超虚弱体質の不幸少年も異世界から来るそうですよ? 作:ほにゃー
ベッドのシーツに真っ赤なシミを付くり、蓮花は倒れる。
「き、貴様!」
レティシアは槍を出し、その少女に槍の穂先を向ける。
「ご主人様をよくも!」
アルゴールも両手を上げて、腕輪に着いた鉄球を持ち上げる。
「ふん!こいつは私の父を殺した。こいつさえ、余計なことをしなければ、父は死なずに済んだ。そう、こいつさえいなければ!」
少女は屍となった蓮花の体を踏みつけ、叫ぶ。
「こいつは殺した。次はあの女どもだ。直接父に手を下した奴、そして、父のゲームを仕掛けた奴、最後に、“ノーネーム”のクズリーダー。その三人を殺して、私の復讐は終わりを告げる!」
少女の叫びを聞き、レティシアはあることに気付いた。
「まさか……貴様の父とは、ガルド・ガスパーか!?」
「そうよ。私はリオナ・ガスパー。ガルドの娘よ」
「………身内を失うのは辛いだろう。だが、ギフトゲームのルールは絶対だ。耀も飛鳥も、ジンもルールを脅かしてはいない。ギフトゲームで死んだのならば、それは死んだ奴が悪い。ギフトゲームはそう言う物だと言う事は、“箱庭”に住まう物なら、知っているだろう。貴様の父、ガルドもそれを覚悟の上だったはずだ!」
レティシアの言い分は正論だった。
だが、世の中には正論で済ませれることなどそうそう無い。
「それで身内を殺された人が納得するとでも?例え、ルールに乗っ取った上での死であっても、アンタの仲間が父を殺した…………私にとって、復讐をするには十分すぎる動機よ!」
「呆れた!そんなのただの逆恨みじゃない!」
アルゴールは指をリオナに突きつけながら言う。
「アンタの父親、随分と悪いことしてたそうじゃない。揚句、子供を攫って、コミュニティ存続を賭けたゲームをして、無理矢理仲間にして、人質は殺す。とんだ外道よ!」
「………ええ、そうよ。私の父は外道よ」
アルゴールの話に、リオナはあっさりと肯定した。
「今まで多くの犯罪を犯してきたし、人に言えないことも沢山やって来たわ。でもね…………」
「私にとっては大切な家族なのよ」
リオナの言葉に思わずレティシアとアルゴールははっとする。
「母が死んでから父は私を育てるために、必死だったわ。他者への優しさを捨て、外道にその身を落としてでも、生き抜くための力を手に入れようとした。でも、そんな人でも、父としての気持だけは捨てなかった」
拳を握り、そして胸元のペンダントを握りしめる。
「私は娘として、父の仇を討つ。それだけだ!」
手の爪を構え、リオナは走り出す。
レティシアとアルゴールも同様に構える。
すると―――――――――
「あ~、心臓を握りつぶされるとか初めてだな」
心臓が再生して復活する蓮花がリオナの前に現れる。
「ふぎゅっ!?」
「あぐっ!?」
リオナは顔面を蓮花の後頭部にぶつけ、そのまま背中から倒れ気絶し、蓮花は後頭部を割られ前に倒れる。
前に倒れる時、勢いが強すぎて背骨がへし折れる音も響く。
その光景にレティシアとアルゴールは唖然とし、沈黙が漂う。
「………アルゴール。取り敢えず、ガルドの娘を縛るぞ」
「縛るなら任せて」
はい、前回出て来た少女はガルドの娘です。
分かった方はいたでしょうか?