「泣き止んだか?」
「ええ、お見苦しいところを見せてすみません」
「別にいいって、気にしなくても」
サイタマは少し笑って言う。
「ところでさ、なんか面白い場所とかねぇの?」
「と言いますと?」
「なんかスリルがある、とか見てて楽しい、とか」
「ああ、それだったらあなたと話させたい人がいるんですよ」
「え?俺と話させたい?」
「はい」
「俺と話してもあんま得しないと思うけどな」
「いや、得しますよ?」
「するかぁ?」
「しますよ」
「そうかな・・・」
「ついてきてください」
サイタマはさとりの後ろを歩いていく。
途中でサイタマは何かに気づいたように立ち止まった。
「どうしたんですか?」
「いや、さっき何かいたような…」
「・・・?」
「気のせいか・・・?」
再び歩を進める二人。
「・・・」
再びサイタマが立ち止まる。
「また・・・?」
「ああ、なんかみられてる気がするんだよ。どっからかわかんないけど」
「もしかしたらあの子かもね」
「へ?」
「私も妹のことよ。無意識を操れるの。だから存在感を出したり消したりできるの」
「それ結構すごくないか?」
「何故そう思う?」
「だってさ、無意識を操るってそれって意識的にやるのか?それも無意識なのか?」
「さあ」
「もしも無意識を意識的に操れるんだったらすごいことだぜ?脅かすのに役立ちそうだし」
そっちか、とさとりは思った。
ホントこの人はどこかずれてるんだな、とも思った。
「で、その妹さんはどこにいんだ?」
「え?たぶんいませんよ」
「もしかしたらいるかもしれないだろ」
「あの子外出してぶらぶらしていることが多いので……」
「行動パターンとかわかんねぇの?」
「わかったら苦労しませんよ」ハァ
「なんかすまねぇな」
「いいですよ、気にしてませんし」
「そうか」
「つきましたよ、ここにその人物はいます」
「え?」
「ほらあそこ」
さとりが指さした先に緑の目をした女がいた。
「あれ?いかにもやばそうな雰囲気してるけど」
「いつも通りですね」
「あれがいつも通りっておかしいだろ」
「ほら、話してきてください」
「お、おう」(なんだ、あの人。面白そう)
そういいながらサイタマはすたすたと歩いていく。
「おい、そこのアンタ」
「・・・誰よ」
「俺の名はサイタマ。趣味でプロヒーローをやっているものだ」
「・・・ああ、新聞に載っていた外来人ね。新聞に載るなんて、妬ましいわ」
「?」
「その態度も妬ましいわ」
「??」
「そのとぼけた感じがさらに妬ましいわ」
「???」
「・・・なんか、面倒になってきそうだわ。妬ましいわね」
「????」
「・・・あー、もー、いいわ。面倒くさくなってきたわ」
「あ、そう・・・」
続く