超虚弱体質の不幸少年も異世界から来るそうですよ?   作:ほにゃー

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抉傷 読み:けっしょう 抉られた傷のこと 


第十七話 頭部及び左脳抉傷

『ギフトゲーム名:“FAIRYTAIL in PERSEUS”

 ・プレイヤー一覧 逆廻 十六夜

          久遠 飛鳥

          春日部 耀

          神代 蓮花

 ・“ノーネーム”ゲームマスター ジン=ラッセル

 ・“ペルセウス”ゲームマスター ルイオス=ペルセウス

 

 ・クリア条件 ホスト側のゲームマスターを打倒

 ・敗北条件  プレイヤー側ゲームマスターの降伏・失格

        プレイヤー側が上記の勝利条件を満たせなくなった場合

 ・舞台詳細 ルール

  *ホスト側ゲームマスターは本拠・白亜の宮殿の最奥から出てはならない

  *ホスト側の参加者は最奥に入ってはならない

  *プレイヤー達はホスト側の(ゲームマスターを除く)人間に姿を見られてはいけない

  *失格となったプレイヤーは挑戦資格を失うだけでゲームを続行できる

  宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗の下、“ノーネーム”はギフトゲームに参加します。

                               “ペルセウス”印』

 

あの後、ルイオスは土下座をし、「何でもしますから許してください!」っと言って来た。

 

それに対し、十六夜君と飛鳥ちゃんは「ん?今何でもするって言ったよね?」っと言い、ギフトゲームをやらせるように言って来た。

 

無論、今回は僕も参加だ。

 

「姿を見られたらルイオスに挑めない。まさしくペルセウスの暗殺だな」

 

「話通りならルイオスは宮殿の最奥で寝てると思うけど、そこまで甘くないよね」

 

取りあえずジン君を“ペルセウス”の人達に見られないようにすればいいんだね

 

「YES。そのルイオスは最奥で待ち構えているはず。それにまずは宮殿の攻略が先でございます。伝説のペルセウスと違い、黒ウサギ達はハデスのギフトを持っておりません、不可視のギフトを持たない黒ウサギ達にはかなり綿密な作戦が必要でございます」

 

「となると必要な役割は三つ……いや、四つだな」

 

「ジン君と一緒にルイオスを倒す役割、見えない敵を感知して倒す役割、そして、失格覚悟で囮と露払いをする役割、そして、蓮花のお守をする役割だね」

 

「いやいや、何勝手に僕を戦いに参加させず、お守をしようとしてるの?」

 

「春日部は鼻が利くから不可視の敵は任せる」

 

「黒ウサギは審判としてしかゲームに参加する事が出来ませんですから、ルイオスさんを倒す役割は十六夜さんにお願いします」

 

「なら、私は囮と露払いかしら?」

 

「ねぇ?僕の話聞いてよ」

 

僕を背負ってる十六夜君ですら僕の話を無視し、黒ウサギも無視する。

 

泣くよ?

 

あ、泣いたら目が充血して、血が出るからダメだ。

 

目から血涙出した時、皆大騒ぎだったな~。

 

流石に戦いの前に大騒ぎさせるのはまずいかな。

 

「悪いな、お嬢様。譲ってやりたいが勝負は勝たなきゃ意味が無い。あの野郎を倒すのは俺が適任だ」

 

「ふん、いいわ。今回は譲ってあげる。ただし、負けたら承知しないわよ。」

 

飛鳥ちゃんの言葉に十六夜君は任せろと言う。

 

「あと、蓮花のお守も頼む」

 

「任して。絶対無理させない、いえ、一歩も動かないようにしっかり守るわ」

 

やっぱ泣こうかな?

 

「皆様に一つご注意があります」

 

黒ウサギが神妙な面持ちで話しかけてくる。

 

「何?あの外道、結構強いの?」

 

「いえ、ルイオスさん自身そこまで強くありませんが、問題は彼が所持するギフトです。

黒ウサギの推測が正しければ彼のギフトは」

 

「隷属させた元魔王」

 

「そう、元魔王の・・・・え?」

 

十六夜君の補足に黒ウサギは目をパチクリさせながら見てくる。

 

「神話通りならゴーゴンの首は戦神アテネに献上されたはずだ。でも、奴らは石化のギフトを使ってくる。すなわち箱庭に招かれたのは星座としてのペルセウス。ならさしずめ奴のギフトはアルゴルの悪魔」

 

十六夜君の話が分からなかったらしく耀ちゃんと飛鳥ちゃんは顔を見合わせている。

 

黒ウサギは驚愕して固まっている。

 

「……まさか、箱庭の星々の秘密に?」

 

「まぁな、星を見上げたときに推測して、ルイオスを見た時にほぼ確信した」

 

あっけらかんと答える十六夜君に黒ウサギは含み笑いで聞いてくる。

 

「もしかして、十六夜さんは意外と知能派でございますか?」

 

「何を今さら、俺は根っからの知能派だぜ。扉だって、ドアノブも使わずに開けられる」

 

「ちなみにどうやって?」

 

「まぁ、見てろって」

 

そう言い、十六夜君は僕を飛鳥ちゃんに渡す

 

「お嬢様、蓮花を頼むぜ」

 

「任せてって軽っ!凄い軽いわ!ちゃんとご飯食べてる!?」

 

「食べてるよ」

 

僕だってちゃんとご飯は食べるよ。

 

まぁ、少食だけどね。

 

「ドアノブを使わず、ドアを開ける方法。それはな……………こうやって開けるにきまってんだろッ!」

 

十六夜君の蹴りが門に当たり、そのまま門を破壊する。

 

「ほらな」

 

そう言い、十六夜君が僕たちを振り向く。

 

青ざめ、口を開けてる黒ウサギさん。

 

今にも卒倒しそうなジン君。

 

そのジン君を支えながら、震える耀ちゃん。

 

全身を震わせ、口をわなわなさせる飛鳥ちゃん。

 

そして、飛鳥ちゃんの背中で門の瓦礫が飛び、頭の半分を抉り取られた僕。

 

「蓮花あああああああああああああ!!?」

 

門が破壊される音と十六夜君の叫びを合図に、ゲームが開始した。




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