待っていた方には大変お待たせいましました。
五十八撃目、どうぞ!!
「うぉー、はえぇーなー」
魔理沙が操縦している箒にまたがりながらサイタマは言った。
「だろ? 私の自慢の箒なんだぜ?」
「すげぇーな。俺って跳ぶことはできるんだが飛ぶことはできないんだよ」
「跳ぶっつってもすげぇ跳ぶんだろ?」
「町を端から端まで移動するするぐれぇには」
「町ってのがよくわかんねぇが規格外だということは分かった。『言葉』じゃなくて『心』で理解できたぜ」
「そうか」
「まりさはや~い!」
「すごーい!!」
そんな会話をしている魔理沙とサイタマの隣には同じく高速で飛んでいるフランとこいしがいた。ちなみにフランはこいしを抱きかかえて飛んでいる。吸血鬼は怪力なのでこれくらいのことは造作でもないのだ。
さらに空は曇りで傘を差さなくてもいいのがフランの高速飛行に拍車をかけていた。
「みなさんまってくださ~い・・・」
そしてその後ろを鈴仙は少し遅れてついてきていた。
「おねーさんはやくー!!」
「これが私の精一杯なんですよぉおおおおおお!!!!!!!」
幻想郷の空に鈴仙の叫びがこだました。
~しばらくして~
「着いたぜ」
魔理沙がふわっとスピードを緩めながら地面に着地(?)する。ちなみにフランとこいしは木々の中に突っ込んでスピードを無理やり殺したので葉っぱまみれになっている。
「ここが命蓮寺か・・・」
「おっきぃねー」
「すごーい!」
「ぜぇ・・・ぜぇ・・・」
四人はそれぞれの反応をする。約一名疲れて反応どころではないがここではそこまで重要ではないので流しておくことにしよう。
「おい、葉っぱついてんぞ」
サイタマはそう言うとフランとこいしについたはっぱをぱっぱと払いのけた。
「きゃーくすぐったーい♪」
「きゃー♪」
「・・・」
二人のはしゃぐ声を聴くとサイタマはやれやれという表情で息をついた。どことなくまんざらでもなさそうな表情だった。
「あれ? お客さんですかー?」
すると緑色の髪のした女の子がぱたぱたとやってきた。
「「こんにちわー!」」
フランとこいしが挨拶するとその女の子もニコニコしながら口を開いた。
「こんにちわぁーーーーーー!!!!」
すさまじく大きな声に至近距離でくらったフランとこいしはその場にうずくまってしまい、さらに人一倍耳がいい鈴仙は耳を抑えながらゴロゴロと転がった。そして魔理沙は事前に知っていたため、耳を抑えていたが防ぎきれなかったのか少し苦痛に顔をゆがめていた。
「あぁーーーーーーーー!!!! 耳がぁ!! 耳がぁあああああああ!!!!」
「キーンってするぅ~・・・」
「ふぁぁああああ~~・・・・」
そしてサイタマはすこしびくっとなったが何事もなかったかのように彼女に近づいた。
「さ、サイタマさん!! あの子に近づいちゃあだめだぁああ!!! 耳をつぶされるぞぉおおおお!!」
ものすごく苦しそうな表情をしながら鈴仙は叫んだ。
「なぁなぁ、ここが命蓮寺で会ってるんだよな?」
「ハイ! あってますよ!」
その光景を見て魔理沙は改めて「あいつ人間じゃねぇ」と思った。
続く
鈴仙はスピードワゴンみたいな役回りをイメージしています。