一撃男が幻想入り   作:海棠

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二十三撃目-橋姫/Jealousy-

「泣き止んだか?」

「ええ、お見苦しいところを見せてすみません」

「別にいいって、気にしなくても」

サイタマは少し笑って言う。

「ところでさ、なんか面白い場所とかねぇの?」

「と言いますと?」

「なんかスリルがある、とか見てて楽しい、とか」

「ああ、それだったらあなたと話させたい人がいるんですよ」

「え?俺と話させたい?」

「はい」

「俺と話してもあんま得しないと思うけどな」

「いや、得しますよ?」

「するかぁ?」

「しますよ」

「そうかな・・・」

「ついてきてください」

サイタマはさとりの後ろを歩いていく。

途中でサイタマは何かに気づいたように立ち止まった。

「どうしたんですか?」

「いや、さっき何かいたような…」

「・・・?」

「気のせいか・・・?」

再び歩を進める二人。

「・・・」

再びサイタマが立ち止まる。

「また・・・?」

「ああ、なんかみられてる気がするんだよ。どっからかわかんないけど」

「もしかしたらあの子かもね」

「へ?」

「私も妹のことよ。無意識を操れるの。だから存在感を出したり消したりできるの」

「それ結構すごくないか?」

「何故そう思う?」

「だってさ、無意識を操るってそれって意識的にやるのか?それも無意識なのか?」

「さあ」

「もしも無意識を意識的に操れるんだったらすごいことだぜ?脅かすのに役立ちそうだし」

そっちか、とさとりは思った。

ホントこの人はどこかずれてるんだな、とも思った。

「で、その妹さんはどこにいんだ?」

「え?たぶんいませんよ」

「もしかしたらいるかもしれないだろ」

「あの子外出してぶらぶらしていることが多いので……」

「行動パターンとかわかんねぇの?」

「わかったら苦労しませんよ」ハァ

「なんかすまねぇな」

「いいですよ、気にしてませんし」

「そうか」

「つきましたよ、ここにその人物はいます」

「え?」

「ほらあそこ」

さとりが指さした先に緑の目をした女がいた。

「あれ?いかにもやばそうな雰囲気してるけど」

「いつも通りですね」

「あれがいつも通りっておかしいだろ」

「ほら、話してきてください」

「お、おう」(なんだ、あの人。面白そう)

そういいながらサイタマはすたすたと歩いていく。

「おい、そこのアンタ」

「・・・誰よ」

「俺の名はサイタマ。趣味でプロヒーローをやっているものだ」

「・・・ああ、新聞に載っていた外来人ね。新聞に載るなんて、妬ましいわ」

「?」

「その態度も妬ましいわ」

「??」

「そのとぼけた感じがさらに妬ましいわ」

「???」

「・・・なんか、面倒になってきそうだわ。妬ましいわね」

「????」

「・・・あー、もー、いいわ。面倒くさくなってきたわ」

「あ、そう・・・」

 

続く


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