4月×日
朝 晴れ 10時 鎮守府正門
朝は天龍を追いかけ回した後 、何時ものように正門の警備をする憲兵。 2時間ほど警備をしていた。時折村の住民が訪れ採れた野菜や果物、魚をこの鎮守府に差し入れに来るのを対応するくらいで特に問題もなく過ごしていた。
「おはよう、くそ憲兵」
背後から声を掛けられ振り替える。そこにいたのは駆逐艦曙だった。
「おはようございます。曙さん。あいさつがまだなおっていませんね。私が渡した本は読んでいますか?」
「読んでるわけないじゃない!」
言葉づかいが直らない曙に憲兵が渡した本。『素直に話そう』という本を彼女に渡して時間があれば読むようにと伝えた。渡したときかなり怒っていた曙であるが、消灯時間が過ぎたら毎日のように読みブックカバーまでして大切にしているのを朧たち姉妹艦は知っておりニヤニヤしながら見ているのはここだけの話である。
「だめですね。その様な挨拶では周りに誤解されてしまいます。根は優しく、誰よりも他人が傷つくのを恐れている貴方が誤解されるのは姉妹艦の皆様も悲しいはずですよ」
「ぐぬぬぬ………」
顔を真っ赤にしながら俯く曙。
「新しい本をまた購入しますので読んでください」
「いらないわよ!バカ!アホ!くそ憲兵!」
曙はそう言って走り去ってしまった。その後ろ姿を見ながら溜め息を溢す憲兵だった。
◇
憲兵は休憩するために正門にある監視所に入る。ふとテーブルの上を見ると缶コーヒーが1つ置いてあり置き手紙があり可愛らしい字でこう書かれていた
『間違えて飲めないの買ったから仕方なくあんたにあげるわ!あんまり無理して倒れんじゃないわよこのくそ憲兵!』
憲兵はその手紙を綺麗に畳み、近くの棚に入れる。中には沢山の手紙があり全て曙のものである。
今回と同じようにコーヒーと手紙を置いていっている彼女の手紙を大切に保管している憲兵あった。
その日の晩に曙の机の上には『これで貴方も人気者』という本が置かれており手紙には『コーヒーありがとうございました』と書かれており曙はその手紙を見ながら嬉しそうにしていた。
◇
昼 12時 食堂
昼休み、多くの艦娘で賑わう食堂。食事を済ますために訪れる憲兵。和食セットをトレーに載せ、空いてある席を探す。しかし、時間帯が悪く空いている席がほとんどない。空いている席を確保してから頼むべきだったと少し後悔していた。立ち尽くす彼に二人組の女性が声をかける。
「こんにちは憲兵さん」
「こんにちは憲兵さん。どうかしましたか?」
正規空母の加賀と赤城であった。
「おはようございます。加賀さん、赤城さん。いえ食べる席を確保するのを忘れていまして」
「なら私たちとどうですか?確か一席空いていたはずです」
「いいですね!行きましょう憲兵さん!」
両名につれられ空母達がいる席へと案内される。
案内された先には蒼龍と飛龍が座っていた。
「あ、赤城さんたち待ってましたよ~ って憲兵さん?」
「えぇ!けけけけ憲兵さん?!」
やっほーと挨拶する飛龍とおかしいところないよねと言いながら服や髪を手入れする蒼龍。
「一緒に食べることになったのだけどいいかしら?」
「申し訳ありません」
憲兵は頭を下げ謝る。
「大丈夫ですよ憲兵さん!ね?蒼龍」
「はい!全然大丈夫でしゅ!」
噛んだ蒼龍を笑う飛龍。顔を真っ赤にして停止する蒼龍。そんな二人を見てやはり無表情の憲兵を加賀は三人席の真ん中に座らせる。いただきすの声と共に各自箸を進める。憲兵は無言で箸を進めていたがふと視線を感じ視線のする先を見る。そこにはチラチラと憲兵を見る蒼龍がいた。
「何か顔についていますか?」
「い、いえ!何でもないです……」
顔を真っ赤にする蒼龍。そんな彼女を不思議そうに見る憲兵であったが箸を進めていく。箸を進めていくにつれまたも視線を感じる。横から感じ横を向くと自身のご飯を食べ終えた赤城がじーっと見ている。見ているのは自分ではなく和食セットの目玉であるだし巻き卵であった。憲兵はだし巻き卵と赤城を交互に見てから見つめている赤城に声をかけた。
「食べますか?」
「いいんですか?!では一口だけください!」
目に見えるようにキラキラする赤城。キラ付け完了である。すると赤城は目を閉じあーんと口を大きく開ける。意味を理解できなかった憲兵は数秒硬直する。待っているのに卵焼きが入ってこないのを不審に感じた赤城は憲兵を見る。
「早く食べさせてください。顎が疲れちゃいます」
「は、はぁ…………」
向かいの蒼龍がいいなぁと呟いているのを聞いた飛龍。ニヤニヤしながら見ていた。加賀はじーっと憲兵を見ていた。憲兵は注目されているのを内心焦りながら赤城の口にだし巻き卵を一口運ぶ。
「むふー美味しいです!憲兵さん大好きです!」
幸せそうにする赤城。彼女は自身が発した言葉を聞いて視線が更に注目したのを気づいていなかった。憲兵は残りの卵焼きを赤城の皿の上に載せる。
「急用を思い出しましたので残りは赤城さんが食べておいてください。ご飯をご一緒できてよかったです。ありがとうございます」
そそくさと戦略的撤退をし、出る際に間宮と鳳翔にごちそうさまですと声をかけて食堂を後にした。
「むー……明日は私が………」
それを見ていた小雪提督は明日は自分と決心していた。
◇
夕方 18時 鎮守府内 埠頭
憲兵は埠頭で携帯灰皿を手にしながら煙草を吸っていた。真面目そうに見える彼だが実は喫煙家であり、1日の業務の終わりにはここで煙草を吸っている。口にくわえた煙草のフィルターから出る煙を肺に満たす。口の中が少し苦いがこれもまた煙草を吸う楽しみの1つである
「………」
やはり無表情で海を見つめながら煙草を吸う。そんな彼に後ろから近づく影。
「何してんのー?」
雷巡艦北上であった。憲兵は急いで煙草の火を消そうとするがいいよー別に気にしないしと北上が止める。北上は憲兵の横に座り海を見ていた。
「………………」
「…………………」
静寂。会話を余りしない憲兵を北上は不快には感じずむしろ心地いいと感じる。話すのは嫌いではないが静かに過ごすのも悪くないと考えていた。
「もうすぐで大井っちが帰ってくるんだ~」
「遠征ですか?ご一緒ではなかったんですね」
「うん。前の出撃の時に被弾して中破しちゃってさー。提督が大事をとって3日も休みをくれたの」
「ご無事で何よりです」
「ぬふふふ、何たってスーパー北上様だからね」
そう言って笑う彼女。すると遠くから6つの人影が見えた。
「帰ってきたみたいですね」
「そうみたい………じゃあまたね憲兵さん」
そう言って彼女は走り去ってしまった。
◇
本日の主な出来事
朝
正門で曙さんと会話、缶コーヒーの差し入れがあった。経費で彼女にコミュニケーション能力を高める本を送る。
昼
正規空母の皆様と昼食を取る
夕方
喫煙中に北上さんと少し会話する。
一言
昼食時の視線が怖かった
最後に
本日も晴れ、鎮守府に異常なし
煙草は体に悪い(戒め)
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