本日も晴れ、鎮守府に異常無し《完結》   作:乙女座

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遅くなってごめんなさい!

許してください!何でもしますからぁ!


番外編 お魚の青年

11月*日

 

朝 8時 鎮守府正門

 

「ヲッ!ヲッ!ヲッ!」

 

「キュー!」

 

いつもと変わらない朝。少しだけ変わったことと言えば今日は憲兵が居らず、ヲ級とイ級が門番をしていることだろう。

何故憲兵が居ないかと言うと今日は憲兵が憲兵隊本部に呼び出されているためである。今日一日、憲兵が不在のためヲ級とイ級が門番をしているのだ。

 通りすぎていく人に挨拶をするヲ級達。多くの村人はヲ級とイ級の存在を知っていた。敵と同じ容姿をしている彼女達だが、まったく悪意を感じることもないため村人に受け入れられている。道行く村人達はヲ級とイ級にお菓子をあげたりと一日憲兵をしている彼女達を応援していた。

 

「ヲーッ!」

 

「キュキュ!」

 

ヲ級とイ級達の回りには多くのお菓子や果物、野菜などの差し入れが置かれておりそれを見て喜んでいた。しかし、ここで問題になったのはどうやって運ぶかである。ヲ級は体が小さいがため運ぶことはできない。イ級はどう考えても運べない。途方に暮れるヲ級とイ級ブラザーズ。

 

「おはようございます!憲兵さん!旬の魚を持ってきました!」

 

「憲兵さーん!遊びに来たよー!」

 

そこへ現れたのは魚をくれる青年と妹の小夏。青年は魚が入ったクーラーボックスを持ったまま憲兵を探す。休憩室を覗き中を確認する青年。しかしそこには憲兵の姿が無い。どうしたことかと思い誰かいませんかと声を出す。クイクイと服の裾を引っ張られているのに気づき下を見る。そこにはヲ級とイ級ブラザーズがいた。

 

「おー!元気にしてたかぁ?」

 

「ヲー!」

 

「ヲ級ちゃんおはよー」

 

休憩室の机にクーラーボックスを置き、ヲ級とイ級の頭を撫でる青年。小夏はイ級を抱き上げる。するとヲ級は青年の手を引っ張り大量のお供え物の場所まで引っ張る。

 

「ヲ!ヲーン!ヲーヲーヲヲヲヲーヲ」

 

「憲兵さんが本部に呼ばれてるから代わりをしてたら皆から貰ったけど運べないと」

 

「ヲーン!」

 

「代わりに運んでほしいと…いいよ!とりあえず魚を運ぶから食堂まで案内してくれるかい?」

 

「小夏も手伝うー!」

 

「ヲッ!」

 

ビシッと敬礼をするヲ級。そして青年と小夏を鎮守府内へと案内するのであった。

 

 

鎮守府内 食堂

 

「すみません。わざわざ持ってきてもらって。ありがとうね小夏ちゃん」

 

「いえいえ。いつも海の平和を守ってくれている皆さんへの感謝の気持ちですよ」

 

「えへへ」

 

 食堂へと魚を運んだ青年は、鳳翔と話をしており小夏は鳳翔に抱きついていた。その間ヲ級とイ級は青年が運んでくれた村人からのお菓子を頬張っていた。

 一通り話を済ました青年は小夏を連れて帰ろうとするする。

 

「よろしかったらお昼を食べていきませんか?」

 

「いやいや、そんな…」

 

「遠慮ならさずにね。出来たらお呼びしますからそれまで鎮守府を見学してください。小夏ちゃんもね?」

 

「やったー!鳳翔おねえちゃんのごはん!」

 

そう言って微笑む鳳翔に頭を下げる青年。妹の小夏と共に鎮守府を見て回ることにするのであった。

 

 

朝10時 鎮守府中庭

 

「へぇ…すごいなぁ憲兵さん。家庭菜園してるのか」

 

「ヲッ!ヲッ!」

 

「イ級ちゃんまってー!」

 

「キュー!」

 

 綺麗に手入れされている中庭に感嘆する青年。小夏はイ級ブラザーズとおいかけっこをしていた。そこへ丁度演習を終えた天龍がやってきた。

 

「お?漁師のおっさんのとこの…」

 

「あ、天龍さんお久しぶりです」

 

「あ!天龍!」

 

天龍に頭を下げる青年。小夏は天龍に駆け寄っていきその豊満な胸へと飛び込む。

 

「おう!小夏!元気だったか!?」

 

「えへへ!元気だよ!天龍も元気?」

 

「あったりまえだろ?!俺を誰だと思ってんだよ」

 

小夏の頭をわしわしと撫でる天龍。小夏はきゃーと満面の笑みを浮かべる。

 

「そういえば、おばあちゃんがいつも荷物持ってくれてありがとうって言ってましたよ。とても助かってますって」

 

「ばあさんは元気か?」

 

「はい!今度龍田さんといっしょに自宅に来てほしいって言ってましたよ」

 

「そうか…また遊びに行くからって伝えといてくれ!じゃあ俺は提督に演習の結果を伝えにいってくる。小夏もまた遊んでやるからな」

 

「やったぁ!」

 

じゃあと天龍は執務室のある本館へと歩いていった。

 

 

 

昼 12時 食堂

 

「すげぇ…」

 

「美味しそう!」

 

「ご飯はおかわり自由だから一杯食べてね?」

 

昼になり食堂では青年が持ってきた秋刀魚の料理が今日の昼食になっていた。秋刀魚の竜田揚げの香ばしい匂いにつられて多くの艦娘が食堂に集まっていた。

 

「あれ?お魚くれる人?」

 

声を掛けられどきっとする青年。振り向くと彼の意中の相手である提督がお盆を持ってたっていた。

 

「あ、そ、そのこんにちは…」

 

「こんにちは!ここで食べてもいい?」

 

「も、もちろんです!」

 

「お兄ちゃん?」

 

顔を真っ赤にし、噛みながら返事をする兄を不思議そうに見る小夏。提督はどうしたんだろうと不思議に思いながら彼の向かいの空いている席に座る。

 

「じゃあいただきます!」

 

提督の挨拶に続き小夏も食べ始める。青年はちらちらと提督を見ながら食べていた。その様子を遠くから見ていた鳳翔はあらあらと微笑みながら作業を続けていた。

 

「そういえばさ…君の名前って聞いてなかったんだけど…教えてくれる?」

 

「え、えっと…矢沢義弘って言います」

 

「へぇ…なら義弘くんだね!いつもお魚ありがとう!皆喜んでくれてるよ!」

 

「そ、そんな…僕のおじいちゃんを助けてくれたお礼です。返しきれない恩がありますから」

 

提督の笑顔に胸の鼓動が早くなるのを感じつつ青年は提督との昼食を楽しむのであった。

 

 

 

 

 

 

今日の日記

 

今日は秋刀魚を届けにいったら憲兵さんが休みだったので直接鳳翔さんに渡しにいった。お昼は鎮守府でごちそうになり新田小雪さんと食事ができた…

やっぱり新田さんはかわいいなぁ…

 

最後に

本日も大漁!桜村漁村に異常なし!

 

 

 

 

 

 




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