変身を解いた瞬間、襲ってきたのは耐え難い激痛だった。
体が燃えるように熱くなり、眼球が裏返りそうになるほどの痛み。
声にならない叫びが口からもれて、宇佐美は地面を転がり回った。
目から涙ではない赤い液体が噴き出しているのがなんとなくだがわかった。痛みのせいで握っていた拳の指の爪が、皮膚に食い込み、そのまま肉を抉る。おびただしい量の血が溢れる。
関節が砕けてしまうのではないかと錯覚しそうになるくらい痛い。もう死んでいるのではないかと思ってしまうくらい痛い。
口は胃液と血が混ざった泡がぶくぶくと噴き出している。
気絶してしまいたいのに、激痛がそれを阻止する。痛くて痛くて堪らない。
誰かが側に駆け寄ってきた。何を言っているのかはわからないし、あまりよく見えない。ただ、何かを叫んでいた。すぐに青いワイシャツを着た警官二人が駆け寄ってきて、宇佐美の手に手錠をかけようとする。しかし激痛に暴れる宇佐美は二人がかりでも手錠をかけられない。すると警官たちは拳銃を取り出した。そして躊躇することなく宇佐美に撃った。
痛みはもう感じなかった。でも、血液が体内から無くなっていき、体の体温が下がっていくのがわかった。
死んでしまう。こんなところで、死んでしまう。
――嫌だ……
こんなところで死にたくない。
俺は死ぬわけにはいかない。こんなところで、こんなときに。死ぬわけにはいかない。
なんでもいい!! もう俺がどうなってもいい!! だからっ、今は死にたくない!!
そう考えた途端、宇佐美の体が一気に軽くなった。炎に焼かれるような痛みもひいていき、拳銃に撃たれた痛みも不思議と感じなかった。
人間の心臓と、ウルトラマンの心臓と言ってもいいカラータイマー。それが自分の中で一つになっていくのがわかった。今までは隣り合うだけで決して馴染むことがないはずだったそれが、溶け合って、一つになっていく。
宇佐美という一人の人間が、人間ではなくなっていく。
『やめろ! 後戻りできなくなるぞ!!』
モロボシの声が聞こえる。
『君は今ウルトラマンと完全に一つになろうとしている!』
知るかそんなこと。
俺にこの戦いをさせてきたのはどこのどいつだ。メガリュームクラスタ2体を相手に一人で戦わせたのはどこのどいつだ。やるしかない。俺がウルトラマンになるしかない。しょせん今までの仮初めの正義感ではこの先地球を守ることなのてできない。一人で戦うにはこの力が必要なんだ。
『磯崎君も君と同じように力を求めてヒカリと融合した! その結果が今だ。人の闇の部分がウルトラマンの光に負けて、あんな風になってもいいのか!?』
その言葉を聞いた途端、宇佐美ははっとして、全身の力を抜いた。
その直後、またもやあの痛みが襲ってくる。激痛が再び走る。ショックで死んでしまいそうなほど痛かった。
痛くて息ができない。
ああ、ここで死んでしまうのだろうか。
最後に、そんなことを思って、宇佐美の意識は深い海の中に消えていった。
一応これがメガリュームクラスタの絵になります。
【挿絵表示】
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(翼なし。こっちの方が丁寧に描いてあります)
はい。見ての通り機械っぽくないですよねw 謝ります。申し訳ありません。実は作者の実力不足で機械化はできませんでした(遅れた原因の大半がこれです)。だから勝手なことですが、自分はもしもメガリュームクラスタが生物だったらこんな感じだなぁ、というもおのを描きました。どうか機械化は読者様方の脳内でやっていただけるよう、お願いしたいと思います。
本当に申し訳ありません。
※この話はフィクションであり、実在の人物、団体、国家などとは何の関係もありません。そして、もしも誤字などがありましたらご報告をお願いいたします。感想お待ちしています。