器物転生ときどき憑依【チラシの裏】   作:器物転生

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【あらすじ】
アーサーが召還されたものの、
モードレッドだらけの聖杯戦争で、
キリツグとアーサーは大聖杯の破壊に向かいました。




妾はシロウに、魚から抜き出された。

まさか、こんな形で王を選定する事になるとはのぅ。

しかしキリツグに引き取られたシロウは今の所、ブリテンと何の関わりもない。

 

いや、シロウは赤毛だったか。

聖杯による大災害が起きていない場合でも、シロウの髪は黒くない。

もしかするとシロウの血筋に、ブリテンから来た者がいたのかも知れぬ。

 

シロウを王として妾は選定した。

とは言ってもシロウは、王である事を受け入れてはいない。

まだシロウは王としての決心に至らず、不老の加護も受けていなかった。

 

その原因はキリツグだ。

シロウを王とする事に、キリツグは反対している。

まあ魔術を用いても、キリツグは妾に触れられぬ。無力なものだ。

 

そのキリツグは病に侵されている。

聖杯の泥によって、キリツグは汚染されているのだろう。

外出する回数は増え、体の痛みを和らげるために風呂へ入る事が多くなった。

 

外出の回数が増えているのは、

外国にいる実子を助けに行っているからだろう。

しかしキリツグは衰弱し、やがて外出は難しくなった。

 

キリツグの死は近い。

それを幼いシロウも感じ取り、不安に思っていた

自分が死んだ後の話をするためにキリツグは、シロウを置いて知人の家へ行く事もある。

 

『シロウ、このままではキリツグは死ぬぞ』

「死ぬとか言うなよ。俺だって、わかってる」

 

『だが、妾の力を使えばキリツグの命を救えるだろう』

「でも爺さんは、お前と契約しちゃダメだって言ってた」

 

『キリツグは御主の幸せを願っているのだ。しかし、御主にとっての幸せはキリツグと一緒にいる事だろう?』

 

妾の問いにシロウは答えない。

答えればキリツグの意思に反するからだろう。

そうしてシロウが悩んでいる間に、キリツグに残された時間はなくなった。

 

そして最後の時間が訪れる。

キリツグとシロウは窓辺に座っていた。

「正義の味方になれなかった」という話をキリツグはしている。

 

「うん。しょうがないから、俺が代わりになってやるよ」

『妾の力を使えば容易いものだ。安心して逝くが良い』

「カリバーンも協力してくれるんだってさ」

 

「それは、ダメだ」

 

そう言ってキリツグは、シロウの両肩を掴む。

キリツグの代わりに「正義の味方になる」と言ったシロウを止めた。

どうしたのだ、キリツグよ。ここは「ああ、安心した」と言って死ぬべき所だろう。

 

「シロウ、僕はね。魔術に関わって欲しくないんだ。魔術と関わらず、普通に生きて欲しい」

 

おい、余計な事を言うな。

キリツグの言いたい事は明らかだ。

シロウと妾が契約しないように釘を刺すつもりなのだろう。

 

シロウは「正義の味方になる」と言った。

それだけならば、まさか魔術を用いて正義の味方になるとは思うまい。

しかし妾という神秘を用いて、シロウが正義の味方になる可能性に思い当たったようだ。

 

「絶対にカリバーンを抜いてはいけないよ。あの剣を抜けば、シロウは人ではなくなってしまう」

「分かった。魔術と関わらないし、カリバーンも抜かない。約束するよ、じいさん」

 

「ああ、そうか——安心した」

 

そう言ってキリツグは死んだ。

キリツギの心臓が止まった事を、妾は感知域で捉える。

しかしキリツグの外側だけ見れば、生きているようにも見えた。

 

「じいさん?」

『死んでいるぞ』

 

シロウはキリツグの体を揺らす。

これまでも何度か、キリツグの意識がなくなる事はあった。

しかし今回は、本当に死んでいる。もはや、キリツグの意識が戻ることはない。

 

「そっか」

 

妾の言葉にシロウは納得した。

そしてポロポロと涙を流し始める。

キリツグの死体の前で、ずっとシロウは泣き続けていた。

 

ふと、違和感を覚える。

こんなにシロウの心は、脆い物なのだろうか?

起源を「剣」とするシロウは、聖杯の汚染すら弾く鋼の心を持っていたはずだ。

 

ああ、そうか。

エクスカリバーの鞘は行方不明のままだ。

アーサーの召還に用いられたのは鞘ではなく、カリバーンである妾だった。

 

シロウの体内に、鞘は入っておらぬのか。

シロウの起源であった「剣」は、大災害に巻き込まれて変化した物ではない。

その大災害から救助された際に、キリツグによって仕込まれた鞘の影響で変化する物だ。

 

そもそも大災害は起こっていないはずなのだがのぅ。

どういう経緯でシロウは、キリツグに引き取られたのだ?

シロウが養子となったのは妾が海に落ちていた間の話だから、よく分からぬな。

 

 

 

そして数年の時が流れた。

シロウは住宅区に、一人で住んでいる。

この2階建ての家は、キリツグが購入したものだ。

 

シロウとキリツグが住むはずだった日本屋敷は、

アーサーがエクスカリバーで吹っ飛ばしたからのぅ。

もちろん魔法陣の残っている土蔵なんて無い。サーヴァントも召還できぬだろう。

 

それとシロウは妾を避けている。

「魔術と関わるな」と言い残したキリツグのせいだ。

妾は部屋の隅に飾られ、掃除を行う際に触れられる程度だった。

 

おのれ、キリツグめ。

本当に余計な事をしてくれた。

シロウは魔術の訓練すら行わなくなっている。

 

おかげでシロウに令呪の兆しが出ない。

いいや、違うか。魔術の素質さえあれば聖杯に選ばれる。

もう一つの条件である聖杯に懸ける願いが、今のシロウには無いのだろう。

 

しかし、運命はシロウを逃がさない。

学校でサーヴァント同士の戦いを見たシロウは殺害された。

その後、魔術師によって破壊された心臓を補われ、シロウは復活する。

 

シロウは鞘が無くとも生き残ったか。

体内に鞘は無いため、シロウに特別な回復能力はない。

まあ有ったとしても鞘の主であるアーサーの召還前だ。大した差は無かっただろう。

 

そうしてシロウは、妾の下に帰ってくる。

しかし、まだシロウの身に迫った危機は退いていない。

妾の感知域はシロウを追ってきたサーヴァントの気配を捉えていた。

 

『シロウよ。御主を殺した犯人が、家の前まで来ているぞ』

「なんだって!?」

 

『こうなれば応戦するしかあるまい。さあ、妾を手に取るのだ』

「それは、ダメだ。爺さんを裏切る訳にはいかない」

 

『キリツグは御主の幸せを願っていたのだぞ?」

「分かってる。だから俺は魔術と関わっちゃいけないんだ」

 

『しかし、すでに御主は魔術と関わってしまった。もはや手遅れだ』

「手遅れじゃない。お前を手に取ったら本当に、爺さんと交わした約束を破る事になる」

 

『いいや、手遅れだ』

「手遅れじゃない!」

 

『ならば聞こえない振りをするべきだった。剣戟の音に誘われて、あの場へ行くべきではなかった。他人の事なんて関係ないという振りをして、無視をすれば良かったのだ』

「そんなこと、できる訳ないだろ」

 

『できるさ。他人と関わらなければ、御主が魔術と関わる事はなかったのだから』

 

このシロウも人助けが趣味だ。

とは言っても、「正義の味方」を目指している訳ではないらしい。

おそらくシロウは妾を抜かず、キリツグを救えなかった事を後悔しているのだろう。

 

『さて、時間切れだ。敵がくるぞ、シロウ。妾を手に取るべきだ。少なくとも盾代わりにはなる』

「……分かった。でも、今回だけだ。俺は王になれない」

 

『構わぬよ』

 

そう言ってシロウは妾を握った。

ふふふ、こうなってしまえば、こちらの物よ!

緊急時とはいえ自分の意志でシロウは、キリツグと交わした誓いを破っているのだ。

 

『シロウ、上だ』

 

シロウの命を狙う敵はランサーだ。

ランサーは霊体化して、壁を擦り抜けてきた。

そうと知らないシロウは反応できず、「え?」と疑問の声を上げる。

 

そしてランサーの槍で、頭を貫かれた。

シロウの頭部がパァンと弾け飛び、血肉を室内に振りまく。

妾は剣に過ぎないからのぅ。シロウが振らなければ、妾は力を発揮できない。

 

魔術師であるシロウならば身体を強化して、

ランサーの一撃くらいならば受け止められただろう。

しかし魔術の鍛錬を行っていなかったシロウは、妾を動かす事すら出来なかった。

 

役目を終えたランサーは去って行く。

サーヴァントを召還するなんて奇跡も起こらなかった。

その後、後始末に来た教会の者達によって、妾は回収される。

 

Dead End

 

 

『さて、時間切れだ。敵がくるぞ、シロウ。妾を手に取るべきだ。少なくとも盾代わりにはなる』

 

 剣を手に取る

→剣を手に取らない

 

「爺さんと約束したんだ。俺は、お前を、手に取れない」

『そうか、残念だ』

 

シロウはフライパンを手に持つ。

神秘の宿らない、そんな物でサーヴァントの攻撃を防げるものか。

当然、霊体化を解いて突然現れたランサーによって、シロウは命を奪われた。

 

Dead End

 

 

『さて、時間切れだ。敵がくるぞ、シロウ。妾を手に取るべきだ。少なくとも盾代わりにはなる』

 

 剣を手に取る

 剣を手に取らない

→こんな所で死んでたまるか!

 

「くそっ、なんで俺が、こんな目にあうんだ!」

 

そう叫んでシロウは、中庭へ逃げ出した。

わざわざ玄関から来るなんて、妾は言っていないぞ。

しかしシロウは不審者が玄関から来ると思い込み、中庭を通って逃げるつもりのようだ。

 

「誰かー! 助けてくれー!」

 

そして無様に、隣人に助けを求める。

土地を隔てる塀に手をかけ、身を持ち上げた。

しかし妾の感知域は、シロウの頭上で実体化するランサーを捉えていた。

 

ランサーの槍がシロウに迫る。

その槍の先端は、シロウの頭部に向けられていた。

心臓を破壊されてもシロウは蘇生されたため、脳を破壊するつもりなのだろう。

 

その時、妾の感知域で魔力が膨れ上がる。

何事かと思って意識を向けると、2体目のサーヴァントがいた。

その魔力の高まりから2体目のサーヴァントが、何らかの宝具を行使する事は明らかだ。

 

 カリバーン——万象斬り裂く選定の剣

 

それは距離を無視した斬撃だった。

しかしランサーも魔力の高まりを感じ取っている。

ランサーの体を斬り裂くはずだった斬撃は、肌を裂くに留まった。

 

「おっじゃましまーす!」

 

そして現れたのは少女とサーヴァントだ。

もはやランサーの視界にシロウは入っていない。

シロウは塀から落ちて、2体のサーヴァントに挟まれていた。

 

「何者だ?」

「見りゃ分かんだろ? サーヴァントだ」

 

そのサーヴァントは、妾に似た剣を持っていた。

遠回しに言っても仕方ないので分かりやすく言うと、モードレッドだった。

またモードレッドか。まさか、また今回もモードレッド祭りなのではあるまいな。

 

いいや、ランサーはモードレッドではない。

どう考えても前回の聖杯戦争はバグっていたのだろう。

そもそも聖杯戦争は、同じサーヴァントが召還される仕組みでは無かったはずだ。

 

それにしても、あいかわらず、しょぼいのぅ。

モードレッドの宝具と言えば、カリバーンである妾だ。

しかし妾が現存しているせいで、偽カリバーンの宝具としてのランクは落ちている。

 

「剣を持ってるって事はセイバーに相違あるまい」

「そういうテメェはランサーに違いねぇ」

 

サーヴァントが殺気を向け合う。

その間にいるシロウは、英霊の存在感に耐え切れず気絶した。

するとモードレッドのマスターらしき少女が、シロウを持ち上げて移動させる。

 

その少女は片手で、シロウを軽々と持ち上げていた。

令呪を持っているという事は魔術師なので、身体強化も不思議ではない。

わざわざシロウを移動させたという事は、シロウを助けるつもりはあるようだ。

 

「一手、仕合ってもらおうか」

「すぐに終わらせてやるぜ」

 

サーヴァントが戦いを始める。

その様子を少女は、窓辺に座って観戦していた。

サーヴァントを前にして、余裕のある態度を見せている。ただの魔術師ではないな。

 

「受けてみるか、我が槍の一撃を」

「来いよ。その槍ごと、ぶったぎってやる」

 

魔力の高まりを感じる。

サーヴァントは宝具を解放するつもりのようだ。

さすがに少女は窓辺から立ち上がり、シロウを持ったまま屋根へ跳び上がった。

 

「刺し穿つ——」

「万象斬り裂く——」

 

「——死棘の槍」

「——選定の剣」

 

ランサーの宝具は、心臓を穿つ必中の槍だ。

モードレッドの宝具は、任意の場所に斬撃を発生させる。

その結果、槍は心臓を穿ち、斬撃はランサーを斬り裂いた。

 

相撃ちだ。

サーヴァントは四肢を切り落とされても死なない。

しかし、首や心臓や脳に相当する場所にある霊核を破壊されると、存在を維持できない。

 

早くも2騎が、聖杯戦争から脱落するか。

今にもランサーやモードレッドは消えそうだ。

するとマスターらしき少女は、シロウを置いてモードレッドに近寄った。

 

「さつき。悪ぃがオレは、ここまでだ」

「うん。じゃあね、モードレッドさん」

 

弓塚さつきか。

Fateではなく月姫か。

おそらく吸血鬼もとい死徒だろう。

 

そういえば、ランサーのマスターは誰だ?

封印指定執行者ならば、ランサーと共に来るだろう。

神父ならばランサーに撤退する指示を出していたはずだ。

 

動けないせいで情報が足りぬな。

そんな事を考えている間にサーヴァントは消滅した。

気絶したままのシロウを放置して、死徒も暗闇の中へ去っていく。

 

妾はモードレッドと会えぬままか。

とは言っても、妾はシロウを新たな王として選んだのだ。

だらら前代のモードレッドに、今代のシロウを紹介するのは気まずい。

 

死徒が去った後、

シロウの家を魔術師が訪れる。

学校でシロウを蘇生させた魔術師だ。

 

気絶してるシロウを発見して、

サーヴァントを連れた魔術師はアタフタと慌てる。

しかし大きな外傷がない事に気付くと落ち着いて、魔術を用いてシロウの記憶を覗いた。

 

「衛宮くんを追って来たランサーは、セイバーと交戦して、どっちも脱落したようね。聖杯戦争の開始早々、三騎士のセイバーとランサーが脱落するなんてラッキーだわ」

 

残るは5騎だ。

ここにいるアーチャーと、

ライダー、バーサーカー、キャスター、アサシンとなった。

 

魔術師はシロウに魔術をかける。

魔術に関する記憶を隠すため、暗示をかけているのだろう。

そうして用事を終えて帰ると思ったら、魔術師は妾いる部屋へきた。

 

「なんだって、伝説の聖剣がエミヤ君の家にあるのよ。しかも、こんな置物みたいに……」

 

魔術師は妾に手を伸ばす。

しかし、その手は妾の身を擦り抜けた。

続いてサーヴァントが挑戦するものの、やはり妾は掴めない。

 

「ふむ。カリバーンという名は、伊達ではないようだ」

 

ほう、なるほど。

このサーヴァントは、未来のシロウだ。

しかし「正義の味方」としてのエミヤ・シロウに、妾を握ることは叶わぬか。

 

「どうする、リン」

「どうもしないわよ。衛宮くんの物を勝手に盗むほど落ちぶれちゃいないわ」

 

「クッ、君がカリバーンに向ける関心の高さは理解できた。折れたと伝承されている剣が、完全な形で現存している事に、私も興味を引かれている。しかし私が君に振ったのは、このまま彼を見逃すのかという話でね」

「冗談よ、今のは冗談なの。そうね。サーヴァントのマスターじゃないし、令呪も見当たらないし、へっぽこ以前の魔術師もどきだし、記憶の処理も済んでるし、このまま放っておいても問題ないでしょ」

 

そう言って魔術師は去って行った。

シロウは目覚めず、その間に再び死徒が訪れる。

サーヴァントを従える魔術師が去るまで待っていたようだ。

 

死徒はシロウを目覚めさせる。

開かれたシロウの目を、死徒は覗き込んだ。

そうして2人は見つめ合っている。御主等は何をやっておるのだ?

 

「状況は理解してくれた?」

「ああ、なんとか。助けてくれたんだよな、ありがとう」

 

シロウが魔術の事を思い出せる?

おそらく死徒が魔眼を用いたのだろう。

死徒は手を差し出し、その手をシロウは握った。

 

「うん。でも、貴方を助けるために私のサーヴァントが犠牲になったの」

「そっか。それは……」

 

「だから、しばらく貴方の家に泊めてくれるよね?」

「なんでさ」

 

「あなた『助けて』って言ったよね? だから助けてあげたのに断るの? ふーん、そうなんだ」

「どうぞ泊まっていってください」

 

ミシミシと音が鳴る。

死徒と繋がれているシロウの手から、その音は聞こえていた。

死徒が本気になればシロウの手は、一瞬でグシャっと潰されていただろう。

 

しかし妙だ。

わざわざシロウの家に泊まる必要がない。

なにか目的があるのだろう。たぶん妾なんじゃないかな。

 

死徒は事情を説明する。

聖杯を求める戦いや、英霊を使役していた事を説明した。

一気に説明されてシロウがウンウンと唸っていると、死徒は妾の所へやってきた。

 

死徒は指でツンツンと、妾を突つく。

そんな死徒を拒絶すると、その指は妾の身を擦り抜けた。

そうして妾に触れぬようになると、死徒は話しかけてくる。

 

「こんにちは、カリバーンさん」

『まだ妾は名乗っておらぬし、シロウから聞いてもおらぬだろう』

 

「やだー、カリバーンさんは有名だから一目で分かっちゃうよ」

『そんな訳あるかー!』

 

妾のことを誰から聞いた?

一度海に落ちた妾の存在を知っている者は限られる。

タイガー先生か、間桐の妹後輩か。間桐が怪しいのぅ。

 

 

 

翌朝、妹後輩が訪れる。

その後、タイガー先生も家にやってきた。

そこへ死徒が登場したので一騒動あったものの、大した事は起こっていない。

 

シロウは学校へ行く。

日光に当たると体が崩壊するので、死徒は家で留守番だ。

我が家のようにゴロゴロしている死徒は放置し、妾は感知域でシロウを感じ取る。

 

学校には結界があった。

発動すると、中にいる人々を溶かす結界だ。

シロウは何か変だと思ったらしく、ハテナマークを浮かべていた。

 

シロウは結界があると気付いていない。

しかし、世界の異常を感じ取る感覚は失われていなかった。

それでも「魔術に関わる異常」とシロウは勘付き、わざわざ原因を探る事はない。

 

そして放課後になった。

間桐の兄に頼まれたシロウは、弓道場の裏へ来ていたる。

間桐の兄はライダーを使役しているはずだ。これは罠だろう。

 

やっぱり罠だった。

シロウはライダーに首を掴まれる。

体を持ち上げられ、宙吊りにされていた。

 

チャンス!

 

 じゃなくてピンチ!

 

妾はシロウに思念を送る。

今こそ妾を呼ぶのだ! 呼ばねば死ぬぞ!

シロウが妾を抜く気になれば、空間を飛んで行けるに違いない。

 

「来い、カリバ——」

 

妾は空間を飛び越えた。

ん? この展開は見た覚えがあるのぅ。

妾がシロウの下へ出現すると、シロウの首は千切られていた。

 

シロウの体が地面に落ちる。

妾は握られる事なく、シロウの手から零れ落ちた。

そうだった。この場面でシロウが助けを呼ぶと、ライダーに殺されるのだった。

 

「おい、ライダー。なんだよ、それ」

「さあ、なんでしょう。この時代に不適当な、強い神秘を宿しているようですね」

 

「なんだ。じゃあ、衛宮は魔術師だったのか。ははっ、宝の持ち腐れだな!」

 

間桐の兄だ。

シロウの首なし死体に近付くと、足で蹴る。

すると傷口から零れ落ちた血で、間桐の兄の靴が汚れた。

 

「くそっ、汚れたじゃないか! くそ! くそ! くそ!」

 

間桐の兄は、シロウの死体を何度も蹴る。

その後、妾を拾い上げようとしたものの掴めない。

それで更に不機嫌になった間桐の兄は、ライダーに命じて妾の下に穴を掘って埋めた。

 

Dead End

 

 

チャンス!

 

 じゃなくてピンチ!

 

妾はシロウに思念を送る。

今こそ妾を呼ぶのだ! 呼ばねば死ぬぞ!

シロウが妾を抜く気になれば、空間を飛んで行けるに違いない。

 

 カリバーンを喚ぶ

→カリバーンを喚ばない

 

しかしシロウは妾を呼ばなかった。

ええい、強情な奴め! これでも魔術に関わらぬつもりか!

ライダーの牙が、シロウの首に迫る。血を吸われるだけで死ぬ事はないだろう。

 

それを防いだのは一本の矢だった。

シロウを手放したライダーは、矢の進行方向に回り込む。

標的となっていた間桐の兄の前に立ち、矢を叩き落とした。

 

「あんた、シンジ!」

「ふん、遠坂か」

 

シロウを助けたのは、昨日の魔術師とアーチャーだ。

ライダーを使役していたのは間桐の兄と、魔術師は言い争う。

その話が終わると間桐の兄は立ち去り、魔術師はシロウに近付いた。

 

「あっ、あの、遠坂さん?」

「ごめんなさいね、衛宮くん」

 

そう言って魔術師は、シロウの意識を奪う。

昨日と同じように、魔術に関する記憶を隠した。

目覚めたシロウは、何事もなかったかのように帰宅する。

 

『シロウ、また記憶を弄られておるぞ』

「なんで、そんな事、お前に分かるんだよ」

 

『御主の通う学校は、妾の感知域内だ』

「……記憶を消されたのは、いつだ?」

 

『弓道場の裏へ行った時だ。信じられぬのならば、死徒に解いてもらえば良い』

「いや、止めておく。魔術に関わる事なんて、わざわざ思い出さなくても良いだろ」

 

それほど嫌か。

ちょっとした選択ミスで死ぬ事もあるのだがのぅ。

魔術と関わらないという約束を、シロウは死んでも守るつもりらしい。

 

 

 

太陽が沈み、夜になった。

サーヴァントの接近を妾は感じ取る。

マスターの容姿から察するに、キリツグの娘だろう。

 

ドアホンが鳴る。

キリツグの娘は迷わず、この家に直行してきた。

そうか。アインツベルンから、妾の情報が漏れているという可能性もあったな。

 

「こんばんは、お兄ちゃん」

「こんばんは。こんな夜遅くに、どうしたんだ?」

 

知り合いという訳ではない。

とつぜん訪ねて来た少女に、シロウは何事かと聞いている。

もちろんキリツグの娘という事をシロウは知らぬ。教えておらぬからな。

 

「令呪は無いみたいだし、ちょっと残念だなぁ。お兄ちゃんのサーヴァントをグチャグチャにしてあげたかったのに……もういいよ、やっちゃってバーサーカー」

 

「■■■■■■■■■!!」

 

娘の合図に応じて、怪物が姿を現す。

バーサーカーのクラスを与えられたサーヴァントだ。

人と思えないほど大きな腕は、空気を唸らせつつシロウへ振り下ろされる。

 

常人のシロウは動けない。

回避する以前に、反応すら出来なかった。

バーサーカーの腕はシロウに直撃し、全身の骨を粉砕する。

 

「安心して、お兄ちゃん——すぐには殺さないから」

 

娘は魔術を用いて、シロウを延命させる。

下半身が失われた状態にも関わらず、シロウの生命は維持された。

そんな状態のシロウをバーサーカーに持たせ、キリツグの娘は去って行く。

 

あれは人形化ENDに違いない。

家主が居なくなり、死徒も何処かへ去って行った。

その後、後始末に来た教会の者達によって、妾は回収される。

 

Bad End

 

 

「令呪は無いみたいだし、ちょっと残念だなぁ。お兄ちゃんのサーヴァントをグチャグチャにしてあげたかったのに……もういいよ、やっちゃってバーサーカー」

 

「■■■■■■■■■!!」

 

娘の合図に応じて、怪物が姿を現す。

バーサーカーのクラスを与えられたサーヴァントだ。

人と思えないほど大きな腕は、空気を唸らせつつシロウへ振り下ろされる。

 

 全力で回避する

→助けを呼ぶ

 

「さつき……!」

 

常人のシロウは動けない。

回避する以前に、反応すら出来なかった。

しかし、そんなシロウの体が、後ろへ引っ張られる。

 

昨日から泊まっている死徒だ。

死徒のおかげで、シロウの命は助かった。

とは言っても、避け損ねた両足は潰されている。

 

「■■■■■■■■■!!」

 

間もなく二撃目が来た。

ただのパンチが、必殺に相当する。

すると死徒はシロウを手放し、後方へ飛び退いた。

 

「ごめん! 無理!」

 

おい。

もうちょっと頑張らぬか。

死徒は諦めて、逃げるつもりのようだ。

 

バーサーカーの腕が、シロウに直撃する。

床を打ち貫く轟音と共に、シロウの下半身は潰された。

その衝撃で神経が狂ったらしく、シロウの上半身はビクビクと震えている。

 

「安心して、お兄ちゃん——すぐには殺さないから」

 

娘は魔術を用いて、シロウを延命させる。

下半身が失われた状態にも関わらず、シロウの生命は維持された。

そんな状態のシロウをバーサーカーに持たせ、キリツグの娘は去って行く。

 

あれは人形化ENDに違いない。

家主が居なくなり、死徒も戻って来なかった。

その後、後始末に来た教会の者達によって、妾は回収される。

 

Bad End

 

 

 

「令呪は無いみたいだし、ちょっと残念だなぁ。お兄ちゃんのサーヴァントをグチャグチャにしてあげたかったのに……もういいよ、やっちゃってバーサーカー」

 

「■■■■■■■■■!!」

 

 全力で回避する

 助けを呼ぶ

→話を聞く

 

「何が何だか訳が分からない……!」

 

そう言うと、バーサーカーの腕は消えた。

霊体化したバーサーカーの腕は、シロウの体を擦り抜ける。

突然の出来事に一番驚いたのはシロウだった。固まったまま動かない。

 

「そうだね。なにも知らないみたいだし、ちょっとは説明してあげてもいいよ」

 

これはチャンスだ。

しかし、シロウは固まったまま動かない。

なので妾はシロウに思念を送り、発言を促した。

 

『君は誰だ。君は誰だ。君は誰だ』

 

「君は誰だ」

「あっ、いけない。そう言えば自己紹介が、まだ済んでなかったよね。私の名前はイリヤスフィール・フォン・アインツベルン、お兄ちゃんはイリヤって呼んでもいいよ」

 

『イリヤは可愛いね。イリヤは可愛いね。イリヤは可愛いね』

 

「イリヤは可愛いね」

「あら、ありがと。シロウも格好いいわよ」

 

本当に言いおった。

しかし、今の言葉でシロウは復活したらしい。

「なんでさ」と言ってシロウは、自分の発言に慌てる。

 

「もう、いいよね。じゃあ、死んで」

 

娘は会話を断ち切った。

再びバーサーカーが、シロウの前に出現する。

気を持ち直したシロウは、再びパニックに陥った。

 

「待ってもらおうか。そこの御仁は、私と関わりがあるらしい」

 

娘の背後に、アーサーがいた。

娘は気付いていたらしく、驚いていない様子だ。

こっそり様子を探っていた死徒がアーサーに反応した。

 

「セイバーさん!」

 

死徒はアーサーを、クラス名で呼ぶ。

そういえばモードレッドは名前で呼んでいたな。

死徒にとってのセイバーは、アーサーの事だったか。

 

死徒の登場する『月姫』に、アーサーは関わったのか。

死徒はアーサーから聞いたから、妾の事を知っていたのだろう。

つまりセイバーによって死徒は、シロウの下へ送り込まれた事になる。

 

「あなた、セイバーなの?」

「いかにも。私はセイバーだ」

 

「ふぅん」

 

娘はシロウを見る。

その次に、奥にいる死徒を見た。

死徒の体には、まだ令呪が残っている。

 

「お客さんみたいだし、私は帰るね。それと、お兄ちゃん。このままだと死んじゃうよ?」

 

そう言って娘は帰って行った。

代わりにアーサーが、シロウの家に上がる。

シロウは助けてもらった事もあって、アーサーの訪問を断らなかった。

 

「さつき、モードレッドは如何した?」

「ランサーと相撃ちになっちゃった」

 

「モードレッドめ……手を抜いたな」

「えー、そうなの?」

 

シロウは菓子を出し、

アーサーは娘と会話を終えた。

するとアーサーはシロウに向き直る。

 

「貴公はバーサーカーのマスターに狙われているようだ。サーヴァントにはサーヴァントでしか対抗できない。貴公さえ良ければ、私が護衛しよう」

「……いえ、止めておきます」

 

シロウは断る。

魔術と関わるくらいならば死んだ方がマシと思っているのか。

それとも、すでに魔術と関わってしまった事を受け入れ、死を受け入れているのか。

 

「貴公は命を惜しいと思わないのか?」

「ある人と約束したんです。魔術とは関わらない、と」

 

「なんと、非情なものだ。魔術と関わるくらいならば死ねと、その者は貴公に命じたのか」

「それは違う! 爺さんは……『普通に生きて欲しい』って俺に言ったんです。だから——」

 

「生きるために魔術と関わらない事と、魔術と関わらないために死ぬ事は、違う。その者は第一に、貴公が生きる事を願っていたのではないか?」

 

アーサーに指摘されて、シロウは苦しんでいる。

悩むのではなく、苦しんでいた。ならば答えは出ているのだろう。

しかし、アーサーの言葉をシロウは肯定できない。自分が生きる事を認められなかった。

 

「貴公の事情も知らぬのに、余計な口を出してしまった。私達は、これで失礼しよう。さつきを匿ってくれた事に感謝する。さつき、行くぞ」

「はい! じゃーね、シロウくん」

 

アーサーと死徒は出て行った。

そうしてシロウの生活に平穏が戻る。

しかし、学校に張られた害意ある結界は解かれていない。

 

『シロウ、御主に言っておく事がある。御主の通う建物には現在、発動すれば内部にいる者を溶かす結界が張られているぞ』

「そうか」

 

シロウの反応は薄い。

次の日シロウは、いつものように学校へ通う。

いつ発動するか分からない結界の中で、いつものように過ごしていた。

 

このシロウも壊れているのぅ。

鋼のように固い意志がある訳ではない。

自分が死んでも良いと、シロウは思っている所があった。

 

そして3日後、学校の結界が発動した。

世界が血のように赤く染まり、シロウも意識不明に陥る。

犯人である間桐兄のライダーと交戦するのは、魔術師の従えるアーチャーだ。

 

そこへ乱入する者がいた。

黒い鎧を着け、目をバイザーで覆い、高密度の魔力を放つアーサーだ。

逃走を試みたライダーに対して、アーサーはエクスカリバーを打っ放した。

 

黒い輝きを放つ斬撃が校舎を割る。

校舎だけに留まらず、市街地にも被害は及んだ。

ライダーと間桐兄は消し飛んだものの、これは後始末が大変そうだ。

 

ライダーが脱落したか。残るサーヴァントは4騎だ。

アーチャー、バーサーカー、キャスター、アサシンとなった。

それにアーサーも含むべきか。あれは汚染された大聖杯の影響を受けているに違いない。

 

アーサーは派手に街を破壊した。

その行為に対して、魔術師は文句を言いたそうだ。

しかし口を閉じて、強過ぎるアーサーの動きを警戒していた。

 

発動した結界の影響で、学校は混乱に陥っている

そんな中アーサーは、シロウを発見すると家へ連れ帰った。

しかしシロウよ、これはマスターと勘違いされるのではないか?

 

「カリバーンを持っていれば何とか出来ただろうに、貴公は強情だな」

 

アーサーは、そう言う。

その夜、妾を持ってシロウは外出した。

ただしシロウの意思ではなく、魔術によってキャスターに操られている。

 

妾が干渉すれば、魔術は解けるだろう。

しかし、シロウの歩みを妾は止められなかった。いいや、止めなかった。

たとえ危険が及ぶと分かっていても、もっとシロウに触れられていたかった。

 

シロウは階段を登り、寺を訪れる。

そこはキャスターの拠点と化していた。敵を迎え撃つ陣地だ。

操られているシロウは妾を、キャスターの手に渡そうとしている。

 

今すぐシロウを正気に戻すべきか?

いいや、ここで戻してもシロウは妾を抜かぬだろう。

チャンスを待つべきだ。どうやらキャスターは何かを待っているらしい。

 

しばらくするとアーサーが、死徒と共に訪れた。

これには驚いた。わざわざシロウを助けるために来たのか?

と思ったら、さっそくアーサーは寺に向かって、エクスカリバーを打っ放した。

 

それによって門番のアサシンは消滅する。

しかし、キャスターの結界によって、黒く輝く斬撃は防がれた。

あと数回エクスカリバーを放たなければ、結界を破壊出来ない事をアーサーは察する。

 

派手な宝具の使用によって、

他のサーヴァントも集まってくるだろう。

アーサーと死徒は結界の破壊を諦め、正面から寺へ侵入した。

 

「まさか本当に来るなんて思わなかったわ。そんなに、これが大事なのかしら?」

 

「カリバーンは私にとって、すでに過去の物だ」

「シロウくんは渡さないよ!」

 

おい、言ってる事が違うではないか。

アーサーと死徒で優先する物が違うのだろう。

アーサーの目的は妾で、死徒の目的はシロウだ。

 

さっそくキャスターは、

魔術を用いて2人の動きを止める。

アーサーの止まった一瞬の隙に、宝具をアーサーに突き刺した。

 

発動すると魔術効果を無効化する宝具だ。

それによってアーサーは、汚染された大聖杯から切り離された。

するとアーサーは苦しみ始め、黒く染まっていた鎧が、白く塗り替えられて行く。

 

「セイバーさん!?」

「逃げてください……さつき!」

 

口調の変わったアーサーが、死徒に剣を振るう。

おそらくキャスターが、アーサーのマスターに改変されたのだろう。

死徒としての身体能力や、アーサーが抵抗している事もあって、回避に成功していた。

 

しかし、キャスターに妨害される。

時を止められたかのように、死徒は動きを止めた。

キャスターの支配下にあるアーサーの剣が、死徒に迫る。

 

「きゃあ!」

 

死徒が悲鳴を上げる。

しかし、首を切り落とされる前に爆音が鳴り響いた。

アーチャーだ。アーチャーの放った矢が、アーサーの目前で爆発した。

 

それに死徒も巻き込まれる。

爆発によって腹部を大きく抉られた。

まあ死徒が、あの程度で死ぬ事はないだろう。

 

乱入したアーチャーとアーサーが戦いを始める。

ふむ、もはやアーサーはセイバーと呼んだ方が良いだろう。

腹部を抉られた死徒に構う者はなく、止めも刺される事なく放置されていた。

 

そこへ、さらにバーサーカーが現れる。

なぜ、これほどサーヴァントが集まって来るのだ?

と思ったものの、セイバーが派手に宝具を打っ放したせいだろう。

 

集合した4騎のサーヴァントは乱戦に陥っている。

今が逃げ時だと察した妾は、キャスターを拒絶する。

するとキャスターの手から妾は落ちて、地面に転がった。

 

妾はシロウに干渉して魔術を解く。

しかし、目覚めたシロウは何が起こっているのか理解できない様子だ。

まずはシロウに妾を拾わせる。キャスターは妾に構っている暇はないだろう。

 

『シロウよ、逃げるぞ。まずは林の中に身を隠すのだ』

 

妾が指示をすると、大人しくシロウは従う。

おそらく、妾の指示に意味も分からず従っているのだろう。

しかし、腹部を抉られて倒れている死徒を発見すると、その方へ向かった。

 

「なんで、こんな事に……!」

 

そう言ってシロウは死徒を背負う。

見た目が少女の死徒を、放って置けなかったのだろう。

そしてサーヴァントの攻撃が飛び交う中を、必死の思いで走り抜けて行く。

 

「シロウくん……ごめんね」

「さつきのせいじゃない……!」

 

死徒が謝っているのは、そういう意味ではない。

足場の悪い山を下るシロウの首筋に、死徒は噛み付いた。

悲鳴を上げたシロウは倒れるものの、死徒は噛み付いたまま離れない。

 

シロウの血液を夢中で吸っている。

それに応じて、大きく抉られた腹部は急速に修復された。

おそらく大怪我を負った事で、吸血衝動を我慢できなくなっているのだろう。

 

『死徒よ、シロウを殺すつもりか?』

「……あっ! いけない! セイバーさんに怒られちゃう」

 

幸い、シロウを殺す前に正気に戻ってくれた。

妾と気絶しているシロウを抱えて、死徒は山を下りる。

一方、サーヴァント同士の乱戦は、キャスターの逃走によって終結していた。

 

残るはサーヴァントは4騎だ。

アーチャー、バーサーカー、キャスター、セイバーとなった。

それから3日間シロウは眠り続け、次に目覚めた時、シロウはグールと化していた。


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