何故俺は鈍感と言われるのか解らない   作:元気

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寒くなってきましたね……はい。更新遅れましたスミマセン……






鈍感男→変人男→変態男→鈍感男

 

 

 

 

 

 

 

 なんだってんだよ……俺ただ胸揉んだだけだろ………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 先程茜に殴られた所を押さえながら、渋々と俺は歩いていた。暖かいと言うよりも、暑すぎるほどの陽射しを太陽が照りつけて、涼しいはずの校舎は、真夏の太陽のせいで若干暖められていた。扇風機の意味無いだろ……。俺は深い溜め息を1つついてから、太陽を睨んだ。

 

 

 俺達の学校は、本格的に暑くなると、各教室に扇風機を1台ずつ置くのだが、それはもう接戦だ。その名も【扇風機争奪戦】。各教室の4すみの何処かに扇風機をおくことができて、そこに割り当てられている班は、代表者を1名出して、教卓の前で戦う。まぁ、ただ単にジャンケンをするだけなのだが……それがもう大変で。前のジャンケンの時なんか、一人が遅れただけでその人が失格になるとか、負けっぱなしのヤツがイラついて、勝ったヤツに殴りかかったりと、命をかけてジャンケンをするのだ。まぁ、俺は真ん中辺りだから、最終的には風は来ないけどな………。

 

 残り時間の少ない昼休み。俺は教室に向かうスピードを上げた。そうでもしないと授業に間に合わないからな。

 

 教室のドアを開けると、むしむししたような空気が漂い、俺の顔をしかめさせた。………たまには授業をサボるのも良いよな?悪い心を持っている俺は、苦笑いをしながらそう思った。たけど、それはみんなも同じか。屋上にいってサボりたい気持ちを堪えて、「入りたくない」と言い張っている重たい足を持ち上げ、みんなのいる教室の中に入った。

 

 

 

 

 

 やっとのことで授業をやりきった俺は、屋上で寝そべっていた。蒸し暑い教室から逃げ出して、すぐにここに来た。嬉しいことに、今日は部活がない。昼よりも倍ましになった屋上で、ウォークマンで曲を聴きながら空を見る。

 

 とても綺麗な青色で、雲1つ無い。太陽はというと、いつものように嫌がる熱さを放って、西に少しずつ動いていく。目を綴じると、ミーン、ミーンと、何匹ものセミが「ここにいます!」とでもいっているかのように、自己主張しながらなく。少し弱い風が吹くと、そこらじゅうにある木々が揺れ、涼しい音を鳴らしていく。

 

 この蒸し暑い季節も終われば、秋がきて、冬が訪れる。雪が溶けると、冬の間に蓄えていた花の種が芽を出す。そして春がきて、また蒸し暑い夏がやってる。

 

 

 

 

 その時の俺は、またこうやって屋上に寝そべって、何を思うだろうか……

 

 

 

 

 未来のことは分からない。知ることはまずない。誰にも分からないんだ。

 

 

 未来を知りたがる人がいるけど、正直俺は、未来が怖い。

 

 

 明日6月になる。だけど、死ぬかもしれない。人間いつ死ぬか分からない。だから俺は未来が怖い。

 

 

 

 

 

 

 …………でもそのぶん、今を生きることを楽しむんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 何かクサいこと考えちまったな。

 

 曲を変えようとウォークマンに手を伸ばそうとした時、ガチャリと、屋上のドアが開いた。

 

 何だろうと思い、ドアの方に目線を移すと、体育祭の時に出会った、双子……確か陽乃ちゃんと月乃ちゃんが、二人の男性と一緒に現れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 えっ…?

 

 何となく居てはいけないと本能が直感し固まる。こ、これって………告白だよな?

 

 奇跡的に気づいていないらしく、そのまま俺は存在感を消した。いやいやいやいや、おかしいだろ……何でこんなにも告白する事を俺は目撃してしまうんだろうか。失礼だろ………

 

 ゴクリと喉を鳴らし、黙って耳を澄ませた。

 

 

「あのっ、陽乃。俺、お前のことが好きだ! だから………お、俺と付き合ってくれっ!」

「ぼ、僕は月乃さんの笑顔が好きです。その笑顔をずっと守ります。なので付き合って下さいっ!!」

 頭を同時に下げて告白する1年生男子組。しかし、頑張って告白した結果は残念に終わった。

 

「私、イケメンで、黒ぶちの眼鏡をかけた、妹持ちの運動神経がよく、なおかつ頭がいい先輩としか付き合えないの、ゴメンね?」

「ゴメン……なさい…。」

 

 

 月乃ちゃんは少し悲しそうな顔をしていて、申し訳ないと言わんばかりに俯いた。が、その妹とは真逆に、陽乃ちゃんは輝かしい笑顔で告白してきた男子の肩をポンッと、軽く叩いた。

 

 

 ビッチだ…………。

 

 

 俺はここで改めて女の子は怖いと再確認したのだった。

 

 

 肩をガックリと落ちて、トボトボとした足どりで屋上を出ていく男子生徒二人。陽乃ちゃんに告白した方の男子なんか、とても残酷なフラれかたをしたので目が潤んでいた。ってか既に泣いていたのかも知れない。その光景を見て、俺は同情してしまった。

 

 

 うん。よく頑張ったよ。俺もあんなフラれかたしたら泣くわ。

 

 

 苦笑いをしながら頷いていたら、月乃ちゃんが俺に気づいたらしく、悲しそうな困り顔で俺のところにトコトコと歩いてきた。月乃ちゃんを不思議に思ったのか、陽乃ちゃんが月乃ちゃんを見ると同時に、俺の事を見つけたらしく、パァと、さっきよりも輝かしい笑顔で近寄ってきた。

 

 

 

「センパーイ! さっきの聞いてたんですか?」

「あ、あぁ……ゴメンな、屋上で満喫してたら何か出くわしてしまって……………。」

「いい…ですよ………告白は…よくされるので………………おねーちゃんが。」

「何いってるのよ月乃。月乃もよく告られるでしょ?」

 

 ジト目で月乃ちゃんを見る陽乃ちゃん。一瞬だがチラッと陽乃ちゃんを見る月乃ちゃんだが、すぐさまプイッと、視線をそらしてしまった。

 

 陽乃ちゃんは溜め息を1つついてから、笑顔に変わると、俺の隣に座ってきた。そして、体を密着してきた。

 

「えっ?」

「先輩、私、先輩のことが好きなんですよ?」

 

 俺の右腕を両手でギュッと掴んで、上目遣いで俺を見る陽乃ちゃん。

 

 その光景を目の当たりにした月乃ちゃんは、とても驚愕していて、細いつり目が最大限に開き、口は開いたままだった。

 

 俺は何があったのか理解できずに、数秒間ぼーっとしていた。そして……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ええええぇぇぇぇ~~~~!?//////」

「あっ、先輩照れてる♪」

 

 右腕に頬擦りをしながら右手を太股で挟んだ。なので、俺の右手の指先は陽乃ちゃんのアソコに………

 

「先輩の………バカッあぁ~~!!」

 

 意識を取り戻した月乃ちゃんが、目にも止まらぬ速さで俺の頬をビンタした。だけどあんまり痛くなかった。

 

「と、突然何するの月乃ちゃんっ!?」

「先輩が…悪いん……です」

 

 そういいながら、陽乃ちゃんとは反対側、つまり、俺の左腕をとって月乃ちゃんの胸に挟まれた。こ、これは……………

 

「非常に不味い……」

 

 

 現在の真守は変態に覚醒している。いつもは、冷静で、優しく、イヤらしい事とは無縁の鈍感男子だったが。今はその真逆。煩く、ドSで、何でもヤる思春期男子だ。なのでこんなことをされたら、襲う意外他にない。これが今の事実だ。

 

 

 

 二人の双子の胸を触り、犯したい気持ちで一杯になる。だが、この小説はR18では無いので、勿論そんなシーンは存在感しない。それに、時間もそれなりに経過しているので、効果も徐々に薄れていっているのだ。

 

「なぁ、離れてくれるか? そうしないと俺の理性が持たないんで。」

「あっ、そうですね。付き合ってからするものですよね♪」

「先輩…………」

 

 陽乃ちゃんは「ウフフッ♪」と、悪魔の笑いをして離れ、月乃ちゃんは物足りなそうに、しゅんと顔を沈ませた。

 

 

 

 コイツら……本当に1年生か?

 

 高校1年生ならまだしも、中学1年生だぞ……もう少し純粋であってくれよ。要らない知識もきっとしってんだろうな………ここで俺はある1人の知り合いの女子高生を思い出した。………………ここまで酷くないことを祈りたいものだな。

 

 そんなことを考えながら、二人の頭を同時に撫でた。この時の真守は、何時もの様に優しい笑顔で撫でており、変態と言う面影は無くなっていた。つまり、薬の効果が思いの外早くきれたのだ。

 

「本当に好きな奴ができたときに、その言葉を言えよ? でないと、君達も大変だし、一番悲しいのは君達の事を心から好きな人が悲しむだろ?」

 

「先輩……」

「おねーちゃん……わかった…?」

 

 月乃ちゃんが嬉しそうに頭を抑えて陽乃ちゃんに向かって言うと、陽乃ちゃんは眉間にシワを寄せてプイッと、視線をそらした。

 

 

 

 

「先輩なんて死んでしまえばいいのに…」

 

「ハアッ!?」

「お、おねーちゃん……」

 

 陽乃ちゃんは頬をピンクに染めて立ち上がり、スカートの裾をパンパンと叩いてから、不機嫌そうに屋上から出ていってしまった。

 

 ポカーンと見ていた俺は、その時、辛そうな表情をしたもう1人の少女に気づくことが出来なかった。

 

「それでは………さようなら…まもる…………先輩…」

「あっ、うん。じゃあな月乃ちゃん。」

 

 月乃ちゃんに手を振って、屋上から居なくなるまで見送ると、先程と性格が真逆になった陽乃ちゃんに疑問を持ちながら、少しオレンジ色に染まった空を、音楽を聴きながらみていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その時、俺はもう帰れると1人で思っていた。だけど、人生はそこまで甘くはなかった。

 

 

 何故なら、このあと俺は、知らない男の人たちに誘拐されてしまうのだから………

 

 

 




治ってきましたね、真守。よかったよかった。

こんなに寒いのに夏の表現するのはとてもあれでした………夏が恋しいです……

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