天災兎の愛は重い   作:ふろうもの

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天災兎と胡蝶の夢

 閑静な住宅街を歩く。夕暮れ時の為、人通りはまばらだ。遠くの方から子供の声が聞こえているが、それもすぐに聞こえなくなるだろう。できれば完全に夜になってしまう前に辿り着きたいと思いながら、携帯で地図を表示させた。この辺りの筈、と左手にお土産のドーナッツが入った紙箱を握りなおした。

 

 ――束姉ぇ、元気かな。

 

 束姉ぇこと篠ノ之束。子供の頃、近所に住んでいた親戚のお姉さんである。初めて会った時はもの静かな人なんだな、と思っていたものだが、実際はかなりエキセントリックな性格をしていて驚いたのも良い思い出だ。

 束姉ぇが未だに家族付き合いのみならず、俺の家とも付き合いを続けていたとは驚きである。対人関係はまるで駄目どころか、自分以外の人間は価値なしとしているのだから。となると、そもそもこの状況はおかしく――

 

■Retry■

 

 住宅街のとある一軒家の前に立つ。表札には篠ノ之の文字。見慣れてない家はやはり緊張するな、とカメラ付きインターホンの前に立つ。

 

 ――束姉ぇの家か。

 

 束姉ぇこと篠ノ之束。いわゆる、親戚の美人なお姉さんである。それに極度に俺を愛してくれている人、を付け加えてもいい。

 俺がまだ小学生の頃から『私は君のお姉ちゃん兼お嫁さんになるからね!』と宣言され、中学生になれば『束お姉ちゃんと一緒に放課後デートしよう!』と車に乗って校門の前に現れ、高校生の時には『卒業したら私と結婚、しよ?』と胸を押し付けながら耳元で囁いてくるなどと、他にもあれやこれやとその手の話題には事欠かない。

 嬉しいを通り越して、どうしてこの人はこんなに俺に執着するんだろうと一時恐怖したものだが、それはそれ、これはこれである。

 美人なお姉さんに迫られるなど、思春期真っ盛りの健康男児が我慢できるはずもなく。俺が束姉ぇを押し倒したのも高校に上がってすぐのことであって、ちょっと待て。俺が束さんを押し倒したというのは本当なのか。俺はまだ束さんとそんなことになった筈は――

 

■Retry■

 

 インターホンを押す。どきどきしながら待っていると、家の扉が開いた。巣穴から出てきた兎の様に、束姉ぇがひょこっと顔を出す。

 今日からお世話になります、と俺が言い終わるより前に、

 

「待ってたよ、弟くん!」

 

 と、束姉ぇが抱きついてくる。

 束姉ぇこと篠ノ之束。親戚のお姉さんであり、俺が進学するにあたって下宿先として自分の家に住んだらどうかと提案した上で両親までも説得してくれた、世話焼きなお姉さんである。

 そしてスキンシップが少々激しい。束姉ぇ曰く、俺以外には全くやらないそうだが、人通りが少ないとはいえ、往来の真ん前でこんな風に抱きつかれると恥ずかしい。

 

「あっ、ご、ごめんね? ちょっと嬉しすぎてやっちゃった……」

 

 俺を解放して、えへへとはにかむ束姉ぇ。それに合わせて髪の房が揺れる。俺の視線を辿ったか、束姉ぇは結ばれた髪を触る。

 

「あ、これ? これね、ロングのままだとお料理の時とか邪魔になるし、ポニーテールにしてみたの。ど、どうかな……?」

 

 上目遣いになりながら、俺に尋ねてくる束姉ぇ。この人は仕草を含めて一々可愛いのだから反則である。

 似合ってますよ、と言うと満面の笑みになる束姉ぇ。やっぱり、束姉ぇは可愛い。長袖のピンクTシャツにタイトなジーンズとラフな格好ではあるが、それらをひっくるめて束姉ぇは魅力的なお姉さんである。

 にこにこと微笑む束姉ぇは、俺が持っているドーナッツの箱に気付いたようだ。

 

「え、お土産買ってきてくれたの!? ごめんね、気を遣わせちゃって。晩御飯の後に一緒に食べよう? あ、まずは晩御飯だね。さぁ、入って入って」

 

 と、俺の後ろに回るとぐいぐいと背中を押してくる束姉ぇ。

 はいはいと、俺は束姉ぇと今日から一緒に住む家へと入って行った。

 

 

「部屋の方はどうだった? 荷物もちゃんとあったよね?」

 

 二階から降りると、エプロン姿の束姉ぇが迎えてくれた。しばし束姉ぇの姿に見惚れていると、束姉ぇは不思議そうな顔をする。

 なんだか新婚夫婦みたいな感じですね。と、自分でも驚くくらい率直な感想を述べていた。

 

「も、もうっ! 晩御飯できてるから、一緒に食べよう?」

 

 と、束姉ぇは努めて平静そうな顔をしていたが、耳まで真っ赤にしていたことは言わないようにしておこう。

 リビングのテーブルにつく。目の前にライス、サラダ、スープ、ハンバーグが次々に並べられていく。どれも出来たてで美味しそうだ。特にハンバーグは一流のレストランに出ても遜色ない位の出来栄えに見える。束姉ぇは昔から万能な人だったが、料理に関しても抜群の腕前らしい。

 ドレッシングを持って来た束姉ぇが、エプロンをはずして向かいの席に座る。

 

「じゃあ、食べよっか?」

 

 二人、いただきますをする。

 ナイフとフォークを取って、一番気になっていたハンバーグに手を伸ばす。ナイフを入れると、切り口から肉汁が染み出してくる。一口サイズに切り、フォークで刺して口に運ぶ。

 

 ――うまい。

 

 噛むと同時に肉がほぐれ、閉じ込められていた肉汁が口いっぱいに広がっていく。玉ねぎの甘さと肉のうまみでとろけてしまいそうだ。

 束姉ぇが心配そうにこちらを見ている。こんなに料理が上手いというのに、何を心配する必要があるというのだろうか。

 

「そのハンバーグね、弟くんの為にいつもより頑張ってみたの。ど、どうかな?」

 

 けれども女性は声に出してくれるのが嬉しいものだと、束姉ぇから教えられていた俺は凄く美味しいです、とちゃんと感想を述べる。

 

「そう? よ、良かったぁ~。弟くんに美味しい、って言って欲しくて束さん頑張ったんだぁ~」

 

 ――微かな違和感。

 

「どうしたの? もしかして生焼けだった?」

 

 ちょっと美味し過ぎて感動していただけです、と束姉ぇには誤魔化したが、俺が覚えた違和感とはなんだったのだろうか。いや、ここで束さん(・・)ならきっと俺の為に肉や野菜を厳選したとかそんな感じの事を言うのではないか、と思って頭を振った。

 束姉ぇは昔からこんな感じだった様な(・・)気がするのに、俺は何を疑問に思っているんだ。

 様な、ってなんだよ。と自分でも呆れ返りながら、俺は束姉ぇの料理に舌鼓を打った。

 

 

 夕食の後、皿くらいは自分で洗おうとしたのだが「弟くんはお姉ちゃんの楽しみを奪うの?」という涙目攻撃に押し切られ、俺は大人しくテレビの前に置かれたソファーに座り、リモコンでチャンネルを回している。

 水の流れる音と、時折皿と皿が合わさる音。これはなんだかいい雰囲気だな、と思いながらニュースやらバラエティーを一瞬映しては切り替えていく。どうにもこう、ビビッと来るような番組に出会えない。

 次で最後のチャンネルか、と思いながら切り替えるとタイトルからしてどうやら恋愛映画のようであった。趣味じゃないな、と思いながらバラエティーにでもしておこうかとすると。

 

「あっ! そういえば今日か!」

 

 束姉ぇが、洗い物の手を止めて俺の隣へと座って来た。

 

「これね、お姉ちゃん楽しみにしてたんだ!」

 

 にこやかに束姉ぇが言うが、そう言われても困る。俺は恋愛映画に興味はないし、さらにそれを束姉ぇと一緒に見るのは気恥ずかしい。

 部屋にでも戻っておこうかとソファーを立つと、くっ、と服を引かれた。束姉ぇが、俺の服の裾をつまんでいる。

 

「ね、ねぇ……一緒に、見よ?」

 

 行こうと思えば行ける。それくらいの力だったが、俺は束姉ぇに逆らうことなくソファーに座りなおしていた。

 頬を染めて束姉ぇにそんなお願いをされたら、逆らえるわけがない。

 束姉ぇと並んで、映画を見る。始まった映画自体はありきたりなものだ。男と女が出会って、やがて恋に発展して、事件があっても二人で乗り越えより絆を深めていく。

 けれども一番困ったのは映画の内容ではない。

 映画が進むにつれて、束姉ぇが俺との距離を少しずつ詰めているのに気付いたのは、どのタイミングだったろうか。座りなおすフリをして、束姉ぇと距離を離してみる。するとその分、束姉ぇはいつの間にかこちらに近付いてくる。座りなおして離れる、束姉ぇはこちらに近付く。それを繰り返していると、その内俺はソファーの端へと追い詰められていた。

 今では束姉ぇはぴったりと俺に密着し、俺の肩に預けるように頭を乗せている。

 

「綺麗……」

 

 束姉ぇが呟いた。映画はいよいよクライマックスに差し掛かり、画面には絶景が映し出されている。いよいよお決まりの、終わり間際のキスシーンだろうか。主人公たちが手を握り合い見つめ合っている。

 

「ねぇ、私たちもキス……しよ?」

 

 肩が軽くなった。

 束姉ぇの顔が見られない。束姉ぇの熱い視線が、俺の横顔に注がれている。

 

「弟くんは、私とキスするのは……嫌?」

 

 そんな言い方は卑怯だ。

 束姉ぇとキスすることが、嫌なわけがない。

 

「じゃあ、こっち向いて?」

 

 ゆっくりと、顔を束姉ぇの方に向ける。潤んで輝く大きな瞳と、柔らかそうな薄桃色の唇が期待している。もうこのまま、流れに身を任せるしかない。

 束姉ぇが目を閉じた。俺も、目を閉じる。壮大なエンディングテーマに後押しされて。

 

 ――気の抜けた合唱が流れ始めた。

 

 束姉ぇと二人してずっこける。テレビで流れる映画特有の、スポンサー名が連なったアレである。大きな一本の木を映しながら、男性と子供たちの合唱が流れる。

 これでは雰囲気も何もあったもんじゃない。

 気恥ずかしくなったか、顔を真っ赤にした束姉ぇはすくっと立ち上がり、

 

「お、お風呂! お風呂にお湯入れて来るね!」

 

 パタパタと小走りで逃げ出してしまった。

 ふぅ、と溜め息を吐く。この呑気に木を連呼するソングに救われた様な憎い様な思いを抱きつつ、チャンネルと変えようとリモコンに手を伸ばす。恋愛映画も終わったのだ。いつまでも同じのを見ていなくてもいいだろう、としたところでふと、疑問が湧いた。

 

 ――恋愛映画? あの束さん(・・)が?

 

 いやいや、束姉ぇも女性だ。人並みに恋愛に興味があって、同じように恋愛映画を楽しみにしていたって構わないだろう。そうだ、何もおかしいことはない。

 芸人たちが笑い話をするバラエティーにチャンエルを変える。

 今日はなんだか妙な一日だ。夕食の時といい、さっきといい。俺は一体何を考えているのだろう。

 どっと笑い声が起こったのに合わせて、テレビの電源を切った。

 

 

「お風呂入ったよ~」

 

 袖を腕まくりした束姉ぇが、戻ってきた。それじゃあ部屋から着替えとタオルを取ってこようかと、ソファーを立つと束姉ぇは何か言いたそうにもじもじとしている。頬には朱がさしていて、何か恥ずかしいことでも言おうとしているのだろうか。

 まさか一緒にお風呂に入ろうとか、と冗談半分で言ってみたが、束姉ぇはますます顔を赤くして。

 

「……うん」

 

 と、小さく一言。まさか直球で一緒に入ろうと来るとは思わなかった。束姉ぇなら、俺が風呂に入っているのを確かめてから、後から押し入りそうなものなのに。

 

 ――束さんなら、そうしていた。

 

 俺の中で、叫び声が上がった。いよいよ疑念が膨らみ始めていた。

 目の前に居るのは確かに束姉ぇだ。束姉ぇとは、篠ノ之束だ。俺は篠ノ之束を、束姉ぇと呼んでいたか。違う、俺はずっと、束さんと呼んでいた。

 束姉ぇが、心配そうに俺を覗き込んでいる。

 

「ねぇ、大丈夫?」

 

 束姉ぇの声が、遠くに聞こえる。俺はどこにいる、ここはどこだ。

 俺は進学の為に束姉ぇの家に下宿することになったが、俺の進学先とはどこだ。束姉ぇの家は、日本のどこにある。

 日本に束さんが拠点にするような場所はない、何故なら束さんはISの開発者で、世界中から狙われていて、その束さんは俺の居るIS学園にしょっちゅうやってきて。

 

 ――これは、現実ではない。

 

■Awakening■

 

 

 

 

 

「あっ、起きた。大丈夫?」

 

 目の前に、束さんの顔があった。思わず起き上がってしまい、思いっきり束さんと頭をぶつける。ゴン、という重い音が頭の中に響いた。あまりの痛みにベッドの上を転がる。束さんも、額をおさえてベッドの横にうずくまっている。

 ようやく痛みが引いて来て、周りを見渡す余裕ができた。ここはIS学園寮の自室だ。俺はいつもの様に放課を迎え、自室に戻ってきた。そしてどうなったか。

 部屋に何故か、束さんの()であるクロエ・クロニクルが立っていたところまでは覚えている。

 

「だ、大丈夫ですか束様……」

「うー、ひ、久々のクリティカルだよ……でももう大丈夫、心配しないで、クーちゃん」

 

 当のクロエ(・・・)は、痛みを堪えている束さんを心配していた。

 そうだ、俺はこのラウラ(・・・)と同じ流れる様な銀髪の少女に、何かをされたのだ。それがなんなのかはわからないが、夢だか幻覚だかを見せられていたことは確かである。

 

「もう、クーちゃん! 勝手に黒鍵のワールド・パージを使うなんて、束さんびっくりしたんだからね!」

「申し訳ありません、束様。どうしても、お父様が束様に相応しいのか心配になって……」

 

 話がよく見えないが、先程までの光景はこのクロエが行ったワールド・パージとかいうものの影響らしい。現実と遜色ない景色を見せ続ける能力とは、つくづく、束さんはとんでもない技術を持っているものだ。

 束さんが珍しく、すまなそうな顔をしている。

 

「ごめんね……。クーちゃんが私のことを想って、こんな試すようなことをしたみたい」

 

 試す、とは一体どういうことなのだろうか。俺は一体何時の間に試されたのか。

 俺の疑問に、束さんは小さくなりながら答える。

 

「クーちゃんのISはね、黒鍵って言って精神を隔絶させて干渉したり、大気成分を変質させたり……と、とにかく対象に幻覚をみせることができるの!」

 

 俺がまるでわかりません、という顔をしていると、束さんは思い切ったようにまとめてくれた。

 どうやらワールド・パージが先程までの幻覚の原因なのはわかったが、俺が知りたいのはそこではなく理由である。

 

「う……前にあの人形、じゃなくて、ら……?」

「ラウラ・ボーデヴィッヒです、束様」

「そうそう、らうら? とクーちゃんと一緒にカフェでお茶を飲んだでしょ?」

 

 もちろん覚えている。束さんがクラスメイトの目の前で俺との娘はどうなるのと言い出したり、対抗してラウラが俺の娘になると宣言したりと、とにかく混沌(カオス)をぶちまけていった後のカフェでの話し合いのことはよく覚えている。

 そこでこの少女、クロエ・クロニクルは俺のことをお父様とは呼ぶが信用も信頼もできない、束さんにも相応しくないと、おおよそそんなことを言っていた。つまり、俺が束さんをどれだけ想っているかどうかを確かめる為に、あんな幻覚をみせていたのか。

 

「そういうことみたいだね。ほら、クーちゃんも謝って!」

「……申し訳ありません、お父様」

 

 クロエの口調は束さんに促されたから仕方なく、と言った気持ちがまるで隠されていなかった。

 とりあえず、一つ聞いておきたいのだが、もし俺が自力で覚醒できなかったら、どうするつもりだったのか。

 

「………………」

 

 クロエはずっと閉じられた(まぶた)の下で、瞳を逸らしたようだった。

 言いたくないならそれでいいか、と俺は結論を出した。

 できればこういうことは止めて欲しい、幻覚を見せられ続けて現実との境界が曖昧になったら困るから、と伝えると。

 

「許すのですか……私を?」

 

 何故、クロエはそんなに驚いているのだろうか。

 一応クロエの来歴はこの前の時にそれとなく聞いている。それは俺が聞いていても人間不信になっても仕方がない、と思えるくらいには悲惨な境遇だ。

 しかし、かといってワールド・パージでトラウマレベルのグロを見せられていたとしたら、それは怒っただろうが実際はもっと優しいものだった。

 俺の精神が傷つかないような、優しささえ感じられる(まぼろし)

 終わりよければすべてよし、と出来る程俺の心は広くないが、おかげで俺自身の束さんへの想いも再確認できたのだから、良かったことにしよう。

 よって、不問。

 

「……惚気ですか?」

「えへへ……いや! 喜ぶべき時じゃないってわかってるよ! そもそも束さんは君を試す様なことなんてしないからね!」

 

 そうですね、幻覚の束さん、いつもよりエキセントリックさがありませんでしたから。

 

「ひどい! やっぱり怒ってる? 怒ってるよね!?」

 

 これでこそ束さんだ、そんな気さえする。思わず吹き出してしまう。クロエも、顔こそ無表情だが、肩を僅かに震えさせている。

 

「クーちゃんまで! もう、束さんだって傷つくよ……。ん? ちーちゃんセンサーに反応あり! ちーちゃんだ!」

 

 束さんがそう言うと、部屋にノックの音が響き渡った。

 

『おい、何かあったのか。今日は部屋に入ってから出て来ていないと連絡があったが?』

「今日はもう叩かれるのはごめんかな。じゃあ束さんはこれで、って今日はいいところなしかぁ……」

 

 束さんは部屋の窓を開けて逃げ出す準備をし始めている。いつもどこから入って来るのかわからないが、クロエが居る時は普通に逃げるのだろうか。いや、普通の人は窓から逃げたりはしないが。

 

「お父様」

 

 クロエが、束さんに続くことなく俺の事を見ていた。

 

「お父様は、ある一点を除いては幻覚に対し普通の耐性しか持たない人間です」

「クーちゃん、急いで!」

『おい、まさか束がいるのか?』

 

 束さんに窓の方へと押されながら、それでも俺の方を見ているクロエ。

 

「束様に関すること。これだけは最大限に干渉する必要がありました。だから、お父様の束様に対する想いだけは、認めます」

『入るぞ』

 

 自室の扉が開くと同時に、束さんとクロエは闇夜の中へと飛び去っていた。

 織斑先生が、部屋の中へと入ってくる。

 

「何事もなかったか? ないなら良いんだが」

 

 心配かけてすみませんでした、と俺はベッドから降りる。それならいいんだが、と織斑先生は呟いて。

 

「窓は閉めてから出ろよ。束が入り込んでくるからな」

 




リクエストボックスより
「夢オチ(束姉ぇの弟シチュ)」
「束さんの手料理を味わう、ソファーで一緒に映画、お風呂に入ろうと誘惑される」
シート様より
「クロエは、簡単に主人公を認めない」

以上の三つを合体させて今作を作り上げました。
多くのリクエスト、誠にありがとうございます。
今回はイチャイチャ成分が少なかったのが反省点です……。

クロノクルってなんだよ…クロノクル・アシャーかよ…

さーくるぷりんと様、誤字脱字報告ありがとうございます。

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