「すまない」
依姫は目を真っ赤にして泣いた後、すぐに冷静さを取り戻した。
「別に気にしてねぇよ。生きてんだったら泣くのは別に普通だろ」
「久しぶりだぞ、こんなに泣いたのは」
「おうおう、泣け泣け。泣きたいときに泣け。そうしないと泣くべきところで泣けないからな」
サイタマは二カッとして笑った。
「そ、そうか」
依姫は少し顔を赤くして言った。
「・・・だったらさ、自分よりも上の相手でも探したらどうだ?」
「え・・・?」
「旅に出たらどうだ?いろいろと探してさ。自分よりも格上のやつと勝負してみたらどうだ?強くなれると思うぞ?」
「・・・」
「あと、あんな大層なものは使わずに勝負する、とかな?」
「お前は、そうだったのか?」
「俺?俺は戦うとき、昔から素手だったよ。今でも変わんねぇよ。殴るほうが分かりやすくて明快だろ?それに手加減しやすいし」
「・・・お前、周りから変わってるって言われないか?」
「ん~、言われたことあったかな~?俺そんなの気にしないから覚えてねーや」
そこが変わってるんだ、と依姫は思った。
「ところで、帰りはどうするんだ?」
「え?飛んで帰るけど?」
「「「「は?」」」」
全員が声を上げた。
「だから、ジャンプして戻るって」
「正気ですか?!!」
「正気も何も、一回やったし」
「まじかぁ・・・」
サイタマはロケットに鈴仙とフラン、そしてこいしを乗せる。
『サイタマさ~ん、ここからどうする気ですか~?』
「ん?こうする」
サイタマはそのロケットを片手でぶん投げた。
『『『ウワァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア』』』
サイタマはそれを見届けると依姫に言った。
「またどこかで会えたらいいな」
「ああ・・・!」
サイタマはそういうと思い切りジャンプした。
依姫は見上げて言った。
「また会おう、ヒーローよ」
~しばらくして~
「死ぬかと思った・・・」
げっそりと鈴仙が言った。
「スマンスマン」
とサイタマはころころと笑いながら言った。
「笑い話じゃないです!」
「おじさん、すごかったよ~」
「おにいさん、かいりきなんだねぇ~」
「それよりも・・・」
サイタマは紅魔館があった場所を見る。
レミリアが絶望したような顔をしてそこにたっていた。
「いや、その、悪気はなかったんだよ。ただフランたちをすぐに帰らしてやろうと思って」
「・・・」
「いや・・・、その・・・、すまん」
「あんたって・・・」
レミリアが口を開いた。
「ん?」
「あんたって・・・いったい何者なの?いや、割とマジで」
「俺?趣味でヒーローをやっている人間だ。」
「でもね?あんたは規格外よ、それはわかるわ?でもね?ロケットを片手でぶん投げたっておかしくない?それにあの依姫によ?終始有利で立っていたっておかしくない?」
「そうか?」
「そうだよ」
レミリアは困惑しきった顔で言った。
「あんたって本当に人間なの・・・?」
「ああ」
その時、フランがサイタマの腕にしがみつく。
「おじさ~ん、どっか行こうよ~」
「おう、わかった」
そういってサイタマは地図を開ける。
「どこいくの~?」
こいしがのぞき込んでくる。
「どこ行こうか・・・」
続く
次回はどこを目指しましょうか
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