ウルトラマンが、降ってきた   作:凱旋門

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 また地味に遅くてすみません。実は先日、第一志望に選択した学校が落ちてしまいましてそれがショックでちょっと小説を書くのに手がつきませんでした。そしてこんな時に言うのも複雑な気持ちなのですが、お気に入りが100件越えました。これからもよろしくお願いします。


三十八話 その決断は正しいのか、間違っているのか

 人間とは、どうしようもなく愚かで、バカで、自分勝手で、いつまでも自分のことで手一杯な、ほかに類を見ない生命体である。

 自分たちをずっと守ってくれていたウルトラマンさえ、人類は自分たちが助かりたい。その一心で星人に引き渡してしまった。人間とは、そういう種族だ。

 だが、仮、仮にだ。愚かでもなく、バカでもなく、自分勝手でもない。そんな生命体は、果たして生きているといえるのだろうか。何に対しても間違うことがなく、バカなことも言えず、自分の本当にやりたいことすらない。そんな人間が、果たして生きているといえるだろうか。

 人はみんな同じではないから、当然、違う答えもでると思う。しかし、自分は、そんなものが知的生命体など、ありえないと思う。人は、理不尽なことで怒り、嘆き、ちょっとしたことで笑い、楽しむからこそ、人間は知的生命体なのだ。バカでアホで間違えて、迷ってばっかりで、腹が減って、人を思いやって、だけどたまに傷つけて、それで落ち込んで、悩む。それが知的生命体(人間)だ。

 そんな人間だからこそ、過去の過ちを反省することができるのだ。

 だから、今が反省し、再び動き出すときである。

 我々は今まで、数多くのウルトラマンの命を奪ってしまった。地球を最後の一瞬まで守ろうとしてくれた勇気あるものたちの命を奪ってしまった。彼らの命はもうかえってっこないし、あの時に戻ることもできない。しかし、それでも我々はやらなければならない。政府として、この内閣としてできる最後のことを、我々が内閣として、国民を守る最善の行動をとらなければならない。

 そこまで考えたとき、彼はようやく思いだした。

 この間国連で取り上げられた人間の養殖場なんてバカにもほどがある。我々は人間だ。それなのに同じ人間を食うやつらのために、なぜこれから生まれる罪なき命をやらなきゃならないんだ。なんでこの世から人権が消えてしまったんだ。性的暴行を受けている子どもがいるのに我々はなぜ今までそれを忘れてしまっていたんだ。

「総理、時間です」

 秘書がそう言ってきた。

 何もかも、国民にすべてを言わなければならない。今のこの状況がどんなにおかしいのか、そのすべてを。

 彼はテレビカメラの前に立った。目の前にはマイクセット。後ろには日本の国旗がある。それは日本の総理として責任をもってこれからそれを話すという決意のあらわれだろうか。

「みなさん、私は内閣総理大臣の篠塚です」

 

『我々日本政府はこの度、国民にお知らせすることがあります。それは我々日本をはじめ、各国が口を閉ざしていたことです』

 その放送は、ありとあらゆる場所で聞かれていた。例えば、そこはとある一家のリビング。一家四人揃ってテレビを見ている。

『今、自衛隊が出動していますが、その目的は、ウルトラマンを倒すためではありません。今これを聞いた人は、私の頭がイカれたと思っているだろうが、私は至って正常であります。我々日本というは、ウルトラマンを支援、また、救助を待つ方々の救助をするために自衛隊を出動させました。しかし、これは決して、悪ではありません。逆に、我々が我々人間であり続けるためにできる唯一の罪滅ぼしであります』

 そこは今回のことで帰る家をなくした人たちの避難所のラジオから。

『我々は……25年前、大きな過ちを起こしました。我々、人類がが助かりたいばかりに、ウルトラマンを敵ということにしました。その結果、事態はどんどん拗れ、何人ものウルトラマンを殺しました』

 多くの人から疑問の声が上がる。

『これは紛れもない事実です。それだけを、お伝えしたく本日は――』

「おじい、なんかテレビですごいことやってるよ」

 そこは先日タコの襲撃を受けた町の山にある和風な家の和室。

 みながみな、ただ困惑するしかなかった。総理が言った情報は多くはないが、だからこそ余計にみょうな現実味がある。日本は今、必死に変わろうとしている。運命から逃れようとしている。最初から敷かれた安全な線路から脱線して、あの日あの時からまだ誰もが歩こうとしなかった新たな路線を日本は作ろうとしている。それが果たして正しいことなのかどうか、また、この道を選んでしまってどうなるのかは、まだ誰にもわからない。




 戦闘描写なくてすみません。入れよう入れようと思ってるのですが、なかなか入れなれなくて。もうしばらくは戦闘描写がないかもしれません。

 ※この話はフィクションであり、実在の人物、団体、国家などとは何の関係もありません。そして、もしも誤字などがありましたらご報告をお願いいたします。また、感想お待ちしています。

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