一撃男が幻想入り   作:海棠

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五十六撃目

「え?お前命蓮寺行きたかったの?」

 

魔理沙が尋ねた。

 

「ああ。地図を見てな。そこに行きたいと思ったんだ」

 

そう言いながらサイタマは地図を開ける。

 

「・・・意外と距離あるな」

 

「この吹雪待ってたら次の日になっちまうぜ?」

 

「さすがにそれは避けたいな」

 

サイタマは少しうなる。そして何かを思いついたような顔をしてつぶやいた。

 

「・・・アレ使おうかな・・・。でも、アレはなぁ・・・」

 

「なんだ?何か方法があるのか?」

 

「一応あるっちゃああるんだが・・・、あの時と今じゃ状況が全く持って違うからな・・・」

 

「へ?そうなんですか?」

 

 

「そうなんだよ。あの時は大きな宇宙船だったけど、今は地上だもんなぁ」

 

 

「「「・・・んん?」」」

 

鈴仙、魔理沙、そしてアリスは信じられないようなことを聞いたような顔をした。

 

「ん?どした?」

 

「いや、さっき信じられない言葉が出たような気がしたんでな・・・」

 

「ああ。宇宙船のことか?」

 

「あちゃ~、気のせいじゃなかったかぁ~・・・。」

 

魔理沙はそう言いながら頭をガシガシとかく。

 

「で、どうなったんです?」

 

「え?何が?」

 

「その宇宙船ですよ」

 

「首謀者的なやつ倒したら墜落した」

 

「倒しちゃったんですね・・・(汗」

 

「ああ。」

 

「それを平然と言えるこいつの精神ですよね。少し本気で解剖してみたいんですけど」

 

「鈴仙。それ、お前が言うと全くもって冗談に聞こえないぜ」

 

「冗談ですよ」

 

「だからお前が言うとシャレにならんつぅの」

 

「ところで、話を戻すけど手段があるのよね?」

 

アリスが脱線した話題を無理やり直すようにサイタマに話題を振る。

 

「ああ」

 

「どんな方法?」

 

「必殺“マジ”シリーズの一つ『マジ殴り』ってやつなんだが・・・、これやると余波がすげぇんだわ」

 

「・・・どれくらい?」

 

「拳圧で周りの雲が消し飛ぶくらい」

 

「・・・すごすぎじゃね?」

 

「だからだ。俺がためらったのは」

 

そう言いながらサイタマはシチューを食べ始める。

 

少し冷めていたがおいしいことには変わりない。

 

というよりちょうど食べやすい温度になっていた。

 

「うまいな、これ」

 

「だろ?なんたって私の得意料理だからな」

 

魔理沙はエッヘンと威張る。

 

「というよりこれしか作れないだけよね?」

 

「うっさいやい」

 

アリスの鋭いツッコミに魔理沙はアリスの肩をバシバシたたきながら返す。

 

「・・・やっぱ吹雪が収まるまで待つか」

 

「そうしたほうが賢明だぜ。レティの怒りを買いたくないんだったらな」

 

「誰だ?それ」

 

「冬をつかさどる妖怪、つぅか神様に近いのか?吹雪おこせんだよ」

 

「へぇ、そうなのか」

 

そう言いながらサイタマはシチューを食べる手を止めなかった。

 

 

 

続く


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