魔法少女うえだ☆マギカ 希望を得る物語   作:ハピナ

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お久しぶりとでも言うのかな? 10日ぶりのハピナです。

はい、色々あって休息を取ってました。(ほとんど絵描いてましたが

若干遅れましたが続きです、今回は珍しいところから始まります。


前回はリュミエールに新たに、黄緑の魔法少女が加入したところで終わりました。

無論悪いことをした2人は実刑、 慈 悲 は な い 。

他にも、『花の闇』が行ってきた行為の一部が明らかにもなりました。

魂までもが漆黒の魔法使い・・・明らかに、そいつは只者ではなさそうな予感。

さぁ、幕を再度上げましょう。 物語の続きは現実から離れた場所から・・・。



(23)粉の変異と機械泥棒

 

それは眠り、意識が身体から離れる。

 

 

そして眠る、行先は見知って見知らぬ夢の世界。

 

 

現実寄りなその世界は妄想かもしれないし、実際にあるのかもしれない。

 

そんな事の立証なんて不可能だ、夢の記憶なんてほとんど消えるから。

 

まぁその世界があまりにも現実離れしていたのなら、それは夢だと認めざるを得ないけど。

 

 

そう、た と え ば・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【利奈!】

 

 

上田「……え?」

 

 

気がつくと、周囲は緑が中心の異世界……そう、黒板の魔女の結界だ。

 

いつもなら自ら迎えに行くはずのチョークが、

今回はなんと目の前にいた……黒いモヤのような物を咥えて。

 

夢の中だからか頭がぼんやりしているが、どうやらいつもの夢らしい。

 

【えっへっへ、待ちきれなく僕から来ちゃった!

利奈が現れる場所は一緒だからね、いつもここだから覚えてたんだ】

 

上田「そ、そうだったんだ。 また会えたねチョーク」

 

【うんっ!】

 

食事中だったのにも関わらず来たのだろうか?

 

煙を固めたかのようなよくわからない黒いモヤは、まだボーリングの玉3つ分くらいはある。

 

【まぁ座ってよ、立ちっぱなしは辛いでしょ?】

 

ねっちょりした粘性のある音を立てながらの食事中だが、

チョークは相当話をしたかったようでそのスピードは遅い。

その前よりも目玉らしくなった瞳は利奈を写している。

 

上田「ありがとうチョーク、そうさせてもらうよ」

 

今日のところはその場に座って話をしよう。 さて、今日はどんな話をしようかな?

 

【そうだそうだ、利奈に話したかった事があるんだ】

 

上田「話したかった事?」

 

これが彼なりの真剣なのか、食事を一旦やめてお座りをした。

 

これから彼が話すこと、そこから得られたのは・・・確信。

 

 

【やっと僕の声、聞こえたんだね!】

 

 

上田「・・・え? どういう事、だって今こうして話を」

 

【違う違う、ここの外の話だよ】

 

上田「外!?」

 

【・・・説明が必要みたいだね、だいぶ話せるようになったし教えてあげるよ】

 

 

チョークはどういう事かの説明を頑張って話してくれたが、

どうも日本語がおかしい点が多々あったので要約をしよう。

 

彼が話す内容によれば、利奈はこの世界を夢だと思っているらしいが、

これは夢などではなく現実にある黒板のグリーフシードの中なのだと言う。

 

主を失い役割を終えた結界とその配下、待つ結末は終息のみ。

黒い魔力と共に終息したその内部・・・残るのは大体の結界の形だけ。

 

黒板の使い魔のうちの1匹でしかないチョークもそれをわかっていた。

教師と呼ばれる主がいなくなった時、その運命を受け入れていた。

 

 

・・・・・・その、はずだった。 システムエラー、予想していない事態の発生。

 

 

終息が起きた時に最後にその1点へと向かったのがチョークだったが、

グリーフシードはすでに完成しており魔力に還ることなくその内部に放り込まれたのだとか。

 

理由はわからないが、チョークは生き残った。

 

主による支配が無くなった時、まずチョークは『自我』を手に入れた。

 

やることも無く感じたことない『空腹』の自覚に襲われ死を覚悟した時・・・

周囲に現れた黒いモヤ、チョークはそれを本能的に食べたらしい。

 

何故か? 本人はわかっていないようだがそれはヒトから生み出された物。

いわゆる心の穢れ・・・()()()()()()()()()()()()()()だったのだ。

 

使い魔は人を喰らい魔女となる・・・それは聞いたことあるだろう?

使い魔であるチョークもその本能を持っていたということだ。

 

そうしてチョークは生き延びた、役割を失い結界の残骸に取り残された生物として。

 

【理由はわからないけど、ここで過ごす内に人間の知識を得たんだ。

それで僕は『孤独』も知った……その時に来たのが、利奈だよ】

 

硬質な顔は表情を作れない、ただその赤い瞳は真っ直ぐ利奈を見た。

 

【利奈とはたくさん話したね、僕すごい楽しかったんだ。

もし1人だったら……多分、ここから飛び降りてた。

人間の知識の入り組んだ複雑さに耐える事が出来なくなってね】

 

上田「チョーク……」

 

【だから、これからもよろしくね! 今回は何を話そうかな】

 

そう言って黒いモヤを食べ終えた……その時だった。

 

 

チョークがその言葉を言い切る前に、その硬質な身体がひび割れたのは。

 

 

音は止まる事を知らず、全身にまでヒビが広がっていった。

 

自身の身体が割れるなんて事態、いくら使い魔でも何も感じないわけがない。

増してや人間の知識を得たチョークなら……

 

【っ……!? ああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!】

 

上田「ちょ……チョーク!? 大丈【見るな!!】っ!?」

 

【見てはいけ……ない、目を瞑れ! 今回はもう帰るんだ!!】

 

上田「え、なんで!? やだ、待ってチョー」

 

……またしても、忽然と利奈はその場から消えた。

いや、正確にはグリーフシードから出たと言うべきか。

 

ほぼ同時、形を保てなくなったチョークは崩れ落ちた。

この残酷な光景を見る前に覚めた利奈は幸運と言うべきだろう。

 

それで終わりかと思われた彼の残骸は、どこかで見た事があるような

暖かな光を放ちながら、粉々になった硬質な死体は・・・再度、形を創る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

残されたのは・・・・・・ 1 人 の 少 年 。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

上田「チョーク!!」

 

利奈はがばっと起き上がってその名前を叫んだが、

そこは黒板の魔女の結界ではなく利奈の自室だった。

 

時計を見るなら午前4時、いつもより早く目が覚めたようだ。

 

もう一度寝る気にはなれない、友達にヒビが入ったショックだろうか?

夢の世界に戻ろうと布団に潜っても眠気が一向に来る事は無い。

 

上田「そんな……どうして……!?」

 

夢の記憶は起きると消えるというが、嫌な事に先程の光景が焼き付いてしまったらしい。

 

今の利奈に出来る事といえば……砕けた友達を思い泣く事しかない。

 

穢れを吸ったはずの黒板のグリーフシードは、新品同然に穢れが無くとてもキレイだった。

 

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教室の窓越しに見る外は寒く雪景色、雪は降らずにただ寒いだけ。

若干高めな室温に温められて、窓には水滴がたくさんついている。

 

好きな理科の授業とはいえ、利奈の頭はぼんやりとしていた。

意識が逸れて上の空、考える事は別の内容。

 

あれから何事も無く普通に登校したが……いつもより考える事が多い。

 

量産については実施チームを隠して注意を呼びかける事になる。

許せないのは事実だが、明確な証拠も無いのに騒げない。

 

俐樹と知己に関しては、俐樹を中心に守る事になった。

 

知己は本当に標的から外れたらしく、見張りを付けなくても大丈夫そう。

 

今日も幼馴染みとギクシャクと勉強内容相談中、

残念ながらキャッキャウフフとかの楽しいものではなさそう。

 

いつになったらこの2人は普通に話が出来るのやら……

片方が逃げ気味なのが悪い、もう少し気楽で良いだろう。

 

一方の俐樹、リュミエールの女子で手分けして様子を見守る。

まぁ優梨が積極的に俐樹に話しているから大丈夫そうだが。

 

優梨が俐樹に関わるようになった為の効果が、

日の目を浴びなかった彼女は花組で一目置かれるようになった。

 

もちろん彼女がリュミエールに新しく加入した事は、

花組全体ではまだ知らない者が多数を占める。

この事の伝達は事態が落ち着いてからになるだろう。

 

とにかく俐樹には味方が増えた、狙われはしてるが前よりは安全だろう。

 

 

「上田さん!」

 

上田「・・・? あ、はいっ!」

 

「君話を聞いてた? ずっと窓の外を見ていたよね?

この問題を解いてみてちょう「アとウとオとケです」・・・うん、正解」

 

得意科目なら授業を聞かずとも理解が出来ている。

 

朝の読書は理科の教科書、無意識な内に丸暗記。

 

 

何事も無く昼休み、本日は特にイベントはなく平和な日。

 

俐樹を連れていつもの教室へ、手荷物は午前の授業の宿題くらい。

 

いつもの教室・・・言わずともそこは使われていない理科室。

 

そこは利奈の所属するチーム『リュミエール』の集合場所でもある。

 

今日は優梨はいないようだ、その代わり前いなかった蹴太がいる。

リュミエール一同、久々に全員集合という形になる。

 

彼は教壇にいる海里と話をしている・・・どうやら昨日の話をしているようだ。

 

俐樹を見かけたなら、微笑んで手を振ってくれる。

 

どっちかというと気が弱い俐樹は控えめに礼をする、慣れていないのだろう。

 

月村「なにこれ、こんな漢字存在しないわよ」

 

篠田「忘れちゃった! こうじゃなかったっけ?」

 

月村「・・・同じ所を間違えないで欲しいのだけれど、これはこうよ」

 

向かい合って座る2人は午前中の復習をしている、教科は国語かな?

 

直しているのはプリント問題、芹香の答案は全問正解。

 

上田「こんにちは、絵莉ちゃん勉強頑張ってるね」

 

篠田「あ、利奈! 俐樹ちゃんもこんにちは!」

 

橋谷「えっと・・・・・・べ、勉強中お邪魔します」

 

月村「構わないわ、どうせこの子あなたたちを理由に休むつもりでしょうし」

 

篠田「そっ!? そそそんなことないよぅ!!」

 

明らかに声が裏返っている・・・本当にその気だったのだろう、オイオイ。

 

絵莉はごまかしでもするように立ち上がって椅子を2つ引いた。

 

座ることを催促する絵莉に従い、利奈と俐樹は椅子に座る。

 

 

日常には普通が憑き物、何気ない会話を4人は交わしていった。

 

集団慣れしている絵莉を中心に話す話題、誰1人として困ることはない。

 

無難な話題なはずなのに・・・何故か、利奈と芹香が乗り気で無い。

 

篠田「あれ、2人とも元気ないよ? どうしたの?」

 

月村「・・・そうよ、今日の利奈元気無いじゃない。 悩みがあるなら言いなさいよ」

 

上手いこと芹香にごまかされたような気がするが・・・みんなの意識は利奈に向く。

 

上田「へ? たっ大した話じゃないよ! 私が見た夢の話だし・・・」

 

篠田「夢?」

 

月村「たかが夢でそこまで様子がおかしくなるなんて、それこそおかしな話よ」

 

たかが夢、特に霊的な物を基本は信じていない芹香はそう思うだろう。

 

だがその内容があまりにも・・・利奈にしたら感情が揺らぐ程の物だった。

 

篠田「悩むくらいだったら聞かせて欲しいな、その夢の話!」

 

上田「え、でも・・・」

 

興味津々な絵莉の目線におどおどして焦る利奈に、芹香はため息をついて一言。

 

月村「私達があなたをオモチャにするような人々に見えるかしら?

安心して話していいわよ、絶対あなたをバカになんかしないから」

 

そこで笑み。 普段しかめっ面な彼女だが、珍しく笑顔になった。

 

利奈は本当に良い友達を持った、いつしか言っていた孤独とはなんだったのやら。

 

橋谷「お優しいんですね」

 

素直な俐樹の第一印象、芹香はそっぽを向いて照れ顔を隠す。

 

月村「これで優しかったら、世の中はあまりにも甘ったるいわ」

 

 

結局、利奈は今まで見た夢の話を3人にすることにした。

 

それはグリーフシードの内部で起こった・・・と思われる一連の話。

夢の中の友人、それは自我を得た1匹の残された使い魔の話。

 

一番驚いていたのは絵莉だった、なぜならその主は昔の彼女だったからだ。

 

残酷なまでに明確な魔女の時の記憶・・・絵莉は自らの手下を覚えている。

 

篠田「・・・じゃあ、その内の1匹が生き残ってたって事なんだ」

 

歪んだ記憶を辿るのは決して良い物ではない、絵莉の顔は苦悩の表情。

 

上田「ご、ごめん! 嫌な事思い出させて、この話もうやめようか?」

 

篠田「いいの、いつか向き合わなきゃって思ってたから」

 

そう、一度孵化したからと言ってもう孵化しないことを約束されたなわけがない。

 

一部の人々はハチべぇのシステムを甘ったるいと言うだろう。

だが、このシステムにはこのシステムの苦しみが存在する。

 

現実はそんなに甘くない、ハイリターンにはハイリスクが必須。

 

橋谷「り、利奈さんは顔が広いんですね、人が良いから納得です」

 

月村「それで体にヒビなんて入ったらたまった物じゃないわね」

 

それを聞いた利奈はその瞬間を思い出してしまったのか、暗くなってしまう。

 

暗がりを照らしたのは一番長い仲である芹香の言葉だった。

 

月村「・・・あなたらしくないわね」

 

上田「えっ?」

 

月村「いつもなら絶対そんなわけ無いって否定するじゃない、あなた本当に上田利奈なの?」

 

上田「私は私だよ、それ以外の何者でも無いもん」

 

若干ムッっとしそうな口調だったが、利奈は怒りもせずにそう答えた。

 

月村「じゃあシャンとしなさい! じゃなきゃ利奈じゃない別の誰かよ」

 

上田「そう、だね。 もうちょっとポジティブに行くよ!」

 

友人の厳しくも思いやりある言葉に励まされ、利奈は元気を取り戻した。

 

夢と思ってた現実・・・チョークの無残な姿を見てしまった彼女だったが、

彼は無事だと信じ込む事にした。 バカみたいに信じるのが利奈なのだから。

 

 

2人の会話を聞いていた絵莉はふと思った事を言ってみることにする。

 

篠田「それって、魔法使いにとって一番の励みになると思うよ」

 

月村「・・・()()()()励みになる、ですって? 私の言葉が?」

 

芹香はなぜかあり得ないという様子だったが、絵莉はそのまま言葉を続けた。

 

篠田「あたしみたいに心が穢れてダメになっちゃって、

魔女や魔男に変わった事のある人はたっくさんいると思うんだ。

 

人間じゃない何かになっちゃったって悲しみもあると思う・・・

でも、それでも自分は自分だって事は変わりないって意味の言葉なんだよ」

 

月村「あなたの言うことは正しいわね、そういう意味で私は言ったのよ。

でも私が言っても何もならないわ、利奈以外みんなみんなね」

 

()()()()()反応するか・・・さらっと悲しい事を言うな、芹香は。

 

確かに芹香は周囲を避けるように過ごしてきて顔が狭いのもあるが、

それは明白な励ましの言葉、さすがに無反応というわけではないだろうに。

 

 

ふとした時、俐樹が突然涙を流し始めた。 溜め込まれた涙がこぼれ落ちる。

 

上田「俐樹ちゃん!? どうしたの大丈夫?」

 

橋谷「ごっ、ごめんなさい! が・・・我慢できなくて」

 

利奈が差し出したハンカチを受け取り、彼女は自らの涙を拭いた。

 

3人はわかる、その苦しみの意味と、それが一番大きいのは彼女だと。

 

正確には『量産の被害者』だ、心に負った傷は並大抵のものではない。

 

中野「ん? すすり泣く泣く声・・・あらら」

 

清水「おいおい、大丈夫か?」

 

俐樹の泣く声を聞いて、遠くで話をしていた2人も流石に反応したらしい。

 

拭いても拭いても止まらぬ涙、泣きながらも俐樹は語る。

 

橋谷「ご、ごめんなさい。 なんだか安心してしまって・・・」

 

上田「安心?」

 

橋谷「い、今まで泣くのは我慢してきたからからでしょうね。

良い人達に囲まれて、気が緩んでしまったのか・・・涙が・・・」

 

篠田「大丈夫大丈夫! 誰も攻めたりしないし、いっぱい泣きなよ」

 

絵莉はそう言って俐樹の肩に手を置いた時、俐樹は絵莉に抱きついた。

 

爆発でもするかのように泣きじゃくる彼、声が響かぬよう絵莉は強く抱きしめる。

 

傍ら、芹香はどこか感情を押し込めるような様子を必死に隠そうとしていた。

 

 

結局この日は彼女の違和感を追求することなく、終わりを告げるチャイムが鳴る。

 

委員の仕事があるからと、珍しくそそくさとした様子で教室を後にしてしまった。

 

利奈が出来る事といえばただ付き添うことだけ・・・まぁ、これが彼女の逆に良い所だが。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

放課後、花組含んだ全校生徒はこれもそそくさと帰路についた。

学校に委員や部活に係の生徒を残し、それぞれの放課後を過ごす。

 

身が震えるほどの寒い冬が続く・・・暗がりの比較的早い午後で、街中の街灯は照った。

 

それでも全てを照らしきるというのは無理そうだ、それでは昼中と変わりない。

 

そんな照らす光の届かぬ死角を利用し、逃げた子供が息を切らしていた。

 

握りしめた拳を開くなら、そこには爪楊枝半分ほどの機械が握られていた。

 

・・・こんな小さな機械が市販で売っている訳がない、魔法で作られたのだろうか? 

 

「・・・へへっ、これであいつらは勝手に絶望する」

 

制服姿の1人の人物。 暗がりの中、手の中の成果を見てにやついた。

 

 

やれやれ・・・やっと事態が落ち着いたというのに、もう一波乱起きような予感。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もしもし・・・あぁ、母さん? 私はこれから塾だよ」

 

・・・

 

「大丈夫よ! 塾での次のテストの話でしょう? 勉強してるから大丈夫」

 

・・・・・・

 

「そうよ、次も満点・・・え、違う? テストの話じゃないのね」

 

・・・・・・・・・

 

「家に帰ってから話したい? 大切な話か・・・どんな内容なの?」

 

・・・・・・・・・・・・

 

「え? なに、それ・・・? どういうこと?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それは誰かの携帯電話での会話、その顔は絶望と驚きに満ちた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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次の日、やはりと言って良いほど教室は騒がしくなっていた。

 

教室の外にまで騒がしい声が聞こえている、ドアの前には見張りの生徒。

 

いつも通り登校してきた利奈がこの状況に驚かないはずがなかった。

 

野次馬が多く状況がわからず困っていたところ、利奈は肩を叩かれた。

 

それは久々に見る顔、利奈が知る限り彼はもう1人の情報屋。

 

ごったがえす人混みの中、比較的背の高い彼は見つけやすかった。

 

灰戸「あぁ利奈ちゃんじゃないか、久しぶりだね」

 

上田「灰戸さん! これは一体? 何があったんですか!?」

 

自分のクラスの事を他クラスの生徒に聞くのもどうかと思うが、彼の場合は例外。

 

灰戸「聞いた感じの話になるけど、どうやら()()騒ぎになっているみたいだね」

 

上田「盗難・・・? 誰かの物が盗まれたって事ですか?」

 

灰戸「それが見た様子ではおかしな事態になっているみたいでね、

細かい事は花組の情報屋に聞いてみるのが一番早いと思うよ」

 

彼の言う通りだ、ここからでは野次馬の声も混じってやかましすぎる。

 

灰戸「教室に入りたいんだろう? 手伝ってあげるから聞いておいで」

 

上田「はい、ありがとうございます!」

 

そう言ったなら、八児は利奈を教室の入口までエスコートした。

 

利奈は気がついていないが、ふと目が合った海里に口パクで言う。

 

『気がついてやれよ』意地悪そうな顔でそう笑って、野次馬に溶け込んでいった。

 

 

『量産』について対策が組まれた一方、まだ裏で闇が動いているのだろうか?

 

それとも他の魔法使い? はたまた誰か一般人?

 

このままでは判断が付かない、とにかく事情を知らなければ。

 

いよいよ本格的に動き始めたらしい闇、この騒ぎはただの盗難騒ぎではない。

 

いや、盗難って事自体ただの事態とは言えないが・・・これは騒ぎ過ぎである。

 

誰も感じられぬ誰かの心、その中でこの光景を大笑いするだろう。

 

 

自 分 だ と は 絶 対 に 気 づ か れ な い ・・・とね。

 

 

………………………………

 

 

次回、

 

 

 

上田「ようは密室殺人事件じゃなくて『密室盗難事件』って事ですか」

 

 

 

?「へぇ、上手い事言うじゃない! ようはそういう事よ!」

 

 

 

足沢「それとこれとは別だろオイ!?」

 

 

 

清水「てめえら!! いいかげんにしやがれやああああああああああ!!」

 

 

〜終……(23)粉の変異と機械泥棒〜

〜次……(24)明かさぬ盗品と校則違反〜

 

 

 

魔法使いは運命に沿う。

 





一難去ってまた一難とはまさにこの事、何やらまた一騒動起こった様子。

え? 電話? はてさて、いったい誰の事やら・・・

それはさておき久々の灰戸八児! しばらく出番がなかったな。

そりゃあ最近は光と闇の戦いでてんやわんや、あまり出る場面でもなかった。

月の情報屋灰戸による、花の情報屋海里への意地悪な口パク!

・・・予告からして 嫌 な 予 感 しかしない(白目


さて、雑談としてはこの先の展開について話しましょうか。

まぁ今回は前書き共にあまり多く書けないですが、お許しください。

現在執筆中ですが、今後ちょっとした推理展開にしたいと思ってます。

最初はわかりづらくしますが、途中容疑者を放り込む予定。

犯人は誰かな? どうやって盗み出した? 最後まで欺けたのならそれは最高。

次回はあまり話が進まないことをここに謝罪、精進したいと思います・・・

って言ったの何回目になるかな^q^ いつになったら成長するのやら。


それでは、今回はここまで。 体壊さない程度に執筆したいと思います。

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