ウルトラマンが、降ってきた   作:凱旋門

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 やっぱり戦闘描写難しいですね。


十三話 メガリュームクラスタMark II/a surprise attack

 夜の茨城県上空。

 そこにF-15J戦闘機5機が謎の飛行物体に向かって攻撃をしていた。

 たくさんのミサイルがその物体に向かっていく。

 しかしその物体はミサイルをいとも簡単に避け、更に飛行を続ける。

「エルボー1(ワン)よりCCP(中央指揮所)。敵は東京方面に向かって飛行中。また、こちらの攻撃は当たらない。今のところ相手は攻撃してこない。指示を願う」

『CCPよりエルボー1(ワン)。油断するな。敵はいつ攻撃してくるかわからない。細心の注意をはらって引き続き攻撃。決して東京に向かわせるな』

「了解」

 そう言われるや否や、イーグル5機は飛行物体にミサイルを発射する。

 しかし結果は同じで、飛行物体に当たることはない。すべてかわされてしまうのだ。飛行スピードは遅いくせに回避スピードだけはとてつもなく速い。

「イーグル全機に告げる。敵を落とせ」

 男……真木舜一はそう言った。

 落とせ、普段はそんなことを言わないはずなのに、今日はなぜだか言ってしまった。おそらく自分は怪獣とか、そういった存在に憎しみをもっているのだ。

 息子はまだ見つかっていない。

 ありったけの憎しみを込めてまたミサイルを発射する。

 少し気分が楽になったのは一瞬で、また憎しみが湧いてくる。自分はなんとしてもこの怪獣を倒さなければならないのだ。息子のような犠牲をもうださないように。他の誰にも自分のような思いをさせないように。

 思い出されるのは息子を純粋な笑顔。昔から病弱で、しょっちゅう病気になっていた。しかし妻は俺を心配させまいと、いつも俺に黙って一人ですべて解決してきた。そんな息子の夢は俺と同じイーグルドライバーになることだった。病弱だからイーグルドライバーになれないことはわかっている。しかし……しかし、それが息子の夢だった。息子は夢どころか、まだ社会にでる前に死んでしまった。

 正確に言えばまだ息子が生きている可能性がある。しかしもはや絶望的だろう。

 息子が巻き込まれたと知った時、息子の将来のイメージが一気に崩れ去った。小学校の入学式。中学校の入学式。反抗期。高校の入学式。成人式。結婚式。そして自分の最後をみとる息子……葬式。

 それが崩れ去った。

 息子が絶望的だとわかったときは泣いた。泣いたのは中学生の時に同級生に殴られた時以来だった。わんわん、だらしなく泣いた。生きた心地がしなかった。熱が出たかのように体中が熱かった。でも寒かった。体は熱いのにまるで猛吹雪の中にいるかのように寒く感じられた。だが、それも1日で終わり、次に出てきたのは使命感だった。息子のような犠牲を出さないためにこの命をもって戦う。それが自衛官である自分のあるべき姿なのだ。

 しかし次の言葉が来ることで、真木の攻撃は中断される。

『CCPよりエルボー編隊。攻撃中止せよ。繰り返す。攻撃を中止せよ』

「……確認します。攻撃を中止するのですか?」

 真木は、あり得ない、というふうに言う。

『その通りだ。攻撃を中止せよ』

「どういうことですか?」

『あのお方たちからの命令だ。あれはあのお方たちの兵器であり、それを傷つけることは許されない。全機基地へ帰投せよ』

「……ラジャー。攻撃中止する。これよりRTB(帰投)

 F-15J、5機は反転すると、まっすぐ百合基地へと戻って行った。

 

 真木は基地に帰投するや否や、すぐに上官のもとへと向かった。

「攻撃中止とはいったいどういうことですか」

「あのお方たちの命令だ。なんでも実験段階に入った兵器が突如暴走したらしい」

「暴走!? それならなおさら危険じゃないのかッ!! あれは東京に向かってるんだぞ!!」

「落ち着け。何もまだ東京に向かっていると決まった訳ではない。太平洋にでるのかもしれない。憶測だけでの判断はよしたまえ」

「憶測? 最悪の想定をしないでどうするんだ! 最悪大勢の人が死ぬぞ! 避難勧告は? 東京都一帯に避難勧告は出したのか?」

「そんなこと俺の権限でできる訳ないし、政府がそんなことをする訳がない。奴が東京に着くまでの予想時間は後10分。それで今さら避難勧告を出したところでパニックが起こるだけだ」

「ならすぐに出動命令を出せッ!!」

「おい、俺は上官だぞ。口を慎め。それにもうすぐ出動命令は出るさ」

 その言葉の意味がわかるのは、もう少し後になってからだった。

 

 そして10分後の東京。

 不運にもこの千代田区は、二度目の被害に合うことになる。

 それは、千代田区のまだ崩壊していない部分に降り立った。夜だったし、バードンの一件から田舎に引っ越した人たちもいて、少し悲鳴とか、そういった類いのものはまだマシだった。

 一見するとそれは、宇佐美が初めて戦ったメガリュームクラスタ。しかし、よく見てみると、所々違う部分がある。なによりも全体的に攻撃的な雰囲気が強くなったような気がする。

 当然、まだ捜索をしていて、政府から何の連絡も来ていない陸上自衛隊員たちは驚いた様子でそれを見た。

 その様子を、宇佐美は警視庁の中から見ていた。

 崩壊したとはいえ、千代田区にはまだまだ警察の監視カメラが山ほどある。

 寝巻き姿のまま逃げる住人。すぐに状況を理解して避難誘導をする自衛官。

「宇佐美巡査」

 五分刈りの男がそう言ってこちらを見る。

 宇佐美は黙って頷いた後、左腕にメビウスブレスを出現させ、メビウスに変身する。

 そしてメビウスは橙色の光と共に千代田区へと降り立った。

「……セヤッ!」

 メビウスはメガリュームクラスタ……メガリュームクラスタMark IIへ向かって構える。

 それから感じられる殺気は以前のメガリュームクラスタよりもずっと強い。まるで以前のメガリュームクラスタが赤子のようだ。

「――――――――ッ!!!!」

 機械的な咆哮をあげるメガリュームクラスタMark II。それがバトルスタートの合図だった。

 二つの巨体がそれぞれ走る。

「ヘァッ!」

 メビウスはジャンプキックくらわせる。

 メガリュームクラスタMark IIはそれを受けて少し後退するが、倒れるまでには至らない。

「――ッ!?」

 ジャンプキックをした後その反動で、ほんの一瞬その場にしゃがみこんだメビウスに向かってチャージなしで破壊光線を放つ。メビウスはその場で横に前転をして、寸前でそれをかわしたが、直撃したビルは、そのまま木っ端微塵となった。

 以前よりも明らかに強化されていた。

 しかし驚いている余裕などメビウスにはない。すぐに立ち上がり、左腕のメビウスブレスから光の剣、メビュームブレードを出す。

「ハァッ!」

 メビウスは躊躇わずにそれをメガリュームクラスタMark IIに降りおろす。

 以前までのメガリュームクラスタなら、完全回復したといっても過言ではないメビウスの攻撃でおそらく真っ二つになっていたはずであろう。しかし、次に聞こえた音は最悪だった。

――ガキンッ!!

 それは、星斬丸すら切ったメビュームブレードがいとも容易く折れた音だった。

 何も固そうな部分に攻撃をしたわけではない。普通にメガリュームクラスタMark IIの左肩から右に斜めに斬るようにして降りおろしただけだ。たったそれだけで折れてしまった。

 と、それに驚いて気を抜いた一瞬、メガリュームクラスタMark IIの攻撃がメビウスを襲う。

 引っ掻くようにメビウスを何度も攻撃してくる。

 それが早すぎて、メビウスは後退するばかりで反撃する間がない。しかも一撃一撃がとてつもなく強い。そして、メガリュームクラスタMark IIはメビウスの腹に一撃の強いパンチをくらわせた。

 メビウスは地面の滑るように後退し、ド派手にビルに衝突。ビルにめり込んだ。

「――――――!!」

 メガリュームクラスタMark IIが咆哮をあげ、その両肩についている二つキャノン砲が火を吹く。

 動けないメビウスに容赦なく、何発も命中し、その威力が強すぎてビルすらも破壊していく。そして、最後にはトドメと言わんばかりの破壊光線がメビウスに命中した。

 ビルすら破壊し、メビウスは吹っ飛び、バードン戦で破壊されたエリアに来てようやく地面に背中から落ちる。その衝撃で地面が少しへこむ。

 メビウスは苦しそうな声を出しながらもなんとか立ち上がる。そのカラータイマーの色は赤で、既に点滅を始めている。

 正直な話、勝てる気がしない。

「……セヤッ!!」

 それでもメビウスは再び構える。

 その時だった。

――ドゴォン!!

 まるで不意討ちをするかのように後ろからF-15Jが接近。ミサイルをメビウスに放ったのは。そしてメビウスの超人的な視力がたった一瞬の間に確認したそのパイロットは、いつかこの千代田区で見かけた真木とかいう航空自衛隊員だった。




 別に自分は千代田区が嫌いなわけではありません。本当ですよ?
 後、真木さんが出ているからということでネクストに機体している人に言いますが、ネクストは出ません。ネクストは、ね。
 まぁもともとこの章の前半部分はあれがXに出ると知って書いたようなものなので、簡単に言ってしまえば番外編みたいなものなんですよね。
 それでは、また次更新するときまで。

 ※この話はフィクションであり、実在の人物、団体、国家などとは何の関係もありません。そして、もしも誤字などがありましたらご報告をお願いいたします(後、感想をもらえたら執筆意欲アップにつながります。たくさんの感想をお待ちしています)。

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