超虚弱体質の不幸少年も異世界から来るそうですよ? 作:ほにゃー
蓮花の攻撃を躱した白夜叉は戦慄した。
(今の攻撃…………直撃しておったら腕の一本は持ってかれておったの)
そう心の中で呟き、斬撃の後を見る。
(単純な力なら私と互角……下手すればそれ以上かの)
白夜叉は袖から鉄扇を抜き、構える。
蓮花は刀を手に、一気に白夜叉に切り掛かる。
鉄扇でその一撃を受け止めると、鉄扇にヒビが入り壊れる。
ヒビが入った瞬間、白夜叉は鉄扇を投げ出し、後ろへと下がった。
(ふむ、刀そのものも中々の業物じゃ)
そこで、今度は薙刀を取り出し、構える。
薙刀と刀が交差し、ぶつかり合う。
「ふむ………ここ数十年程、私と互角に渡り合えるものはそうそういなかった。だが、どうやらここに一人おったみたいじゃの」
「そりゃ、どうも」
互いに、刃をぶつけ合い、戦う。
その激しい攻防戦を十六夜たちは驚きながら見ていた。
「蓮花君、あんなに強かったの?」
「……凄い」
「あの白夜叉様と互角に………有り得ないでございます」
三人が驚く中、十六夜ただ一人、真剣にその様子を眺めていた。
「十六夜さん、どうかなさいました?」
「おかしいと思わないか。歩けば体力がすぐに無くなるような蓮花なのに、もう数分間平然と同じスピードを維持しながら戦ってる」
「そう言えば……」
「確かに」
十六夜に言われ、三人はそのことに気付いた。
「あの刀の力なのかは分からないが、嫌な予感がするぜ………」
十六夜の予想通り、その考えは当たっていた。
白夜叉は蓮花と戦いながら、あることに気付いた。
(もしや…………)
蓮花が再び、刀を鞘に納め、あの斬撃を放とうとした瞬間
「止めじゃ」
白夜叉はそう言い、薙刀を仕舞う。
「なんのつもりだ?」
「このまま戦っておっても埒があかんしの。ここらで止めじゃ」
「勝利条件は俺がお前に一撃を与えないといけないんだろ?」
「いや、他にもゲームを終わらせる方法はあるぞ」
すると、白夜叉は一瞬で消え、蓮花の懐に居た。
そして、鳩尾に一発、強烈なものを入れた。
蓮花の体はくの字に折れ曲がり、倒れる。
すると、刀は消え光の粒子になり、蓮花の体の中へと消える。
その瞬間、蓮花の腕と足がメキメキャッ!グギグギャ!と人体が出してはいけない音を出し、背中もゴキッっと折れ、口から血を盛大にぶちまけた。
白夜叉は、蓮花の血を被りながら呆然とした。
そして、その光景を見ていた四人も呆然とする。
「…………やり過ぎちゃった♪」
次の瞬間、白夜叉は袋叩きにあった。
「いや、ゲームを止めるために、蓮花を気絶させようとしたんじゃがの。どうやら、戦闘中のダメージは全て刀が受けてるらしいんじゃ。で、刀が体内に戻ると刀が受けていたダメージが全て、使用者の体に帰るらしい。そのため、このような状態になったらしい」
白夜叉の説明に一同は納得し、頷く。
ちなみに白夜叉は袋叩きに会い、両方の鼻の穴にティッシュ詰め、頭に氷嚢を乗せている。
「てか、なんで蓮花の奴眠ってるんだ?」
十六夜は、気絶し黒ウサギの膝枕で寝ている蓮花を見ながら言う。
「そうね。どんな大怪我でもすぐに治ってケロッとしてるのに、今回はそのまま眠ってしまってるわ」
「それについては分かっておる。だが、これはかなり重大なことだ」
白夜叉は鼻のティッシュを抜き、氷嚢を横に置く。
「蓮花が出したあの斬撃。あれが原因じゃ」
「それって一体どういうこと?」
耀がそう尋ねると白夜叉は真面目な表情をして、言った。
「あの斬撃は、己の生命力を糧に放つ技じゃ」
すみません、性格が豹変した説明は次回にします