現代文學思想研究部録   作:紫畝 幽扇

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部録>>1

都市伝説、というものをアナタは信じますか?

 

…いえ、あの、声に出されなくても結構ですので。聞こえませんし。

 

 

で、まあ、都市伝説とは少なくとも、未確認生物や創世神の存在よりは信憑性が高く思えますよね。…は?いや、あなたの考えはまず置いといてください。

 

その都市伝説を例えるなら、学校の七不思議や妖魔の類ですか。まあ、色々ありますね。だから、あるんです。

 

 

当然それらは、様々な場で話されています。職場、友人間、インターネット等々……挙げるのが面倒なので言いませんけども。手抜きじゃないです。

 

 

まあ、その場所については別にどーだって良いのです。肝心なのは、都市伝説という存在についてなのだから。ああ、この話し方では疑問を生む事でしょうか。だからこそこう言いました、はい。

 

 

…さて、それでは本題です。別に説明で手を抜いた気はさらさらないですが、適当に見えるとあらば申し訳ない。適当ですけども。

 

それより、本題と言ってから話に入らないのは如何なものかとお思いで?それはそれは、ごもっとも。では今からお伝え致しましょう。

 

 

アナタは、学生ですか?

 

 

おっと、声に出して答えなくても構いません。さっきも述べましたが聞こえません。クドイとか言わない。メタいとかも言わない。言ってなくても絶対に言わない。

 

 

さあ、この質問の意を成す為、取り敢えずは物語に入らせて頂きましょうか。とてもとても、素敵で不思議な物語で御座います故、惑わされぬよう御注意を……あ、ミスった…

 

 

 

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早咲 識兎(ハヤザキ シキト)かく語りき】

 

放課後1番の感想は『秋の日差しというものは、どうしてこうも強いのだろう』という言葉で表された。

 

季節は、秋。秋の入り。

食欲の秋、行楽の秋、べんきょ……スポーツの秋…色々ある。「べんきょ」については気にするな。

それでも俺がお薦めするのは、俄然『読書の秋』だ。理由?んなもん俺が好きだからだよ。それだけだ。

 

さて、『お前だれ』とでも言いたそうな顔してるな、ここらで自己紹介をば。

吾輩は中学生男子である。

名前は、別に無いわけじゃない。雑煮の餅を食うのに原稿用紙3枚も使ったりやたら人間臭かったりするハイパーニャンコじゃないですし。

まあ、俺は、そういう人間だ。

平凡とも取れる顔面偏差値に学力が相関していないというのが救いだ。別に異様なまでのレベルという程でもないが。

 

俺は某学校の図書委員が一員であり、2年生。ただ悠々と秋日の下で、本を読んでくつろいでいる。

 

つまるところ現在地は、例によって長閑な某学校の図書室である。

 

 

閑散とした空間に響くは…俺の命令と口答え

おかしいな、先程は長閑だと断言していた筈なのに?

 

 

「いいから、この本さっさと書架に戻せ」

「ちょっと待て、この3冊済んだら」

「早くしろ」

「「元気だねー」」

「お前らも手伝え」

「「ヤダね」」

「あ、俺も同意で」

「ついでに俺も」

「俺も俺も」

「だから何処の駝鳥(ダチョウ)だよお前ら」

 

 

お気付きになられただろうか。てか、気付け。

 

 

全く以って、長閑ではないのである。どういう事だ。宣言して優等生キャラの面の皮を被っている意味がまるで無い。

 

 

「おいコラ煩いぞおい!」

 

 

ほら、教頭がこう言っているだろう?『おい~おい!』って。だから俺の感覚は間違ってない。間違って…ん?おいちょっと待てコラおい。

 

 

「教頭先生、何でここに居るんですか」

 

 

アンタ仕事はどうした、という言葉は飲み込んで、素直に疑問をぶつけるしかない。それと仕事はどうしたおい。

というのも、図書委員の顧問は3人で、いずれにもこの教頭は当て嵌まりはしないのである。

1人は国語教師、また1人は数学教師、最後はと言うと、カウンセラー。変な面子(メンツ)だと笑う他にない。

 

さて、この教頭は何故我らが図書室をお訪ねになられたのだろうか。皆目見当もつかない。いや、つく。皆目云々が言いたかっただけだ。ごめんねてへぺろまんぐーす。

 

 

「あ、本…返しに来たんですか」

「また借りにと思ったら、煩かったからの。お前は委員じゃろうが、きちんと注意せえよ」

「いやはや、面目次第も御座いませぬ」

 

 

本当に、だ。

 

元来、俺は静かな場所で本を読めれば良かったのだ。口実以外では、図書委員なんてどうでもいい。言ってしまえば、元より面目なんて無い。

 

総じて、今となれば…どうだ。

 

図書室は、全く閑の字が浮かばぬ部屋と成り果てているではないか。しかもそれが俺個人の見解となっている事にさらに驚き。びっくり仰天、天地神明。使い方違う。

 

 

一向に静まらない部屋の古い時計を仰ぐ。この学校は無駄な所に伝統云々申し立て、また無駄な所に新装云々言いまくる。いい加減図書室の時計も変えろよ。

 

 

「時間は…おい、部活だぞ(・・・・)

「ん?あー、了解…よし、じゃあ皆、始めるよー!」

「「「「「りょーかい」」」」」

「了承致した」

 

 

俺だけが横着に答え、カウンターから外れる。まあ正直褒められた行為ではないが。

 

だが、俺は5分ぐらい怒鳴られるよりもコチラの用事…もとい部活を優先させて頂く。物を同時に持ち合わせるなんて出来ないのだ。

 

 

さてと、学生であれば思い出して欲しい。否であれども思い出して欲しいものだ。

そう、それは俺らを個人足らしめない、非常に勝手で都合の良いことを好む芥だ。爆ぜろ。

俺は、認めない。

 

『ミンナ』の青春の形を。

 

廊下を這いずり、教室を呑み、校庭に統べるその塊を。

 

 

 

『青春という名の自己暗示』をーーー

 

 

 

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これは、本の物語。

 

悩める者と、活字のオハナシ。

 

まさしく狂者であり、また聖者でもある彼ら。

脆く、小さくて、古い紙の薫る世界で、彼ら英傑は夢を見る。

彼らの言う暗示とは、何なのだろうか。

 

素敵で不思議。そんな者共は今日もまたーーー

 

伝説を作る。

 

 

 

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「………というのを書きたいんだけど」

「いや…そりゃないだろ」

 

追記しよう。

 

これは、素敵で不思議で尚且つ可笑しい(・・・・)、俺らの俺らによる俺らの為の俺らに贈る都市伝説的な非日常的『日常』だ。

 

そして。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺らには主人公属性なんて無いです。




著:庶務(憂霧 ID:100073)

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