たぶんほかに類を見ない特典をもっての転生   作:osero11

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 投稿が遅れて申し訳ありませんでした。本当は5月のゴールデンウィークに投稿するつもりだったのですが、いろいろとアクシデントが起きて書き上げられませんでした。

 それと、今回もピクミンの活躍はありません。主人公の出番もほんの少しなので、ご了承ください。どちらかというと、作者自身が戦闘描写に挑戦しているといった感じの話になってしまっていると思いますので、そんなのは御免だ!という方はお読みにならないほうがよろしいかと思います。

 主人公が出ている場面以外は、大体作者が原作を文章で書いてみようと試みた感じになっております。主人公が出てくるのは最初と中ごろ、最後の部分なので、オリジナルにしか興味がないという方はそこの部分だけ読むというのもアリかもしれません。

 それでは、始まります。


第五話 星と雷/ここは(いい意味でも悪い意味でも)ピクミンの巣窟、ミッドチルダなの

 理央が生体ポッドの中に入っていた少女を発見してから数十分後、近くにある陸士部隊――陸士58部隊の隊員たちが事故現場に到着した。

 彼らは現場に着くなり、周辺の道路の封鎖やトラックと積み荷の調査などを始めてくれた。

 

 向こうのほうで呼んでいた救急車も同じころに現場にやってきた。今はちょうど救急隊員が、トラックの運転手を担架に乗せて救急車に運び入れているところだった。

 

「アオバ一等陸佐、お疲れ様です」

 

「お忙しいところ、お手を煩わせてしまい申し訳ありません」

 

 58部隊の隊員が数人、少女を胸に抱いている理央の方にやってきて敬礼した。

 

「いえ、発生した事故への対応は局員として当然の義務ですし、もう帰宅する途中でしたのでお構いなく。それよりも、事故現場を見て気づいたことをデータにしてデバイスにまとめておきましたので、捜査のお役に立てて下さらないでしょうか?」

 

「ああ! ありがとうございます! 何から何までおこなっていただいて申し訳ありません」

 

「いえ。ドルフィン、さっきまとめたデータをこの人のデバイスに送って」

 

『OK,captain.』 

 

 理央の命令とともに、彼女の笛型デバイスから隊員が持っているデバイスにデータが転送された。ちょうどデータを転送し終えたとき、一人の救急隊員が理央のもとにやってきて話しかけてきた。

 

「あの……アオバ一佐」

 

「なんでしょうか」

 

「その子も事故現場にいたのですよね。一見けがはないようですが、万が一ということもあるので、できれば彼女も病院に搬送して精密検査を受けさせたいのですが……」

 

「わかりました。ですが……」

 

「? どうしましたか?」

 

 少しのあいだ口ごもった理央に、救急隊員は疑問を覚えたが、すぐに理央は言葉を続け直した。

 

「……この子が目覚めたとき、さっきまで傍にいたはずの私がいなくなっていると不安になるかもしれないので、私も同行してもよろしいでしょうか」

 

「……わかりました。では、一緒に車の方へ」

 

「ありがとうございます。……すみません、そういうわけで現場検証にはこれ以上協力できません。通報したのは私なのに、ご迷惑をおかけして申し訳ありません」

 

「いえ! もともとアオバ一佐はすでに本来の仕事を終えていらっしゃるので、どうぞお気になさらないでください。むしろ、ここまでご協力してくださったのですから、我々の方が頭が上がりませんよ」

 

「それに、現場検証よりもその子を安心させてあげることの方が大事ですわ。やっぱり、『七色の英雄』のお名前は伊達じゃないんですね!」

 

「は、ははは…。(今の流れでどうして『英雄』になるの?)それでは、失礼します」

 

「「はっ! お疲れさまであります!」」

 

 隊員たちの敬礼を背に、理央は少女を抱えたまま救急車に乗り、車の中のベッドの上に少女を下ろした。そして、理央と少女を乗せた救急車は最寄りの病院に向けて出発した。

 

 ベッドの上で静かに寝息を立てている少女の顔を見ながら、理央は一人、物思いにふけっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 なのはをはじめとした機動六課フォワード陣は、現在ガジェットの襲撃によって制御不能の事態に陥っているリニアレールが走る山岳地帯の上空を飛んでいるヘリに乗っていた。

 ヘリを操縦しているのは、機動六課のヘリパイロットを務めるヴァイス・グランセニック陸曹である。

 彼は、ヘリ操縦士としては最高位のA級ライセンスを保有するパイロットであり、飛行魔法を使うことができない新人たちの主な移動手段であるヘリの操縦を任せるのに十分すぎるほどの人材であった。

 

 現場のほうでは、リニアレールを襲撃している最中のガジェットⅠ型に加え、その付近の上空からは航空型のガジェットⅡ型が出現し、その貨物車両に向かいつつあった。

 一方、市街地にいるフェイトはパーキングに到着し、車をそこに停めて飛行魔法で現場に向かうところだった。

 

「ヴァイス君、私も出るよ! フェイト隊長と二人で空を抑える!」

 

「うっす! なのはさん、お願いします!」

 

 暴走するリニアレールの上を飛んでいるヘリの中で、なのははこれから来るフェイトとともに上空のガジェットⅡ型を迎え撃つ旨を操縦士のヴァイスに伝え、ヴァイスはそれに応じた。

 

『Main hatch,open』

 

 そして操縦桿近くから聞こえてくる機械の音声とともに、ヘリの後ろのハッチが開かれた。なのははここから飛び出し、飛行魔法で飛んで出撃するのだ。

 

「じゃあ、ちょっと出てくるけど、みんなも頑張って、ズバッとやっつけちゃおう!」

 

「「「はい!」」」

 

「はい!」

 

 なのはからの激励に、スバルとティアナ、エリオはすぐに返事をしたが、キャロだけはほかの三人よりも少し遅れて返事をした。そんな彼女の様子を見ていたなのはは、キャロ……、と名前を優しく呼びかけながら、彼女に歩み寄っていった。

 

「大丈夫だよ、そんなに緊張しなくても……。離れてても、通信でつながってるから、一人じゃない。だからピンチの時は助け合えるし、キャロの魔法はみんなを守ってあげられる優しくて強い力なんだから、ね?」

 

 なのははキャロの頬に手を当てながら、キャロを元気づける言葉をかけた。まっすぐと見つめてくるなのはの目を見て、キャロの緊張は少しほぐれた。

 

 

 

 

 

 フェイトは車を駐車場に停めた後、彼女のインテリジェントデバイス「バルディッシュ・アサルト」をセットアップし、バリアジャケットを身にまとい飛行魔法で空へ飛んだ。

 

「ライトニング1、フェイト・テスタロッサ・ハラオウン、行きます!」

 

 そして大空へと飛び立ったフェイトは、そのまま雲を突き抜け、なのはたちがいる現場へと猛スピードで向かっていくのだった。

 

 

 

 

 

 現場のほうでも、なのはがヘリから飛び降り、首にかけていたインテリジェントデバイス「レイジングハート・エクセリオン」を起動させ、バリアジャケットを装着した。

 

『Accel Fin』

 

 そしてレイジングハートの電子音声とともに魔法「アクセルフィン」が発動された。彼女の足の内側に一枚ずつ、外側に二枚ずつついた、合計六枚の魔力でできた羽が彼女の飛行魔法の補助をしてくれるのだ。

 

「スターズ1、高町なのは、行きます!」

 

 そしてなのはもまた、リニアレールへ向かっているガジェットⅡ型の大軍のもとへ飛んで行った。

 

 一方ヘリの中では、リインが新人四人に任務の詳しい説明をおこなっていた。

 

「任務は二つ、ガジェットを逃走させずに全機破壊すること、そしてレリックを安全に確保すること。ですからスターズ分隊とライトニング分隊、二人ずつのコンビでガジェットを破壊しながら車両前後から中央に向かうです」

 

 リインの近くに浮遊している画面には、レリックを運んでいるリニアレールが映っている。さらに、その七両目の車両がズームして映し出された画像と、レリックが入ったケースの画像が新たに映し出された。

 

「レリックはここ、七両目の重要貨物室。スターズかライトニング、先に到達したほうがレリックを確保するですよ」

 

「「「「はい!」」」

 

 リインからの指示を聞き、新人たちははっきりと返事をした。リインは六課の制服姿からバリアジャケットに着替え、さらに説明を続ける。

 

「私も現場に下りて、管制を担当するです!」

 

 

 

 

 

 リインが説明しているとき、なのはとフェイトはもうガジェットⅡ型のいる空域まで飛んできていた。

 

「こっちの空域は二人で抑える! ロングアーチは新人たちの方のフォローをお願い!」

 

『了解!』

 

 フェイトは機動六課のロングアーチに、通信で新人たちのサポートをするように指示を出し、向こうにいるグリフィスがそれに応じた。そのすぐ後に、ヘリの方から飛んできたなのはとフェイトは合流した。

 

「おんなじ空は久しぶりだね、フェイトちゃん」

 

《うん、なのは。四年ぶりくらいになるかな》

 

 二人は念話で会話していたが、すぐに後方から自分たちに迫ってくる複数のⅡ型の群れに気が付いた。

 さらに、前方から飛んできたⅡ型の群れが、青色のレーザーで二人を攻撃してきた。

 なのははいくつも放たれるレーザーを華麗にかわしながら、桃色の砲撃をほぼノータイムで放った。

 桃色の砲撃は、彼女の前方を飛んでいたⅡ型を何体か破壊したが、さきほどレーザーを放ってきたⅡ型は無傷だった。

 

 なのはにレーザーを放っていたⅡ型は大きく旋回し、彼女の攻撃から逃れようとしていた。

 その時、なのはのブーツについた翼がさらに大きく羽ばたき、彼女の飛行スピードが段違いに上がった。

 移動速度を上げたなのはは、そのまま先ほどのⅡ型の群れの後ろに回り込んだ。

 

『Accel Shooter』

 

 レイジングハートの音声とともに、なのはが発動させた魔法によって大量の誘導弾が作り出され、前を飛んでいる三機のガジェットに向かって発射された。

 桃色の誘導弾はガジェットに直撃、その装甲にいくつもの穴をあけ、撃ち抜かれたガジェット三機はすさまじい爆発を起こして活動を停止した。

 

『Haken Form』

 

 ガジェットの爆発により生じた黒煙の中から、バルディッシュ・アサルトを近接戦闘用のハーケンフォームに切り替えたフェイトが飛び出した。

 本体から直角に展開されたヘッドと、船体から発生している黄色の魔力刃の様子から、さながら今のバルディッシュは鎌のように見えた。

 

「はあああああああ!!」

 

 彼女の掛け声とともに、金色の魔力刃がバルディッシュ本体から勢いよく放たれ、魔力斬撃となって二機のガジェットを切り裂いた。

 そして、機動六課の隊長たち二人とガジェットⅡ型の大軍による激しい空中戦が幕を上げた。

 

 

 

 

 

 一方、ヘリはすでにリニアレールのほぼ真上で滞空しており、新人たちはハッチから車両に飛び降りる準備を終えていた。

 

「さーて新人ども、隊長さんたちが空を抑えてくれてるおかげで安全無事に効果ポイントまで到着だ。準備はいいか!?」

 

「「「「はい!」」」」

 

 ヴァイスは新人たち四人に発破をかけ、四人はしっかりとした返事でそれに答えた。

 

「スターズ3、スバル・ナカジマ!」

 

「スターズ4、ティアナ・ランスター!」

 

「「行きます!」」

 

 まず最初に飛び降りたのは、新人フォワード陣の中では1、2番目に年齢が高いスターズ分隊の二人だった。

 そしてリニアレールへ落ちていく二人は、新たに相棒となったデバイスの名前を呼んだ。

 

「行くよ、『マッハキャリバー』」

 

「お願いね、『クロスミラージュ』」

 

 

 

 ――セットアップ!

 

 

 

『『Standby Ready』』

 

 そして、スバルの持つクリスタル型のデバイス「マッハキャリバー」とティアナの持つカード型のデバイス「クロスミラージュ」が光り輝きながら起動し、二人はバリアジャケットをまとっていった。

 

「次、ライトニング! チビども、初めての実戦だろうが、気をつけてな」

 

「「はい!」」

 

 そして、ライトニング分隊に所属するエリオとキャロが飛び降りる番になった。しかし、下のリニアレールを見るキャロの表情はどこか少し不安げだった。

 今まで自然保護隊に所属していたキャロにとっては、危険を前提としたこういう現場に向かうことは初めてだったのだ。

 そんなキャロが不安になってしまうのもしょうがないことだろう。

 

 

 

 もっとも、それとは別の不安の方がキャロにとっては大きいものなのだが。

 

 

 

 そんなキャロの様子に気付いたエリオは、キャロに笑いかけながら声をかけた。

 

「一緒に降りようか?」

 

「え?」

 

 突然のエリオからの申し出に一瞬キョトンとなったキャロだったが、エリオから手を差し出され、「うん!」と答えながら彼の手を握った。

 

「ライトニング3、エリオ・モンディアル!」

 

「ライトニング4、キャロ・ル・ルシエとフリードリヒ!」

 

「きゅくるー!」

 

「「行きます!」」

 

 そして二人もヘリから飛び降り、彼らの繋がれた腕に装着されたデバイス、「ストラーダ」と「ケリュケイオン」がそれぞれ黄色と桃色の光を放ち始めた。

 

「『ストラーダ』」

 

「『ケリュケイオン』」

 

 

 

 ――セットアップ!

 

 

 

 そして二人もバリアジャケットを装着し、新人たち四人はリニアレールの屋根に無事に着地した。

 

「……あれ? ねえ、このジャケットって……」

 

「もしかして……」

 

 自分たちのバリアジャケットのとある特徴にスバルが気付き、声を上げた。

 エリオとキャロもそれに気が付き、自分たちのバリアジャケットをまじまじと見つめている。

 そこにリインがやってきて説明を始めた。

 

「デザインと性能は各分隊の隊長さんのを参考にしているですよ。ちょっとクセはありますが高性能です」

 

 自分たちの隊長たちのものを参考に設定されたバリアジャケットを見て、ティアナとスバルは少しのあいだ感慨に浸っていた。

 特にスバルの方は、あこがれのなのはと同じようなデザインだからか、うれしそうな表情を浮かべている。

 

「! スバル! 感激は後!」

 

 しかし、すぐにここが現場だということを思いだしたティアナのその一声でスバルは現実に引き戻された。

 その直後、スバルたちの足元近くの屋根が不自然に盛り上がった。そしてそこから、空から飛び降りてきたスバルたちを敵と認識した車内のⅠ型ガジェットによる攻撃が飛び出し、屋根の破片が宙を舞った。

 

『Variable Barret』

 

 敵を認識した二人のデバイスは戦闘態勢に移行し、最初にティアナが「ヴァリアブルバレット」を放つ準備をした。

 

 ヴァリアブルバレットとは、通常の魔力弾の周りに膜状のバリアを張って、それを相手に向かって放つ攻撃魔法である。

 魔力弾を膜状バリアで包むことで、AMFなどのフィールド魔法を外側の魔力の膜だけで中和させ、その間に本命の中身の魔力弾はフィールド内に入り込み、その効果を受けずに対象を攻撃することができる、いわば対フィールド魔法用の射撃魔法なのだ。

 

 ちなみに、普通の射撃ではなく誘導弾に魔力の膜を作る魔法は『ヴァリアブルシュート』と言い、ティアナは機動六課での初めての訓練にて、AMFを発生させるガジェットⅠ型をこの魔法で破壊していた。

 

「シュート!」

 

 ティアナのかけ声とともに放たれた二発の弾丸は、見事AMFに守られているⅠ型の中心にあるカメラを貫通し、Ⅰ型を二体破壊した。

 

「うおおおおおおおー!!」

 

 勇ましいかけ声とともに、破壊された屋根からリニアレールの車内に飛び込んでいったスバルは、母から譲り受けた右腕のアームドデバイス「リボルバーナックル」でガジェットⅠ型を叩き潰した。

 

「たあああああああー!!」

 

 破壊したⅠ型を右手でつかみ、マッハキャリバーを走らせ、スバルはコードを伸ばしてきたⅠ型に向かって、つかんでいるⅠ型を思いっきり投げ飛ばした。

 ごしゃあっ、という音を立てて二体のⅠ型は激突し、その後二体とも爆発四散した。

 

 直後に彼女をレーザーの嵐が襲ったが、スバルは華麗にかわし、再び走り始めた。

 

『Absorb Grip』

 

 マッハキャリバーの電子音声とともにグリップ力が高まり、スバルのスピードはさらに上がり、いくつものレーザーが放たれるなか、スバルはその勢いに乗って車内の壁を走った。

 

「リボルバー……」

 

 右から、左から、そして前から、レーザーが飛んでくるなか、彼女が狙うのは目の前で攻撃をしてくるⅠ型。

 スバルは、リボルバーナックルの手首部分にあるナックルスピナー――魔力を加速、回転の力を加えて撃ち出す、あるいは打撃の威力強化をおこなうための歯車状の機構――を高速で回転させ……

 

「シュート!!」

 

 Ⅰ型に向かって、ナックルを勢いよく突き出した。ナックルスピナーによって発生し、撃ち出された衝撃波がⅠ型に襲い掛かった。

 

 

 

ドグォン!!

 

 

 

「うわわ! ……っと。」

 

 無論Ⅰ型は破壊されたのだが、衝撃波のエネルギーはそれだけでは収まらず、その車両の屋根に大きな穴をあけ、さらにはスバルもその穴から一度外に吹き飛ばされてしまった。

 

『Wing Road』

 

 しかしここで、マッハキャリバーが「ウイングロード」を発動した。

 スバルの足元から水色の帯状の魔法陣が展開され、マッハキャリバーはその上を走っていった。

 そして着地できそうな場所を見つけてから、キャリバーはウイングロードを降り、スバルを無事にリニアレールの屋根に着地させた。

 

「うわぁ……。マッハキャリバー、おまえって、もしかして、かなりすごい?」

 

 スバルは、自分の危機を救ってくれたマッハキャリバーに対して、思わず感嘆の声を漏らした。

 

「加速とか、グリップコントロールとか、それに、ウイングロードまで……」

 

『私はあなたをより強く、より速く走らせるために作り出されましたから』

 

「……うん。でも、マッハキャリバーはAIとはいえ心があるんでしょ? だったら、ちょっと言い方を変えよう」

 

 マッハキャリバーの言葉に、スバルはこう返した。

 

「おまえはね、あたしと一緒に走るために生まれてきたんだよ」

 

 その言葉は、ある意味スバルの出生に深くかかわるものだった。

 

 彼女と姉のギンガは、妹のツバメのように、母クイントがお腹を痛めて産んだ子ではない。

 戦うための『道具』として、戦闘用の機械に適合するように遺伝子を調整され、人工的に作られた生命、それが彼女たち『戦闘機人』だった。

 

 しかし、クイントは彼女たちを、戦いの『道具』として見ることなどせず、心を持った『人間』として今日まで育ててきた。

 そのことにスバルやギンガは、深い母の愛情を感じるとともに、大きな感謝を抱いていた。

 

 だからこそスバルは、マッハキャリバーのことをただの自分の『道具』ではなく、ちゃんとした心を持った自分の『相棒』と思っており、キャリバー自身にもそれを認めてほしかったのだ。

 

『同じ意味に感じます』

 

「そうかもしれないけど違うんだよ~、いろいろと」

 

『考えておきます』

 

「……うん!」

 

 彼女のその思いがキャリバーに通じる日が来るのか、まだだれにもわからない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーミッドチルダ クラナガン第3中央病院ー

 

 理央を乗せた救急車が最寄りの病院に着き、少女は救急隊員や病院からでてきた医師や看護師たちにストレッチャーに乗せられて検査室へと運ばれていった。

 理央は検査室の前まで少女についていったが、少女が検査を受け始めてからは、部屋の前にあるベンチに座って検査が終わるのを待っていた。

 

 しばらくは手を組んでじっと待っていた理央だったが、不意に立ち上がり、近くにいる医師に話しかけた。

 

「お忙しいところすみません、少しよろしいでしょうか」

 

「はい? なんでしょうか?」

 

「今この検査室で検査を受けている少女に関することなのですが、ひとつお願いが……」

 

 それは、理央が落ち着いた状態で彼女の姿と顔を見てから確信していることを、まぎれもない事実として確かめるための頼み事だった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 いまだ暴走するリニアレール、その車両の一つにティアナがいた。彼女の目の前には、漏電し、動かなくなったⅠ型の姿があった。

 

『ティアナ、どうです?』

 

「ダメです! ケーブルの破壊、効果なし!」

 

 ティアナは、そうリインからの通信に答えた。

 彼女はリインの指揮のもと、リニアレールの制御システムにクラッキングしていたガジェットⅠ型をケーベルもろとも破壊したのだ。

 クラッキングしているガジェットを破壊すればリニアレールが止まるかもしれないという予測のもとに行われたのだが、もはやこちらからシステムに干渉しなければ止まらなくなっていたらしく、結果としてはリニアレールの暴走はまだ続いている。

 

『了解! 車両の停止は、私が引き受けるです! ティアナはスバルと合流してください!』

 

「了解!」

 

『One Hand Mode』

 

 リインの指示を受け取ったティアナは、いったん左手の拳銃をクロスミラージュに収納してもらい、次の車両へと走っていった。

 

「しっかし、さすがは最新型。いろいろ便利だし、弾丸精製までサポートしてくれるのね」

 

『はい、不要でしたか?』

 

「アンタみたいに優秀な子に頼りすぎるとあたし的には良くないんだけど、でも、実戦の時には助かるよ」

 

『Thank you』

 

 ティアナがクロスミラージュと会話しながらも目的地まで向かうなか、リニアレールの屋根の上を飛んでいたリインは、通信でロングアーチと情報をやり取りしながら先に進んでいた。

 

「スターズF、四両目で合流。ライトニングF、十両目で戦闘中!」

 

「スターズ1、ライトニング1、制空権獲得!」

 

「ガジェットⅡ型、散開開始! 追撃サポートに入ります!」

 

 機動六課の隊舎にある指令室、そこでシャーリーと通信士のアルト・クラエッタが現場の状況を報告していたとき、出入り口のドアが開き、そこから聖王教会から戻ってきたはやてが指令室に入ってきた。

 

「ごめんなぁ! お待たせ」

 

「八神部隊長!」

 

「お帰りなさい!」

 

 部隊長補佐のグリフィスとシャーリーがはやてに迎えの言葉をかけるなか、部隊長であるはやては指令室にある自分の席に腰かけた。

 席につくはやてにグリフィスは現在の状況を簡潔に伝え、シャーリーも報告を続ける。

 

「ここまでは、比較的順調です」

 

「ライトニングF、八両目突入! ………エンカウント! 新型です!」

 

 

 

 

 

 いっぽう現場のほうでは、ライトニングF、エリオとキャロの二人が、屋根の上から見下ろす形で、壊された屋根から見える球のように丸いガジェット、ガジェットⅢ型と対峙していた。

 

 エリオとキャロの姿を視認したⅢ型は、ベルトのような腕を勢いよく伸ばし、攻撃を仕掛けてきた。

 Ⅲ型から繰り出された攻撃を二人は跳躍してかわし、リニアレールの屋根に着地したキャロはすぐさま桃色の魔法陣を足元に展開した。

 

「フリード、ブラストフレア!」

 

「きゅくるー!」

 

 追撃を仕掛けてくるⅢ型に対し、キャロはフリードに迎撃の指示を出した。

 キャロの指示に従い、彼女の竜であるフリードは火炎弾を口の前の収束していく。

 

「ファイア!」

 

ドォン!

 

 そしてフリードのブラストフレアがⅢ型に向かって放たれたが、Ⅲ型はそれをベルト状の腕で弾き飛ばした。

 すぐ近くの岩壁に弾き飛ばされた火炎弾は、ぶつかると同時に大きな爆発を起こした。

 

「おおりゃあああああああ!」

 

 間髪を入れず、ストラーダの先に電気に変換された魔力をまとわせながらエリオがⅢ型に突進していった。

 そしてエリオは跳躍し、ストラーダを振り上げⅢ型に向かって勇猛果敢に斬りかかっていった。

 

「でやぁっ!!」

 

 エリオはストラーダを振り下ろし、電撃も加わりより強力になった一撃をⅢ型に叩き込むことができた。

 しかしⅢ型は、エリオのその一撃に破壊されるどころか、ダメージを受けた様子さえ全く見せなかった。

 

「ぐっ……! 堅い……!」

 

 それもそのはず、このガジェットⅢ型は他のⅠ型、Ⅱ型と比べて防御面が強化されており、生半可な攻撃は通用しないつくりになっているのだ。

 さらに、Ⅲ型がほかのガジェットより優れている点はもう一つある。

 

 エリオがⅢ型の防御の高さに攻撃を通すことができないなか、ガジェットⅢ型から特殊なフィールドが発生した。

 するとエリオのストラーダに付与されていた威力強化の魔法は、そのフィールドに触れたとたん消滅してしまった。

 それだけにはとどまらず、フィールドはまわりにどんどん広がっていき、Ⅲ型からかなり離れた位置にいたキャロの魔法陣すら打ち消してしまった。

 

「AMF……!?」

 

「こんな遠くまで届くなんて……!?」

 

 そう、このAMF(アンチ・マギリング・フィールド)の効果範囲の広さこそがこのガジェットⅢ型の一番の強みであった。

 

 AMFとは、その効果が及ぶ範囲内の魔力結合をほどくことによって魔法を無効化するAAAランクのフィールド系高位防御魔法であり、機械でありながら、ガジェットはどの機体もこの高位魔法を発生させる機能を持っている。

 なかでもⅢ型は、Ⅰ型やⅡ型と比べて機体が大きい分AMFの効果をより強力にするだけの余地があったので、他の機体よりも広範囲で魔力結合を解除できるように設計されているのだ。

 

 魔法を無効化され、さらにはⅢ型のベルトにストラーダを絡ませられてしまったエリオは徐々に不利に陥っていった。

 

「あ……あのっ……!」

 

 彼と同じように魔法を解除させられ、AMFの効果で発動することもできないキャロは、屋根の上から苦しい状況に立たされているエリオに声をかけた。いや、声をかけることしかできなかった。

 訓練でも戦ったことがない新型のガジェットにエリオがやられてしまうかもしれないという不安で心がいっぱいなのに、魔法を使って彼を助けることができない彼女にできることは、声をかけることだけだったのだ。

 

「大丈夫だから! 任せて!」

 

 エリオがそう声を張り上げた直後、Ⅲ型の正面に取り付けられた三つの砲門が怪しく光る。Ⅲ型の異常を察知し、エリオは上に跳躍した。

 Ⅲ型の砲門から青いレーザーが発射され、上に逃れたエリオを追いかけるようにⅢ型が砲門を動かしたため、レーザーはガジェットのいた車両の屋根を切り裂いた。

 

 Ⅲ型の背後に着地したエリオだったが、攻撃を仕掛けようとした瞬間にⅢ型がグルリとエリオの方に向き直り、逆に彼がⅢ型に連射されたレーザーによって追い詰められていった。

 そしてついに、Ⅲ型のベルトによる攻撃にあたってしまい、悲鳴を上げながらも壁にたたきつけられてしまった。

 

 エリオが追い詰められていく様子を、心を不安で埋め尽くされながらも、キャロはただ見つめることしかできなかった。

 

 

 

 

 

 実は、キャロにはエリオを助けることのできる『力』がある。

 

 

 

 

 

 第6管理世界にある「アルザス」という土地、そこで生活する「ル・ルシエ」という少数民族の娘としてキャロは生まれた。

 ル・ルシエは竜とともに暮らし、竜を使役する召喚部族で、その中でもキャロは竜召喚士として類まれな才能を持っていた。本来なら彼女は、優しくしてくれる部族の人々に囲まれながら、しっかりとした訓練を受けて、一人前の竜召喚士として成長していっただろう。

 

 

 

 

 

 彼らが畏れる守護竜の力すらも使うことのできる才能さえなければの話だが。

 

 

 

 

 

 キャロの『力』は、あまりにも強すぎた。「強すぎる力は災いと争いを呼ぶ」として、キャロは長老から故郷を追放されてしまったのだ。

 たった一人で旅に出された彼女は、しばらくしてから管理局に拾われたのだが、そこでも居場所はなかった。

 「竜召喚」という希少な技能を持つキャロだったが、召喚士としての正規の訓練も教育もほとんど受けないうちに部族を追放されてしまった彼女には、うまく自分の竜を制御するだけの技術がなかったのだ。

 そのうえ、キャロ自身が戦いに怯えており、主の気持ちが竜にも影響を及ぼしたことも原因の一つとなり、ほんの少しの刺激でもフリードはすぐに暴走してしまっていた。

 

 故郷からの追放、心の通じあっているはずの竜の暴走は、キャロの心に自分の『力』に対する恐怖を生み出し、どんどん大きくしていった。

 その恐怖もまた竜の制御がうまくできない原因の一つとなり、管理局のどの部隊も彼女を持ちあまし、「役立たず」の烙印を押されるようになり、孤独になっていった。

 

 いつしかキャロは笑顔を忘れ、一人ぼっちのままただただ自分の『力』に怯える日々を送っていた。

 

 

 

 

 

 ()()が、現れるまでは。

 

 

 

 

 

「確かにすさまじい能力を持ってはいるんですが、制御がロクにできないんですよ」

 

 その日、キャロのもとに一人の執務官が保護者になるために訪れていた。そのときに彼女を担当していた局員は、その女性はキャロの能力に目を付けたのだと()()()して、キャロの『力』についての彼らの見解を述べていた(説明をしていた)

 

 執務官の前に座らされたキャロは、つらい表情を浮かべながらも、局員の話をただ黙って聞くことしかできなかった。

 

「竜召喚だって、この子を守ろうと竜が勝手に暴れまわるだけで、とてもじゃないけどマトモな部隊でなんて働けませんよ。せいぜい、単独で殲滅戦に放り込むくらいしか……」

 

「もう結構です。ありがとうございました」

 

 もう聞くことはないといわんばかりに、その執務官は説明する局員を制した。

 

「では……」

 

「いえ」

 

 彼女を引き取ることをあきらめたのだろうと思った局員の予想は、執務官の次の言葉で大きく裏切られた。

 

「この子は予定通り、私が預かります」

 

 執務官の、フェイトの言葉に一番驚いたのは、他でもないキャロ本人だった。

 

 

 

 

 

 フェイトに連れ出された外には、雪が降っていた。キャロは彼女にマフラーを首にかけられながら、フェイトに問いかける。

 

「私は……今度はどこへ行けばいいんでしょう……?」

 

「それは、君がどこに行きたくて、何をしたいかによるよ」

 

 フェイトから帰ってきた答えにキャロは不思議そうな顔をする。まるで、()()()()()()()()()()()かのように。

 

「キャロは、どこへ行って、何をしたい?」

 

 キャロの見たフェイトの笑顔は、どこか儚げで、しかし慈愛と優しさに満ち溢れたものだった。

 

 

 

 ――考えたこともなかった。

 

 ――私の前にはいつも私が居ちゃいけない場所があって、

   私がしちゃいけないことがあるだけだったから。

 

 

 

「ぐあああああああ!!」

 

 壁にたたきつけられうまく動けないエリオはⅢ型の腕に絡み取られ、再び壁にたたきつけられた。そしてⅢ型は、エリオをつかんだまま屋根にできた切れ目を腕で押しひろげ、彼ごと腕を車両の外に出した。

 

「ああっ!」

 

 ガジェットの腕の中で気絶してしまっているエリオの姿を見て、キャロは思わず声をあげてしまった。そしてガジェットはエリオを高く放り投げ、

 

 

 

 エリオは、崖の下に落ちていった。

 

 

 

 その瞬間、キャロの脳裏にエリオと過ごした数々の思い出がよみがえった。

 初めての出会い、初めての訓練、初めての出動……。機動六課に来てから、ずっと彼とは一緒だった。

 彼は、フェイトに同じように保護された兄弟のような存在であると同時に、初めてできた友達でもあった。

 ずっと一人で、自分の『力』に怯えながら過ごしてきた自分に優しくしてくれた、大切な人たちのひとりなのだ。

 

「エリオ君……」

 

 キャロの目に涙が浮かび、それと同時に、彼女の中にある『力』が覚醒し始める。

 

「エリオくーーーーん!!」

 

 キャロはエリオの名を叫びながら、崖の下に落ちていくエリオを追いかけるために自身もリニアレールの屋根から飛び降りた。

 

 

 

 

 

「ライトニング4、飛び降り!?」

 

 一方、六課の指令室では、アルトが驚きの声を上げた。

 それもそうだろう、彼らは陸戦魔導士で、飛行魔法なんて使うことができない。

 そんな彼らが30メートルは確実にあるだろう高度から落下しているのだ。驚かない方がおかしいだろう。

 

「あの二人、AMFがあるのにあんな高高度でのリカバリーなんて……!?」

 

「いや、あれでええ」

 

 しかし、はやてはそれでいいと答えた。はやてのその言葉に、シャーリーが納得して声をあげた。

 

「ああ! そっか!」

 

 

 

「そう、発生源であるガジェットから離れれば、AMFも弱くなる」

 

 指令室とレイジングハートで通信していたなのはがそう言った。

 

「だから使えるよ、フルパフォーマンスの魔法が!」

 

 

 

 

 

 落ちていく中で、キャロは必死にエリオに向かって手を伸ばしていた。初めてできた友達を、大切な人を失いたくないから、彼女は必死に手を伸ばす。

 

 

 ――守りたい……優しい人を……

  私に笑いかけてくれる人たちを……

 

 

 かつてキャロは、自分の大きすぎる『力』に運命を翻弄され、自分が何をしたいのかさえ考えることもできずに、ただただ自分の力に怯えて孤独に過ごしていた。

 しかし、今のキャロには、優しく笑いかけてくれる人がいる。一緒に楽しく過ごしている仲間がいる。大好きな人たちが、たくさんいる。そしてキャロは、そんな人たちともっと一緒にいたいと思った。

 

 自分の『したいこと』を見つけた少女は、今――

 

 

 ――自分の力で……守りたい!

 

 

 今までの怯えを振り払い、自分の『力』で大切な人を守ることを決意したのだ。

 

 

 

『Drive Ignition』

 

 

 

 キャロがエリオの手をつかんだ瞬間、AMFの効果範囲から外れたことによってキャロの魔法が発動した。

 キャロの桃色の魔力が球体となって二人を包み込み、少しずつ落下のスピードを落としていく。

 キャロは自分の作り出した球体の中で、静かにエリオを抱きしめた。

 

 完全に落下が止まり、その場で浮遊している二人のもとに、上にいたフリードが飛んでやってくる。

 

「フリード、今まで不自由な思いさせててごめん。私、ちゃんと制御するから」

 

 キャロがフリードに優しく話しかけていると、キャロの腕の中にいたエリオが目を覚ました。目覚めたエリオが見たのは、今までにないほど強い意志のこもった目をしたキャロの顔だった。

 

「いくよ、竜魂召喚!」

 

 次の瞬間、キャロたちを覆っていた球状の魔力が爆発するかのように膨れ上がった。

 

「蒼穹を走る白き閃光。わが翼となり、天をかけよ」

 

 キャロが詠唱することによって、彼女の竜フリードリヒは真の姿へと戻っていく。今までよりもはるかに大きく羽ばたかれるフリードの翼に、エリオは感嘆の声を漏らしながら見入っていた。

 

 今まで何度もフリードを暴走させてきたキャロだが、もうそんなことは決してないだろう。なぜなら、彼女はようやく、自分のしたいこと、守りたい人を見つけられたのだから。

 

「来よ、わが竜フリードリヒ。竜魂召喚!」

 

 

 

 

 

 ――グオオオオオオオオオオ!!

 

 

 

 

 

 そして、大きく膨れあがったはずの球体すら内側から破裂させ、その中から現れたのは、エリオとキャロの二人を背に乗せ、10メートルを超えた巨体を持つ、真のフリードリヒの姿だった。

 

 

 

 

 

「召喚成功!」

 

「フリードの意識レベル、ブルー! 完全制御状態です!」

 

「これが……」

 

 六課の指令室では、グリフィスがフリードの真の姿を見て驚きの声を漏らしていた。

 

「そう。キャロの竜召喚、その力の一端や」

 

 

 

 

 

 一方、リニアレールの屋根の上では、リインと行動中だったスバルとティアナが真の姿に戻ったフリードを見て驚きの声を上げていた。

 

「あれが……」

 

「あのチビ竜の、本当の姿? デカすぎでしょ……」

 

「かっこいー……」

 

 

 

 

 

 フリードを竜魂召喚で元の姿に戻した後も、キャロはエリオを目をつむったまま抱きしめていたが、ふとエリオの顔を見て、彼を目覚めていることに気が付くと、慌てて彼を離した。

 

「ご……ごめんなさい!」

 

「あ……ああいや、こ、こちらこそ」

 

 なんとなく気まずい雰囲気になってしまった二人であった。しかし、そんな二人のことなぞお構いなしと言わんばかりに、さっきエリオを崖の下に放り投げた三型が、彼らを完全に無力化するために、自身の空けた穴からリニアレールの外に出てきた。

 

「フリード、ブラストレイ!」

 

 ガジェットの姿を確認したキャロは、最初と同じようにフリードに火炎で攻撃するように魔法で指示を出した。しかし、フリードの口の前で収束していく火の玉は、最初の時のそれと比べものにならないほどに大きなものだった。

 

「ファイア!」

 

 そしてフリードの口から発射されたのは、火炎弾という生易しい攻撃などではなく、まさに火炎砲とでも呼ぶべき炎の激しさと効果範囲の広さを誇る一撃だった。

 しかし、そんなフリードの一撃をまともに受けたにもかかわらず、Ⅲ型は平然としていた。

 

「やっぱり、堅い」

 

「あいつの装甲形状は、砲撃じゃ抜きづらいよ。僕とストラーダがやるから、サポートをお願い」

 

「うん」

 

 エリオと話し合ったキャロは、フリードの上でエリオに補助魔法をかける準備をする。

 これまで自分の竜召喚の力に怯えていたキャロは、補助魔法を入れた自分の魔法全般にも自信を持つことができなかった。

 しかし、フリードを完全に制御できている今のキャロなら、まさに最高の状態で魔法を使うことができる。

 

「我が乞うは、清銀の剣。若き槍騎士の刃に、祝福の光を」

 

『Enchant Field Invade』

 

 キャロが使う補助魔法は、「エンチャント・フィールドインベイド」。対象に、フィールド貫通の効果――つまりは、AMFを無効化する効果――を与える魔法である。これで、エリオの使う威力強化の魔法を無効化されることを防ぐのである。

 

 さらにキャロは、もう一つ、補助魔法の準備をする。

 

「猛きその身に、力を与える祈りの光を」

 

『Boost Up! Strike Power』

 

 「ブーストアップ・ストライクパワー」、対象の打撃力を上げる魔法であり、エリオの威力強化の魔法を使っても貫けなかったⅢ型の装甲を破るためにこの魔法が使われた。

 

「いくよ、エリオ君!」

 

「了解、キャロ!」

 

 キャロの合図により、エリオはフリードの頭からⅢ型に向かって思い切り跳躍する。

 

「たあああああああーー!!」

 

 Ⅲ型に攻撃を仕掛けるエリオに、キャロが二重の補助魔法をかける。

 

「ツインブースト! スラッシュ&ストライク!!」

 

 キャロの使った二つの魔法は、エリオのストラーダに吸い込まれていく。

 

『Enfant』

 

 そしてストラーダの噴射口からは、補助魔法をかけられたことにより、キャロの桃色の魔力があふれ出てきた。

 Ⅲ型は今度こそエリオを排除しようと、アームケーブルやベルト状の腕を伸ばし、彼に攻撃してくる。

 

「はああああああ!!」

 

『Stahlmesser』

 

 しかし、キャロの全力の補助魔法をかけてもらったストラーダの魔力刃による斬撃で、すべて軽々と切り裂かれてしまった。

 

『Explotion』

 

 エリオはⅢ型に、今自分が放てる最大の攻撃を繰り出すため、ストラーダのカートリッジを二発ロードした。

 二発のカートリッジをロードしたことによって、ストラーダの噴射口から噴き出す空気の勢いがすさまじいものとなり、エリオの足元には三角形のベルカ式魔法陣が浮かび、そこからあふれ出る電流がストラーダの攻撃をさらに強力なものへと変えていく。

 

「一閃必中!」

 

 そしてエリオは、目にもとまらぬスピードでⅢ型に突進し

 

 

 

 

 

 ストラーダの桃色の魔力刃が、Ⅲ型を貫いた。

 

 

 

 

 

「でぇぇりゃあああああああ!!」

 

 そしてそのまま、エリオはストラーダを上に振り上げ、今までエリオを苦しめたⅢ型は、ストラーダの魔力刃によって下から上に大きく切り裂かれ…

 

 

 

ドグオォォォォォォォォォン!!!

 

 

 

 大爆発を起こし、完全に破壊されたのだ。

 

 

 

 

 

 エリオたちが新型ガジェットを倒した様子は、六課の指令室のモニターにも映し出されていた。そしてそこから、事件は一気に収束に向かっていく。

 

「車両内、および上空のガジェット反応、すべて消失!」

 

「スターズF、レリックを無事確保!」

 

『車両のコントロールも取り戻したですよ! 今停めまーす!』

 

 リインからの連絡により、機動六課の初出動が成功に終わったことをロングアーチスタッフたちは確信した。

 新型のガジェットが出てくるなどのアクシデントもあったが、誰も大きなけがもすることなく無事に終了したことに全員安堵していた。

 

「まあ、ほんならちょうどええ。スターズの三人とリインはヘリで回収してもらって、そのまま中央のラボまでレリックの護送をお願いしよかな」

 

『はいです!』

 

「ライトニングはどうします?」

 

 はやてとリインのやり取りのあと、ライトニングへの指示はどうするのか、グリフィスがはやてに尋ねた。

 

「現場待機、現地の職員に事後処理の引継ぎ。よろしくな」

 

 

 

 

 

 エリオたちをモニターで見ていたのは、機動六課のロングアーチだけではなかった。

 ()もまた、六課の優秀なスタッフのだれにも気づかれることなく、エリオやキャロ、それになのはやフェイトのことを()()していたのだ。

 

『刻印ナンバー9、護送体制に入りました』

 

「ふむ」

 

 リニアレールが映し出されている画面とは別の画面には、薄紫のウェーブがかかった長髪に金色の瞳をした女性の姿があり、通信を通して()に報告をしてきた。

 

『追撃戦力を送りますか?』

 

「いや、やめておこう。レリックは惜しいが、今回は彼女たちのデータが取れただけでも十分さ」

 

 彼女からの問いかけに、()はそう答える。

 ()は、さらになのはやスバル、キャロなどの六課の前線メンバーたちの画像を新たに映し出す。

 

「それにしても、この案件はやはり素晴らしい。私の研究にとって、興味深い()()がそろっているうえに……」

 

 彼がそこまで言ったところで、エリオとフェイトの二人の映像が映し出された。

 二人の姿を目にした()、ジェイル・スカリエッティは口の端を釣り上げて笑った。

 

「この子たちを、生きて動いているプロジェクトFの残滓を手に入れるチャンスがあるのだから……」

 

 スカリエッティ以外誰もいない薄暗い部屋の中で、彼の笑い声が怪しく鳴り響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 まあ、彼の頭に生えた茎と葉っぱがぴょこぴょこ動いているのが、 このシリアスな感じをダメにしているのだが。

 通信の向こう側にいる女性、ウーノはスカリエッティの頭にあるピクミンの茎を見ながら、はあ、とため息をついた。

 

 そもそもなぜピクミンの茎が彼の頭から生えているのかというと、話は数年ほど前にさかのぼる。

 

 当時、ミッドチルダ全体で活躍し始めたピクミンに興味を持ったスカリエッティは、ピクミンを数匹拉致して実験しようと考えていた。

 しかし、いざ拉致しようとしたところで、ピクミンは彼らのことを確実に敵だと認識していたらしく襲い掛かってきた。

 なんとかおとなしくさせ、さあ持って帰ろうとしたところで、どこからか31巻のブチ切れイ○ミさんのような表情をした鬼神RIOが現れ、ピクミンを放って命からがら逃げかえることしかできなかったのだ。

 その時のことを、作戦に参加したチンクは「魔導師だとか指揮官だとかそんなチャチなもんじゃ断じてない。もっと恐ろしいものの片鱗を味わった」と語っている。

 

 だがそこは腐ってもマッドなスカリエッティ。オリジナルが無理ならクローンを作ればいいじゃないというマリーさんも真っ青になるような理論で、ピクミンの細胞だけを採取して、いつものように培養液に浸して生体ポットで育てること一カ月。

 三分クッキングならぬ一カ月クローニングでできたピクミンがこちらです。

 

 

 

 

 

 葉っぱの代わりにキノコが頭に生えたピクミンと、なんか手足(というより根)が妙にうにょうにょしたピクミンが出来上がっていたのだ。

 

 

 

 

 

「ドクター……これはいったい……」

 

「ふむ、赤ピクミンがオリジナルのはずなのだが、どうやらどれも種類が違うようだね。

 母体がなければほぼ同一の能力を持つピクミンを作ることは不可能なのか……?

 ふふふ、非常に興味深いじゃないか、ウーノ」

 

 そんなこんな言っている間に、生体ポッドの向こう側からスカリエッティの姿を視認した、うにょうにょした手足のピクミンが突然ポッドから飛び出し、彼に襲い掛かった。

 

 

 

 

 

 そしてスカリエッティは、ピクミンに寄生されてしまったのである。

 

 

 

 

 

 かなり過程が省略されているようにも感じるが、事実それくらいの超スピードでピクミンが彼の体に入り込み、共存関係を構築してしまったのでこれが一番正しい表現のはずである。たぶん、きっと。

 

 無論、最初は彼の周りの人間(?)は大騒ぎしたが、その後の精密検査などを通して(不思議なことに)これからの生活にはまったく問題がないみたいだからいいじゃないか(本人談)という結論にまとまったので、スカリエッティはピクミンとの共存を今日まで続けているのである。

 

 ウーノも最初こそ反論していたが、自身の敬愛するドクターがそう言うのならと今では考えを改めている。

 だがしかし、どうしても彼女には気になっていることがあった。それは……

 

 

 

 

 

 ――やっぱり、ドクターにアレに似合わないんじゃないかしら…。

 

 

 

 

 

 スカリエッティのイメージと、彼に生えた可愛らしいチャームポイントとのミスマッチ感であった。

 

 そんなウーノの視線に気づくことなく、無限の欲望に突き動かされ非道な実験を行う天才科学者スカリエッティは、頭にかわいらしい葉っぱを生やして笑うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 検査が終わり、少女は検査室から運び出され、現在は病室のベッドに寝かされていた。検査が始まる前と変わらず、少女は静かに眠っていた。

 その表情は、理央が寝かせてからずっと穏やかなものだった。

 

 少女が眠る病室の前では、少女の検査を担当した医師と理央が検査結果について話をしていた。

 

「それで、あの子の容体はどうなのでしょうか?」

 

 理央がそう医師に問いかけ、医師は理央からの質問に答えていく。

 

「検査開始時は心拍数が若干高めでしたが、今は安定していますし、バイタルサインも比較的良好です。

 交通事故に巻き込まれたわりには外傷もなく、先天的なものも含めて疾患はないようです」

 

「そうですか……よかった……」

 

 理央は医師の言葉を聞き、安堵のため息をついた。

 

「ただ……」

 

 そこまで答えて、医師は苦々しい表情になって言葉を続けた。

 

「先端医療技術センターや時空管理局の本局のほうから提供していただいたデータと照らし合わせた結果、彼女はやはり人造魔導師だということが判明しました……」

 

「……そうですか」

 

「それと……頼まれていた検査の結果についてなのですが……」

 

 医師は一度言葉を切り、理央に頼まれて調べたことの結果を伝えた。

 

「……提供していただいたアオバ一等陸佐の細胞から採れた遺伝子データと、あの少女の遺伝子データがほぼ100パーセント一致しました。あの少女は間違いなく……」

 

 

 

 

 

 ――アオバ一等陸佐、あなたのクローンです。

 

 

 

 

 

「……やはり、そうですか」

 

 確信していたこととはいえ、理央の心にその言葉は重くのしかかった。

 

 今やピクミンはミッドチルダで最大の戦力として見られている。

 そのため、そのピクミンを純粋な『力』として求める人間――それも犯罪者とされる人物たち――は少なくはないだろう。

 しかし、ピクミンをクローニングするのは非常に難しく、例えクローンを作れたとしてもオリジナルとなったピクミンのスペックを全く再現することが今の技術ではできていないのだ。

 違法研究者ながら、生命操作技術においては歴史に残るほどの天才であるジェイル・スカリエッティですらピクミンの完全なクローニングには成功していない。

 ピクミンのクローンを作っても、色ごとに特化した能力を持つという大きな利点を持った状態のピクミンの軍隊を手に入れることは不可能なわけである。

 

 

 

 しかし、ピクミンの()()()となる人物のクローンはどうだろうか。

 

 

 

 指揮魔法もほかの魔法と同様、人によって得意不得意が分かれる魔法である。

 ピクミンに合体魔法をうまく使わせる人が使えない人と比べて少ない人数であることからそのことがわかるだろう。

 中でも、理央はピクミン指揮においては最高の才能を持っているといっても過言ではなかった。

 現段階で判明している限りでは、彼女は最大一億匹ものピクミンの位置や状態を把握しながら、彼らに同時に指揮を出して自分の意のままに行動させることができる。

 さらに、一万匹のピクミンに合体魔法を使わせることができることもわかっているのだ。

 理央は、他の追随を許さないほどの指揮魔法の才能を持っているのだ。

 

 ゆえに、あの少女――理央のクローンが作られたのだろう。

 魔導師のクローンなら、ピクミンのものよりもオリジナルに近い能力を持ったクローンが簡単に作れる。

 完璧なピクミンの軍団を自分たちで作ることができないのなら、ピクミンの統率者となる人造魔導師を作り、その魔導師の指揮魔法で地上本部にいる100億匹ものピクミンを操り、そっくりそのままいただいてしまおうというわけだ。

 (管理局)の戦力は激減し、自分たちは強大な軍隊を得るという、まさに一石二鳥の考えであった。

 

 

 

 ――……くだらない。

 

 

 

 理央は自分のクローンを作った者たちの思考を推測し、その人間たちに怒りを感じた。

 何より、彼女はそんな人間たちの自分勝手な都合であの少女が生み出されたということに心を痛め、自分がその原因の一つであることに罪悪感を感じていた。

 

 彼女がもしミッドにピクミンを持ち込まなかったら、優れたピクミンの指揮官として活躍しなかったら、こんなことにはならなかったかもしれない。

 あの少女が一部の人間たちの私利私欲のためだけに生み出されることもなかったかもしれない。

 それは確かに、十分にあり得ることである。

 

 しかし、理央がもしピクミンを地上本部の戦力として貸し出していなかったら、事件や事故で、民間人にも、管理局員のほうにも、より多くの死者を出していたかもしれない。

 それも十分にあり得ることなのである。

 いや、ピクミンが来る前の地上本部の戦力の不足具合を見ると、ほぼ確実にそうなっていたと言っていいだろう。

 全体的に見れば、彼女がピクミンを人助けの役に立てたことは間違いではないのだ。

 

 それに、どんなことをしても過去には戻ることはできないのだ。

 たとえ今どんなにやり直したいと理央が願ったとしても、過去に起こったことをなかったことにすることは不可能である。

 理央には、あの少女が人造魔導師として、自分のクローンとして生まれたという過去をなかったことにするのは無理だとちゃんとわかっているのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 だからこそ、彼女の中には一つの強い覚悟がうまれていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……あの少女の保護者って……どうしたらなることができますか?」

 

 理央と話していた医師は、理央から突然発せられた言葉に驚いた。

 理央は、彼女の言葉に驚愕する医師の様子を気にもしないで、自分の意思をはっきりと伝えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私が、あの子の親になります」

 

 そう口にする彼女の目には、引き込まれるような強い覚悟が宿っていた。

 

 

 

 

 




 これにて今回のお話の本編はおしまいです。ここまで読んでいただきありがとうございました。

 原作の戦闘描写などはいかがだったでしょうか? いまだ駄文で申し訳ありません。これからも精進する所存でございます。

 ……はい、スカさんはピクミンに寄生されました。『2』に出てくるハチャッピーやコッパチャッピーと同じような状態です。元に戻る方法は彼にもわかりません。それでもスカリエッティは元気に悪だくみしています。
 ちなみに、クローンでつくったピクミンたちはほぼ使い物にならないので、骨折り損のくたびれ儲けというやつです。まあ、そのうちいいことあるでしょう(適当)。

 そして、なのはさんより先に理央さんがシングルマザーになりそうです(笑)。理央がすぐに「親になる」という決意をしたのは、自分がその子のオリジナルだからというのも理由の一つなのですが、実はそれとは別の理由があります。
 まあ、そこについてはのちのち明らかになると思います。あまり期待しないでお待ちください。

 最後に恒例のおまけをいくつか書いておきました。キャラ崩壊などもありますが、そこは気にしないという方は、よかったらどうぞお読みください。
 最後まで読んでいただきありがとうございます。





おまけ① キャロの奇妙な冒険

 エリオは、崖の下に落ちていった。


 

 
 瞬間!! キャロの脳裏には!! キャロ自身の青春が!!



「エリオくーーーーん!! 桃色竜の波紋疾走(ピンクドラゴン・オーバードライブ)!!」

バリバリバリバリバリ!

「ビリッときたあああああああ!!」



おまけ② 正直作者もその対応はどうかと(ry

「あの二人、あんな高高度でのリカバリーなんて……!?」

「いや、あれでええ」

「ああ! そっか!」

「そう、発生源から離れれば、AMFも弱くなる。使えるよ、フルパフォーマンスのまh」



グシャッ! テレッレ レレッレ レレッレレン♪



「………………アレ?」

「愚かな指揮官が……そうなることぐらい、普通に読んでいた」

・ルル・ランペルー……久しぶりの登場(ただし一言のみ)。



おまけ③ 正直作者もその対応はどうかと(ry パート2

「あの二人、あんな高高度でのリカバリーなんて……!?」

(以下省略)

「使えるよ、フルパフォーマンスのまh」

シュッ!! ガシッ! ストッ・・・

「……え?」

「……あ、あれ……? 僕はいったい……?」

「あ、あなたは……?」

「……魔導師というやつの世界はどうなってるのか知らないが、俺たちの世界でルールや掟を守れないやつはクズ呼ばわりされる。
 けどな、これだけは共通している。仲間を大切にしない奴はそれ以上のクズだ」

・通りすがりの忍者……たぶん六代目。七代目の方じゃないと思う。













おまけ④ キャラ崩壊注意

~第四話より~

「しっかり! もう大丈夫だから! 目を開けて!」

 いつもの理央らしからぬ、冷静さを激しく欠いた呼びかけだった。しかし、その少女は理央の呼びかけによって目を覚ました。まぶたが開けられてあらわになった彼女の瞳は……













某瞳術のように、真っ白だった。



「白○!!」ギン!

「やめなさい」ドス

「あたっ」


お☆し☆ま☆い

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