超虚弱体質の不幸少年も異世界から来るそうですよ? 作:ほにゃー
なんと、蓮花君の死亡率は85%ぐらいあるそうです。
こうなれば99%を目指して頑張ります。
「敵を薙ぎ払いなさい!」
飛鳥ちゃんが命令を出すと水樹はそれに応えるように水流で敵を薙ぎ払う。
正面の階段広場で飛鳥ちゃんは僕を守りながら敵と戦っている。
「小娘一人に何を手間取っている!」
「不可視のギフトを持つ者は残りのメンバーを探しに行け!此処は我々が押さえる!」
ルイオスへの挑戦権がない僕と飛鳥ちゃんを相手にするのは得策じゃないと判断したのか殆どの兵士は十六夜君達の捜索に向かう。
だから、飛鳥ちゃんは無視が出来ないように敵を攻撃するのではなく、宮殿の方を破壊し始める。
「左右から来るわ!まとめて吹き飛ばしなさい!」
飛鳥ちゃんが一喝し、水流が兵士たちを襲う。
そして、宮殿の華美な装飾も荒らされ、格式ある名画も水没する。
本来なら私財は全てゲーム前に宝物庫へ保管されるのが普通だと思うけど、ルイオスは僕たちの事を完全に舐めていて、ゲームの準備だけしかしておらず、本拠を守る準備は何もしていない。
流石に、本拠を荒らされては敵わないのか兵士たちも飛鳥ちゃんへと攻撃をしてくる。
「不可視の人間以外はあらかた集まったかしら?」
飛鳥ちゃんは周囲を見渡しながら、空を掛けるブーツを履いた兵士目掛け、水樹に命令を出す。
水樹は刃物の様に高圧縮された水を高速で発射し、空を飛んでる兵士を撃墜する。
ウォーターカッターのような水を躱し、攻撃を仕掛けて来る兵士には、水柱を奔らせ撃退した。
飛鳥ちゃんのギフトは凄いなー。
耀ちゃんや十六夜君も凄いけどねー。
そう思いながら僕は水樹のツタで固定されながらそう思った。
戦いが始まった直後、飛鳥ちゃんは水樹に「優しく、そして丁寧に蓮花君を拘束しなさい。絶対よ」っと言って、僕を拘束した。
戦いの最中、僕が落ちないようにするためだろう。
う~ん、やっぱ戦いたいなー。
十六夜君達の言う通り、僕は脆いし、驚くぐらい不幸だ。
でも、僕だって戦いたいし、コミュニティに貢献もしたい。
それに何より、あのルイオスだけは許せない。
あの人を馬鹿にしたような態度と、思い上がった性根の腐ってる根性。
叩きのめしてやりたい。
なんとか隙を見て抜け出して、ルイオスの所に…………あ、挑戦権ないじゃん。
じゃあ、せめて飛鳥ちゃんの手伝いをしよう
そう思い、ツタから抜けようと体をよじる。
ちょっと、体を捻ると、両肩からゴキッ!って音と同時に、肩から力が抜ける。
あ、肩外れちゃった。
それも両肩。
結構痛い…………
「左から来るわ!撃ち落しなさい!」
その時、飛鳥ちゃんが左から来る兵士に向かって、水樹に攻撃命令を出す。
水樹は水の刃を飛ばし、兵士のブーツを破壊する。
「くっ!ペルセウスの兵士を舐めるな!」
空を飛ぶブーツを破壊された兵士は落ちながらも槍を飛鳥ちゃんに投げる。
「守りなさい!」
水柱が奔り、槍が吹き飛ばされる。
そして、槍はくるっくるっと回転しながら、僕の心臓に深々と刺さる。
「あ」
「「「「「「「「「あ」」」」」」」」」」
飛鳥ちゃんとペルセウスの兵士たちの声が重なる。
「…………がふっ」
口から血を吐き、僕はそのまま死んだ。