オーバーロード 四方山話《完結》   作:ラゼ

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某所で改行、行間が酷いと言われたのでPCで見てみた。
見づらっ!!
とはいえ暇なときにスマホでポチポチ書いてるので自分の画面で一番見やすいように書いてます、ご勘弁を。

一応多少改行は詰めてみました。



あるべどっ!!

パーティーが終わり、オデンキングは非常に幸せを感じていた。

 

華美。煌びやか。絢爛。そんな言葉ですら陳腐に思えるほどに豪奢で美しさに溢れたパーティー会場。

 

そしてこの世の物とは思えぬ程の美味な料理。

 

そして何よりも嬉しかったのがホストをつとめてくれたアインズ。

 

の横に居たシャルティア含む守護者達と近くに侍る美女メイド達との会話だ。

この世界に来て最初に持った目標がナザリックには揃っていた。

 

「いやー、最高の持て成しだったなークレマンティーヌ。料理も美味いとかそういうレベル越えてたし」

 

「恐すぎて味が解らなかった」

不貞腐れ気味のクレマンティーヌ。

「それにあの音楽隊。神曲ってのはああいうのを言うんだよ。素晴らしくなかったか?」

「その音楽隊が世界を滅ぼせそうじゃなければね」

音楽隊に強さっているのだろうか。

 

「あー、ごめんって。ここがどういう場所か伝えるの忘れてたのは謝るからさ。それに別段、誰にも襲われたりしてないだろ?」

 

憔悴したクレマンティーヌを慰めつつ、豪華なベッドの真ん中で体育座りしてる姿に萌えているオデンキング。

 

「はぁ。まぁそうだけど、ホント生きた心地しなかったんたからねー」

こてん、と横に倒れ生きている実感を噛み締める。

「ままま、この埋め合わせはするからさ。んじゃ行ってくるわ」

部屋に戻って人心地ついた後にBarで呑まないかとアインズに誘われたオデンキング。

 

アインズは飲食が出来ないが雰囲気を楽しむのと、おそらくこちらを気遣ってくれたのだろう。

「出来るだけ早く帰ってきてねー」

もはや精神疲労が限界突破、歩く気力もないクレマンティーヌはあまり長い時間1人にはなりたくないのか少し不安そうにしながらオデンキングを見送る。

 

「あいよー」

 

既にほろ酔い気味のオデンキングは、いつもより砕けた口調で相槌をうってアインズの待つBarへ向かうためドアを開いた。

 

 

 

 

 

 

クレマンティーヌとオデンキングが会話する少し前。

部屋の前にはプレアデスの一人、ユリ・アルファが待機していた。

Barへの案内を仰せつかったためだ。

 

ピン、と音が聞こえるように綺麗な姿勢はその美貌と相まって男なら誰でも見続けていたいと思うほど絵になっていた。

 

そんなユリに守護者統括のアルベドが近付いてきた。

 

「これは、アルベド様」

少し驚きながらもお辞儀をするユリ。

「ご苦労様、ユリ・アルファ。そんなに畏まらなくてもいいわ」

仕事を労うアルベド。しかしその瞳には非常に冷たい光が宿っていた。

「オーディン様に御用でしょうか?」

態々ここに来た以上は間違いないだろうが、一応形式的に問い掛けるユリ。

「いえ、そういうわけじゃないの。ただ、少しお願いがあるのよ」

 

守護者統括であるアルベドが態々客人の部屋まで来て何をお願いするのだろう。

疑問に思いながらユリはアルベドの言葉を待った。

「たいしたことじゃないの、ただ客人を案内する役目、代わってもらえないかしら?」

その言葉を聞いたユリは混乱した。

どう考えても守護者統括のすべき仕事ではない。

一体どのような理由があるのだろうかと疑問に思いながらもユリは答えた。

「セバス様から直接仰せつかった役目で御座います。それにそのような仕事を守護者統括であるアルベド様にやっていただくというのも…」

「いいの。セバスには後で言っておくわ。それとこれは守護者統括である私からの命令よ」

 

そこまで言われてはプレアデスとはいえメイドの一人でしかないユリは引き下がるしかない。

 

「かしこまりました。では宜しくお願いします」

 

身を引き、お辞儀をしつつその場を後にしてセバスへの報告へ向かうユリ・アルファ。

そしてアルベドは憎悪の感情をその身に秘めながらその対象が出てくるのを待つ。

 

 

 

 

 

 

 

オデンキングがドアを開けるとここまで案内してくれたメイドではなく、パーティー会場でアインズの近くで物静かにしていた守護者統括のアルベドが待機していた。

 

「あれ? ユリさんは戻ったんですか?」

 

ちなみにパーティー会場にて本来の口調は割りと軽いと暴露していたのでアインズのような苦労は回避している。

 

「ええ、私が案内します」

 

ぞんざいな口調でアルベドが答える。

 

「そっか…? 態々すいません。じゃあ案内をお願いします」

 

少し怪訝に思いながらも案内を頼むオデンキング。

 

「ええ、ではこちらへ」

 

アルベドはBarとは逆の方向に向けて歩き始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ギルド「アインズ・ウール・ゴウン」の拠点ナザリック地下大墳墓、階層守護者統括。

それがアルベドの肩書きだ。

彼女はアインズを除くとナザリックでは最高の地位と言えるだろう。そんなアルベドには他の守護者達と明確に違う点がある。

それはアインズだけに最高の忠誠を誓い、アインズだけを最高に愛している、ということだ。

 

一見すればそれは他の守護者と変わりないだろう。

 

だがその心情はともすれば、意味合いが真逆と言ってもおかしくはないほどに他の守護者のそれとは乖離していた。

 

アルベドを除く守護者達は皆アインズを崇拝し、ナザリックを愛し、自分達を作った至高の41人を尊敬し敬愛している。

 

シャルティアなどはアインズを愛しているとは言うものの、自分の想像主ペロロンチーノと比べてどちらが素晴らしいかと聞かれれば後者を選ぶだろう。

 

それはシャルティアに限らず、皆それぞれ自分の想像主を特別視しているところは多かれ少なかれあるのだ。

 

だが共通しているのは、アインズ、ナザリック、至高の41人を愛し、それより少し下がって同僚達を大事にしているということだ。

 

しかしアルベドは違う。たしかに同僚達はアインズと比べるべくもないが大事には思っている。

 

しかしそれ以外については別だ。

アルベドは自分達を見捨てた40人を、ナザリックから去った40人を、そしてなによりもアインズを悲しませるという許されざる行いをした40人をもはや憎悪している。

 

アルベドは思う。

アインズ様だけがお側に居ればそれでいい。

アインズ様だけを愛することが出来ればそれでいい。

他に何もいらない。アインズ様以外の至高の者など帰ってくる必要はない。

他の全てが敵にまわってもアインズ様のお側に私がいればそれでいい。

狂おしいほどの愛が、アルベドと他の守護者達との意識に隔絶した違いをもたらしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして今、目の前にいる男は人間でありながらアインズ様の友などと思い上がった勘違いをしている。

 

アインズ様に友など必要ないのだ。

またいずれどこかに消え、アインズ様を悲しませるかも知れない存在など必要ない。

この男は憎むべき40人の亡霊そのものだ。

 

さっさと消してしまわなければ。

アインズ様には、彼等は急用が出来てナザリックを去ったとでも言っておこう。

 

 

 

 

 

 

 

オデンキングはアルベドの後ろを歩きながら考えていた。

 

「(もしかして嫌われてる?)」

 

さっきの素っ気ない態度、パーティー会場では一度も会話しなかった事実、そして今の冷たい雰囲気を纏った彼女を見てまず間違いないだろうと確信した。

 

「(ここはいっちょ機嫌でも取りますか!!)」

 

普段のオデンキングならば空気を読んで黙ったまま到着するのを待っていただろう。

だが今オデンキングは酔っていた。

酒が入ると涙もろくなる者、笑い上戸になる者など色々といるがオデンキングは気が大きくなるタイプであった。

 

「いや、しかし本当に素晴らしい場所ですね、ナザリックは」

 

無言。

 

「女性の方達も皆美人ですし…あ、アルベドさんは特に群を抜いてますよ」

 

無言。

 

「い、いやー何とも天国のような場所ですね」

 

無言。

 

「(て、手強い…)」

 

どうしようかと思案するオデンキング。

 

「(そうだ、パーティー前に聞いたあのネタなら…!!)」

 

「そうそう、パーティー前にアインズさんと話してたじゃないですか? あの時中々面白い話になってたんですが、聞いて下さいよ」

 

 

 

 

 

 

 

この辺りでいいだろう。邪魔が入らぬ内にこの男を消す。

 

男が何か言っている。

此処が素晴らしい場所?

アインズ様がおわすこのナザリックが素晴らしくない訳がないだろう。

 

美女が多い?

お前などに褒められても不愉快だ。私を褒めるのはアインズ様だけでいい。

 

天国?

今からお前が行くのは地獄だ。

 

消す。消えろ。お前は存在してはいけない。

 

アルベドは振り返りその身に殺意を滾らせオデンキングを睨み付ける。

 

殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。

こいつは、この男は、この下等生物は、こいつが、こいつは、こいつが、こいつは、こいつは。

 

「いやー、あれも恋バナって言うんですかね? どうみてもアルベドさんを好きなのに恥ずかしがって中々認めないんですよ。アインズさん。ここはいっちょ俺が〈アインズ×アルベド 相思相愛!! 目指せプロポーズまでの道!!〉なんて計画でも立ててやろうかと…」

 

この御方は、アインズ様の御友人に相応しき偉大なるお人だ。間違いない。

 

 

 

 

 

 

 

 

「(なんかめっちゃ機嫌良くなった…)」

 

鼻唄でも歌いそうに軽快な足取りになったアルベドを見てほっとしたオデンキング。

さっきまで歩いていた方向とは逆に歩いているが本当に此処は入り組んでいるな、とお気楽な思考をしている。

 

「オーディン様とお連れの女性は御結婚されているのですか?」

 

機嫌良く、言葉も丁寧になったアルベドがオデンキングに問い掛ける。

 

「(やっぱ種族は関係なく女の子は恋バナ好きだな)いえ、そういう訳ではないんですよ。というか会ってまだ数日ですし」

 

「あら、そうなんですか? その割には随分仲が良さそうですのね。部屋も同じですし」

 

部屋を同じにしてくれ、と申しでてきたのだ。当然そういう関係だと誰だって思うだろう。

 

「あー、まぁそうですね。成り行きというかなんというか」

色仕掛けされたとは言えない。

 

「オーディン様は手が早い御方ですのね。アインズ様もそのくらい手が早ければ今頃…くふ、くふふふ」

 

くふーっ!と興奮するアルベドを見てオデンキングは少し引いていた。愛が重いってのは成る程、こういうことかと。

 

「到着致しました。こちらでアインズ様がお待ちです。どうぞ、ごゆっくりとお楽しみ下さいませ」

 

アインズが近くにいるせいか、少しかしこまりながらアルベドが到着を告げる。

 

「ああ、ありがとうございました」

「計画の件、くれぐれも宜しくお願いしますわ」

 

ギラリと眼を光らすアルベド。まるで獲物を狙う肉食獣のようだ。

「え、ええ。ばっちり成功させますからご安心を」

 

安請け合いするオデンキング。その計画に自分の命が懸かっているのは気付いていない。

 

「(あれ? もしかしてアインズさんとアルベドさんがくっつくまでナザリックを出られない?)」

 

 

――――クレマンティーヌの胃に穴が空くまであと何日か――――




「地雷」ヒョイッ
「地雷」ヒョイッ

神回避成功。いや、まだ成功ではないか…。

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