本日も晴れ、鎮守府に異常無し《完結》   作:乙女座

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遅くなりました!

本編どうぞ


旅行 一日目夜 女子会 二日目 朝 温泉

部下が帰った後、提督と艦娘達は夕食をとった宴会場を借り集まっていた。男が参加できない所謂女子会だった。お菓子や飲み物を用意する。今回の議題はホワイトボードに書かれているのは『憲兵さんについて!』だった。時間になり提督が前に立ち話を始めた。

 

「今回皆に集まってもらったのは憲兵さんについてです。私たちは憲兵さんに良くしてもらっていますが彼の事を全く知りません!なのでここで皆と一緒に憲兵さんがどのような人なのかを一緒に考えてほしいです。では司会の加賀さんよろしくね!」

 

「わかりました。まず分かっていることを書いていきます」

 

加賀はホワイトボードに憲兵の情報を書いていく。

一つ、年齢は30歳

一つ、結婚していたが奥さまと子供と死別

一つ、誰に対しても敬語

一つ、元陸軍副隊長

一つ、料理がおいしい

 

 

「まずはこんなところですね」

 

「少なすぎじゃね?あと料理のところ要らないだろ?」

 

「確かにな」

 

やってやりましたとドヤ顔をする加賀だが天龍と木曾の眼帯コンビは情報少なすぎだろとツッコミをいれる。

 

「はい!」

 

すると吹雪が手を挙げ発言の許可を加賀から貰う。

 

「憲兵さんは私たち艦娘に優しいです!特に駆逐艦の皆は憲兵さんに何かしら御馳走になったり、遊んでもらっています!」

 

実際駆逐艦グループが憲兵さんに良くしてもらっているのは周りも知っており、駆逐艦全員が吹雪の発言にうんうんと頷いていた。

 

「そ、それに私たち艦娘を一人の女の子として見てくれます。この前は髪飾りを買って貰いましたし……」

 

顔を赤くしながらえへへと笑う吹雪。艦娘を兵器として見る人が世間では多い。決して恐れているとかではないが人類が傷を付けることができなかった深海棲艦を倒す力をもった兵器と考える人が一般的だ。彼女たち自身もそれは自覚しているからなんとも思わないが憲兵は艦娘を一人の人間として、女性として接している。これが彼が慕われる理由の一つなのだろう。しかし、後半の髪飾りを買ってもらった発言をした吹雪には一部の艦娘から嫉妬の視線が向けられる。

 

「はい!」

 

次に軽巡洋艦で憲兵に追いかけ回されている天龍が手を挙げる。

 

「憲兵は結構甘党なんだぜ?」

 

だよな間宮さん、鳳翔さん?と二人に確認する。はいと笑顔で答える二人。

 

「憲兵さんはよく私の甘味処に来てパフェとかケーキとか和菓子とか食べに来るんですよ。そこがとてもかわいくてね」

 

「甘い卵焼きとかも好きですよ。それに憲兵さんは辛い物が苦手ですね。そこが子供らしいと言いますか。見た目はかっこいいのにギャップがあってかわいいですよ」

 

ふふふと笑う二人。憲兵が見た目によらず甘党なのを聞き提督はそうなんだと新たな憲兵の一面を知り満足していた。

 

「はいはーい!」

 

次に手を挙げたのは重巡洋艦の鈴谷だ。

 

「憲兵さんは読書が好きだよね!部屋に本が沢山置いてあるし!」

 

憲兵の部屋によく侵入している鈴谷だから知っている情報だ。

 

「花とかも好きだよねー」

 

「煙草を吸いますよね」

 

他にも憲兵の情報が次々と挙げられていく。その中で大和があることに気づいた。

 

「そう言えば憲兵さんの本名って何ですか?」

 

この一言により全艦娘が固まった。そして艦娘全員が答えを知っているであろう提督を見る。

 

「じ、実は私も知らないんだよね」

 

共に過ごしてきたのに憲兵の本名を知らない一同だった。

こうして女子会をする一同の夜はふけていく。

 

 

 

 

憲兵がべろべろに酔っぱらった日の翌日。憲兵は目を覚まし時間を確認した。時刻はまだ6時半。日が昇り始めた時間だ。憲兵は昨日の記憶が無く顔が青ざめる。もしかして部下がここまで運んでくれたのだろうかと思い彼に謝らないといけないと考えると同時に恐らくみっともない姿を他の艦娘や提督に見られたかもしれないと頭をかかえた。とりあえず昨日入ることができなかった温泉に入ろうと布団から出ようとするが身体が動かない。何かが布団の中にいる。布団をめくりその正体を確認する。

 

「ヲー」

 

「キュー」

 

ヲ級とイ級だった。憲兵は優しくヲ級とイ級ブラザーズを撫で起きないようにゆっくりと布団から出て温泉へ向かうのであった。

 

 

 

「ふぅ」

 

温泉に浸かり一息吐く憲兵。おじさんみたいだなと思ったがよくよく考えればもう三十路。妻も子供も居なくなり今までの10年間は本当に辛かった。一歩ずつ前を向いて歩いてきた。妻と子供に恥じないように、いつか自分が天国に行ったときに二人に笑顔で迎えてもらえるように……そのようなことを考えていると温泉の扉が開かれた。

 

「ヲ!ヲ!ヲーン!」

 

「キュー!」

 

入ってきたのはヲ級、そしてイ級ブラザーズだ。ヲ級は頭の黒い被り物をお湯を入れた桶に入れ、湯船へと飛び込む。イ級ブラザーズも後を追うように飛び込んだ。

 

「ヲ級さん。イ級さん飛び込んではいけないですよ」

 

めっとヲ級とイ級ブラザーズを叱る憲兵。ヲ級とイ級ブラザーズはしょぼんとした表情になるが憲兵はゆっくりと頭を撫でる。次からは気を付けましょうと言いまたゆっくりと温泉を堪能していた。

 

 

がらがらと扉が開く音がしそちらに視線を向けると

 

「え、憲兵さん!?」

 

空母翔鶴が入り口に立っていた。

 




お気に入りが1700件を突破していました。やりました。
沢山の評価、感想ありがとうございまっする!(死語)

前回はシリアスだったので今回からほのぼのです。

ではこれからも
~鎮守府~            
憲兵さんと艦娘とときどき提督
を応援してください!(ニセタイトル)

まだまだ感想、評価、アドバイス、誤字脱字の報告お願いします。



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