔でそう言った優は、天使にも見えるくらい、とてもいい笑顔を俺に向けた。
優って、実は俺のことを………………まさか、な。
あるはずもない思い込みを、首をふって追い払い、俺も笑顔で、優に向かって言った。
「今の笑顔は、とても可愛かったよ。優。」
「…ふふっ、本当にズルいよね、真守くんは。」
「ん? 俺は、何もズルいことはしてないけど?」
「真守くん。『鈍感』って言葉、しってる?」
「あぁ、もちろん。鈍いことだろ?」
「意味は理解してるんだね。じゃあ、仕方ないか。」
「えっ? なにが?」
「自分でなんとかしてくださーい!」
あぁ、きっとそうだ。そうだったんだ。やっぱり優しいヤツだな。優は。こんな俺のことを……
上ご機嫌のまま、手をふって自分の席に戻る葵 優。
皆のまとめ役で、優しくて、周りをみれる、俺たちの学級委員は……俺のことを──
─【励まして】くれていたんだ。
冴えない俺なんかに褒められても嬉しくないハズなに、わざわざあんなことを言ってくれた。
正直とても嬉しかった。俺に、「可愛い」って言ってもいい自信を与えてくれた。そうか……ちゃんと、TPOを確認してから、言えばいいんだな。ここで俺は改めて、女の子に『可愛い』と言うことの重大さを、優のお陰で再認識することができたのだ。
スッキリした気持ちのまま、俺はよくわからないけど、嬉しい気持ちで胸が一杯になり、自然と笑顔になったのだった。
「おはよっシー!!」
「グハッ。」
不覚。
背後から近づいていた悪魔に気づくことができずに、まんまと首を締められ、空気の通り道を閉ざされてしまった。
ヤバい、コイツ…俺を、殺す気…だ……。
だんだんと意識が遠ざかり、クリアに見えていた視界は、よっシーが抱きついた反動で床に落ちて、眼鏡がない状態のうえ、涙で視界が歪んだままだ。体内の酸素がなくなっていくのがわかり、俺に【死】が近づいてきたのが分かる。俺の首を締めている張本人…よっシーは、死にそうなのに気づかず「おれおれ!」と、無邪気にじゃれて勢いをますだけだった。
本当に…死ぬのか………
あぁ、せめて、誰かを好きになって、その人と恋に落ちたかった……な。
ごめん…………未来の…お嫁さ……ん。
背中からの重みも感じられなくなって、俺はとうとう、目を閉ざしたのだった。
「まもる君が死んだらどうするつもりかな? よ、し、な、り、くん?」
「ん? おっ、ひかるじゃんか! おはよっs、グオッ!?」
「…っ!? ゲホッ、ゲホッ……」
酸素が一気に身体中を駆け巡り、全身に染み渡っていく。それと同時に、大量の酸素を吸いすぎて、床に座り込んで咳きをしてしまった。
苦しい…。そう思えるのは、生きていることの証だ。
そう、俺は……助かったのだ。生きている!!!
初めて死にそうになって、ようやく生きていることの大切さ。を、改めて実感した。うん。生きてるって素晴らしい!!!
床に座り込んだまま、掌を広げてみたり、閉じたりしてみて、何処か異常がないか確認してみた。息はできる。手も、足も、目も、しっかりと動かせる。
【生きる】って、なんて素晴らしいことなんだろう。
「…ほら、みなよ、よしなり君。君が知らず知らずのうちに、まもる君の首を絞めていたせいで、まもる君、可笑しくなっちゃったじゃないか!!」
「いや、俺は正常だから。安心しt「まもるぅーーー!!!」いや、話聞こ?」
俺の肩をがっくんがっくん揺らして「正気かぁーーー!?」と叫んでいるが、一番正気じゃないのはどう考えてもよっシーの方だと思うが…。
そんなことを思いつつ、揺さぶられる俺を助けてくれたのは、またもや笑顔の美少女…美少年のひかるだった。
「落ち着こう、よしなり君。…ね?」
「(ゾゾゾッ)ハイッ!!」
暴走しかけているよっシーの肩をガシッと、真顔で置いているひかるの目は、まるで死神が生きている人間を殺そうとするような、とてつもなく恐ろしい目付きだけど、輝くほどの笑顔で、よっシーの右肩にメリメリと力を加えた。その光景を観てしまった俺は、ガクガクと震えているよっシーの隣に一緒に正座して、静かに俯いた。
ひそひそと、俺とよっシーを変に思った生徒や友達は、ひかるの顔を見てビビる者やクスクスと俺とよっシーを見て笑う者、更には色んな意味で泣き出す者もいた。
そりゃそうだよ。俺は今、教室のドア付近で、ひかるに向かって正座してるんだから……はは。同級生に…だぜ。
そのあとは、チャイムが鳴るギリギリまで、ひかるはよっシーに説教を続けた。
ん? 俺?
俺はなにも言われなかったぞ。ただ、強いて言うなら、時々ひかるの目が、濁っているようにみえたんだ。なんか、「これだからよしなり君はっ!」とかではなく、「まもる君」という単語が出てきた時に、そんな目をする。
何を意味してるかは知らないけどな。
説教から解放され、俺は固まった体を大きく背伸びをしてほぐした。久しぶりにあんなに正座したな~。
何てことを思っていると、ゲッソリとしたよっシーは、フラフラとした、おぼつかない足取りで、自分の席に座り、静かに机に顔を伏せた。あのよっシーが、だ。
いったい……何をしたんだ…ひかるっ!!
何があったのか知るために、ひかるの顔をみてみるが、ニコニコとした輝く笑顔で、言った。
「ボクはいつでも助けに行くからね。」
「お、おう。ありがとう?」
「うん! 安心して、変な奴がきたら、一瞬で消滅させるからっ!!」
「ど、どうやってだよ?」
「う~んとね、背負い投げとか、一本背負いとか?」
「マジで!? ひかるって凄いヤツだったんだな!」
ひかるの意外な特技を知れて良かったような…危なくなったような……。
なにかを忘れているような気がするけど、本能が危ないと言っているので、あえて口に出さなかった。俺はただ、ニッコリしているひかるの無駄に寒気を感じる顔だけを、眺めていた。
スミマセン、茅根の回はもう少し待ってください…
部活ぅ~。多いよぉー、小説かけない~(泣)
できるだけこれから頑張るので、期待して待っていてくださいっ!!!
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