魔法少女うえだ☆マギカ 希望を得る物語   作:ハピナ

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こ( ̄0 ̄)
ん( ̄ー ̄)
に( ̄△ ̄)ち
"<( ̄∇ ̄)>"わっはっは!!

いつもの ハ ピ ナ でございますっ!

今回のお話は深夜の街中から始まります、普通の中学生なら補導されるレベルの。

やはりまどマギは面白いですね!

最近PVとか名場面集とかを見直したんですが、
う~~む……ブラックファンタジーって感じでしたね。

私はこんな暗い話題材にしてたのかw

ティロ・フィナーレも見ましたよ! マミさんかっこいい!!

まぁ感動に浸りすぎて例の捕食シーンまで行っちゃったのは後悔ですが……w

お昼ご飯前のちょっとした時間、この回を投下させていただきます。
ん? お昼ご飯? (。´・ω・)<(サラダ単品)


(2月13日)
○本文の顔文字削除
○『w』等の余分な要素削除
○一部追記と『…』引き伸ばし
○その他修正

(2月20日)
○変則改行の本格修正
○『w』の削除、『・・・』の引き延ばし等。
○その他修正



(7)孤高少女と危機少年

チーム『リュミエール』が結成した日から数週間、

花組達も魔法がある生活が板についてきた。

 

それは同時に魔法を使う機会も増える、そうなれば魔力の消費も増える。

 

そりゃもう、一部の頭の味噌が足りない生徒達は結果どうなってしまうかというと……

 

 

 

 

魔法の使い過ぎで、速攻魔女化か魔男化さ。

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

とある路地裏の一角で、黒い魔力は吹き出した。

 

数分もしないうちに、古びた低いマンションの壁になにやら光るエンブレムが浮かび上がる。

 

すると、そこに1人の魔法少女がやってくる。

 

手には点滅するソウルジェム。

 

ひび割れたアスファルトに転がる抜け殻を見つけると、

ソウルジェムをブローチにして首もとに付け直した。

 

 

上田「ふふっ、ソウルジェムが探知機の役割を果たしてたなんて、

みんな知らないだろうな……まぁ、リュミエールのみんなは知ってるけど」

 

 

ポロっと零れる独り言、静まり帰った夜の中で彼女の声がほんのちょっと響いた。

 

 

最近になって、魔法少女や魔法少年は『眠らなくても大丈夫』という、

かなり人間離れした特徴がある事がわかった。

 

実際、利奈も1時間しか寝てない。 だが目覚めはぱっちりだ。

 

 

……利奈は、団体より1人の方が慣れている部類だ。

 

リュミエールという居場所ができたものの、やはり『道具』である現状は変わらない。

 

だが、前よりは強くなった。 ちゃんと断れるようになった。

 

それでも、やはり『道具』としての生活は傷つくものもあった。

 

これだけはどうしても慣れない。

 

何回か付き合わされて魔女退治や魔男退治に行ったが、利奈は大抵肉盾か特攻を強いられた。

 

グリーフシードも利奈が使う番になると、残るその浄化力は雀の涙。

 

それが、コミュニケーション能力が元から低い者の運命と末路。

 

そんな事もあって、利奈はこうして何度も1人で狩りに出ている。

 

利奈の魔法も、棍に関する物かテーマがマジシャンやサーカスなどの

『お披露目系』の物なら割りとなんでも召喚出来る事がわかった。

 

まぁ召喚のしやすさから戦闘で使うのは棍の方だけだが、

慣れたのか1人でも充分戦えるようになった。

 

最初の黒板の魔女戦ように魔力全開でごり押しで倒すような真似はしない。

 

 

利奈は抜け殻を壁に持たれかけさせると、早速魔法を使う為に手際良く準備を始めた。

 

まずは赤い布を魔法で作ると、手の中でくしゃくしゃと丸め……

 

 

上田「ジュイサンス!(披露)

 

 

ちょっと前に利奈が作った手品、『披露』の魔法だ。

 

魔法を込めてばっと開く。 するとすると、あら不思議。

 

ハンカチ程の小さな布はあっという間に、広々としたカラフルな毛布になった!

 

……まぁ召喚方法はともかく、これで抜け殻が冷える事はないだろう。

 

 

上田「アンヴォカシオン!」

 

 

棍を1本召喚。 しっかりと握って持ち、エンブレムの向こう側へと歩を進めた。

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

パーンパーカパーン!

 

パーンパーカパーン!

 

パーンパーカパーンパーカ……

 

上田「うっ、うるさあああぁぁぁいっ!!」

 

 

短調な結婚式の洋楽が、大音量で利奈を出迎えた。

 

まるで嘆くように、どうしようもない怒りを無造作にぶつけるように。

 

不気味に色が塗ったくられたベニヤ板の教会から、

クッションに指輪を載せて両手で差し出したままの潰れた黒猫が走ってくる。

 

 

誓詞の使い魔、役割は求婚。

 

 

迫る大量の使い魔、それでも利奈はひるまない。

 

まずは1匹、吹き飛ばす。

 

 

上田「ゲーム、スタート!」

 

 

さて、乱舞をかまそう。まずはその場で踊るのさ。

 

バキッ! ドコォ! ボカッ!! と連続で響く硬い打撃音。

 

棍の強い打撃をくらった使い魔は大きく吹っ飛び、

自らが大切に持っていた指輪をクッションごと手放してしまう。

 

自分の指輪を無くした黒猫は、枯れ草の地面を大慌てでバサバサと走り回った。

 

第一陣をなぎ倒し、利奈は一旦辺りを見渡す。

 

 

上田「使い魔弱いなぁ……この様子だと、そんなに絶望しないで魔女化しちゃったのかな?

 

なら、すぐに助け出せるね」

 

 

そう言って、利奈は無邪気に微笑んだ。

 

そして、また走り出す。

 

今倒した使い魔は、ほんの一部にすぎない。

 

 

上田「アンヴォカシオン・アロンジェ!」

 

 

一旦棍を上に放り投げ2本に増やして両手でキャッチ、ばっと外に払ってその長さを伸ばした。

 

利奈の乱舞は走りながらでも出来る。

 

最初の乱舞の手応えで使い魔が軽いとわかった今、第二陣、第三陣と陣ごとなぎ倒す。

 

宙には猫舞う! 指輪舞う! クッションも舞う!

 

地味に遠い教会までの道のりは曲がりくねった道だったものの、

行き先自体は1本道ですぐに教会の目の前まで来た。

 

前の利奈ならスフェールで壊しているところだが、

1本の棍を投げつけヒビを入れた後、蹴り壊すことで魔力を節約する。

 

 

上田「ネクストステージ!」

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

【ニャン】ゴーン……

 

【ニャン】ゴーン……

 

【ニャン】ゴーン……

 

上田「……なにこれ、鐘の音?」

 

 

禍々しい雰囲気の教会内、そこから感じ取れるは執念。

 

敷かれた赤く塗られた、ベニヤ板の両端。

 

下半身が鐘になっている黒猫の使い魔が鳴きながら下半身をゆったり振り、

ニャンゴーンと少々アホらしい音を奏でた。

 

 

誓詞の使い魔、役割は祝福。

 

 

その音とは裏腹に……ベニヤ板の神父の前に佇む魔女、いや魔男は不気味だった。

 

え? 何故、魔男なんだとわかったのかって?

 

理由は簡単、今回の魔男は『花婿』だったからさ。

 

 

二本足で立つ、両耳が千切れた赤目の黒猫。 彼はタキシード姿で何を思う?

 

腹にはウェディングドレスの白猫を麻紐で何重にも縛りくくりつけている。

 

白猫は自由を忘れたように意識がなく、その瞳も虚ろ。

 

 

誓詞の魔男、性質は挙式。

 

 

上田「ボスステージってか、攻略させてもらうよ!」

 

とは言ってみたものの……流石にこれは工夫が必要だろう。

そう判断した利奈は頭からシルクハットを外し何やら中を探る。

 

程なくして、赤い柄のトランプの束が出てきた。

 

魔力に余裕がある内に事前に作っておいた代物。

……何故かどのマークも描いていない、全部真っ白だ。

 

シルクハットをかぶり直してから適当に切って魔力を混ぜ合わせると……

なんと棍を前方にヒュっと投げ、トランプの束を2つに分けて両手持つ。

 

そして手を横に広げ、利奈はそのまま走り出した!

 

 

上田「ジュイサンス!」

 

 

そう言って、両手に軽く力を入れる利奈。

 

すると……パラパラパラとカードが手から飛んで行き、

1枚1枚が赤い光を帯びて使い魔に飛んで行った!

 

トランプが赤く強い光出したかと思うと、そこから使い魔の姿は消えた。

 

パラっと落ちる白紙だったトランプには、誓詞の使い魔の絵が記されている。

 

捕獲による無力化、これでかなり負担は減らせる。

 

アホらしい音は次第に小さくなっていき……残ったのは魔男だけとなった。

 

魔男は式場を荒らされた怒りで、深みのある低い声で鳴いた。

 

 

【Nyaaaaaaaaaaaaaaaaa!!】

 

 

上田「弱点丸わかりだなこの魔男、早々に決着を付けさせてもらうよ!

 

 

アンヴォカシオン!」

 

 

利奈は棍を召喚して両手を構える。 相手は異形であっても猫。

かなり動き回るものの、花嫁の重みからその早さは微妙だ。

 

この魔男に、立ち回りが早い利奈が乱舞をかますのは容易だった。

 

 

上田「やああああああああっ!!!」

 

 

生物系の魔女魔男というのは、体力(HP)が少ないかわりに身体能力が高い。

 

だがこの魔男の場合……どんな執着心を持っているかは知らないが、

花嫁を変にかばうせいでただでさえ少ない体力を削られてる形になっている。

 

 

【Nyaoooooooooooooo!!!】

 

 

しばらく戦っていると……魔男は崩れ落ちるように、その場に倒れた。

 

利奈は持っていた2本の棍を1本の太めの棍に変え、魔力を込めて刃を作る。

 

元の棍が太いため、出来る刃も鋭く魔力の密度も高い。

改良を重ねた結果のこの出来、思考が生んだ代物。

 

 

全く、数週間の内に利奈は随分と成長したものだ。

ここまでくるのに利奈は血の滲むような努力をしてきた。

 

1人、倉庫の影に隠れ魔法について理解を深め、何体もの魔女や魔男を倒してきた。

 

最 初 か ら ハ イ ス ペ ッ ク ?

 

そんなチートが存在するのはゲームの世界だけだろう。

 

ハイスペックを引き出すにはそれなりの技術が必要だ。

時に、瀕死で倒したこともある。 誰かに救われた事もあるさ。

 

そんな苦労があってこその、この強さだ……1人で戦うスキルの方が多いが。

 

 

さて、魔力の大剣、利奈の必殺技。

 

 

上田「ソリテールフォール!!」

 

 

利奈は力いっぱい大剣を振り下ろした。

 

 

狙うは白猫を縛る麻紐!

 

 

魔力の刃は器用に麻紐だけを切り裂いていく。

 

 

そして……ぶつんと、物質を断つ音が大きく響いた。

 

 

 

 

黒猫と白猫を結ぶ麻紐は断ち切れ、黒猫は人間の言葉では

到底表現できないような深い深い断末魔をあげる……

 

その声は例えるなら猫のゾンビ?

 

利奈はヒュっと棍を振って息をつく。

 

 

上田「ゲーム、クリア」

 

 

魔男の体全体から黒い魔力が噴き出す、そして全てが1点に飲み込まれる。

 

魔男も教会の家具も、ボロいオルガンも、ベニヤ板の教会も、

メリメリと壊れて全部全部、結界ごとその結界にあるもの全て飲み込まれる……。

 

 

ふと見えたのは、白猫の安らかな顔。

 

 

あとに残ったのは、濁りなき羊羹色のソウルジェムと

黒猫と教会がモチーフのグリーフシード。

 

 

魔法少女は、誓詞の魔男を救った。

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

全てが収まると、毛布にかけられた抜け殻の隣に倒れた女の子の姿があった。

 

花組では見かけない少女……別のクラスの子だろうか?

 

 

上田「喧嘩でもしたのかな……?」

 

 

利奈は毛布をもう一枚作って女の子にかけてあげると、誓詞のグリーフシードを手に入れた。

 

ついでにトランプも回収する、理由は後続に対する証拠隠滅と使い魔の回収。

 

抜け殻のだらんとした手にソウルジェムをおいて蘇生をしてあげる頃、

深夜だというのに遠くから人の声が近づいてくる。

 

 

上田「あっ、やばっ!」

 

 

利奈は早々にその場から立ち去った。

 

スピード退治!

 

他の魔法使いの団体がこの場に到着したとしても、

そこには何者かに助けられた後の魔法少年と一般人しかいない。

 

 

現場から距離をおくと、早速、利奈はシルクハットを取って棍でコンっと叩く。

 

……無論、これはダジャレではない。

 

すると、そこから7個……いや8個か?

 

シルクハットから出てきて、輪を描いてフワフワと浮かんだ。

 

手にいれたばかりの誓詞のグリーフシードを輪に組み込むと、

別のグリーフシードを1つ取って自分のソウルジェムを浄化する。

 

そのグリーフシードはカタカタ震え出す、今にも孵化をしてしまいそうだ……

 

 

上田「ハチべぇ! どっかにいるんでしょ? グリーフシードの回収をお願い!」

 

 

そう利奈が暗闇の中呼ぶと、利奈の右肩にハチべぇが乗った。

 

 

ハチべぇ「君の活躍は素晴らしいものだね。

ここまで魔女や魔男退治を積極的に行うのは今のところリュミエールだけだ」

 

 

ハチべぇそう言って、利奈に背中を向ける。

 

利奈がそこに孵化寸前のグリーフシードをかざすと……

 

ハチべぇの背中の模様は開き、孵化寸前のグリーフシードは飲み込まれていった。

 

 

上田「そういえばいつも気になってるけど、一般人が巻き込まれる事ってあるの?

魔法少女や魔法少年は結界をこじ開けるって形で入ってるって以前聞いたけど」

 

ハチべぇ「魔女や魔男の誕生に偶然立ち合ってしまうか、

いつのまにか迷い込んでしまうことで結界の中に入ってしまう事があるよ。

利奈の言う事はそれによるものだ」

 

上田「誕生に立ち会う……あぁ、黒板の魔女の時の私もそうか」

 

 

話しながら歩いていると……いつのまにか、例のボロい倉庫についた。

 

最初は粗大ゴミが雑に置かれていた散らかった状態だったが、

リュミエールの手によって使えるものは魔法でキレイにして、いらないものは総出で捨てた。

 

ちゃんと、粗大ゴミのシールを貼り付けて。

 

利奈はソファーに脱力して座る、ハチべぇも利奈の肩から降りて利奈の隣に座った。

 

 

上田「そういえば、あの女の子の姿が結界の中で戦ってた時に

見当たらなかったけど……やっぱり白猫にされてたとか?」

 

ハチべぇ「利奈の推測は正しいと思うよ。

僕のシステムだと()()()()()()けど、()()()()()()()()()という事にはならないんだ。

 

一般人も殺されない……その代わりに、何らかの形、

それこそ魔女や魔男の都合の良いように作り変えられる。

 

()()()()()()()()、その魂自体が穢れるわけではないのに

姿形が変わっただけで騒ぐ理由は僕には到底理解出来ない。

 

魔法少女や魔法少年に至っては魂が操作するだけの抜け殻なんて

何故、そこまで大事にするんだい?」

 

上田「……ハチべぇ、それ 絶 対 にみんなの前で言っちゃダメだからね」

 

ハチべぇ「わけがわからないよ!」

 

上田「わけがわからなくても!」

 

 

そんな感じで、利奈はハチべぇとの会話を気楽に楽しみながら休憩に浸った。

 

 

ハチべぇには感情がない、何事も機械的に見る。

 

一見、某白いナマモノ同様にそれは人間にとっては愚かしい事だと思うが、

実は全てがそう思うとは限らない。 この方が良い人間だっている。

 

ハチべぇは相手がどうだろうが淡々と正論をかます、それは時に利奈を助けた。

 

正論しか言わないわけだから、理不尽な奴らが集団で

自分らの意見を押しつけようが正しい事でねじ伏せる事が出来る。

 

まぁ……話術が達者なのもあるが。

 

そんな感じで、色々とあって、利奈はハチべぇのことを信用している。

 

そりゃあ、無自己で過ごす日々の中で生きる()()みたいなのをくれたのだから。

 

流れ? そんなの関係ない。

 

今は、ハチべぇの元で魔法少女になれたことを素直に嬉しく思うだけさ。

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

次の日の日曜、利奈は自分の布団の中でオンラインゲームを楽しんでやっていた。

 

土日は外に出てもなんにもやる事ないし、一緒に遊ぶ友達もいない。

 

あぁ、今はいるが勉強をしてるかまた別のメンバーと遊びに行ってるかだ。

 

そんなこんなで1人遊び、画面の向こうの人々と遊ぶ。

 

 

上田「よっしゃ~~! レアドロ出た! さてと、次の時間限定クエストは……

あぁこれ、面倒な割には報酬少ないやつか……デイリーでもするか」

 

 

独り言を言いながらゲーム、これが利奈の主な休息。

 

そんな時、利奈の頭に念話が届く、ゲームしながら念話を聞く。

この頃になると念話はもうお手の物だ。

 

 

篠田((利奈ぁ〜〜おはよぉ〜〜! あ、もうお昼だからこんにちは? こんちわ!))

 

上田((あぁ絵莉ちゃん、おはよう……あれ、どうしたの?

毎週土日は追っかけ解禁日だって……))

 

篠田((昨日ライブ行ったから、今日はいいんだ。

 

ねぇねぇ! ちょっと遊びに行こうよ!

 

最近『デパート・エタン』に新しいお店が出来たの!))

 

上田((……ファッション関係は感心なくて、よく分からないんだけど))

 

篠田((違う違う! アイスクリームのお店!

利奈ってアイス好きだったでしょ? 月村さんも「利奈が行くなら行く」って!))

 

上田((アイスクリーム!? 行きたい行きたい!))

 

 

好物の情報を耳にし、利奈の目は輝いた。

 

まぁ絵莉からしたら利奈の目は見えないが、その食いつきようは明らかだった。

 

 

絵莉((じゃあ……利奈も月村さんも私も家近いし、

みんなで熱々商店に集まろ! そこから歩いて行こうよ!))

 

上田((は〜い!))

 

 

うえだ「……あぁ、そういえば携帯電話修理に出してるって言ってたな、だから念話か。

 

おっと、スマホ使おう。 熱々商店は……と、地図地図」

 

 

つくづく魔法使いというのは、色々と便利な身体である。

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

随時暇同然な利奈はあっさりと都合がついた 。

 

徒歩10分、トコトコ歩いてあっという間に『熱々商店』につく。

 

 

上田「おはよう2人とも!」

 

月村「こんにちは、利奈」

 

上田「……あ、そっかお昼か」

 

篠田「ん? あ! 利奈が来たみたいだよ。

あったかいお茶ありがとう火本君、お店番頑張ってね!」

 

月村「……ありがとう」

 

火本「あいがとさげもした! その言葉できばれるど!」

 

 

がたい良くでかい青年が絵莉と芹香から湯のみを受け取ると、店の中に戻って行った。

 

 

上田「火本……? あぁ火本徳穂(ひもと のりお)君か、

確かうちのクラス(花組)の在籍者」

 

 

……訂正、青年じゃなくて少年。

 

 

月村「私は存在すら知らないわ、中学生だったの? 彼」

 

篠田「私と天音、風香、大声と……花奏位かな? このお店知ってるのは」

 

ようはクインテットの溜まり場。 溜まり場って言い方は悪いが……

よく集まってお菓子なんかを彼との会話を楽しみながら食べているらしい。

 

お菓子のゴミは頼んでもいないのに持って行ってくれるんだとか。

「わっぜかろう?」らしい……わっぜってなんの事だろう?

 

篠田「よし、早速出発しよ! せっかくお茶で暖まったのに、体がキンキンに冷えちゃうよ」

 

月村「そうね」

 

上田「りょーかい!」

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

デパート・エタンも、利奈にしたらそんなに遠い距離ではなかった。

 

……もったいないな、色んな場所から

遠くなく近い物件に住んでるのに、利奈はお出かけ少ないのか。

 

まぁ、学校の人達と学校以外で出会いたくない……

というのはわからなくもないが。 これは共感できる。

 

 

月村「こんな寒いのに、アイスクリームというのも珍しいわね。」

 

篠田「熱々のワッフルに好きなアイスクリームを挟むんだよ!」

 

上田「あぁ……聞いただけでもう美味しそうだよ」

 

 

食べ物の話となると誰しもがわからないことはない、利奈も芹香も話について行けていた。

 

 

篠田「もう少しでデパートに着くよ!」

 

月村「……あまりはしゃぎすぎないで」

 

遊び慣れている絵莉はちょっとはしゃいでるようにも見える。

芹香はまるでお母さん、はしゃぐ絵莉の抑止力。

 

 

上田「久しぶりだなぁ『デパート・エタン』。

 

アイスクリームのお店ってデパ地下って言ってたし、

クラスメイトに会うことは((助け、て……くれ!!))……え?」

 

 

篠田「ね、ねぇ、今の聞こえた?」

 

月村「かなり弱ってるようね。

 

((こちらリュミエール、今魔法少女が3人いるわ。

そちらの様子や状況を教えてちょうだい))

 

……ダメ、今のが精一杯だったのかも。 返事がないわ、誰の念話かもわからない。

 

失敗したわね……探知の魔法は彼担当、探知の魔法でも記しておくんだったわ」

 

篠田「今から書けないの?」

 

月村「無理ね、1枚作るのに半日はかかるわ。」

 

上田「えっと……」

 

上田((大丈夫ですか? 明らかに大丈夫じゃなさそうけど……))

 

3人は返事が来るまで、何度も何度も念話を送った。

 

助けてと言われても、場所がわからなきゃ助けに行けない。

 

すると、思わぬ返事が利奈の頭に飛び込んだ。

 

 

清水((……? まさか、利奈か?))

 

上田((え、清水さん!?))

 

清水((だから 海 里 だっての!

あぁ……良かった、個人ならなんとか伝える気力と魔力がある))

 

上田((どんな状況なんですか?))

 

清水((ちょっとどころかかなりやばい……やっかいな魔女と対峙してな……

 

場所は『デパート・エタン』の地下駐車場だ。

 

俺らが入る時は他の客は少なかったが、いつ一般客が結界に迷い込むかわからねぇ……

 

結界に入ったら、結界の中心にあるドームにいる。

 

悪りぃ……加勢してくれ!! 現状、かなりやばい状況だ!

 

……ちょっと休むぞ、なんかあったら俺から念話を送るからな))

 

上田((うん、わかった。))

 

 

上田「2人とも、助けを求めてるのが誰かわかったよ。 場所もわかった」

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

流石に店内では走らなかったが、それ以外の場所では3人とも全力疾走した。

 

芹香によると状況は最悪、『俺ら』ということは海里は複数で魔女に挑んだ事になる。

 

それでも、この状況……念話が億劫になるほど弱るということは、

複数を弱らせるほどにその魔女が強いということらしい。

 

『ドーム』と言える巨大な建造物が存在することが出来るなら、

それだけ魔女の結界も広いだろうということも芹香は思考の末に考え抜いた。

 

絵莉は……あぁ、芹香と同じような考えにたどり着いたけど説明が下手だった。

 

デパートまでの道のりを走り抜け、店内は早歩きで進む。

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

ヒヤリとした空気に包まれた地下の駐車場、エスカレーターで1階から降りてくる。

 

……なるほど、これは確かに『いつ一般客が入り込むかわからない』というのもわかる。

 

 

駐車場に続く両開きの自動ドア、これ全体を覆う程の大きなエンブレムが

 ど 真 ん 中 にでかでかとある。 これでは嫌でも入る。

 

光っていないエンブレム……それは結界の中に先客がいることを示している。

 

たどり着いて早々、周りに誰もいない事を確認して3人は魔法少女に変身した。

 

 

「「「変身!」」」

 

 

指輪から戻ったソウルジェムが光り輝き、それぞれの暖色が3人を包む。

 

 

利奈はマジシャン風の優しい赤の魔法少女。

 

芹香は司書のような落ち着いた橙の魔法少女。

 

絵莉はアイドル的で黒板のような緑の魔法少女。

 

 

絵莉の魔法少女姿というと、その色は明るい緑。

 

上半身がスーツを改造したような真面目かつ可愛い感じで、

下半身は思いっきりフリフリのふんわりした丸みあるスカート。

 

足は深緑のタイツをチョイス、靴はかかとが低めなハイヒールだ。

 

手首までの手袋には緑のリボンがついている。

 

ソウルジェムは腰のベルト、黄緑に染まった革製で留め金がソウルジェムだ。

 

ビックリマークを渦巻く様にひねり、四角の枠で囲って可愛くした様なエンブレムである。

 

仕上げは白に赤に青に黄色と、チョークに使われるような色で構成された

虹色のカチューシャをきっちりと頭に付け、ばっちりきめる。

 

 

篠田「教科書を開けっ!」

 

 

今この場に教科書は無いが……どうやら召喚呪文らしく、絵莉の手に万能指示棒が出来た。

 

篠田「先生っぽいでしょ?」

 

上田「ん? あぁ指示棒あると確かにそれっぽいね」

 

月村「利奈は戦う直前に武器を出すスタイル?」

 

上田「うん、その時なったら私の魔法で棍を召喚するよ」

 

月村「私の『辞典』も大丈夫よ、さて……準備はいいかしら?」

 

篠田「絶好調だよ! 結界が広かろうが狭かろうがすぐ倒しちゃうもんね!」

 

上田「うん、行こう! 海里を、海里達を助けに!」

 

 

3人で決意を固めた後、エンブレムのついた自動ドアの前に立った。

 

普通じゃ開かないと思われる自動ドアは、

魔力を感知したかのようにゆっくりと開いていく。

 

それは駐車場の入り口、ガラス製の自動ドア。

 

だが、開いた向こうの景色……

 

ガラスごしに映し出していた景色とは、全く別の景色を映し出していた。

 

 

 

 

鎖の擦れる音が聞こえる、古びた鉄の匂いが3人の鼻を支配する。

 

 

運転の魔女、性質は束縛。

 

 

………………………………

 

 

次回、

 

 

 

上田「街!? 結界の中に!?」

 

 

 

月村「第四章! 地の巻!」

 

 

 

海里(……リュミエール、か)

 

 

 

上田「大丈夫、考えがある」

 

 

 

〜終……(7)孤高少女と危機少年〜

〜次……(8)心廃れ夢潰れ[前編]〜

 

 

 

魔法使いは運命に沿う。

 




はい、利奈がカードばら撒くところで
⊂二二二( ^ω^)二⊃ブーンって思った人、挙手しましょうね?


ほい! 閲覧ありがとうございます! 次回から2回目の魔女戦となります。

ん?誓詞の魔男?(・∀・)<( お 試 し だ )

フられたからって発狂魔男化してフられた相手巻き添えにするような
 脳 内 お 花 畑 なんて回数に入れないわ!(OдO)

結界もベニヤ板の教会以外に特筆するような場所はないし!

第一、使い魔が雑魚い!!w

……自分で書いておいてひどい言いようだなこれは(;OдO)

次回は利奈以外にも魔法少女がいるので、
利奈以外の魔法少女の戦闘も楽しむことができます。

やはり、注目すべきは絵莉の『学校の魔法』と芹香の『辞書』ですかね。

海里の安否も気になるところ、他にもいるようですし。

さてと、早速運転の魔女の結界をじっくりと書き込みますか! φ(・・。)ゞ ウーン……

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