「すまねぇな。まさか毛布まで貸してくれてよ」
そう言いながらハゲの頭を持つ男、サイタマは言う。
「こっちこそすまねぇな。ベッドが一つしかないからねるとこ用意できねぇんだわ」
魔理沙は頭をポリポリかきながら苦笑いした。
「いえ、いいんですよ。寝ることができたらそれ以上のことはありません。それにみてください、あれ」
「ん?」
「「わ~いふっかふっか~♪」」
鈴仙が指さした先には毛布に飛びついて満面の笑みをこぼすフランとこいしの姿があった。
「あの子たち、幸せそうじゃないですか」
「・・・そうだな。・・・ヘッ、恨まれたり厄介に思われたことはあっても感謝されることはほとんどねぇからな、私って」///
「わかるぜ、その気持ち」
「そうか?お前は皆から感謝されてそうだが」
するとサイタマは少し顔をしかめた。
「・・・まぁ、俺にも少なからず悪評とかはあるわけなんだわ。だけどな?」
「だけど?」
「そんなことは俺は気にしねぇんだ。俺は俺、悪評言ってるやつは悪評言ってるやつ。それで終わりなんだ」
「そうなのか」
「それにお前」
「?」
「何したかは知らねぇけど、お前は自分が正しいと思ったことをやってるわけだろ?」
「まぁな」
「やった結果がアレですか?」
「うるせぇ」
魔理沙は突っ込みながら鈴仙の頭をはたいた。
「まぁ、話を聞け。俺が思うに自分が正しいと思ってやった行動が結果としていい方向に向くんだったら別に好きにして構わねぇんだと思うんだよ。誰かに指図されて動くのは嫌だろ?」
「まぁな、私はそう言うのが大嫌いなんだぜ」
「そうだろ?だったら自分の好きに行動したらいいんだよ。あ、だけどハメは外すなよ?」
「わぁってるわぁってる皆まで言うな。じゃあお休み」
「お休み」「「オヤスミー」」「おやすみなさい」
そう言いながら5人は毛布の中に潜った。
(・・・あ、そういやジェノスどうしてるかな?)
サイタマは意識が落ちつつそんなことをふと思った。
~次の日~
「「「「「ん~~」」」」」
5人は朝日を浴びながら背伸びをしていた。
吹雪はやんでいたが、やはり冬だ。寒さが肌に突き刺さるが5人にはそれが目覚めるためのいいスパイスになった。
「「さむい~~」」
「寒いですね、サイタマさん」
「まぁな。だがいい目覚めだと思う」
「私もサイタマに同意だぜ。で?朝食はトーストだが、いるか?」
「ああ」
「朝食は一日の始まりのスイッチですからね。いただきますよ」
「「いただきま~~す」」
5人はトーストを食べ始めた。
「ところでさ」
「ん?」
「これ食べ終わったら命蓮寺行くのか?」
「ああ、そうだが」
「だったら送ってやってもいいぜ」
「マジで?」
「マジでマジで」
「珍しいですね、あなたが急にそんなこと言うなんて」
「まぁな、今回は特別ってやつだ」
「お、つまり俺ってラッキー?」
「ああ、大吉なみにラッキーだぜ?」
「よっしゃ」
サイタマはガッツポーズする。
「そこ喜ぶところなんですかね?」
「喜べるところは喜ぶべきだと思うぜ?鈴仙」
「魔理沙さんってホント思考回路が単純ですよね」
「お褒めの言葉どうもだぜ」
「一切ほめてないんですがそれは」
そんなことを言いながら朝食をとった5人は外に出る。
「地図もってるか?地図」
「おう、これだよな」
「ああ、ソレソレ。けーねからもらったろ?」
「よくわかったな」
「まぁな。で、命蓮寺はここ、私たちはここだぜ」
「おう、すごくわかりやすいな」
「だろ?で、乗れ」
魔理沙は箒にまたがるとサイタマに自分の後ろを指さした。
「は?」
「お前、飛べねぇだろ。乗れ」
「いや、だが・・・」
「サイタマさん、船には乗れるときに乗ったほうがいいですよ」
「・・・そうだな。じゃあ、ありがたく乗らせてもらおうか」
「最初からそう言えばいいんだぜ」
続く