超虚弱体質の不幸少年も異世界から来るそうですよ? 作:ほにゃー
まだ原作一巻終わってないのに…………!
もう一つの問題児作品より凄いことになってる…………!
宮殿の最奥に向かうとちょうど十六夜がルイオスとアルゴルの魔王相手に戦っていた。
十六夜は魔王相手に一歩も引かず互角の戦いを繰り広げていた。
「これなら俺は行かなくてもいいかな」
そう思い、刀を納めようとすると、状況が一変した。
「アルゴール!いつまでそいつに手間取ってる!さっさと………やれ!“名無し”如きに、この僕がやられて言い訳がないんだよ!」
ルイオスがそう叫ぶと、アルゴールは体を震わせ、そして、全身を覆っていた拘束帯を引きちぎり、そして、千切れた拘束帯を振り回し、十六夜に攻撃を仕掛ける。
「はっ!ちょっとは手ごたえ出てきたじゃねぇか!」
十六夜は鞭のように振られる、拘束帯を躱し、接近し、蹴りを放つ。
アルゴールは十六夜の蹴りを受け止める。
受け止めた瞬間、衝撃波が発生し、十六夜を中心に突風が起こる。
しかし、蹴りを受け止めたアルゴールは平然と立ち、笑っていた。
「なっ!?」
十六夜も、受け止められるはされても、まさか平然と立っていられるとは思わなかったらしく、驚いていた。
十六夜はそのまま距離を取り、下がる。
「おいおい………冗談じゃねぇぞ。割と本気で蹴ったんだぜ」
「そんな……!蛇神を一撃で沈めた十六夜さんの蹴りが効いてないなんて…………!」
「これが………魔王の力………!」
「いや、そうでもないぞ」
「「「蓮花(さん)!?」」」
俺は三人の隣に立ち、ルイオスを指差す。
「な………なんだよこれ……!と、止まれ………!アルゴール……!」
ルイオスは苦しそうに膝を突いていた。
「おい、どうしたんだ。あの七光野朗は?」
「アイツの体から生命力が吸われてるのが分かる」
そう言うと黒ウサギが驚いた表情で振り向く。
「アイツ、魔王を制御出来てないのに、無理矢理魔王の枷を外して、自分が食われてる。このままだと生命力を吸われ続けて…………死ぬ」
「そんな!では、どうしたら………!」
「俺に任せろ」
俺は一歩前に出て、刀を構える。
「おい、待てよ」
そんな俺を十六夜が止める。
「あんな奴の為に、命を賭けるって言うのか?それだけの価値が、アイツにはあるのか?」
十六夜の言葉を聞き、俺はゆっくりと手を、自分の胸に持っていく。
「俺は、例え死んでもすぐに蘇る。そう言うギフトだからな。でも……………他の人は違う。他の人の命は一つしかない。死んでも蘇る俺だからこそ、余計に分かるんだ。命の大切さを」
十六夜の手を振り切り、俺は歩き出す。
「目の前で死にそうな奴がいれば善人も悪人も関係ない。ただ救うだけだ」
俺はアルゴールに向かって走り、刀を振る。
アルゴールは手を振り、俺に攻撃を仕掛けてくる。
その攻撃を躱し、そのままアルゴールの傍を素通りする。
そして、苦しんでるルイオスに駆け寄り、手を胸に当てる。
白い光がルイオスを包み、そして、ルイオスの苦痛に歪んでる顔が、和らぐ。
「お、お前………一体何を………?」
「お前の生命力の補充と、これ以上の生命力の流出を抑える仕掛けを施した。後は、あれを救うだけだ」
「救うって、アルゴールをか!?」
「あの子は苦しんでる。それで暴れてるだけだ。怖いから吼えまくる犬と同じさ」
刀を納め、ゆっくりとアルゴールに近づく。
十六夜や黒ウサギ、ジンが何かを言ってるが、気にしない。
「GYAAAAaaaaaaaaa!!!」
アルゴールは悲鳴を上げ、そのまま俺に殴りかかってくる。
俺は黙ってその攻撃を食らい、殴り飛ばされ、壁に叩き付けられる。
「蓮花!?」
「…………大丈夫だ」
砕けた瓦礫の中から這い出て、もう一度立ち上がる。
「何度でも受け止める。お前のその苦しみを」
アルゴールは拳を振り下ろし、拘束帯を鞭の様に振り攻撃をする。
俺その攻撃の全てを防御もせず、反撃もせず、黙ってくらい続ける。
「蓮花!なにやってる!どうして反撃しないんだ!」
十六夜が俺に怒鳴りかける。
「反撃できるわけないだろ。あんなに苦しんでるんだ。苦しんでる奴に攻撃なんてできるかよ」
口から血を吐き捨て、もう一度立ち上がる。
「アルゴール。お前苦しいんだよな。自分に合った所有者に恵まれず、その結果、拘束され本来の力も発揮できないままもがき苦しみながら戦う。辛いよな。でも、安心しろ。お前が落ち着くまで、お前が苦しまなくなるまで何時までも付き合ってやる。俺は不死身に近いからな。だから、もっと遊ぼうぜ!」
手を広げ、アルゴールにそう言う。
すると、アルゴールから先ほどの殺気に近い感情が薄れるのを感じ、徐々に心が落ち着きだしてるのが分かった。
そして、アルゴールはそのまま膝を付き、俺に頭を下げた。
「…………もういいんだな。なら、終わりにするか」
俺は手に平に生命力を集め、それをアルゴールの額に押し付けた。
「………ふぅ」
「えっと………これはどうなったんだ?」
十六夜が近づきながら聞いてくる。
アルゴールは今の一撃で動かなくなり、ピクリともしてない。
「十六夜」
「あん?」
「後は任せた」
そういい残し、刀が消え、足からボキッ!ではなく、グギャッ!グギッ!ゴリッ!っと音が響き、腕も十箇所以上から骨が折れる音が出て、体の中からグチャ!ブチッ!ゴリュ!と内臓が潰れ、千切れる音がし、目から大量に血を噴出し、口からは血と一緒に歯を吐き出す。
そして、最後に体全体が潰れる感覚が僕を襲い、僕はそのまま倒れる。
倒れると同時に、辺り一面の床を真っ赤に染め上げ倒れこんだ。
「あああああああああ!!!?予想はしてたけど、蓮花ああああああああ!!!」
「キャアアアアアアアアアアア!!?蓮花さあああああああん!!?」
「蓮花さん………すみません。限界でオボロロロロロロロロ!!!」
「ちょ、お前!何、勝手に人の敷地内で吐瀉物をってヤバイ、僕もオボロロロロロロロロロ!!!」