「・・・で、君はなぜここに来たんだ?」
人段落ついて服が青い女(けーねというらしい)の家に入れてもらうとまず訊かれた質問がこれだ。
「知らねぇよ、なんか胡散臭い女と出会ってからその場を立ち去ろうとしたら足の下が急に無くなったんだよ」
俺は少し投げやりに返す。
「ふむ・・・。もしかしてその女、服が紫色じゃなかったか?」
「お前エスパーなの?その通りだけど」
「少し面識があってな」
まじかよ。
「でも、あいつの場合は悪戯でやることも多いからな。それだけではあいつの目的が分からん」
悪戯で人をさらうんじゃねぇよ。
俺はそう思いつつ鍋をつつく。
「白菜いただき!」
「あ!くそ!とられた!」
「豆腐は残しとけよ!」
「肉は残しといて!」
「白菜だ!白菜を!」
俺たちは鍋で軽く争っていた。
同時刻
~???~
「・・・で、その外来人は怪物を倒したと?しかも一撃で?」
「ええ、そう聞きました」
「・・・少し興味がわいてきたわ。その男の行方を追いなさい。ここに招待状を送るのよ」
「了解いたしました」
~???~
「え?その外来人は一撃で化け物を倒したと?」
「ええ。村の人によれば間違いないそうです」
「・・・少し観察してみるかねぇ、場所は特定できる?」
「今やっています」
「一撃、ねぇ…。少し血が騒ぐな」
次の日
「ファア~」
俺は起きるとまず目についたのがヒーロースーツだった。
「・・・あれ?」
服の上には紙切れが置かれてあった。
「?」
紙切れにはこう書かれていた。
『もしものことがあるかも知れないから転送しておいたわ☆
あなたをさらった張本人より』
・・・なんかむかつく。俺はその手紙を破り捨て、ごみ箱の中に入れると台所へ向かった。
「あ、サイタマ君。起きたのか」
「どーも」
「朝食ならもうできてるぞ」
「あざっす」
俺たちは飯を食い始める。
「ところで」
とけーねが切り出してきた。
「?」
「この世界のことを知らないのだろう?」
「ああ」
「案内してやろうか?」
「え?まじで?」
「ああ」
「ならお願いするわ」
「じゃあ、これが終わったら皿洗いを手伝ってくれないか」
「それぐらい別に構わないぞ。元の世界にいたときは弟子が来るまで一人暮らしだったから慣れてるしな」
「そう言ってくれるとすごい助かる」
俺たちは飯を食い終わると皿を洗う。そして外へ出た。
「けーねせんせーおはよーございまーす」
「おはよう、今日もいい挨拶だな」
「せんせーとなりにいるかみのないひとはだれですか~?」
おい、頭見るんじゃねぇ。
「こら、失礼だぞ。この人は昨日の化け物をやっつけてくれたんだからな」
「わ~すご~い!」
「だっこして~!」
「ん?いいぞ、ホイ」
「わ~い、たか~い!」
そういいながらガキは俺の頭をぺチぺチとたたく。だから頭たたくんじゃねぇ。傷つくだろうが。