彼らの異世界ライフ モモンガさんがやっぱり苦労する話   作:やがみ0821

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独自設定・捏造あり。微エロあり。


真の絶望

「メリエルさんは強いぞ」

 

 モモンガはそう告げた。

 今日も今日とてエ・ランテルで冒険者生活を送っていた彼は、ナーベラルからの問いかけにそう答えた。

 先立って行われたメリエルの全力の一撃。

 それ以来すっかりとメリエル=破壊神とかそういう認識がナザリックに根付いてしまい、色々な意味でメリエルは大人気であった。

 勿論それはメリエルは実はベッド上での戦いは初めてであったという、衝撃の事実が暴露されたことが拍車を掛けた。

 

 

「何が強いかというとだな」

 

 そうモモンガは切り出しながら、少し嬉しかった。

 彼としてはおおっぴらに、メリエルだけでなく、かつての仲間達についてこれでもかと語りたいことが山程ある。

 お前達の創造主はこれだけすごかったんだぞ、と語りたかったのだが、中々に支配者ロールプレイをしながら、となるとハードルが高い。

 支配者としての威厳とかそういうものを一瞬で粉砕する、馬鹿話が大半だからだ。

 

「メリエルさんの《至高なる戦域》は、あくまでメリエルさんが全力戦闘を行うことができるフィールドを作るに過ぎない」

 

 ナーベラルは反射的に頷き、数秒程して首を傾げた。

 

「あの、畏れながらモモンガ様。それはどういった意味でしょうか?」

「そのままの意味だ。メリエルさんがあのフィールド以外で全力を出すと、ちょっと世界崩壊の危機なのでな」

 

 ユグドラシル時代、メリエルが全力全開の一撃を通常空間でぶっ放した時はそれはもう大変な騒ぎに陥った。

 射線上にあった街や村、城にダンジョンは根こそぎえぐり取られ、多数のプレイヤーとNPCが死亡し、運営が介入し、無かったことにした。

 その結果、メリエルは一時期多数のプレイヤーから狙われ、ワールドチャンピオンによる討伐連合軍が組まれる事態にまでなったのだ。

 

 しかし、そんな事態があってもなお、メリエルに対して何かしらの制限等をつけなかった運営も運営だった。

 

「メリエルさんの種族としての、特殊スキルもある。まあ、詠唱が必要なものだが、強力だ。そんなメリエルさんの全力戦闘は凄いぞ」

 

 ナーベラルはその言葉に、ごくり、と唾を飲んだ。

 

「メリエルさんの映像記録をナザリックに戻った時にでも見てみるといい」

 

 モモンガは満足気にそう告げながら、改めて疑問に思うことがある。

 それはつい30分程前、メリエルから届いたメッセージにある。

 

 ちょっとシャルティアとコキュートスを一晩貸して欲しい、と。

 

 何でも、暗殺者が来るらしいので、2人の鬱憤ばらしをさせてあげたい、とのことだ。

 よく考えていてすごいなぁ、と素直に感心しながら、モモンガはメリエルに許可を出している。

 

「さて、ナーべ。モンスター狩りに出かけるとしよう」

 

 着実にモモンガはモモンとしての実績を築いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「この報告に、間違いないのだな……?」

 

 僅かに震える声でされた問いに、漆黒聖典の隊長である彼は平伏したまま、肯定する。

 スレイン法国の錚々たる面々がここに集っていた。

 最高神官長をはじめ、六大神官長、三局院長まで。

 

「にわかに信じがたいと思いますが、全て事実であります」

 

 メリエルとの遭遇から、全滅、そしてその後に蘇ったことまで全てを隊長は克明に報告していた。 

「端的に言えば、我々はその存在について知っている」

 

 最高神官長の言葉に、思わず隊長は顔を上げる。

 隊長の視界に入った面々は一様に極めて厳しい表情をしていた。

 

「六大神様が遺されたものに、あるスクロールがあった」

 

 最高神官長は机に置かれた、鎖で厳重に縛られたスクロールを手に取る。

 そして、おもむろに鎖を解き、スクロールを開いた。

 

 すると、空中に鮮明な映像が浮かび上がる。

 

「これはその存在が戦った記録だ」

「ぷれいやー、ですか?」

 

 隊長の問いに、最高神官長は肯定する。

 そして、映像が再生される。

 

 まず、隊長の目に入ったのは見慣れぬ言語だ。

 かつて六大神が使っていたという、その言語。

 スレイン法国でも一部の者しか読めないものであったが、幸いにも隊長はその一部に含まれた。

 

「未来への、脅威」

 

 デカデカとした文字が浮かび上がった後にはつらつらと文章が現れる。

 

「世界に終末を与える為に降臨した、善と悪を内包した混沌の天使……?」

 

 ある一文に、隊長は絶句した。

 そして、同時に納得もした。

 そんな存在であるなら、世界創造や世界崩壊もお手の物だろう、と。

 

 とはいえ、ユグドラシルのプレイヤーからすれば、これらは単なるフレーバーテキストに過ぎないものだったりするが、法国の面々にはそんなことは分からない。

 

「メリエルという名前だ」

 

 厳しい表情のまま、最高神官長は言った。

 隊長はその名を深く心に刻み、映像を見守る。

 

 文章が終わり、映ったのは平原であった。

 そして、そこに並ぶ数々の戦士や魔導師達。

 誰も彼もが神話に出てきそうな武具を纏い、またその種族はヒューマンだけに留まらず、エルフやダークエルフ、果ては獣人やアンデッドなどまでいる。

 総勢で数百人程。

 隊長は目眩がした。

 

 映像に映る面々は全員が自分よりも格上であると確信したからだ。

 

 おそらくは世界中の猛者を集めたのだろうことが容易に想像がついた。

 

 まさに人類の、否、世界の連合軍。

 

 映像が切り替わる。

 

「なん、だと……」

 

 隊長は言葉が出なかった。

 青空を覆い尽くす、無数の天使の軍勢。

 そのうち彼が見たことがある炎の上位天使《アークエンジェル・フレイム》もいたが、大半は見たことがない天使だ。

 

 隊長が呆然としている間にも、映像は進む。

 やがて、天使の軍勢が一斉に連合軍目掛けて攻撃を開始する。

 傍から見る分には壮観な光景であったが、実際に対峙すれば想像を絶する程の恐怖があるだろう。

 

 飛び交う魔法も隊長が知るものより、知らないものの方が多い。

 おそらくは第9位階、第10位階の魔法なのだろう。

 

 音も凄まじい。

 耳を聾する爆音がひっきりなしに映像のあちらこちらで鳴り響いている。

 

 そして、何よりも驚愕すべき点は軽く見積もっても万はいる天使の軍勢相手に、連合軍は一歩も引かないどころか、少しずつ戦線を押し上げているところ。

 

 各人が互いのフォローをし、おそらくは脅威度が高いものから1体ずつ着実に撃破していっているのだ。

 

 戦士である隊長にはそれがどれほどの練度か、よく理解できた。

 特に切り込み隊である9人の戦士は凄まじい。

 その動きは別次元のものであり、次々に天使を撃破している。

 

 そのとき、場違いな音色が映像から聞こえてきた。

 一定のリズムを刻みながら徐々に大きくなる笛の音と太鼓の音。

 およそ、この戦場には相応しくないものだ。

 

 そういうものは国と国が戦うところでよく使われるもの。

 

 怪訝に思っている隊長であったが、答えはすぐに映し出された。

 

 黒い三角帽に赤い軍服。

 長い槍のようなものを腰だめに構えながら、その無数の戦列はゆっくりと近づいてきた。

 

 

 映像の中で先頭を進む純銀の鎧を纏った戦士が叫んだ。

 

 レッドコート――!

 

 たちまちのうちに、連合軍の動きが変化する。

 天使の迎撃よりも、目前のレッドコートという軍隊へ攻撃が集中される。

 たった一度、剣を振るうだけで数百人単位が吹き飛ぶ。

 極大の爆発魔法で戦列ごと根こそぎにレッドコートが消し飛ぶ。

 

 しかし、しかしだ。

 レッドコートは変わらずに、ゆっくりと連合軍へ近づいてくる。

 

 まるで赤い壁が迫ってくるかのように、隊長には感じられた。

 

 

「六大神様が残した書物によれば、このレッドコートという軍勢は全てメリエルが創りだしたホムンクルスらしい」

 

 横からの最高神官長の言葉に、隊長は耳を疑った。

 

 

 ホムンクルスがどういう存在かは知られているが、その製法や材料等は不明であり、また、今稼働しているホムンクルスは勿論、作成できる人物も法国は把握していない。

 

 映像を見る限り、軽く万を超えるホムンクルスが連合軍に向かっている。

 

 やがて、レッドコートと呼ばれたホムンクルス達は前進を止めた。

 

 何をするかと隊長が訝しげに思うと同時に、ホムンクルス達はそれぞれが手に持った槍のようなものを構えた。

 

 そして、一斉に白煙が戦列から立ち上る。

 それは一回だけでなく、後続する戦列も次々と撃ち放つ。

 

 対する連合軍側は複数の防御魔法の重ねがけで対処している。

 そうしている間にも、戦列は魔法で次々と吹き飛ばされていく。

 

 だが、如何せん数が多い。

 

 

 

「この後、9人の戦士が吶喊し、戦列の最奥にいるメリエルと戦うことになる。戦いは数時間にも及ぶが……結果から言えば、引き分けだ。戦士の君からすれば、非常に興味深いと思うが、今回は割愛させてもらう。長いんでな」

 

 

 スクロールが閉じられ、映像もまた消える。

 

 隊長は最高神官長の言葉に思わず笑いをこぼしてしまう。

 

 なんというデタラメだ。

 

 メリエルもメリエルだが、そんな相手と渡り合う連合軍も連合軍だ。

 

 

「我々としては、彼女を敵に回すなど以ての外。だが、何もせずに放置して、こちらに気まぐれで矛先を向けられる可能性もある。おそらくは世界の総力を結集したとしても、メリエルは倒せない」

 

 隊長は立場としては否定したかったが、それは到底できない話であった。

 たとえ番外席次が100人いたとしても、メリエルはどうしようもできない。

 災害のようなものだ。

 

「故に、彼女には法国として巫女を送り込み交渉する。最悪、法国全てと引き換えに人類の守護、あるいは存続を願うつもりだ」

 

 これ以上ないほどに分が悪い賭けだ、と隊長は内心思う。

 おそらくは言っている最高神官長もそう思っているだろう、と隊長は確信している。

 

「クレマンティーヌには今後一切手を出すな。メリエルに関する資料を渡しておく。以上だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……疲れたな」

 

 重圧から解放された隊長の口からはそんな言葉がこぼれ出た。

 

「メリエルってそんなに強いの?」

 

 横合いから聞こえた声に隊長が視線をやれば、番外席次がソファで寝転がりながら、ルビクキューを弄っていた。

 

「そうだな、強いな」

 

 隊長の言葉に、ルビクキューをソファの横にあったテーブルに置いて、彼女は起き上がった。

 

「どんくらい? 私よりも?」

「ああ。お前が100人いても歯が立たないくらいには強い」

 

 隊長の言葉に、彼女は満面の笑みを浮かべる。

 

「ようやく私は敗北を知れるの!?」

「やめとけ。アレには手を出すな」

 

 えー、と不満顔の彼女に隊長は深く溜息を吐いて告げる。

 

「お前は世界を作れるか? そして、その作った世界を壊せるか? それができないならやめておけ」

「できないけどできそう!」

 

 きらきらした瞳を向けてくる彼女に隊長は再度溜息を吐く。

 

「あのなぁ、メリエルが全力出したら、この世界が終わる。お前だって、世界が終われば死ぬ。誰だって死ぬ。例外はそうした本人くらいだ。蟻の巣を潰すような気軽さで相手は世界を滅ぼせるんだぞ」

「それでも戦いたい!」

「ダメゼッタイ。俺は人外決戦に巻き込まれて死にたくない。あと法国はメリエルと交渉するから。もしかしたら模擬戦とかそういう形でいけるかもしれない」

 

 模擬戦という言葉に番外席次は反応し、うんうんと何度も頷く。

 

「あ、メリエルって男?」

 

 問われ、隊長はメリエルの顔を思い出しつつ、手元にあるメリエルの資料へと視線を向ける。

 最高神官長より渡された、六大神が遺したメリエルの資料を複写したものだ。

 

「……いや、両性具有らしいぞ。見た目は完全に女だが、男でもあるんだろう」

 

 やったー、と喜ぶ番外席次に隊長は溜息しか出てこなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「中々面白いわね」

 

 メリエルは自室にて、ゆったりとソファに座って、スクロールにより空中に投影された映像を見て楽しんでいた。

 蒼の薔薇の面々が、クレマンティーヌが、襲撃者達と激しい戦闘を繰り広げている。

 一進一退の攻防に、メリエルはとても満足していた。

 

 メリエルの横にはヒルマがメリエルに体を預けるような形で座っており、時折メリエルがヒルマの頭を撫でたり、背中をさすったりしてる。

 ヒルマは映像を見ながら、胸中には不安がある。

 

 もしここでメリエルが負けたら、確実に拙いことになる。

 

「不安?」

 

 ふと、そんな声が聞こえてきた。

 メリエルだ。

 

「ええ」

 

 隠しても仕方がない、とヒルマは肯定する。

 すると、メリエルは微笑み、告げる。

 

「大丈夫よ。私はね、強いわよ」

 

 気休めだ、と言うのは簡単であったが、ヒルマはどうもそうには思えなかった。

 まるでそうであることが当然であるかのような、そんなものを感じた。

 

 ヒルマは微笑み、ありがとう、と言って、メリエルの頬に口付ける。

 ソリュシャンとルプスレギナが凄まじい目でヒルマを見ているが、ヒルマは気にしない。

 

 失態を犯さなければ、私達があの位置にいたのに、とソリュシャンとルプスレギナは忸怩たる思い。

 

 無論、メリエルもソリュシャンとルプスレギナが凄まじい目でヒルマを見ているのには気がついている。

 だが、ソリュシャンとルプスレギナ……否、ナザリックの多くの者ではこうはいかないとメリエルは確信している。

 

 端的に言えば、絶対的に経験が不足している。

 

 高級娼婦として過ごしてきたヒルマは男を魅了する何気ない仕草、立ち振舞、口調は勿論、会話においても巧みだ。

 何よりも重要なものは会話であり、幅広い話題を持っていなければならず、深い教養がなければならない。

 貴族などの上流階級の男を客とする高級娼婦は、そこらの女よりも全てにおいて優れていなければ務まらないのだ。

 

 無論、これはヒルマ以外の、メリエルの元にいる高級娼婦達にも当てはまるが、ヒルマよりも若い彼女達を差し置いて、ヒルマがメリエルの傍にこうしているのはその娼婦達と比較してもヒルマが優れていた為だ。

 

 そんなヒルマが損得抜きで、本気でメリエルを落としにきている。

 

 これをどうにかするのはナザリックの女達にとっては一筋縄ではいかないだろう。

 

 

「ああ、屋敷に入ってきたわね」

 

 呑気な声でメリエルは言った。

 ヒルマもメリエルから視線を外し、映像へと向ければそこには襲撃者達が屋敷内部へと続々と入ってきていた。

 

「辿り着けないわ。もし辿り着いたなら、私が相手をしてやってもいい」

 

 そう言いながら、メリエルはヒルマの背中に腕をやり、自身の胸へと抱き寄せる。

 自分よりも豊満なメリエルの胸にヒルマは少しだけ嫉妬する。

 

 ベッドで初めて、メリエルの裸体を見た時、その美しさに嫉妬すると同時に、両性具有という特異性にヒルマは同情もした。

 これだけの容姿を誇り、それでいて両性具有であるならば、幼い頃から数多の変態達の玩具になってきたことは想像に難くない。

 

 ヒルマはメリエルの背中へと両腕を回し、ぎゅっと抱きつく。

 メリエルの匂いを肺いっぱいに吸い込む。

 

 良い匂いだ。

 これで香水なども使っていないというのだから、まったく女としての自信をことごとく破壊される。

 

 ヒルマはそう思いながら、メリエルの胸に顔を埋める。

 

 そんなヒルマを、メリエルはまったく咎めることなく、されるがままだ。

 

「ところで、ソリュシャン、ルプスレギナ」

 

 突然のメリエルの声にソリュシャンとルプスレギナはびくっと体を震わせる。

 

「ヒルマは良い女よ。でもね、あなた達も良い女。要は方向性の問題よ。小動物と花では同じ可愛い綺麗でも方向性が違う。そうでしょう?」

 

 その言葉はソリュシャンとルプスレギナにとっては天の声であった。

 彼女達はきらきらとした瞳でメリエルを見つめる。

 

「ちょろい……」

 

 ヒルマは小さく呟かれたメリエルの声に心の中で同意した。

 滅茶苦茶な論理ではあったが、ヒルマが見る限りどうもこの2人のメイドにとって、メリエルは神にも等しいらしい。

 その神がそういうのなら、そうだ、と信者は納得するしかないのである。

 

「あ、これは可哀想なことになるわね。シャルティアもコキュートスもあんなに張り切っちゃってまぁ……」

 

 その声にヒルマが視線を映像へとやると、ちょうど大広間に襲撃者達が雪崩れ込んできたところだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今宵はよくおいで下さいんした」

 

 漆黒のボールガウンの両端を摘んで、優雅にお辞儀してみせるシャルティアに、襲撃者達は困惑していた。

 彼女の存在もそうであったが、その横に佇む巨大な虫型モンスターがよりいっそう、困惑の度合いを深めていた。

 

「御方ハ命ゼラレタ」

 

 キチキチと奇っ怪な声に、襲撃者達はぎょっとする。

 しかし、そんなことは気にせず、コキュートスは続ける。

 

「我等ニ、ソノ武威ヲ示セ」

 

 コキュートスの言葉を繋ぐように、シャルティアが続ける。

 

「一切の油断なく、全力でもって襲撃者を全て征伐せよ」

 

 瞬間、空気が変わった。

 襲撃者達は一瞬で感じ取ったのだ。

 

 殺される――

 

 コキュートスは全ての腕に武器を持ち、シャルティアは深紅の鎧を纏い、槍を手に持つ。

 

「至高の御方であるメリエル様の御耳に届くよう、断末魔の悲鳴を大きく出すでありんす。妾も協力しんす。メリエル様は仰られたでありんす。他人に協力する、これもまた善行であると」

 

 メリエル様名言集第42巻に載っているでありんす、とシャルティアは得意げにそう語る。

 

「……シャルティア、ソレハ何処ニアルノダ?」

「ナザリックの図書館にありんすよ。デミウルゴスとアルベドが作っているでありんす」

「終ワッタラ読ムトシヨウ」

「かなりの人気本でありんすから、貸出中になっているかもしれないんす。50巻まで出ていて、それぞれ10冊ずつあるんでありんすが、いつも、ほとんど貸出中でありんすよ」

 

 フム、予約シナケレバと言うコキュートス。

 

「さて、それじゃ始めるでありんすか。1分は保ってほしいんす」

「始メルトシヨウ」

 

 

 

 哀れな襲撃者達はもはや、狩られるのを待つ哀れな獲物に過ぎなかった。

 


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