三十二撃目-萃香/One of Big Four-
「ところで」
とレミリアがサイタマに話しかける。
「?」
「あなた、博麗神社に何かした?霊夢曰く半壊中らしいけど」
サイタマは思考を張り巡らせる。
(そもそも博麗神社ってなんだ?いや、それは思い出せる。確か紫色の服を着た胡散臭いやつにこの世界へ飛ばされた場所だ。そういえばそこを調査してほしいと俺は頼まれてたんだっけ?まあ、そのことはどうでもいい。ただ、今は俺がどこでその神社を半壊させたかになる…)
この時、彼は一つの仮説にたどり着いた。
「・・・もしかして」
「心当たりあるの?」
「俺とフランが遊んでいた時に巻き込んでやっちまったかも」
するとレミリアはあちゃーという顔をした。
「それやばいよ?」
「まじで?」
「うん、マジでやばい。しかも今のその神社の持ち主はすごく気が立ってるから事情を言った瞬間有無を言わさずに殺されるかもしれないわよ?」
「まじかぁ」
サイタマはどうしようかな、行こうかなぁ。と思った。
さすがに半壊させたままにするのは気が引けるし何より自分も過去に家を壊されたことがあるので気持ちがわかるのだ。謝らないわけにはいかない。
サイタマは少しばかり考えた後、すぐに移動を開始した。
「サイタマさん、どこ行くんです?」
「え?博麗神社ってとこに行くんだけど」
「「え?」」
「え?」
鈴仙にこいしは目を見開く。フランは不思議そうな顔をしていた。
「やめときましょうよ!殺されますよ?!」
「やめとこ?!やられちゃうよ?きょうあくようかいに、はんていされちゃうよ?!」
「いや、でも、謝らないのは気が引けるし」
「礼儀正しいとかそういう問題じゃない気がするのはなぜなんでしょうかね?!」
「よし、いくぞ」
「待ってェええええええ!!!!!!!せめてもうちょっと考えてェええええええ!!!!!今ならまだやり直せるからぁ!今ならまだやり直せるからぁあああああ!!!!」
心から叫ぶ鈴仙をよそにしてサイタマは博麗神社(半壊中)へと向かった。
三人はサイタマについて行った。
~☆~
「で、ここが博麗神社?」
「はい、そうですお・・・」
そこには半壊した神社があった。痛々しくてさすがのサイタマも罪悪感が湧いてくる。
その時、声がした。
「おい、あんたらなにもんだい?というよりそこの男はなにもんだい?」
四人は声がしたほうを向くとそこには角を二本はやしたチビがいた。
「あれ、誰?」
サイタマはそのチビを指さしながら鈴仙に聞く。
「あれは伊吹萃香です。星熊さんと同じく『鬼』です」
「ふぅん、鬼、ねぇ……」
サイタマは前に進む。萃香も歩んでくる。
「おや、あんた、新聞で一時期有名になった外来人かい?」
「え?そうなの?」
「自覚ないんだねぇ・・・」
「そういうの気にしないし」
やれやれという顔をしながら萃香は肩をすくめ、首を振る。
「ところで、何か用があるのかい?この博麗神社に」
「ああ、謝ろうと思って」
「?」
「この神社半壊させたの俺かもしれないし」
「ほう、それで謝りに来たと。それはご苦労だったね」
「俺も一回家壊されたことあるからさ、壊された人の気持ちはわかるんだよ」
「アンタも苦労してんだねぇ」
「まぁな」
続く