超虚弱体質の不幸少年も異世界から来るそうですよ? 作:ほにゃー
ガルドとの戦闘が終わると、耀は十字剣を抱え、飛鳥とジンの元へと戻る。
「春日部さん!無事だったのね!」
飛鳥は帰って来た耀に安堵し、抱き付いた。
「うん。蓮花のお陰で助かった」
「蓮花君の?」
耀は自分に起きた出来事を話すと飛鳥とジンは納得する。
「そう。いつの間にか、蓮花君に助けられてたのね、私達」
飛鳥は嬉しそうに、そして少し悲しそうにそう言う。
「ともかく、このゲームは僕たちの勝ちです!黒ウサギたちの所に戻りましょう」
ジンはそう言うが、心の中では何もできなかった自分に腹を立てていた。
今回は蓮花に助けてもらったが、もし蓮花の助けがなければ、耀は大怪我をし、負けていたかもしれない。
そう考えるとどうしてもジンは悔しかった。
今は、その悔しさを抑えジンたちは黒ウサギの元へ戻る。
「ジン坊ちゃん!飛鳥さんに耀さん!ご無事でなによりです!」
「よぉ、計画は無事成功したみたいだな」
三人の無事に黒ウサギは涙を流し喜び、十六夜はいたずらが成功した少年の様な笑みで迎えた。
「いえ、成功したのは耀さんと飛鳥さん、そして蓮花さんのお陰です。僕は何も………」
ジンは拳を握り悔しそうに言う。
「何言ってる?御チビ様が魔王の傘下のゲームに参加して勝った。このゲームの目的はそれだ。大事なのは結果だ。この結果で、ノーネームの名は広まる。……………ま、嫌なら止めていいんだぜ?」
十六夜の言葉に、ジンは首を横に振って答える。
「いえ、やります。僕の名前を前面に出すと言う方法なら、万が一の際、皆への被害を軽減出来るかもしれない。僕でも皆の風よけぐらいにはなれるかもしれない」
「……………あっそ」
自分の意志で己の名前を売り、打倒魔王コミュニティのリーダになると言うジンの決意。
それを見て十六夜は思わず笑いそうになる自分を抑える。
(本当に面白い所に来たぜ………)
そして、未だに眠る蓮花を思い出す。
そろそろ起こした方が良いだろうっと思い、蓮花に近寄る。
「おい、蓮花起きろ。ゲームは終わったぜ」
だが、返事は無い。
「おい、蓮花」
今度は肩を怪我させない様に優しく掴み、揺すり起こす。
蓮花は体をぐらぐらと揺らしながら、そして、ゆっくりと倒れる。
「「「「……………」」」」
その光景にジン、耀、飛鳥、黒ウサギは固まり、絶句する。
「……………え゛?」
十六夜は口元を引き攣らせ、思わず変な声を出す。
蓮花は死んでいた。
天使のような笑みで…………………
「蓮花ああああああああ!!」
十六夜の絶叫がまたしても、“箱庭”の空に響く。
その後、ガルドがやられたことを聞きつけ、やってきた傘下にされていたコミュニティがガルドの元屋敷へと向かうと、そこには全力で慌てまくる十六夜たちの姿があった。
その時の光景を彼等はこう言った。
((((((((((なんだ、あのコミュニティ………………))))))))))