一撃男が幻想入り   作:海棠

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紅魔館の過去話です。

シリアス注意です。

皆さまにとって不快な表現が入っているかもしれません。



それでもいいですか?

→はい  いいえ




本当にいいんですか?

→はい  いいえ




後悔しませんか?

→はい  いいえ





自 己 責 任 で す よ ?

→それでも見る  やっぱりやめておこう




それでは、どうぞ↓








・・・いつもの雰囲気を求めている人にはごめんなさい


四十二撃目-フランドール・スカーレットは何故、ああなってしまったのか②/Memory-

皆さん、こんにちわ。今回語り手の紅美鈴です。

前回はフラン様がなぜああいう風に幼児退行を起こしてしまったのかについて私だけが知っていることになっていました。

 

 

 

 

実際覚えているのは私だけです。

 

 

 

 

ほかの皆様は、自らその記憶を消してしまったことに気づいていないのですから。

 

というより覚えていないのですから。

 

それをなぜ今更思い出そうとするんでしょうか。

 

思い出したってつらいだけなのに。

 

何故でしょうか。

 

 

 

・・・話がそれましたね、すいません。

 

・・・では、話しましょうか。

 

 

 

 

何故、フラン様、もといフランドール・スカーレットはああなってしまったのか。

 

 

 

 

・・・・・

 

 

・・・あれはとても暑い夏の炎天下での話でした。

とても暑い日でした。

どれくらい暑いかというと、氷水はすぐに溶けてぬるい水になり、チルノは消えかかりそうになっていて、カッコつけて黒い服を着ていたレミリアお嬢様は今にも死にそうな顔をしていましたね。あと、パチュリー様は自身の魔法で疑似クーラーをしていました。うらやましい限りです。

・・・まあ、私も気を使って心頭滅却していたりしていましたが…。

 

 

 

 

そして悲劇はそこで起こりました。

 

 

 

 

あの時の光景は鮮明に覚えています。

 

フラン様が太陽を見てしまってあまりのまぶしさに気を失い、湖に落ちてしまったのです。

 

あの時のお嬢様はすごく取り乱していました。

あの光景を鮮明に覚えています。あの叫び声も、あの光景も。私の瞼の裏、耳の奥にこびりついているのです。この感触、感覚も、においも、すべて体にこびりついて離れないのです。

 

 

 

 

『ああ!フラン!フラン!』

 

『お嬢様!ダメです!今出たらお嬢様も二の舞ですよ?!!』

 

『でも!フランが!フランが!』

 

『私に任せてください!!』

 

 

 

 

あの時、フラン様はぎりぎり一命をとりとめていました。

しかし、もう少しでも遅れていたら死んでいただろう、とパチュリー様は言っていました。

・・・一応、彼女も上級妖怪です。

再生能力は並大抵の妖怪よりもあります。

しかし、吸血鬼の弱点である太陽をじかに浴びてしまったら普通に後に響きます。

フラン様は心に影響が出ました。

 

 

 

今まで培ってきた記憶がすべてほとんど失われたのです。

 

 

 

・・・というより、それが起因で頭がおかしくなった、といったほうが正しいのかもしれません。

 

 

 

あの時の衝撃は今でも鮮明に覚えています。

 

 

『あのね~、じぶんね~、ふらんど~るすか~れっとぉ~』

 

 

『め~り~ん、あそんで~』

 

 

『ぱちゅり~、えほんよんで~~』

 

 

『こあくま~~、かたぐるま~~』

 

 

 

 

『おねーさま~~、あそんでよ~~』

 

 

 

 

・・・目を見張りましたね。もう、なんていうんですかね。もう辛いというか可哀想というか、もう言葉で表現するにはどうすればいいのかわからなかったんですよね。

 

しかし、その時にした会話がさらに彼女を後退させてしまったのかもしれません。

 

 

『ねえねえ、めーりん』

 

『なんですか?』

 

『ふらんね~、おおきくなったらね~、ひとをえがおにしたいの~~』

 

『どうしてです?』

 

『おねーさまね~、さいきんつらそうなかおしてるの~・・・。だからえがおにしたいな~~って』

 

『・・・』

 

 

私は幼児退行してしまったフラン様が持つ夢を、

 

 

 

 

『素敵な夢ですね』

 

 

 

 

認めてしまった。

 

ここでフラン様の時間は再出発してしまったのです。

 

それから何年がたっただろうか。

 

フラン様は少し成長したように思える。

 

しかし、本当に成長しているのだろうか。

 

私にもわかりません。

 

ですが、これだけは言えます。

 

 

 

彼女はどんな姿でも『フランドール・スカーレット』である、と。

 

 

 

私にはそうとしか言いようがありません。

 

彼女の時間を再出発させてしまったのは私です。

 

そしてそのまま彼女の中でうまく歯車は回り続けているのです。

 

そこを掘り下げる必要はないと思います。

 

 

 

では、何故私を除く皆さまがフラン様が幼児退行を起こした原因を忘れてしまったのか。

 

理由は単純です。

 

 

 

私以外の皆さんは記憶改ざんをしたからです。

 

 

 

レミリアお嬢様は記憶改ざんする前に言いました。

 

 

『あなただけは、覚えていなさい』

 

 

・・・お嬢様、私はその約束を守りました。

 

今度はあなたが、それを破るというのですか。

 

その禁忌に足を踏み込んでしまうというのですか。

 

今のところうまく回り続けているフラン様の歯車を、

 

狂わせてしまう可能性だってあるというのに。

 

これだったら、あの時に真実を伝えればよかった。

 

 

後悔先に立たず。

 

 

私はその場にうずくまって床にこぶしをたたき下ろしました。

 

助けてください、サイタマさん。

 

あの子を、

 

助けてあげてください。

 

 

 

続く




弩級シリアスぶち込んでみました。

かなり自分もこたえましたが、満足な出来です。

それではまた次回もお楽しみに。

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