一撃男が幻想入り   作:海棠

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十三撃目ーフランの自立/Departureー

「ん~」

博麗神社の巫女、博麗霊夢が起床した。

「・・・ゑ?」

その時霊夢が見たのは、きれいな青空だった。

つまり、この神社は半壊したのである。

「うわぁあああああああああああああああああああああああああああああ」

朝っぱらの幻想郷に悲鳴が響き渡った。

 

 

 

 

~☆~

 

 

 

 

「鈴仙」

「お師匠様」

「行かないの?」

「・・・来るな、って言われました」

「・・・そっか」

永琳は少し困ったような顔で言う。

「迎えに行ってあげなさい」

「え、ですが・・・」

「大丈夫よ」

永琳はすごく優しそうなほほえみをして言った。

 

「尊敬しているのならば行ったほうがその人もうれしかったりするのよ?」

 

「・・・」

鈴仙は何も言わずに立ち上がると出て行った。

「・・・あの子も、しっかりしてきたかしら?」

永琳は誰かに言うというわけでもなく、ただ、つぶやいた。

 

 

 

 

~☆~

 

 

 

 

「で、あんた」

「?」

レミリアがサイタマに問う。

「結局あんたは何者よ」

「趣味でプロヒーローをやっているものだけど」

「そうじゃなくて!あんたは人間かそうでないかを訊いているのよ!」

「人間だけど」

このような会話がこれで5回くらいループしていた。

「おじさーん」

「おう、どした」

「これみて~~」

そういってフランが見せてきたのはサイタマとフランが仲良く遊んでいる絵だった。

幼稚園児が描くようなクレヨンで描いた絵だけど、伝えたいことはよくわかる。

「おう、ありがとな」

「えへへ~」

フランは照れ臭そうに笑うと次はレミリアのところによっていく。

「おねーさま」

「何?」

「おじさんよんだのっておねーさま?」

「ええ、そうよ」

「そっかー」

フランはとてもいい笑顔でにっこり笑うと言った。

 

「ありがと!」

 

「・・・そう」

レミリアは照れ臭そうに笑った。

「では、妹様。そろそろお部屋にお戻りになられたほうが…」

「やだ!」

「?!」

咲夜は打ちひしがれたような顔をする。何故なら、フランは今まで咲夜に反抗したことがなかったのだ。つまり、自己をあまり持っていないともいえるのである。しかし、今ここで反抗した。それは、自己の芽生えでもあったのだ。もしかしたら目の前の外来人はわが妹に大切なことを教えてくれたのかもしれない、とレミリアは心の中でサイタマに感謝した。

フランはトコトコとサイタマに歩いていく。そして後ろに隠れるとぎゅっとしがみついて言った。

「おじさんといっしょなのがいいの!」

レミリアは感涙した。まさか、わが妹がここまで自分の意見をはっきり言えるようになるなんて、と。やはり自分が間違っていたのかもしれない、と。

「いいいいいい妹様!いけません!そいつは外来人なのですよ?!!それに彼にだって用事があるでしょう!ねぇ、お前!」

落ち着け。レミリアはそう言ったがどうやら咲夜の耳には届いていなかったようだ。

うちのメイド長は少し妹を溺愛しすぎている。これがいい機会になるかもしれない、とレミリアは心の中で思った。

「なんだ?」

「迷惑でしょう?!」

「は?なんで迷惑なんだよ」

サイタマは少しおかしな人を見るような目で言った。

 

「こんなガキがめんどいなら世界中のガキがめんどいわ」

 

この時、この瞬間、レミリアは圧倒された。その言葉に圧倒された。なんと器が広いのだろうか。ここまで器が広い人は初めて見た。わが妹を、こんなに寛容的に受け止めてくれる人が今までにこいつ以外でいただろうか。いや、いなかった。皆、妹を恐れて拒絶した。しかし、こいつは違う。わが妹もそこらの人間の子供と同じくらいでしかないのだろう。それがすごいと思った。うれしかった。いつの間にかレミリアは涙が頬を伝っていた。

「サイタマ、だったかしら?」

「ああ」

「・・・フランを、お願いできるかしら?」

「いいぞ。あ、傘くれよ。こいつ日光無理みたいだ」

「・・・ああ、そういうこと」

レミリアは妹のために一番いい傘をサイタマに手渡した。

「フラン」

「なにー?」

「成長してきなさい」

「うん!」

フランは笑顔でうなずいた。そして駆け出した。

「おじさーん!はやくはやくー!」

「おーい!待てぇ!はえぇぞお前ー!」

「サイタマさーん!」

「鈴仙!来てくれたのか!」

「ええ!ところでその子は?」

「ああ。あそこの館の妹だ」

「ああ、この子が」

「はじめまして!フランドール・スカーレットです!」

「こちらこそ初めまして。鈴仙・優曇華院・イナバです」

「じゃあ、行くか!」

「「うん!(はい!)」」

 

続く




前回の没ったシーン

「きゅっとしてぇ~~~~~~」
そういったフランの手には目玉が形成されていた。
「?」
「どかーn・・・あれ?」
フランはそれを握りつぶそうとしたが、なぜか異常に固い。握り壊せない。
「あれぇ~?」
「なんか筋肉がプルプルするんだけど、あばばばばばばば、なんだこれ?」
「あれれぇ~?」
なぜ、握りつぶせないか説明しよう。
フランの究極技「キュッとしてドカーン」は超能力に属する。対象の中身を目玉に見立てることによって内部の気を操作して破壊するものである。しかし、超能力の効果は対象の精神力にも関係する。つまり、サイタマみたいな異常に図太い精神の持ち主には効き目が薄いのだ。
「ん~~~~~~~~~~」
「あばばば」
「や~めた!」
「おう、軽くなった」
「じゃあ!つづきねー!」

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