超虚弱体質の不幸少年も異世界から来るそうですよ? 作:ほにゃー
「蓮花君、大丈夫?」
飛鳥ちゃんが僕の胸(槍が刺さった部分)を触りながら心配そうに聞いて来る。
「いや~、流石に槍が胸に刺さるのは初体験だったよ」
頭を掻き笑いながら言う。
「笑い事じゃないわよ!」
「あ、あの~」
その時、さっきまで戦っていたペルセウスの兵士たちがやってくる。
「何かしら?」
「いや、ゲーム中だったとは言え、こちらの不手際(?)で申し訳ないことをした。本当にすまない」
兜を脱ぎ、リーダー格の人が謝る。
それに続いて後ろの他の兵士も頭を下げる。
「大丈夫だよ。こんなこと、昔はよくあったし。トラックに撥ねられたり、頭上からガラス板が落ちて来て、首が落ちたりとかに比べたら可愛いもんだよ」
笑いながらそう言うと、ペルセウスの兵士たちは無言になり、全員が兜を脱ぐ。
そして正座をし、武器を横に置くと土下座した。
「本当に申し訳なかった」
「「「「「申し訳ありませんでした!」」」」」
「蓮花君…………貴方苦労したのね」
ペルセウスの兵士は十六夜君には劣る物の見事な土下座をし、飛鳥ちゃんは僕を慰める様に慈愛に満ちた瞳で抱きしめてくれた。
え?僕、おかしいこと言ったかな?
その時、急に宮殿に褐色の光が差し込みだした。
「こ、これは!?」
「ゴーゴンの威光だ!」
ペルセウスの兵士たちが騒ぎ出す。
「まさか……ルイオス様は我々も石にするおつもりか!?」
仲間を見捨てたってことか。
ふ~ん…………………許せないな!
刀を出し、素早く抜く。
そして、刀身に生命力を纏わせ、ゴーゴンの威光を切り裂く。
威光は左右に分かれるように降り注ぎ、俺と飛鳥、そして数人のペルセウスの兵士を威光から守った。
「ご、ゴーゴンの威光を切り裂いただと!?」
「な、なんという奴だ…………」
「なぁ、今の威光ってのはルイオスのギフトなのか?」
刀を肩に担ぎ、兵士に尋ねる。
「……いや、今のは恐らくルイオス様が所有し、先代から授かったアルゴルの悪魔だ」
「つまり隷属した元魔王か」
十六夜でも恐らく、魔王とルイオス相手は苦戦するはずだ。
「飛鳥、俺は十六夜を助けに行く。ここは任せたぞ」
「え?ちょ、ちょっと!?蓮花君!」
飛鳥は俺を止めようとするが、十六夜が心配なので俺は一気に飛び上がり、宮殿の屋根を走って、最奥を目指す。
「……………行ってしまったわ」
「………えっと、戦いますか?」
「そんな雰囲気かしら?」
「「「「「「「「「「………………………………………………」」」」」」」」」」
((((((((((戦える空気じゃねええええええええ!))))))))))
「兵士の休憩室に来ますか?」
「あそこは宮殿でルイオス様の執務室と闘技場以外で宮殿内で唯一防御用結界が張ってある場所です」
「お茶をお出しします」
「…………そうね、そうしましょう」
その後、ゲーム終了まで飛鳥とペルセウス兵士五人は、お茶を飲みながら飛鳥は蓮花の世話の話を、ペルセウス兵士はルイオスに対する愚痴を言い合うお茶会をしていた。
ある読者もとい保護者さんからの感想
お願い、死なないで蓮花!あんたが今ここで倒れたら、十六夜くんやコミュニティーのみんなとの約束はどうなっちゃうの? 生命力はまだ残ってる。ここを耐えれば、ルイオスに勝てるんだから!
次回「蓮花死す」。ギフトゲームスタンバイ!
素晴らしい遊戯王の予告コラでした。
感謝します。