二人は地面に着陸した。
「おらぁ!」
勇儀が力を込めた振るった拳はサイタマに向かって一直線に突き進んでいった。
サイタマはそれを無言で、ただ左手をすっと前に出しただけでキャッチした。
「おお、やるな」
サイタマは距離を一気にとると言った。
「あんたも、ね!」
勇儀は一気にとびかかるとサイタマの胸倉をつかんで一気に地面へたたきつけた。
しかし、サイタマはたたきつけられていなかった。地面に直撃する直前に脱出していたのだ。
「お?」
勇儀は嬉しそうにサイタマのいる方向を見る。
「・・・これくらいか?」
サイタマは服をパッパッと払いながら言った。
「いや、まだだね」
と勇儀は言った。
「あたしにも切り札ってもんがあるのさ」
そういって勇儀はにたりと笑う。
「四天王奥義…」
勇儀は一歩目を踏み出した。ズシンッと地響きがした。
「?」
サイタマはバランスを保ちつつ不思議そうに勇儀を見た。
次の瞬間、勇儀の周りから無数の弾幕が出現した。
「三歩…」
二歩目を踏み出した。更に周りに弾幕が形成される。
「なんだこれ?」
何も知らないサイタマはいぶかしげに上を見つめる。
「必殺!」
三歩目を思いきり踏み出した。地面が陥没する。
次の瞬間、その弾幕が一気に落とされた。
「へ?」
サイタマは素っ頓狂な声は弾幕の雑音によってかき消された。
彼に弾幕が直撃するその瞬間、彼はつぶやいた。
「両手連続・普通のパンチ」
オラオラ張りに発射されたサイタマの拳は弾幕を次々と落としていった。
「おお?!」
勇儀は感嘆した声を漏らした。
「すごいねぇ、やるねぇ」
弾幕をすべて落としきったサイタマはつぶやいた。
「もっとやろうぜ」
「それを待っていた」
勇儀は思い切り踏み込むと全力で拳をサイタマにぶつけにかかった。
サイタマはどうしていたかというとただ棒立ち。いや、少し踏ん張るような体勢をしていた。
サイタマに拳が直撃する。
風圧が巻き起こる。周りに鈍い音が響く。
「・・・ありゃりゃ」
「今のは効いたぜ」
「嘘つけ。そこまで効いてなかったろ」
「あれ、ばれたか?」
「ばれるよ。知ってるか?鬼には嘘はつけないんだぜ?」
「そうか」
勇儀はサイタマの背中をバンバンとたたいた。
「いやぁ~あんた凄いねぇ~。あたしゃあ全力込めて殴ったはずなんだがねぇ~~」
勇儀はケラケラと笑いながら言う。
こいつは気楽なんだろうな、とサイタマは思った。
~☆~
「お空?!これどうしたの?!」
「ああ、これ?なんか禿げたお兄さんが突っ込んできたの?」
「ええ?!その人なんか言ってなかった?!!」
「えっとね、確か・・・あ、そうだ!勇儀さんに殴られたんだって!!」
「ええ?!それって本当?!!!」
「うん!そう聞いたよ!」
「じゃあさとり様に報告しとく?!!」
「うん!」
続く